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今朝もカッコウが「起きろ、起きろ」と鳴き出し、重苦しい雨雲ながら夜が明けてきた。目覚まし時計役のこの鳥の鳴く声を数えてみたら25,6回で中断して、また鳴き続けている。今度は長い、と思ったら声がしなくなった。どこかへ飛び去ったのだろう。10分くらいは泣き続けていた。遠くで、カラスも泣き出した。
予想通り、芝平を過ぎて未舗装の山道に入ると、昨日の大雨の被害がそこら中に目に付いた。特にひどかったのは大崩れと枯れ木橋の辺りで、側溝は用をなさず、そこへ導水する例の導水棒も土砂に埋もれ、多くは何の役にも立っていなかった。こういう状況を見れば、林道の弱点がもっとよく分かるはずだが、守備範囲の多い行政には、こんな山の中まではなかなか手が回らないのだろう。
石ころ、枯れ木などで水の溢れ出た側溝はできるだけ浚ってきたが、納得のいくまでやっていたらいつまで経っても牧場へは到達できないと、途中で諦めた。道路に溢れ出た瓦礫や、水流でえぐられたあの山道が旧に復するのはいつのことになるのやら。
同じく気になっていたのがテイ沢の丸太橋である。あの大雨でも無事だったかとヒヤヒヤしながら行ってみた。沢の水量はかなりあって心配したものの、下から1,2,3番目の橋はどうやら無事だった。
そこへ上から一人登山者が下りてきた。単独の若い女性で、上の状況を聞くと、土砂の流失はあったようだが、丸太橋は無事だということだった。その言葉に安堵して、そこから一緒に引き返すことにした。別に女性だからというわけではない、ちゃんと相手を見てした判断で、何よりも上に行かずに済んで助かった。今は何においても牧場の仕事を優先したい時で、テイ沢の方にまで手を出したくはなかった。
その牧場、ここ一日二日で牧草の新鮮な緑の色が大分目立つようになってきた。きょうからようやく、そんな第1牧区の有刺鉄線の牧柵の手入れを始めた。やはり、この仕事に入って、本来の牧場の仕事に手を付けることができるわけで、それなりに気合が入る。
緩んだバラ線をぴんと張り直す。冬の間に鹿や風や切られたところは結線する。そして、少し離れて、見直す。この自分のやった出来不出来を判定しては、気分を良くする。15年間そうだった。植え終えた稲田を眺める者の気持ちと似ているかも知れない。単純、と思われたら、それすら嬉しい。
牧柵修理は大変な仕事だが、晴れていれば背後には御嶽山や乗鞍、中アや北アを背にして、広大な緑の草原で一人だけでする仕事である。冥利だと思っている。
Ume氏から新緑が美しい航空写真を何枚も預かっている。あの天気ではと掲載を見合わせていたが、次回から始めます、お楽しみに。きょうの写真は泥水溢れるオイデエラ。本日はこの辺で。明日は沈黙します。