■利権の巣窟の八ッ場ダム問題で、「地元住民」とマスコミが呼ぶ水没関係5地区連合対策委員会の萩原昭朗委員長の名前が、相変わらず新聞やテレビで取りざたされています。いい加減に、地元住民という呼称をやめたらよいと思いますが、新聞マスコミ族議員の山本一太に多額の政治献金されていることを見ても、この問題の根深さを痛感させられます。
今日の新聞報道によると、前原国交相が12月16日に、地元あてに送った文書の中で、12 月20日(日)に意見交換会の開催を希望したのを受けて、12月17日、地元住民でつくる「八ッ場ダム水没関係5地区連合対策委員会」(萩原昭朗委員長)は国交相との会談を年明けに受け入れることを決めた後、1月18日に、意見交換会の日程を来年1月24日(日)を軸に調整することなどを求めた回答書を、群馬県を通じで前原国交相側に提出したそうです。
報道のタイトルによれば、「生活再建」を願っている地元住民ですが、「生活再建の事業はする」と言って建設中の道路や橋などは建設継続を表明している民主党に対して、依然として「ダム建設中止反対」を申し入れるのだと言っています。とくに地元住民の代表を自認する、この「地元住民」の場合、既に何十億単位の利権に関わってきて、まだ「生活再建」などと言っているのは、よほどダム利権の甘い汁を飲み続けたいのでしょう。本来、自分の家庭内の「生活再建」を優先すべきでしょう。
もっとも、政権が代わっても、相かわらずの自民党王国である群馬県西部では、八ッ場ダムの存続は、件の「地元住民」ばかりでなく、自民党系の政治家にとっても死活問題です。
■この点について、週刊文春2009.12.3号に、「民主逆襲の切り札 “「八ッ場ダム”受注企業 献金リスト」という興味深い記事が掲載されました。サブタイトルに「小渕優子に1180万円、中曽根弘文に680万円、山本一太に490万円…」とあります。新聞族議員の山本一太の名前が載っているので、どういうことなのか、記事の内容を引用してみます。
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【週刊文春 2009年12月3日号より】
前原誠司国交相が建設中止を表明し、がぜん世間の耳目を集めることになった八ツ場ダム。ムダの象徴ともいわれるこのダムを、自民党はなぜ温存してきたのか。福田康夫、尾身幸次、中曽根弘文、小渕優子…関連企業から地元“閣僚経験者”への多額の献金を問う――。
小渕優子前少子化担当相には、過去五年間で一千百万円あまり。中曽根弘文前外務相に六百七十七万円、山本一太参院議員に四百四十万円、尾身幸次元財務相に三百九十一万円――。
今回、小誌は国交省が作成した八ッ場ダム関連工事の受注企業二百八十四社のリストを独占入手した。それをもとに地元選出の国会議員への政治献金を調べたところ、自民党議員への突出した政治献金の存在が明らかになった。冒頭に示したのは、その議員名と献金額だ。
小渕氏は選挙区内に八ッ場ダム建設予定地があり、他にも、佐田玄一郎元行革担当相に三百八十一万円が行っているほか、福田康夫元首相、谷津義男元農水相ら、保守王国らしく大物議員の顔ぶれが並ぶ(詳しくは次ページ表の通り)。
古参の福田康夫後援会関係者が語る。
「八ッ場ダムは、もともと建設業界からの支援を欲していた福田赳夫先生が始めたもの。山本一太さんの父親・富雄氏も、赳夫先生の側近として推進派でした」
昨年一月の国会の論戦では、民主党議員から「福田ダムと揶揄されてきた」と問われ、福田首相(当時)が「このような言葉を私は生まれて初めてうかがいました。あまり造語はなさらぬようにしていただきたい」と色をなして反論した場面もあった。
確かに「福田ダム」という表現は正確でないかもしれない。正しくは「自民党ダム」と呼ぶのが妥当だろう。というのも、自民党の政治資金団体・国民政治協会には、八ッ場ダム関連企業から、約三億四千万円が献金されているのだ。
十一月十八日の国交委員会では、前出の佐田氏が前原大臣に対し、八ッ場ダム建設中止の撤回を強く求めている。改めて、自民党と関連企業の関係の深さを窺わせた。
ある群馬県政関係者が明かす。
「自民党県連幹事長の南波和憲県議が当選前まで社長を務めていたファミリー企業・南波建設も、八ッ場ダムの受注企業です。県内では周知の事実です」
南波建設は、二億一千万円の八ッ場ダム関連工事を受注している。これでは、インサイダーと批判されても仕方あるまい。実は、八ッ場ダム受注企業による政治献金は、過去にも問題視されている。
政治ジャーナリストの横田一氏が解説する。
「昨年、倒産した山内工業(群馬県沼田市)という企業が、公職選拳法で禁じられている、国と契約関係のある企業の選挙期間中の政治献金を行っていたことが明らかになったのです。献金を受けた福田康夫氏、小渕優子氏らは、それぞれ返還の意向を表明しました。
とある受注企業の関係者が、絶対匿名を条件に献金の背景について証言する。
「確かにウチは八ッ場ダムの工事を受注していますが、献金の見返りに、工事が受注できたとか、便宜を図ってもらったこともないですよ。ただ、この不景気のご時世ですから、正直なところ迷惑なんですが、献金をしないことでイタズラされちゃ困りますから、仕方なくね…」
いっぽう、今月上旬、〇四年から〇八年までに一千万円以上の八ッ場ダム関連工事や業務を受注した業者四十五社に計九十三人の国交省OBが天下っていたことが判明した。
調査を取りまとめた民主党の村井宗明議員が説明する。
「八ッ場ダムは、『天下りの聖地』だと言われてきました。公務員は、上司である前原誠司大臣の指示に従うべきであり、水需要量の減少などからムダな事業であることは客観的に分かっているのに、なぜ国交省が建設推進にこだわるのか。その謎が解けました」
八ッ場ダムはまさに、「政・官・業」の癒着の象徴ともいえるのだ。
また、政治資金規正法は「三事業年度以上にわたって継続して欠損を生じている会社(赤字会社)が、その欠損が埋められるまでの間、政治献金をすること」を禁じている。「赤字会社は、企業としての社会的責任である税金を払っていないから」(岩井奉信日大教授)だ。小誌の調べでは、これに該当する違法な献金も含まれていることがわかった。
群馬県太田市に本社を置く石橋建設工業株式会社は、民間調査会社・帝国データバンクによると〇三年度から〇六年度まで四期連続で赤字決算だったにもかかわらず、禁止期間中に複数回の政治献金を行っている。同社から違法献金を受けた政治家は、中曽根弘文氏(四十万円)と谷津義男氏(九十六万円)の二人である。
石橋建設工業の丸山和芳代表は、小誌の取材に対してこう釈明した。
「自民党への献金は、先々代のころから地元の付き合いという意味で続いています。八ッ場ダムの関連工事についても、あくまでも競争入札で落札したものですから、献金で落札できたわけではありません」
赤字企業からの献金については、会社側から「違法性を認識していなかったが、ご指摘の点が事実であれば反省しなければいけない」とのコメントがあった。
八ッ場ダム関連企業ではないが、赤字企業である萩原建設株式会社(群馬県安中市)も、小渕優子氏と関係の深い自民党群馬県ふるさと振興支部に対して十二万円の献金を行っている。
では、八ッ場ダム関連企業からの献金を受けた自民党議員は、こうした指摘にどう答えるのか。
山本参院議員は、八ッ場ダムの必要性を前提とした上で、次のように語った。
「国民から誤解を招く恐れがあるのではないかと言われると、確かにそのようなところはあるかもしれません。キチンと調べてみます。ただ、八ッ場ダムについて地元で要望を受けることはあったかもしれませんが、私自身は不正な口利きは一切行っていません。いずれにせよ、公共事業受注企業からの献金については、党全体で考え直す必要があると思います」
谷津義男氏は、「献金を受けている企業が八ッ場ダムの仕事に関わっていると知ったのは、つい最近のこと。したがって、陳情を受けたことはありません。(赤字企業からの献金については)調べてみます。指摘が事実なら、返還をすることになりますね」
自民党群馬県ふるさと振興支部も含めると最大の献金額だった小渕優子氏の事務所は、
「どれが受注企業かは把握しておりませんが、あくまでも法に則って献金をいただいていると認識しております。八ッ場ダムについて、個別のご相談を受けたことはありません」
と、問題なしとの見解を示した。
中曽根氏の事務所は、「お答えできる者がいない」とし、佐田玄一郎氏の事務所からは回答がなかった。
これに対し、鳩山由紀夫首相の偽装献金問題が追及されているうえ、国会運営も迷走気味の民主党は、反撃のチャンス到来といったところのようだ。
「八ッ場ダム受注企業からの政治献金には、非常に関心を持っています。今後の審議では、自民党から八ッ場ダムに関連した質問が出ることが予想されます。こうした政官業の癒着構造については、自民党に対するカウンター攻撃の材料として繰り出したい」(民主党国対関係者)
政権交代によって、過去の権力の「膿」を出し切ることができるか。今後の国会論戦が注目される。
<群馬県選出国会議員/各政党への八ッ場ダム受注企業からの政治献金・パーティ券購入>
政治家氏名 /平成16年(2004)/平成17年(2005)/平成18年(2006)/平成19年(2007)/平成20年(2008)/5年間合計
●尾身幸次(自民党群馬一区支部)/740,000/1,040、000/670,000/1,220,000/620、000/4,290,000
●谷津義男(自民党群馬三区支部)/480,000/480,000/480,000/600,000/600,000/2,640,000
●福田康夫(自民党群馬四区支部)/0/200,000/0/0/0/200,000
●小渕優子(自民党群馬五区支部、自民党群馬県ふるさと振興支部)/2,320、000/2,440,000/2,290,000/2,500,000/2,260,000/11,810,000
●佐田玄一郎(自民党群馬比例第二支部、赤城倶楽部)/360,000/920,000/1,200,000/480,000/600,000/3,560,000
●中曽根弘文(自民党群馬参院第一支部)/1,490,000/1,240,000/1,440,000/1,440,000/1,360,000/6,970,000
●山本一太(自民党群馬参院第三支部)/1,200,000/900,000/1,000,000/1,000,000/800,000/4,900,000
●石関貴史(民主党群馬二区支部)/0/0/120,000/120,000/240,000
●自民党(国民政治協会)/64,314,600/56,948,000/75,738,000/76,620,000/68,100,000/341,720,600
●民主党/500,000/0/0/0/0/500,000
合計/71,404,800/64,188,000/82,818,000/83,980,000/74,460,000/378,830,600
※返金済みの献金も含む。尾身、谷津両氏は引退。04年は尾身氏は群馬比例第二支部、佐田氏は一区支部。
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■上記の献金リストの表を見ると、民主党の群馬県関係者の名前も見かけます。来年の参院選をにらんで、あろうことか、八ッ場ダムの推進派で、件の「地元住民」が後援会長だったこともある小寺弘之前群馬県知事を、幹部が比例代表の候補者として擁立すべく要請に2度も出向いた民主党の群馬県連なので、特に不思議ではありませんが、ズブズブに利権に染まった自民党系の政治家やその取り巻きの「地元住民」のみならず、民主党の議員までも懐柔させようとするダム建設の利権の根深さを思い知らされます。
【ひらく会情報部】
今日の新聞報道によると、前原国交相が12月16日に、地元あてに送った文書の中で、12 月20日(日)に意見交換会の開催を希望したのを受けて、12月17日、地元住民でつくる「八ッ場ダム水没関係5地区連合対策委員会」(萩原昭朗委員長)は国交相との会談を年明けに受け入れることを決めた後、1月18日に、意見交換会の日程を来年1月24日(日)を軸に調整することなどを求めた回答書を、群馬県を通じで前原国交相側に提出したそうです。
報道のタイトルによれば、「生活再建」を願っている地元住民ですが、「生活再建の事業はする」と言って建設中の道路や橋などは建設継続を表明している民主党に対して、依然として「ダム建設中止反対」を申し入れるのだと言っています。とくに地元住民の代表を自認する、この「地元住民」の場合、既に何十億単位の利権に関わってきて、まだ「生活再建」などと言っているのは、よほどダム利権の甘い汁を飲み続けたいのでしょう。本来、自分の家庭内の「生活再建」を優先すべきでしょう。
もっとも、政権が代わっても、相かわらずの自民党王国である群馬県西部では、八ッ場ダムの存続は、件の「地元住民」ばかりでなく、自民党系の政治家にとっても死活問題です。
■この点について、週刊文春2009.12.3号に、「民主逆襲の切り札 “「八ッ場ダム”受注企業 献金リスト」という興味深い記事が掲載されました。サブタイトルに「小渕優子に1180万円、中曽根弘文に680万円、山本一太に490万円…」とあります。新聞族議員の山本一太の名前が載っているので、どういうことなのか、記事の内容を引用してみます。
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【週刊文春 2009年12月3日号より】
前原誠司国交相が建設中止を表明し、がぜん世間の耳目を集めることになった八ツ場ダム。ムダの象徴ともいわれるこのダムを、自民党はなぜ温存してきたのか。福田康夫、尾身幸次、中曽根弘文、小渕優子…関連企業から地元“閣僚経験者”への多額の献金を問う――。
小渕優子前少子化担当相には、過去五年間で一千百万円あまり。中曽根弘文前外務相に六百七十七万円、山本一太参院議員に四百四十万円、尾身幸次元財務相に三百九十一万円――。
今回、小誌は国交省が作成した八ッ場ダム関連工事の受注企業二百八十四社のリストを独占入手した。それをもとに地元選出の国会議員への政治献金を調べたところ、自民党議員への突出した政治献金の存在が明らかになった。冒頭に示したのは、その議員名と献金額だ。
小渕氏は選挙区内に八ッ場ダム建設予定地があり、他にも、佐田玄一郎元行革担当相に三百八十一万円が行っているほか、福田康夫元首相、谷津義男元農水相ら、保守王国らしく大物議員の顔ぶれが並ぶ(詳しくは次ページ表の通り)。
古参の福田康夫後援会関係者が語る。
「八ッ場ダムは、もともと建設業界からの支援を欲していた福田赳夫先生が始めたもの。山本一太さんの父親・富雄氏も、赳夫先生の側近として推進派でした」
昨年一月の国会の論戦では、民主党議員から「福田ダムと揶揄されてきた」と問われ、福田首相(当時)が「このような言葉を私は生まれて初めてうかがいました。あまり造語はなさらぬようにしていただきたい」と色をなして反論した場面もあった。
確かに「福田ダム」という表現は正確でないかもしれない。正しくは「自民党ダム」と呼ぶのが妥当だろう。というのも、自民党の政治資金団体・国民政治協会には、八ッ場ダム関連企業から、約三億四千万円が献金されているのだ。
十一月十八日の国交委員会では、前出の佐田氏が前原大臣に対し、八ッ場ダム建設中止の撤回を強く求めている。改めて、自民党と関連企業の関係の深さを窺わせた。
ある群馬県政関係者が明かす。
「自民党県連幹事長の南波和憲県議が当選前まで社長を務めていたファミリー企業・南波建設も、八ッ場ダムの受注企業です。県内では周知の事実です」
南波建設は、二億一千万円の八ッ場ダム関連工事を受注している。これでは、インサイダーと批判されても仕方あるまい。実は、八ッ場ダム受注企業による政治献金は、過去にも問題視されている。
政治ジャーナリストの横田一氏が解説する。
「昨年、倒産した山内工業(群馬県沼田市)という企業が、公職選拳法で禁じられている、国と契約関係のある企業の選挙期間中の政治献金を行っていたことが明らかになったのです。献金を受けた福田康夫氏、小渕優子氏らは、それぞれ返還の意向を表明しました。
とある受注企業の関係者が、絶対匿名を条件に献金の背景について証言する。
「確かにウチは八ッ場ダムの工事を受注していますが、献金の見返りに、工事が受注できたとか、便宜を図ってもらったこともないですよ。ただ、この不景気のご時世ですから、正直なところ迷惑なんですが、献金をしないことでイタズラされちゃ困りますから、仕方なくね…」
いっぽう、今月上旬、〇四年から〇八年までに一千万円以上の八ッ場ダム関連工事や業務を受注した業者四十五社に計九十三人の国交省OBが天下っていたことが判明した。
調査を取りまとめた民主党の村井宗明議員が説明する。
「八ッ場ダムは、『天下りの聖地』だと言われてきました。公務員は、上司である前原誠司大臣の指示に従うべきであり、水需要量の減少などからムダな事業であることは客観的に分かっているのに、なぜ国交省が建設推進にこだわるのか。その謎が解けました」
八ッ場ダムはまさに、「政・官・業」の癒着の象徴ともいえるのだ。
また、政治資金規正法は「三事業年度以上にわたって継続して欠損を生じている会社(赤字会社)が、その欠損が埋められるまでの間、政治献金をすること」を禁じている。「赤字会社は、企業としての社会的責任である税金を払っていないから」(岩井奉信日大教授)だ。小誌の調べでは、これに該当する違法な献金も含まれていることがわかった。
群馬県太田市に本社を置く石橋建設工業株式会社は、民間調査会社・帝国データバンクによると〇三年度から〇六年度まで四期連続で赤字決算だったにもかかわらず、禁止期間中に複数回の政治献金を行っている。同社から違法献金を受けた政治家は、中曽根弘文氏(四十万円)と谷津義男氏(九十六万円)の二人である。
石橋建設工業の丸山和芳代表は、小誌の取材に対してこう釈明した。
「自民党への献金は、先々代のころから地元の付き合いという意味で続いています。八ッ場ダムの関連工事についても、あくまでも競争入札で落札したものですから、献金で落札できたわけではありません」
赤字企業からの献金については、会社側から「違法性を認識していなかったが、ご指摘の点が事実であれば反省しなければいけない」とのコメントがあった。
八ッ場ダム関連企業ではないが、赤字企業である萩原建設株式会社(群馬県安中市)も、小渕優子氏と関係の深い自民党群馬県ふるさと振興支部に対して十二万円の献金を行っている。
では、八ッ場ダム関連企業からの献金を受けた自民党議員は、こうした指摘にどう答えるのか。
山本参院議員は、八ッ場ダムの必要性を前提とした上で、次のように語った。
「国民から誤解を招く恐れがあるのではないかと言われると、確かにそのようなところはあるかもしれません。キチンと調べてみます。ただ、八ッ場ダムについて地元で要望を受けることはあったかもしれませんが、私自身は不正な口利きは一切行っていません。いずれにせよ、公共事業受注企業からの献金については、党全体で考え直す必要があると思います」
谷津義男氏は、「献金を受けている企業が八ッ場ダムの仕事に関わっていると知ったのは、つい最近のこと。したがって、陳情を受けたことはありません。(赤字企業からの献金については)調べてみます。指摘が事実なら、返還をすることになりますね」
自民党群馬県ふるさと振興支部も含めると最大の献金額だった小渕優子氏の事務所は、
「どれが受注企業かは把握しておりませんが、あくまでも法に則って献金をいただいていると認識しております。八ッ場ダムについて、個別のご相談を受けたことはありません」
と、問題なしとの見解を示した。
中曽根氏の事務所は、「お答えできる者がいない」とし、佐田玄一郎氏の事務所からは回答がなかった。
これに対し、鳩山由紀夫首相の偽装献金問題が追及されているうえ、国会運営も迷走気味の民主党は、反撃のチャンス到来といったところのようだ。
「八ッ場ダム受注企業からの政治献金には、非常に関心を持っています。今後の審議では、自民党から八ッ場ダムに関連した質問が出ることが予想されます。こうした政官業の癒着構造については、自民党に対するカウンター攻撃の材料として繰り出したい」(民主党国対関係者)
政権交代によって、過去の権力の「膿」を出し切ることができるか。今後の国会論戦が注目される。
<群馬県選出国会議員/各政党への八ッ場ダム受注企業からの政治献金・パーティ券購入>
政治家氏名 /平成16年(2004)/平成17年(2005)/平成18年(2006)/平成19年(2007)/平成20年(2008)/5年間合計
●尾身幸次(自民党群馬一区支部)/740,000/1,040、000/670,000/1,220,000/620、000/4,290,000
●谷津義男(自民党群馬三区支部)/480,000/480,000/480,000/600,000/600,000/2,640,000
●福田康夫(自民党群馬四区支部)/0/200,000/0/0/0/200,000
●小渕優子(自民党群馬五区支部、自民党群馬県ふるさと振興支部)/2,320、000/2,440,000/2,290,000/2,500,000/2,260,000/11,810,000
●佐田玄一郎(自民党群馬比例第二支部、赤城倶楽部)/360,000/920,000/1,200,000/480,000/600,000/3,560,000
●中曽根弘文(自民党群馬参院第一支部)/1,490,000/1,240,000/1,440,000/1,440,000/1,360,000/6,970,000
●山本一太(自民党群馬参院第三支部)/1,200,000/900,000/1,000,000/1,000,000/800,000/4,900,000
●石関貴史(民主党群馬二区支部)/0/0/120,000/120,000/240,000
●自民党(国民政治協会)/64,314,600/56,948,000/75,738,000/76,620,000/68,100,000/341,720,600
●民主党/500,000/0/0/0/0/500,000
合計/71,404,800/64,188,000/82,818,000/83,980,000/74,460,000/378,830,600
※返金済みの献金も含む。尾身、谷津両氏は引退。04年は尾身氏は群馬比例第二支部、佐田氏は一区支部。
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■上記の献金リストの表を見ると、民主党の群馬県関係者の名前も見かけます。来年の参院選をにらんで、あろうことか、八ッ場ダムの推進派で、件の「地元住民」が後援会長だったこともある小寺弘之前群馬県知事を、幹部が比例代表の候補者として擁立すべく要請に2度も出向いた民主党の群馬県連なので、特に不思議ではありませんが、ズブズブに利権に染まった自民党系の政治家やその取り巻きの「地元住民」のみならず、民主党の議員までも懐柔させようとするダム建設の利権の根深さを思い知らされます。
【ひらく会情報部】