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遠く仙丈を背景に、梅の花が咲き始めた
昨日、「早春の入笠牧場」を書き終えたばかりだというのに、牧場へ登ったあの日からもう、一週間が過ぎてしまった。
日の経つのがことのほか早く感じられる。しかし、いい一日いちにちが過ぎていく。何か特別なことがあるわけではないし、期待もしないが、明るい春の光の中をぼつぼつと過ごし、暮らして一日を終える。何の制約もない。あるとしたら時間だけだ。
いや、もう一つあった、断酒という。一日を閉じる儀式のない生活が、今年の春をより短くさせはしないかと心配している。
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山室川の砂防ダム
一昨日に続き、今日も芝平へ行った。今日は山奥にも会えた。彼の隠れ家の前で日向ぼこをしながら、とりとめのない会話をして帰ってきた。先週末、神奈川の海で釣り上げた魚を馳走してくれるというありがたい申し出を、丁重に断るのに苦労した。そんな美味そうな魚を、酒も飲まずに頂戴したら罰が当たる。
断酒してから、食べることへのこだわりが大分なくなった。高価な食材や料理を食べたいという気なぞは、前からない。ただ自分なりきの好みや、その日食べたいというものには抗い難かった。それが幾分変化してきた。そしてそう、もしかすれば牛のように、毎日まいにち同じものを薄味で食べる日が、いつかやってくるのかも分からない。
誤解されるむきがあってはいけないので一言書き添えるが、断酒を始めたり、牛のような単調な食事を思うのは健康とはまったく関係はない。単にこれも行事のようなもので、暖かくなると変なことを考えたり、実行してみたくなるだけの話に過ぎない。で、まあ変人と言ってくれる人もいる。
気持ちのよい日が去っていく、有難い日が去っていく。感謝。