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ケヤキの盆栽を掘り出し、土替えをした
雨の日曜日、信州のこの辺りでも、桜の開花についてそろそろ話題に上るようになったが、今日の雨の影響はどうなのか。桜とくれば高遠が有名だが、あの喧騒の中に行って花を愛でるという気にはもうならない。花もいいが、あの城跡から眺めた残雪に照り輝く中央アルプスや背後の南アルプスの明るい山並みの方が記憶に強く残っている。最後に行ってから、何年ぐらいが経つのだろうか。
高遠城の桜を遠目に、牧場に通う日がすぐそこまで来ている。季節を逆行するように、桜の花の開花は登っていくにしたがって遅くなるが、それは花ばかりでなく、落葉松の芽吹きも、コブシの花の咲くのも同じことが言える。まず古刹・弘妙寺(ぐみょうじ)が、豪勢な桜の花に埋もれてから山室川沿いの遅い花の季節が始まり、およそ14,5キロほどの山道の桜が次々に開花していく。それからさらに大ダオ(芝平峠)を過ぎ標高を上げるに従い、森の中に点在する山桜がその存在を主張し始める。毎年、一年振りだと声でもかけてやりたくなるような懐かしい気分になって、通り過ぎていく。
牧場内にも相当数の山桜の木がある。眺めのよい丘陵地に太い山桜の老木があって、それが咲きだすころには山笑う季節の中で、まことに特権的な花見の宴を張る。眼前には中央アルプス、御嶽、乗鞍、北アルプスの雪を付けた山並みが、少し霞のかかった五月の空にゆったりと浮かぶように長いながい連なりを見せているという、夢のような景色を独り占めにして。
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白いボケの花が今日咲いた
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カタクリは葉ばかりで芽はまだ
山桜だけでなく、これからレンゲツツジ、小梨、クリンソウと花の季節がやってくる。
花の季節、入笠牧場へお越しください。山小屋「農協ハウス」の営業に関しましては、JA上伊那東部支所組合員課(直通:0265-94-2473)までお問い合わせください。