
山室川の谷は色付いた多彩な木々の葉に埋もれていた。きょうの写真は、実際のその色彩を写してはいない。もっと紅葉は燃えるように鮮烈で、赤みが強かった。

これもモミジの色が脱色でもしたように見える。
まあ、こんな即席の写真であの谷の豪奢絢爛、複雑多色の色合いを伝えようとするのが間違いなのは分かる。激しさを売りにするあの画家でも連れてくれば悩み、無理をして、発狂するかも知れない。少なくも、そういう絵を描きそうだ。そのくらい、この極く限られた時季の自然の演出には、美しさの中に激しさが隠れているように感じる。それも、悲劇の激しさとでも言ってしまいたいような。
そういう中で黄緑の色が、初夏の鮮やかさを復活させ、場違いの落ち着きを見せている。いや、それだけではない。まだあって、赤でもなければ朱でもなく、茶でもないという色があり、またそれらが1枚の葉に混じり合っている場合もあり、狂乱を抑える渋い役を担って、老いた役者のようである。
普段は嫌っているコナシの葉も、今はそういった色に近く、牧草の黄緑や、まだ落葉を免れている白樺の黄緑の色とよく調和している。ついでながら、里にはいくら老いても、性悪の気をさらに強めるような例外もいないわけではない。
人に頼んで昨日、くくり罠を4個と大型の囲い罠も仕掛けた。しかし、捕獲できなかった。来る時、第2検査場の近くに仕掛けたくくり罠の近くには大きな角をした雄鹿が1頭いて、車を停車しても逃げず、まるでこっちの魂胆を読んだ上で挑戦するかのようにじっとこっちを見ていた。
また、第2牧区に仕掛けたくくり罠の周囲には数頭の鹿の群れがいたのに、やはり駄目だった。誘引に塩を使っているのだが、どうもこの時季は、頼りの塩があまり効果がないのかも知れない。いや、仕掛けが少々雑で、相手に気取られていたかも分からない。
きょうも牧、山ともに静かだ。本日、富士見町役場から、富士見側で行われていた入笠への交通規制が11月の14日をもって解除されるとの連絡があった。それ以後は、路面凍結が確認された段階で完全に通行止めになるという。例年だと、そうなるのは12月の初旬ごろだろうという話だった。
なお、伊那側は現在、千代田湖経由と小豆坂トンネル経由が通行止めで、唯一の方法は非持、山室を経て来るしかない。
あ、少し気が早いようですが、きょうから題名を「冬」にしました。本日はこの辺で。