
某総合雑誌の今月号は睡眠が特集になっていた。「睡眠は最高のアンチエイジング」だとあり、日頃「嗜眠癖」などと勝手な名前を付けて惰眠を貪る者は熱心に読まず、もう内容については殆ど忘れてしまった。
近年、高齢者の人口増加で健康に関する番組や企画がやたらと増え、これもその類だろう。テレビでは栄養補助の薬品や、もどきの宣伝がやたらと多く、節操もないほどいろいろな広告に出てくるあの女優が、この業界でも笑顔を振りまいているのを目にした。
きょうNHKの2チャンネルを暇つぶしに見ていたら、われわれの直接の祖先ではないらしいが、人類も冬眠していたことがあったらしく、骨などにその証拠が残っているとする外国の研究者の説を取り上げていた。こっちの方は興味深かく見た。
クラークも、彼の小説では「2001年宇宙の旅」から「遥かなる地球の歌声」のように人口冬眠を使って、惑星間や恒星間の宇宙旅行を可能にしていたが、当面は、そんな方法しかゼロが何十個も並ぶ距離を克服する手段はないだろう。
因みに1光年は約10兆キロ、ゼロの数は13個になるが、そんな近くに恒星は存在しない。
これは以前にも呟いたが、クラークは「2001年」ではなく、「遥かなる」で自分のことを思い出してほしいと語っていたのを面白く読んだ。異才キューブリックの映画に、原作者である彼の本は陰に隠れてしまったと思っていたのだろう、多分。
宇宙旅行もいいが、人口冬眠が実際に活用できるようになれば、今は不治の病でも、将来の医学の発達を期待してこれを利用しようとする人が出てくると思う。また、現代に失望した人は、自殺の代わりに、未来への片道旅行を敢行するかもしれない。
時代が進めば進むほど、世界は良い方向に向かうと信ずる楽観論者らにとって、果たして失望しないような未来が来るか否かは目が覚めるまで分からないと思うが、それでもそういう捨て身の方法を考える金持ちも現れるだろう。
暮れなずむ灰色の寒空から、雪が降ってきた。寂しいというか、侘しいというか、雪の降るのを待っていた子供のころを思い出しながら眺めている。
本日はこの辺で。明日は沈黙します。