Photo by かんと氏
「『部分月食』 かろうじてすばるがわかるかなと言う月食写真送りました」と、かんとさん。画像処理して、さらに良くなればまた送ってくれるとのこと。しかし、期待するなとも。
昨日、4時15分ごろだったと思う、「5分後に月蝕が始まります」という連絡が、星関連の情報発信元からいきなり携帯電話に入った。少し慌てたが、その時間ではどこからも月が見えるはずがなかったし、かんとさんからは牧場からだと6時5分ぐらいに見えるようになるとの詳しい情報を貰っていたから、思い直してまた落日を見に第1牧区へ行った。
、
昨夜の夕焼けも、日没後東の空からベールのような薄い雲が赤く染まり、それが八ヶ岳の天狗にまで及んだ。やがて太陽が西山に沈んでからしばらくして、今度はその稜線の上空を中心にして天が燃えだした。頭上の広大な夕空の色彩の変化を、まるで音楽でも聴くような気分で眺めていた。
そして月蝕。6時5分ごろ小入笠、入笠へと続く尾根の上に月が浮かぶように現れた。薄い輪郭を見せながら、その下方には反りの大きな細い刀のような鋭い光が見え、月蝕がほぼ最大まで進んだ姿だと思って見た。
肉眼でははっきりしなかったが、カールツアイスの双眼鏡では昴も、6,7個冷たい光の粒を月の左上にしっかりと見ることができた。共演は間違いなく行われたわけだ。携帯でも何枚かその様子を撮ってみたが、昴はもとより、明確に月蝕と分かるような写真はやはり無理だった。
部屋に戻ったら、窓からちょうど月蝕が終盤に入っていく様子を見ることができ、しばらく灯を消して眺め入った。そして、次第に明るさを取り戻し始めた月の光に誘われて、暗い森の中へ出掛けることにした。
夜の暗さにはそれほどの抵抗はない。乏しい光を頼りに歩いていると、あちこちから鹿の鋭い警戒音がしてきた。そしてそれに抗うよう過ぎていった7か月が次々と思い出され、いい時が過ぎていった。
帰ってきたら「素晴らしいラストナイトですね!」という言葉が届いていた。
昨日の夕方、入笠へ通ずる千代田湖経由の林道「タカミネ線」開通の報あり。本日はこの辺で、明日は沈黙いたします。