■平成20年8月3日午前5時50分頃、首都高速5号池袋線(下り)熊野町ジャンクション付近においてタンクローリーの横転炎上による火災事故が発生いたしました。この事故は首都高速道路として、かつてない大事故でした。首都高速道路株式会社では早期復旧に向け、昼夜兼行の作業を進めた結果2ヶ月半後の同年10月14日12時までに上下線とも全面開通しました。
その日、同社の佐々木克己代表取締役社長は、記者会見で、「8月3日の事故発生から全面開通に至る2ヶ月半、多くの方々にご迷惑をお掛けいたしましたが、このことを深くお詫び申し上げると共に、復旧に向けご協力いただきましたお客様、24時間の工事にご理解いただいた沿道の皆様、及び関係機関の皆様方に心より感謝とお礼を申し上げる次第であります。」と述べるとともに、「また、復旧工事費や本事故による通行料金の減収額については、今後精査の上、原因者に請求していく予定です。」と決意表明しました。
あれから、早くも15ヶ月近く経過していますが、首都高はまだ、原因者である多胡運輸や元請のホクブトランスポートに対して、請求をした形跡が見られません。さらに言えば、請求する気配も見えません。あと15カ月間請求しないと時効になる恐れがあります。
■同社のホームページに、平成21年12月22日に、第5期(平成22年3月期)中間決算が発表されました。会計期間は平成21年4月1日~平成21年9月30日です。損害が発生したのは、昨年度ですが、昨年度総決算では、黒字決算ですが、今回の中間決算となる半期報告書では、赤字決算となっています。昨年度の平成21年3月期の中間期連結実績は黒字決算ですが、今回の中間決算では、赤字です。首都高が公表した中間決算のポイントを見てみましょう。
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首都高速道路株式会社第5期(平成22年3月期)中間決算のポイント
(会計期間:平成21年4月1日~平成21年9月30日)
1.連結経営成績の概要
(単位:億円未満切捨て)
平成22年3月期中間期連結実績(A)/平成21年3月期中間期連結実績(B)/増減(A)-(B)
営業収益 1,266 / 1,298 /△32
料金収入等 1,207/ 1,237/ △29
道路資産完成高 38/ 43/ △5
その他(関連事業) 21/ 18/ 2
営業費用 1,298 / 1,291 / 6
内:道路資産賃借料 969/ 987/ △17
営業損(△)益 △32 / 7 /△39
経常損(△)益 △31 / 10 /△42
中間純損(△)益 △20 / 5 /△25
※端数処理の関係で、計が合わないことがあります。
☆営業収益は、高速道路事業において、交通量は111.9万台/日(前年同期比0.1%減、0.1万台/日減)と前年同期と同程度でしたが、景気低迷により大型車の交通量が減少したことに加え、経済対策等に伴う料金引き下げによる割引の拡充等に伴い割引のご利用が増加した結果、1,266億円(同2.4%減)となりました。
☆営業費用は、高速道路事業において、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構との「都道首都高速1号線等に関する協定」に基づく道路資産賃借料について、経済対策等に伴う料金引き下げにより同賃借料が減額されましたが、管理費用等を含めた全体では、6億円増の1,298億円(前年同期比0.4%増)となりました。
☆以上の結果、営業損失32億円、経常損失31億円、中間鈍損失20億円となりました。
2.平成22年3月期の連結業績見通し
(単位:億円)
通期連結見通し(A)/平成21年3月期実績(B)/増減(A)-(B)
営業収益 5,382 / 3,069 /2,312
料金収入等 2,400/ 2,469/ △69
道路資産完成高 2,901/ 435/ 2,465
その他(関連事業) 80/ 167/ △87
営業費用 5,368 / 3,029 /2,338
内:道路資産賃借料1,778/ 1,834/ △56
営業利益 13 / 40 /△27
経常利益 13 / 46 /△33
当期純利益 9 / 32 /△23
※端数処理の関係で、計が合わないことがあります。
営業収益は5,382億円、営業利益は13億円、経常利益は13億円、当期純利益は9億円となる見込みです。
・料金収入等については、前年度と比較して、景気低迷の影響や経済対策等に伴う料金引き下げによる割引の拡充等に伴い割引のご利用が増加することにより、減収となる見込みです。
・道路資産完成高については、来年3月に中央環状新宿線(3号渋谷線~4号新宿線間)の開通を予定していることなどに伴う機構への引渡しを計上しています。
・その他(関連事業)については、受託事業の工事完成高の減により、減収となる見込みです。
・営業費用は、機構との協定に基づく道路資産賃借料について、経済対策等に伴う料金引き下げにより同賃借料が減額されたこと及び変動貸付料制度により減額されることから、前年度より減少する見込みですが、機構へ引き渡す道路資産完成原価が増加することなどにより、前年度を上回る見込みです。
(参考)平成22年3月期の個別業績について
(単位:億円)
中間期個別実績/通期個別見通し/事業計画/前年度実績
〈高速道路事業〉
営業収益 1,245 / 5,301 / 5,610 / 2,904
料金収入等 1,206/ 2,400/ 2,584/ 2,468
道路資産完成高 38/ 2,901/ 3,026/ 435
営業費用 1,289 / 5,301 / 5,601 / 2,884
道路資産賃借料 969/ 1,778/ 1,939/ 1,834
道路資産完成原価 38/ 2,901/ 3,026/ 435
管理費 282/ 621/ 636/ 614
営業損(△)益 △44 / 0 / 9 / 20
〈関連事業〉
営業利益 1 / 2 / 2 / 5
〈全事業〉
営業損(△)益 △42 / 3 / 11 / 25
経常損(△)益 △43 / 2 / 1 / 24
当期純損(△)益 △27 / 1 / 1 / 19
※端数処理の関係で、計が合わないことがあります。
注)前述の通期連結見通し及び通期個別見通しに記載している数値は、現時点での情報により判断した見通しであり、多分に不確定な要素を含みます。実際の業績等は様々な要素により前述見通し数値と異なる場合があります。
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■中間決算のポイントで気になるのは、多胡運輸のタンクローリー横転炎上事故に関する記載が姿を消していることです。
平成22年3月期中間期では、「営業収益」が1,266億円(前年同期比2.4%減)となり、交通量111.9万台/日(前年同期比0.1%減、0.1万台/日減)でほぼ横ばいだったが、景気低迷で大型車の交通量が減少し、経済対策等に伴う料金引き下げによる割引利用増加の結果、1,266億円(同2.4%減)となった一方で、「営業費用」は、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構との協定に基づく道路資産賃借料が、料金引下げ対策で減額された結果、管理費用等を含めた全体で6億円増の1,298億円(前年同期比0.4%増)となったという記述内容です。
つまり、休日料金値下げなどの原資は、日本高速道路保有・債務返済機構からの賃貸料で賄ったというわけで、高速道路の営業収支には影響が少ないが、「管理費用等」を含めた全体で費用が半期で前年同期比6億円増えたという説明です。
■それでは、連結と個別の業績について、もう少し詳しい中間決算情報を見てみましょう。
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平成22年3月期 中間決算情報
平成21年12月22日
会社名:首都高速道路株式会社 上場取引所 非上場
URL:http://www.shutoko.jp
代表者:(役職名)代表取締役社長(氏名)佐々木克己
問合せ先責任者:(役職名)財務部長(氏名)国安博 TEL(03)3502-7311㈹
半期報告書提出予定日 平成21年12月22日
(百万円未満切捨て)
1.平成22年3月期中間期の連結業績(平成21年4月1日~平成21年9月30日)
(1) 連結経営成績 (%表示は対前年中間期増減率)
営業収益(百万円・%)/営業利益(百万円・%)/経常利益(百万円・%)/中間純利益(百万円・%)
21年9月中間期/126,635 △2.5/△3,229 -/△3,185 -/△2,049 -
20年9月中間期/129,881 △3.4/ 705 △87.4/1,041 △82.4/ 537 △83.5
1株当たり中間純利益( 円 銭)/潜在株式調整後1株当たり中間純利益( 円 銭)
21年9月中間期/ △75.89/ -
20年9月中間期/ 19.91/ -
(2)連結財政状態
総資産(百万円)/純資産(百万円)/自己資本比率(%)/1株当たり純資産( 円 銭)
21年9月中間期/ 549,659 / 31,946 / 5.7 / 1,162.94
21年3月期 / 548 883 / 33,944 / 6.1 / 1,238.83
(参考) 自己資本 21年9月中間期 31,399百万円 21年3月期 33,448百万円
2.平成22年3月期の連結業績予想(平成21年4月1日~平成22年3月31日)
(%表示は対前期増減率)
営業収益(百万円・%)/営業利益(百万円・%)/経常利益(百万円・%)/当期純利益( 円 銭)
通期/ 538,200 75.3 / 1,300 △67.9 / 1,300 △71.8 / 900 △72.3 / 33.33
3.その他
(1)期中における重要な子会社の異動(連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動) 無
(2)中間連結財務諸表作成に係る会計処理の原則・手続、表示方法等の変更(中間連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更に記載されるもの)
①会計基準等の改正に伴う変更 有
②①以外の変更 無
〔(注)詳細は、7ページ【定性的情報】5.その他をご覧ください。〕
(3)発行済株式数(普通株式)
①期末発行済株式数(自己株式を合む)
21年9月中間期 27,000,000株 21年3月期 27,000,000株
②期末自己株式数
21年9月中間期 一株 21年3月期 一株
③期中平均株式数(中間期)
21年9月中間期 27,000,000株 20年9月中間期 27,000,000株
(個別業績の概要)
1.平成22年3月期中間期の個別業績(平成21年4月1日~平成21年9月30日)
(1)個別経営成績 (%表示は対前期増減率)
営業収益(百万円・%)/営業利益(百万円・%)/経常利益(百万円・%)/中間純利益(百万円・%)
21年9月中間期 125,625 △2.6/△4,280 -/△4,301 -/△2,718 -
20年9月中間期 129,012 △3.4/ 224 △95.7/ 231 △95.5/ 68 △97.6
1株当たり中間純利益( 円 銭)
21年9月中間期 △100.68
20年9月中間期 2.53
(2)個別財政状態
総資産(百万円)/純資産(百万円)/自己資本比率(%)/1株当たり純資産( 円 銭)
21年9月中間期 540,273/ 28,263/ 5.2/1,046.78
21年3月期 540,894/ 30,981/ 5.7/1,147.47
(参考) 自己資本 21年9月期 28,263万円 21年3月期 30,981百万円
2.平成22年3月期の個別業績予想(平成21年4月1日~平成22年3月31日)
(%表示は対前期増減率)
営業収益(百万円・%)/営業利益(百万円・%)/経常利益(百万円・%)/当期純利益(百万円・%)/1株当たり純資産( 円 銭)
通期 536,200 75.7/ 300 △88.2/ 200 △92.0/ 100 △95.0/ 3.70
【注意事項】
前述の連結業績予想及び個別業績予想に記載している数値は、当社が現在入手している情報を基礎とした判断及び仮定に基づいており、判断や仮定に内在する不確実性及び今後の事業運営等による変動可能性に照らし、将来における当社の業績と異なる可能性があります。
なお、上記の不確実性及び変動可能性を有する要素は多数あり、次のようなものが含まれます。
・経済情勢の変動
・自然災害等の発生
・訴訟に関するリスク
以上の不確実性及び変動要素全般に関する詳細については、当社の有価証券報告書をご参照下さい。
【定性的情報】
1.経営成績に関する定性的情報
(1)当期の経営成績
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、世界金融危機と世界同時不況といった最悪期を乗り越え、輸出、生産においては持ち直しの動きが見られるようになったものの、企業収益は大幅に減少し、雇用隋勢は極めて厳しい状況となるなど、低迷基調で推移しました。
このような経済状況の下、当中間連結会計期間において、当社グループが管理する首都高速道路の利用交通量は、大型車は前年同期比13.5%減、普通車は1.4%増となり、全体としては前年同期とほぼ同じの204.8百万台(111.9万台/日)となっております。
また、高速道路事業以外の事業として、5箇所の都市計画駐車場等の駐車場事業、首都高速道路上の20箇所のパーキングエリアの運営及び管理等を展開してまいりました。
この結果、当中間連結会計期間の営業収益は、前年同期比2%減の126,635百万円となり、営業損失は3,229百万円(前年同斯は営業利益705百万円)、経常損失は3,185百万円(前年同期は経常利益1,041百万円)、法人税等を控除した中間純損失は2,049百万円(前年同期は中間純利益537百万円)となりました。事業の種類別セグメントごとの業績の概要は下記のとおりであります。
なお、セグメント別の売上高及び営業損益にはセグメント闇取引を含んでおります。
(2)主な事業セグメント別の状況
【高速道路事業】
①営業収益
当社グループは、首都高速道路のネットワーク整備の推進と営業路線の清掃・点検等の適正な管理を24時間365日体制で実施しており、営業路線延長は295.0kmとなっております。
料金所周辺での渋滞緩和やお客様のキャッシュレス化による利便性の向上等を図るため、従来からETCの普及に努めているところですが、「ETC宅配サービス」によるETC車載器の廉価販売や、曜日別時間帯別割引等を実施してまいりました。その結果、ETCの利用率は、平成21年9月の平均が86.5%となり、前年同期比で5.1%の増となっております。
また、お客様サービスの一層の向上のため、ホームページに設けたグリーンポストやお客様満足度調査等を通じて得られたお客様の要望や意見を各種改善に反映し、サービス向上に努めてまいりました。
さらに、お客様に、より安全・快適に首都高速道路をご利用いただくため、走行環境の改善やパーキングエリアのリニューアル等を行ってまいりました。
このような状況の中で、営業収益のうち、料金収入等は景気低迷により大型車の交通量が減少したことに加え、経済対策等に伴う料金引き下げによる割引の拡充等に伴い割引のご利用が増加した結果、前年同期比2%減の120,793百万円となりました。
高速道路の新設については、首都高速道路の最大の課題である渋滞を解消すべく、中央環状新宿線(3号渋谷線~4号新宿線間4.3km)の平成22年3月の開通、中央環状線の最終区間である中央環状品川線(3号渋谷線~湾岸線間9.4km)の平成25年度中の開通に向け事業推進に努めるなど、5路線27.5kmの整備を行ってまいりました。
また、高速道路の改築悟については、当中間連結会計期間は、地震災害時の安全強化のため支承・連結装置の耐震性向上対策等の防災安全対策を継続して行うとともに、舗装の打ち替え等営業中路線において必要となる構造物悟の更新を行ってまいりました。
営業収益のうち、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」といいます。)への債務引渡しに伴う道路資産完成高は前年同期比12%減の3,817百万円となりました。
以上の結果、営業収益は、前年同期比2%減の124,611百万円となりました。
②営業損失
平成18年3月31日に当社が機構と締結し、平成21年3月31日付けで一部変更しました「郵送首都高速1号線等に関する協定」(以下「協定」といいます。)に基づく機構への賃借料の支払いや管理費用の支出等により、営業費用は前年同期比0%増の128,263百万円となり、営業損失は3,651百万円(前年同期は営業利益364百万円)となりました。
なお、協定に基づき機構へ支払う賃借料の減算は実施しておりません。
(注)料金収入等は、営業収益から道路資産完成高を控除したものであり、前中間連結会計期間の料金収入等は、123,720百万円であります。
[駐車場事業]
①営業収益
都市計画駐車場及び高架下等駐車場において、長期安定的な定期顧客の獲得とお客様にご利用しやすい料金の設定等の取り組みを行いました。
この結果、営業収益は前年同期比1%減の1,385百万円となりました。
②営業利益
主に駐車場の管理費用の支出悟により、営業費用は前年同期比4%減の1,072百万円となり、営業利益は前年同期比9%増の312百万円となりました。
[受託事業]
①営業収益
東京都市計画道路環状第2号線と高速都心環状線及びハ重洲線との交差部の設計等をはじめ、国、地方公共団体悟の委託に基づく道路の新設、改築、維持、修繕悟を実施した結果、営業収益は前年同期比2,427%増の146百万円となりました。
②営業損失
営業費用は前年同期比380%増の147百万円となり、営業損失は1百万円(前年同期は営業損失24百万円)となりました。
[その他の事業]
①営業収益
休憩所等事業として、首都高速道路上の20箇所のパーキングエリアにおいて、お客様が気軽に立ち寄れる都市型パーキングエリアの実現を目指し、大師PAと平和島PAにはコンビニエンスストア、芝浦PAにはコンビニエンスストアとカフエ、また、南池袋PAでは自動販売機型コンビニエンスストアの誘致等各PAでリニューアル施策を行ってまいりました。
また、高架下賃貸施設の運営及び管理等を行ってまいりました。
この結果、営業収益は前年同期比35%増の623百万円となりました。
②営業利益
休憩所施設の管理費用の支出等により、営業費用は前年同期比36%増の516万円となり、営業利益は前年同期比32%増の106百万円となりました。
2.財政状態に関する定性的情報
総資産は、549,659百万円となり、前連結会計年度末に比べ775百万円増加となりました。主な増加は、建設中高速道路の進捗による仕掛道路資産33,711百万円、主な減少は、未収入金23,475百万円になります。
負債は、前連結会計年度末に比べ2,774百万円増加し、517,713百万円となりました。主な増加は、長期借入金の新規借入などによる25,474百万円、主な減少は、未払金の22,580百万円になります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ1,998百万円減少し、31,946百万円となりました。これは主に、中間純損失2,049百万円の計上による利益剰余金の減少になります。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の6.1%から5.7%となりました。
3.連結業績予想に関する定性的情報
平成22年3月期の通期業務見通しとしては、中央環状新宿線については、平成19年度に開通した4号新宿線~5号池袋線間に続き、3号渋谷線~4号新宿線間4.3kmの平成22年3月の開通による新宿線の全線開通に向け、万全の準備を進めてまいります。
慮言う金収入については、利用交通量が、1日当たり112万6千台(前年同期比1.0%増)と見込まれる一方で、景気低迷の影響により大型車の交通量が減少することにより、前年同期と比べて減収を見込んでおります。
また、駐車場事業等については、社会経済状況が厳しい中、お客様のご要望に合致した施策に努めてまいります。
このような状況の中で、当社グループの連結の営業収益としては、高速道路事業において料金収入等が2,400億円、道路資産完成高が2,901億円、高速道路事業以外の事業の収益80億円と合わせて、合計5,382億円を見込んでいます。この結果、経常利益は13億円、当期純利益として9億円を見込んでいます。
4.企業集団の状況
当社グループ(当社及び連結子会社15社)は、高速道路事業、駐車場事業、受託事業及びその他の事業の4部門に関係する事業を行っており、各事業における当社及び関係会社の位置付け等は、次のとおりであります。
(1)高速道路事業
高速道路事業においては、首都圏の1都3県(3政令指定都市を含む。)(注1)において、平成18年3月31日に当社が機構と締結した協定、道路整備特別措置法(昭和31年法律第7号)第3条の規定による許可及び図法第4条の規定に基づき、高速道路(注2)の新設、改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理等を行っており、また、図法第9条の規定に基づき、当該高速道路の道路管理者の権限の一部を代行しております。
当事業において、以下の業務については、当社から下記の連結子会社に委託しております。
料金収受業務:首都高トールサービス西東京㈱、首都高トールサービス東東京㈱、首都高トールサービス神奈川㈱
交通管理業務:首都高パトロール㈱、首都高カー・サポート㈱
維持修繕業務:首都高技術㈱、首都高メンテナンス西東京㈱、首都高メンテナンス東東京㈱、首都高メンテナンス神奈川㈱、首都高電気メンテナンス㈱、首都高ETCメンテナンス㈱、首都高機械メンテナンス㈱
(注)1.東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、横浜市、川崎市、さいたま市
2.高速道路株式会社法第2条第2項に規定する高速道路をいいます。
(2)駐車場事業 (略)
(3)受託事業 (略)
(4)その他の事業 (略)
5.その他 (略)
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■このように連結及び個別業績について詳しく記載した中間決算情報にも、多胡運輸タンクローリー横転炎上事故に関する影響は、何も記述がありません。
そこで、さらに詳しい半期報告書をチェックしてみます。これは60ページの報告書ですが、このうち6頁目の「3 対処すべき課題」と、7頁目の「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に注目してみましょう。
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3 【対処すべき課題】
この度、新たな中期経営計画として「中期経営計画2011」(計画期間:平成21年度~23年度)を策定しましたが。引き続き、「首都圏のひと・まち・くらしを安全・円滑な首都高速道路ネットワークで結び、豊かで快適な社会の創造に貢献する」という基本理念の更なる推進に取り組んでまいります。
[高速道路事業]
平成18年7月に策定した首都高渋滞対策アクションプログラムに基づき、ネットワーク整備やボトルネック対策等を着実に進めてまいります、
特に、ネットワーク整備の要となる中央環状新宿線・品川線については、平成19年度に開通した4号新宿線~5号池袋線に続き、3号渋谷線~4号新宿線間4.3㎞の平成22年3月開通による新宿線の全線開通と品川線(3号渋谷線~湾岸線間9.4㎞)の平成25年度中の開通に向け、事業推進に努めてまいります。
安全対策をさらに推進するための取り組みとして、ETC利用の増加に伴い利用環境が変化している料金所付近における「料金所総合安全対策」等を進めてまいります。
不正通行の撲滅に向け、不正通行監視設備による不正通行等車両の補足を強化し、不正通行者を警察へ通報するとともに、割増金を含めた通行料金の請求・回収の強化を図ってまいります。
構造物の老朽化への対応としては、アセットマネジメントの考え方を活用しながら、確実で効率的な点検・補修を実施し、道路構造物の予防保全を徹底してまいります。
なお、引き続き道路の適切な管理水準を維持しつつ、コスト管理を徹底します。また、子会社に対し、首都高グループとして経営方針の徹底を図ってまいります。
[高速道路事業以外の事業] (略)
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■6頁目の「対処すべき課題」には、多胡運輸ローリー横転炎上事故についての記載がなく、課題として認識されていないようです。では、7頁目を見てみましょう。
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7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
本項に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所感等の将来に関する事項は、半期報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性が内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意下さい。
(1)財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因について
①高速道路事業の特性について
高速道路事業については、高速道路株式会社法(平成16年法律第99号)及び機構法の規定により機構と平成18年3月31日付で締結した協定並びに特措法の規定による同日付事業許可に基づき、機構から道路資産を借受けた上、道路利用者より料金を収受、かかる料金収入から機構への賃借料及び当社が負担する管理費用の支払いに充てております。
かかる協定及び事業許可においては、高速道路の公共性に鑑み当社の収受する料金には当社の利潤を含めないことが前提とされております。なお、各会計年度においては、料金収入や管理費用等の実態と当初計画との乖離等により利益又は損失が生じる場合があり、かかる利益は、高速道路事業における将来の経済情勢の変動等による想定外の収入の減少や管理費の増大に備え、内部留保することとしております。
また、高速道路事業においては、交通量の季節的な変動により上半期が下半期よりも収入が大きく、他方、補修工事等の完成が下半期に多いことから管理費については下半期が上半期よりも大きくなる傾向にあります。
②機構による債務引受け等について
記述のとおり、当社は、特措法に基づき行う高速道路の新設、改築、修繕又は災害普及を事業の一つとしており、また、当社が行うべき新設、改善、修繕又は災害復旧の対象となる高速道路は、協定の定めによるところでありますが、機構は、機構法第15条第1項に従い、当社が新設、改築、修繕又は災害復旧を行った高速道路に係る道路資産が特措法第51条第2項ないし第4項の規定により機構に帰属する時において、機構法第14条第1項の認可おw受けた業務実施計画に定められた機構が当社から引き受ける新設、改築、修繕又は災害普及に要する費用に係る債務の限度額の範囲内で、当該高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に充てるために当社が負担した債務を引き受けることとされています。
当社と機構は、市半期分の債務引受けにつき借入金債務及び債権債務を原則として弁済期日が到来する順に当該四半期の翌四半期の最初の月の中旬までに一括して選定すること、債務引受けは重畳的債務引受けの方法によること等、債務引受けの実際の運用について確認しております。
なお、高速道路に係る道路資産が機構に帰属し、当該資産に対応する債務が機構に引き受けられた際には、かかる資産及び債務は当社の連結財務諸表ないし財務諸表に計上されないこととなりますが、当該債務について、当社は引き続き機構と連帯してその弁済の攻めを負うこととされており、かかる債務の履行に関する主たる取扱は機構が行うこととなります。
また、首都高速道路公団(以下「首都公団」といいます。)の民営化に伴い当社及び機構が承継した首都公団の債務の一部について、当社と機構との間に、連帯債務関係が生じております(日本道路公団等民営化関係法施行法(平成16年法律第102号)(以下「民営化関係法施行法」といいます。)第16条)。
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■高速道路の公共性により、首都高の料金には利潤が含まれておらず、利益が上がった場合には、管理費の増大に備えて内部留保されるとあります。
となると、多胡運輸による首都高炎上事故の修理代についても、首都高の料金収入から充当することができることになります。また、機構に支払う賃借料も、多胡運輸による首都高炎上事故の影響で料金収入が減少しても、その分、調整してもらえることになります。
次に、「(2)重要な会計方針及び見積もり」の項があります。ここで、首都高は次のように記しています。
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当社グループの中間連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。かかる中間連結財務諸表の作成に際しては、中間連結決算日における資産、負債及び中間連結警戒期間における収益、費用の金額並びに開示に影響を与える事項についての見積もりを行う必要があります。当該見積もりについては、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき合理的に判断を行い、継続して評価を行っておりますが、見積もり特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積もりと異なる場合があります。
当社グループの中間連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、後期「第5 経理の状況 1中間連結財務諸表等 (1)中間連結財務諸表 中間連結在見諸表作成のための基本となり重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の会計方針が、当社グループの中間連結財務諸表においては重要であると考えております。
①仕掛道路資産 (略)
②完成工事高の計上基準 (略)
③退職給付債務及び費用 (略)
④固定資産の減損 (略)
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■ここにも、多胡運輸ローリー炎上事故による損害対応について、一言も記述がありません。
最後に、「(3)経営成績の分析」の項があります。この「②営業利益(営業損失)」で、「等中間連結会計期間の利業費用は、合計で前年同期比0%増の129,864百万円となりました。高速道路事業については、協定に基づく機構への貸借料の支払いや管理費用の支出等により前年同期比0%増の128,263百万円となりました。…」と記されていますが、結局、45億円余と騒がれた多胡運輸による首都高炎上事故の損害金(修理費と減収分の合計)は、このまま請求されずに、機構に支払う賃借料を手加減してもらうことで、うやむやにされる可能性を感じるのは当会だけでしょうか。
もちろん、機構に支払う道路資産の賃借料の原資は、首都高の利用者からの料金収入です。多胡運輸の社長の実兄の多胡邦夫が、群馬銀行から51億円余りの公金をだましとっても、安中市長は、税金を原資に、まったく自主的に返済をしない多胡邦夫の代わりに、安中市土地開発公社の連帯保証人として、公金からせっせと多胡邦夫に代わって群馬銀行に103年ローンで返済しているのと、まったく同じ構図ということができます。
■今年を振り返ると、タゴ一族にとって、51億円余+45億円余=95億円余もの巨額な債務から解放された記念すべきエポックの年になったと、言えるのではないでしょうか。
一方、昨年のリーマン・ショックと、今年のドバイ・ショックに打ちのめされた民間の法人や個人は、重税にあえぎ、日々の生活に精一杯のまま、年越しを余儀なくされています。
なぜタゴ一族だけに、このように超法規的な優遇措置が適用されるのでしょうか。損害が巨額になると、加害者の立場のほうが強くなる場合があります。そのうえ、タゴ一族に天誅を加えることができるものがいないとなると、治外法権扱いになるようです。
タゴ一族には、日本の政治が抱える重大なブラックホールという後ろ盾があります。そうしたブラックホールに首都高が飲み込まれることなく、2010年こそ、群馬県西部にかかるこのモヤモヤが吹き払われることを祈りたいものです。
【ひらく会情報部】
その日、同社の佐々木克己代表取締役社長は、記者会見で、「8月3日の事故発生から全面開通に至る2ヶ月半、多くの方々にご迷惑をお掛けいたしましたが、このことを深くお詫び申し上げると共に、復旧に向けご協力いただきましたお客様、24時間の工事にご理解いただいた沿道の皆様、及び関係機関の皆様方に心より感謝とお礼を申し上げる次第であります。」と述べるとともに、「また、復旧工事費や本事故による通行料金の減収額については、今後精査の上、原因者に請求していく予定です。」と決意表明しました。
あれから、早くも15ヶ月近く経過していますが、首都高はまだ、原因者である多胡運輸や元請のホクブトランスポートに対して、請求をした形跡が見られません。さらに言えば、請求する気配も見えません。あと15カ月間請求しないと時効になる恐れがあります。
■同社のホームページに、平成21年12月22日に、第5期(平成22年3月期)中間決算が発表されました。会計期間は平成21年4月1日~平成21年9月30日です。損害が発生したのは、昨年度ですが、昨年度総決算では、黒字決算ですが、今回の中間決算となる半期報告書では、赤字決算となっています。昨年度の平成21年3月期の中間期連結実績は黒字決算ですが、今回の中間決算では、赤字です。首都高が公表した中間決算のポイントを見てみましょう。
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首都高速道路株式会社第5期(平成22年3月期)中間決算のポイント
(会計期間:平成21年4月1日~平成21年9月30日)
1.連結経営成績の概要
(単位:億円未満切捨て)
平成22年3月期中間期連結実績(A)/平成21年3月期中間期連結実績(B)/増減(A)-(B)
営業収益 1,266 / 1,298 /△32
料金収入等 1,207/ 1,237/ △29
道路資産完成高 38/ 43/ △5
その他(関連事業) 21/ 18/ 2
営業費用 1,298 / 1,291 / 6
内:道路資産賃借料 969/ 987/ △17
営業損(△)益 △32 / 7 /△39
経常損(△)益 △31 / 10 /△42
中間純損(△)益 △20 / 5 /△25
※端数処理の関係で、計が合わないことがあります。
☆営業収益は、高速道路事業において、交通量は111.9万台/日(前年同期比0.1%減、0.1万台/日減)と前年同期と同程度でしたが、景気低迷により大型車の交通量が減少したことに加え、経済対策等に伴う料金引き下げによる割引の拡充等に伴い割引のご利用が増加した結果、1,266億円(同2.4%減)となりました。
☆営業費用は、高速道路事業において、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構との「都道首都高速1号線等に関する協定」に基づく道路資産賃借料について、経済対策等に伴う料金引き下げにより同賃借料が減額されましたが、管理費用等を含めた全体では、6億円増の1,298億円(前年同期比0.4%増)となりました。
☆以上の結果、営業損失32億円、経常損失31億円、中間鈍損失20億円となりました。
2.平成22年3月期の連結業績見通し
(単位:億円)
通期連結見通し(A)/平成21年3月期実績(B)/増減(A)-(B)
営業収益 5,382 / 3,069 /2,312
料金収入等 2,400/ 2,469/ △69
道路資産完成高 2,901/ 435/ 2,465
その他(関連事業) 80/ 167/ △87
営業費用 5,368 / 3,029 /2,338
内:道路資産賃借料1,778/ 1,834/ △56
営業利益 13 / 40 /△27
経常利益 13 / 46 /△33
当期純利益 9 / 32 /△23
※端数処理の関係で、計が合わないことがあります。
営業収益は5,382億円、営業利益は13億円、経常利益は13億円、当期純利益は9億円となる見込みです。
・料金収入等については、前年度と比較して、景気低迷の影響や経済対策等に伴う料金引き下げによる割引の拡充等に伴い割引のご利用が増加することにより、減収となる見込みです。
・道路資産完成高については、来年3月に中央環状新宿線(3号渋谷線~4号新宿線間)の開通を予定していることなどに伴う機構への引渡しを計上しています。
・その他(関連事業)については、受託事業の工事完成高の減により、減収となる見込みです。
・営業費用は、機構との協定に基づく道路資産賃借料について、経済対策等に伴う料金引き下げにより同賃借料が減額されたこと及び変動貸付料制度により減額されることから、前年度より減少する見込みですが、機構へ引き渡す道路資産完成原価が増加することなどにより、前年度を上回る見込みです。
(参考)平成22年3月期の個別業績について
(単位:億円)
中間期個別実績/通期個別見通し/事業計画/前年度実績
〈高速道路事業〉
営業収益 1,245 / 5,301 / 5,610 / 2,904
料金収入等 1,206/ 2,400/ 2,584/ 2,468
道路資産完成高 38/ 2,901/ 3,026/ 435
営業費用 1,289 / 5,301 / 5,601 / 2,884
道路資産賃借料 969/ 1,778/ 1,939/ 1,834
道路資産完成原価 38/ 2,901/ 3,026/ 435
管理費 282/ 621/ 636/ 614
営業損(△)益 △44 / 0 / 9 / 20
〈関連事業〉
営業利益 1 / 2 / 2 / 5
〈全事業〉
営業損(△)益 △42 / 3 / 11 / 25
経常損(△)益 △43 / 2 / 1 / 24
当期純損(△)益 △27 / 1 / 1 / 19
※端数処理の関係で、計が合わないことがあります。
注)前述の通期連結見通し及び通期個別見通しに記載している数値は、現時点での情報により判断した見通しであり、多分に不確定な要素を含みます。実際の業績等は様々な要素により前述見通し数値と異なる場合があります。
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■中間決算のポイントで気になるのは、多胡運輸のタンクローリー横転炎上事故に関する記載が姿を消していることです。
平成22年3月期中間期では、「営業収益」が1,266億円(前年同期比2.4%減)となり、交通量111.9万台/日(前年同期比0.1%減、0.1万台/日減)でほぼ横ばいだったが、景気低迷で大型車の交通量が減少し、経済対策等に伴う料金引き下げによる割引利用増加の結果、1,266億円(同2.4%減)となった一方で、「営業費用」は、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構との協定に基づく道路資産賃借料が、料金引下げ対策で減額された結果、管理費用等を含めた全体で6億円増の1,298億円(前年同期比0.4%増)となったという記述内容です。
つまり、休日料金値下げなどの原資は、日本高速道路保有・債務返済機構からの賃貸料で賄ったというわけで、高速道路の営業収支には影響が少ないが、「管理費用等」を含めた全体で費用が半期で前年同期比6億円増えたという説明です。
■それでは、連結と個別の業績について、もう少し詳しい中間決算情報を見てみましょう。
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平成22年3月期 中間決算情報
平成21年12月22日
会社名:首都高速道路株式会社 上場取引所 非上場
URL:http://www.shutoko.jp
代表者:(役職名)代表取締役社長(氏名)佐々木克己
問合せ先責任者:(役職名)財務部長(氏名)国安博 TEL(03)3502-7311㈹
半期報告書提出予定日 平成21年12月22日
(百万円未満切捨て)
1.平成22年3月期中間期の連結業績(平成21年4月1日~平成21年9月30日)
(1) 連結経営成績 (%表示は対前年中間期増減率)
営業収益(百万円・%)/営業利益(百万円・%)/経常利益(百万円・%)/中間純利益(百万円・%)
21年9月中間期/126,635 △2.5/△3,229 -/△3,185 -/△2,049 -
20年9月中間期/129,881 △3.4/ 705 △87.4/1,041 △82.4/ 537 △83.5
1株当たり中間純利益( 円 銭)/潜在株式調整後1株当たり中間純利益( 円 銭)
21年9月中間期/ △75.89/ -
20年9月中間期/ 19.91/ -
(2)連結財政状態
総資産(百万円)/純資産(百万円)/自己資本比率(%)/1株当たり純資産( 円 銭)
21年9月中間期/ 549,659 / 31,946 / 5.7 / 1,162.94
21年3月期 / 548 883 / 33,944 / 6.1 / 1,238.83
(参考) 自己資本 21年9月中間期 31,399百万円 21年3月期 33,448百万円
2.平成22年3月期の連結業績予想(平成21年4月1日~平成22年3月31日)
(%表示は対前期増減率)
営業収益(百万円・%)/営業利益(百万円・%)/経常利益(百万円・%)/当期純利益( 円 銭)
通期/ 538,200 75.3 / 1,300 △67.9 / 1,300 △71.8 / 900 △72.3 / 33.33
3.その他
(1)期中における重要な子会社の異動(連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動) 無
(2)中間連結財務諸表作成に係る会計処理の原則・手続、表示方法等の変更(中間連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更に記載されるもの)
①会計基準等の改正に伴う変更 有
②①以外の変更 無
〔(注)詳細は、7ページ【定性的情報】5.その他をご覧ください。〕
(3)発行済株式数(普通株式)
①期末発行済株式数(自己株式を合む)
21年9月中間期 27,000,000株 21年3月期 27,000,000株
②期末自己株式数
21年9月中間期 一株 21年3月期 一株
③期中平均株式数(中間期)
21年9月中間期 27,000,000株 20年9月中間期 27,000,000株
(個別業績の概要)
1.平成22年3月期中間期の個別業績(平成21年4月1日~平成21年9月30日)
(1)個別経営成績 (%表示は対前期増減率)
営業収益(百万円・%)/営業利益(百万円・%)/経常利益(百万円・%)/中間純利益(百万円・%)
21年9月中間期 125,625 △2.6/△4,280 -/△4,301 -/△2,718 -
20年9月中間期 129,012 △3.4/ 224 △95.7/ 231 △95.5/ 68 △97.6
1株当たり中間純利益( 円 銭)
21年9月中間期 △100.68
20年9月中間期 2.53
(2)個別財政状態
総資産(百万円)/純資産(百万円)/自己資本比率(%)/1株当たり純資産( 円 銭)
21年9月中間期 540,273/ 28,263/ 5.2/1,046.78
21年3月期 540,894/ 30,981/ 5.7/1,147.47
(参考) 自己資本 21年9月期 28,263万円 21年3月期 30,981百万円
2.平成22年3月期の個別業績予想(平成21年4月1日~平成22年3月31日)
(%表示は対前期増減率)
営業収益(百万円・%)/営業利益(百万円・%)/経常利益(百万円・%)/当期純利益(百万円・%)/1株当たり純資産( 円 銭)
通期 536,200 75.7/ 300 △88.2/ 200 △92.0/ 100 △95.0/ 3.70
【注意事項】
前述の連結業績予想及び個別業績予想に記載している数値は、当社が現在入手している情報を基礎とした判断及び仮定に基づいており、判断や仮定に内在する不確実性及び今後の事業運営等による変動可能性に照らし、将来における当社の業績と異なる可能性があります。
なお、上記の不確実性及び変動可能性を有する要素は多数あり、次のようなものが含まれます。
・経済情勢の変動
・自然災害等の発生
・訴訟に関するリスク
以上の不確実性及び変動要素全般に関する詳細については、当社の有価証券報告書をご参照下さい。
【定性的情報】
1.経営成績に関する定性的情報
(1)当期の経営成績
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、世界金融危機と世界同時不況といった最悪期を乗り越え、輸出、生産においては持ち直しの動きが見られるようになったものの、企業収益は大幅に減少し、雇用隋勢は極めて厳しい状況となるなど、低迷基調で推移しました。
このような経済状況の下、当中間連結会計期間において、当社グループが管理する首都高速道路の利用交通量は、大型車は前年同期比13.5%減、普通車は1.4%増となり、全体としては前年同期とほぼ同じの204.8百万台(111.9万台/日)となっております。
また、高速道路事業以外の事業として、5箇所の都市計画駐車場等の駐車場事業、首都高速道路上の20箇所のパーキングエリアの運営及び管理等を展開してまいりました。
この結果、当中間連結会計期間の営業収益は、前年同期比2%減の126,635百万円となり、営業損失は3,229百万円(前年同斯は営業利益705百万円)、経常損失は3,185百万円(前年同期は経常利益1,041百万円)、法人税等を控除した中間純損失は2,049百万円(前年同期は中間純利益537百万円)となりました。事業の種類別セグメントごとの業績の概要は下記のとおりであります。
なお、セグメント別の売上高及び営業損益にはセグメント闇取引を含んでおります。
(2)主な事業セグメント別の状況
【高速道路事業】
①営業収益
当社グループは、首都高速道路のネットワーク整備の推進と営業路線の清掃・点検等の適正な管理を24時間365日体制で実施しており、営業路線延長は295.0kmとなっております。
料金所周辺での渋滞緩和やお客様のキャッシュレス化による利便性の向上等を図るため、従来からETCの普及に努めているところですが、「ETC宅配サービス」によるETC車載器の廉価販売や、曜日別時間帯別割引等を実施してまいりました。その結果、ETCの利用率は、平成21年9月の平均が86.5%となり、前年同期比で5.1%の増となっております。
また、お客様サービスの一層の向上のため、ホームページに設けたグリーンポストやお客様満足度調査等を通じて得られたお客様の要望や意見を各種改善に反映し、サービス向上に努めてまいりました。
さらに、お客様に、より安全・快適に首都高速道路をご利用いただくため、走行環境の改善やパーキングエリアのリニューアル等を行ってまいりました。
このような状況の中で、営業収益のうち、料金収入等は景気低迷により大型車の交通量が減少したことに加え、経済対策等に伴う料金引き下げによる割引の拡充等に伴い割引のご利用が増加した結果、前年同期比2%減の120,793百万円となりました。
高速道路の新設については、首都高速道路の最大の課題である渋滞を解消すべく、中央環状新宿線(3号渋谷線~4号新宿線間4.3km)の平成22年3月の開通、中央環状線の最終区間である中央環状品川線(3号渋谷線~湾岸線間9.4km)の平成25年度中の開通に向け事業推進に努めるなど、5路線27.5kmの整備を行ってまいりました。
また、高速道路の改築悟については、当中間連結会計期間は、地震災害時の安全強化のため支承・連結装置の耐震性向上対策等の防災安全対策を継続して行うとともに、舗装の打ち替え等営業中路線において必要となる構造物悟の更新を行ってまいりました。
営業収益のうち、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」といいます。)への債務引渡しに伴う道路資産完成高は前年同期比12%減の3,817百万円となりました。
以上の結果、営業収益は、前年同期比2%減の124,611百万円となりました。
②営業損失
平成18年3月31日に当社が機構と締結し、平成21年3月31日付けで一部変更しました「郵送首都高速1号線等に関する協定」(以下「協定」といいます。)に基づく機構への賃借料の支払いや管理費用の支出等により、営業費用は前年同期比0%増の128,263百万円となり、営業損失は3,651百万円(前年同期は営業利益364百万円)となりました。
なお、協定に基づき機構へ支払う賃借料の減算は実施しておりません。
(注)料金収入等は、営業収益から道路資産完成高を控除したものであり、前中間連結会計期間の料金収入等は、123,720百万円であります。
[駐車場事業]
①営業収益
都市計画駐車場及び高架下等駐車場において、長期安定的な定期顧客の獲得とお客様にご利用しやすい料金の設定等の取り組みを行いました。
この結果、営業収益は前年同期比1%減の1,385百万円となりました。
②営業利益
主に駐車場の管理費用の支出悟により、営業費用は前年同期比4%減の1,072百万円となり、営業利益は前年同期比9%増の312百万円となりました。
[受託事業]
①営業収益
東京都市計画道路環状第2号線と高速都心環状線及びハ重洲線との交差部の設計等をはじめ、国、地方公共団体悟の委託に基づく道路の新設、改築、維持、修繕悟を実施した結果、営業収益は前年同期比2,427%増の146百万円となりました。
②営業損失
営業費用は前年同期比380%増の147百万円となり、営業損失は1百万円(前年同期は営業損失24百万円)となりました。
[その他の事業]
①営業収益
休憩所等事業として、首都高速道路上の20箇所のパーキングエリアにおいて、お客様が気軽に立ち寄れる都市型パーキングエリアの実現を目指し、大師PAと平和島PAにはコンビニエンスストア、芝浦PAにはコンビニエンスストアとカフエ、また、南池袋PAでは自動販売機型コンビニエンスストアの誘致等各PAでリニューアル施策を行ってまいりました。
また、高架下賃貸施設の運営及び管理等を行ってまいりました。
この結果、営業収益は前年同期比35%増の623百万円となりました。
②営業利益
休憩所施設の管理費用の支出等により、営業費用は前年同期比36%増の516万円となり、営業利益は前年同期比32%増の106百万円となりました。
2.財政状態に関する定性的情報
総資産は、549,659百万円となり、前連結会計年度末に比べ775百万円増加となりました。主な増加は、建設中高速道路の進捗による仕掛道路資産33,711百万円、主な減少は、未収入金23,475百万円になります。
負債は、前連結会計年度末に比べ2,774百万円増加し、517,713百万円となりました。主な増加は、長期借入金の新規借入などによる25,474百万円、主な減少は、未払金の22,580百万円になります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ1,998百万円減少し、31,946百万円となりました。これは主に、中間純損失2,049百万円の計上による利益剰余金の減少になります。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の6.1%から5.7%となりました。
3.連結業績予想に関する定性的情報
平成22年3月期の通期業務見通しとしては、中央環状新宿線については、平成19年度に開通した4号新宿線~5号池袋線間に続き、3号渋谷線~4号新宿線間4.3kmの平成22年3月の開通による新宿線の全線開通に向け、万全の準備を進めてまいります。
慮言う金収入については、利用交通量が、1日当たり112万6千台(前年同期比1.0%増)と見込まれる一方で、景気低迷の影響により大型車の交通量が減少することにより、前年同期と比べて減収を見込んでおります。
また、駐車場事業等については、社会経済状況が厳しい中、お客様のご要望に合致した施策に努めてまいります。
このような状況の中で、当社グループの連結の営業収益としては、高速道路事業において料金収入等が2,400億円、道路資産完成高が2,901億円、高速道路事業以外の事業の収益80億円と合わせて、合計5,382億円を見込んでいます。この結果、経常利益は13億円、当期純利益として9億円を見込んでいます。
4.企業集団の状況
当社グループ(当社及び連結子会社15社)は、高速道路事業、駐車場事業、受託事業及びその他の事業の4部門に関係する事業を行っており、各事業における当社及び関係会社の位置付け等は、次のとおりであります。
(1)高速道路事業
高速道路事業においては、首都圏の1都3県(3政令指定都市を含む。)(注1)において、平成18年3月31日に当社が機構と締結した協定、道路整備特別措置法(昭和31年法律第7号)第3条の規定による許可及び図法第4条の規定に基づき、高速道路(注2)の新設、改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理等を行っており、また、図法第9条の規定に基づき、当該高速道路の道路管理者の権限の一部を代行しております。
当事業において、以下の業務については、当社から下記の連結子会社に委託しております。
料金収受業務:首都高トールサービス西東京㈱、首都高トールサービス東東京㈱、首都高トールサービス神奈川㈱
交通管理業務:首都高パトロール㈱、首都高カー・サポート㈱
維持修繕業務:首都高技術㈱、首都高メンテナンス西東京㈱、首都高メンテナンス東東京㈱、首都高メンテナンス神奈川㈱、首都高電気メンテナンス㈱、首都高ETCメンテナンス㈱、首都高機械メンテナンス㈱
(注)1.東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、横浜市、川崎市、さいたま市
2.高速道路株式会社法第2条第2項に規定する高速道路をいいます。
(2)駐車場事業 (略)
(3)受託事業 (略)
(4)その他の事業 (略)
5.その他 (略)
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■このように連結及び個別業績について詳しく記載した中間決算情報にも、多胡運輸タンクローリー横転炎上事故に関する影響は、何も記述がありません。
そこで、さらに詳しい半期報告書をチェックしてみます。これは60ページの報告書ですが、このうち6頁目の「3 対処すべき課題」と、7頁目の「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に注目してみましょう。
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3 【対処すべき課題】
この度、新たな中期経営計画として「中期経営計画2011」(計画期間:平成21年度~23年度)を策定しましたが。引き続き、「首都圏のひと・まち・くらしを安全・円滑な首都高速道路ネットワークで結び、豊かで快適な社会の創造に貢献する」という基本理念の更なる推進に取り組んでまいります。
[高速道路事業]
平成18年7月に策定した首都高渋滞対策アクションプログラムに基づき、ネットワーク整備やボトルネック対策等を着実に進めてまいります、
特に、ネットワーク整備の要となる中央環状新宿線・品川線については、平成19年度に開通した4号新宿線~5号池袋線に続き、3号渋谷線~4号新宿線間4.3㎞の平成22年3月開通による新宿線の全線開通と品川線(3号渋谷線~湾岸線間9.4㎞)の平成25年度中の開通に向け、事業推進に努めてまいります。
安全対策をさらに推進するための取り組みとして、ETC利用の増加に伴い利用環境が変化している料金所付近における「料金所総合安全対策」等を進めてまいります。
不正通行の撲滅に向け、不正通行監視設備による不正通行等車両の補足を強化し、不正通行者を警察へ通報するとともに、割増金を含めた通行料金の請求・回収の強化を図ってまいります。
構造物の老朽化への対応としては、アセットマネジメントの考え方を活用しながら、確実で効率的な点検・補修を実施し、道路構造物の予防保全を徹底してまいります。
なお、引き続き道路の適切な管理水準を維持しつつ、コスト管理を徹底します。また、子会社に対し、首都高グループとして経営方針の徹底を図ってまいります。
[高速道路事業以外の事業] (略)
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■6頁目の「対処すべき課題」には、多胡運輸ローリー横転炎上事故についての記載がなく、課題として認識されていないようです。では、7頁目を見てみましょう。
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7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
本項に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所感等の将来に関する事項は、半期報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性が内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意下さい。
(1)財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因について
①高速道路事業の特性について
高速道路事業については、高速道路株式会社法(平成16年法律第99号)及び機構法の規定により機構と平成18年3月31日付で締結した協定並びに特措法の規定による同日付事業許可に基づき、機構から道路資産を借受けた上、道路利用者より料金を収受、かかる料金収入から機構への賃借料及び当社が負担する管理費用の支払いに充てております。
かかる協定及び事業許可においては、高速道路の公共性に鑑み当社の収受する料金には当社の利潤を含めないことが前提とされております。なお、各会計年度においては、料金収入や管理費用等の実態と当初計画との乖離等により利益又は損失が生じる場合があり、かかる利益は、高速道路事業における将来の経済情勢の変動等による想定外の収入の減少や管理費の増大に備え、内部留保することとしております。
また、高速道路事業においては、交通量の季節的な変動により上半期が下半期よりも収入が大きく、他方、補修工事等の完成が下半期に多いことから管理費については下半期が上半期よりも大きくなる傾向にあります。
②機構による債務引受け等について
記述のとおり、当社は、特措法に基づき行う高速道路の新設、改築、修繕又は災害普及を事業の一つとしており、また、当社が行うべき新設、改善、修繕又は災害復旧の対象となる高速道路は、協定の定めによるところでありますが、機構は、機構法第15条第1項に従い、当社が新設、改築、修繕又は災害復旧を行った高速道路に係る道路資産が特措法第51条第2項ないし第4項の規定により機構に帰属する時において、機構法第14条第1項の認可おw受けた業務実施計画に定められた機構が当社から引き受ける新設、改築、修繕又は災害普及に要する費用に係る債務の限度額の範囲内で、当該高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に充てるために当社が負担した債務を引き受けることとされています。
当社と機構は、市半期分の債務引受けにつき借入金債務及び債権債務を原則として弁済期日が到来する順に当該四半期の翌四半期の最初の月の中旬までに一括して選定すること、債務引受けは重畳的債務引受けの方法によること等、債務引受けの実際の運用について確認しております。
なお、高速道路に係る道路資産が機構に帰属し、当該資産に対応する債務が機構に引き受けられた際には、かかる資産及び債務は当社の連結財務諸表ないし財務諸表に計上されないこととなりますが、当該債務について、当社は引き続き機構と連帯してその弁済の攻めを負うこととされており、かかる債務の履行に関する主たる取扱は機構が行うこととなります。
また、首都高速道路公団(以下「首都公団」といいます。)の民営化に伴い当社及び機構が承継した首都公団の債務の一部について、当社と機構との間に、連帯債務関係が生じております(日本道路公団等民営化関係法施行法(平成16年法律第102号)(以下「民営化関係法施行法」といいます。)第16条)。
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■高速道路の公共性により、首都高の料金には利潤が含まれておらず、利益が上がった場合には、管理費の増大に備えて内部留保されるとあります。
となると、多胡運輸による首都高炎上事故の修理代についても、首都高の料金収入から充当することができることになります。また、機構に支払う賃借料も、多胡運輸による首都高炎上事故の影響で料金収入が減少しても、その分、調整してもらえることになります。
次に、「(2)重要な会計方針及び見積もり」の項があります。ここで、首都高は次のように記しています。
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当社グループの中間連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。かかる中間連結財務諸表の作成に際しては、中間連結決算日における資産、負債及び中間連結警戒期間における収益、費用の金額並びに開示に影響を与える事項についての見積もりを行う必要があります。当該見積もりについては、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき合理的に判断を行い、継続して評価を行っておりますが、見積もり特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積もりと異なる場合があります。
当社グループの中間連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、後期「第5 経理の状況 1中間連結財務諸表等 (1)中間連結財務諸表 中間連結在見諸表作成のための基本となり重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の会計方針が、当社グループの中間連結財務諸表においては重要であると考えております。
①仕掛道路資産 (略)
②完成工事高の計上基準 (略)
③退職給付債務及び費用 (略)
④固定資産の減損 (略)
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■ここにも、多胡運輸ローリー炎上事故による損害対応について、一言も記述がありません。
最後に、「(3)経営成績の分析」の項があります。この「②営業利益(営業損失)」で、「等中間連結会計期間の利業費用は、合計で前年同期比0%増の129,864百万円となりました。高速道路事業については、協定に基づく機構への貸借料の支払いや管理費用の支出等により前年同期比0%増の128,263百万円となりました。…」と記されていますが、結局、45億円余と騒がれた多胡運輸による首都高炎上事故の損害金(修理費と減収分の合計)は、このまま請求されずに、機構に支払う賃借料を手加減してもらうことで、うやむやにされる可能性を感じるのは当会だけでしょうか。
もちろん、機構に支払う道路資産の賃借料の原資は、首都高の利用者からの料金収入です。多胡運輸の社長の実兄の多胡邦夫が、群馬銀行から51億円余りの公金をだましとっても、安中市長は、税金を原資に、まったく自主的に返済をしない多胡邦夫の代わりに、安中市土地開発公社の連帯保証人として、公金からせっせと多胡邦夫に代わって群馬銀行に103年ローンで返済しているのと、まったく同じ構図ということができます。
■今年を振り返ると、タゴ一族にとって、51億円余+45億円余=95億円余もの巨額な債務から解放された記念すべきエポックの年になったと、言えるのではないでしょうか。
一方、昨年のリーマン・ショックと、今年のドバイ・ショックに打ちのめされた民間の法人や個人は、重税にあえぎ、日々の生活に精一杯のまま、年越しを余儀なくされています。
なぜタゴ一族だけに、このように超法規的な優遇措置が適用されるのでしょうか。損害が巨額になると、加害者の立場のほうが強くなる場合があります。そのうえ、タゴ一族に天誅を加えることができるものがいないとなると、治外法権扱いになるようです。
タゴ一族には、日本の政治が抱える重大なブラックホールという後ろ盾があります。そうしたブラックホールに首都高が飲み込まれることなく、2010年こそ、群馬県西部にかかるこのモヤモヤが吹き払われることを祈りたいものです。
【ひらく会情報部】