■桐生市の市議会議員の「放射能汚染地域に住む人の血って、ほしいですか」というツイッターでの呟きが物議をかもしています。どうやら6月20日の桐生市議会6月定例会の本会議で、市議17人が連名で提出した除名動議が可決される見通しだということです。
**********スポニチ2012年6月20日 07:07
女性市議除名へ ツイッターで「放射能汚染地域に住む人の血、ほしいですか」
群馬県桐生市議会(定数22)は20日の本会議で、インターネットの短文投稿サイト「ツイッター」に市役所前の献血車の写真とともに「放射能汚染地域に住む人の血って、ほしいですか」などと投稿した庭山由紀市議(43)の除名動議を採決する。
市議17人が連名で提出しており、可決の見通し。
市議会事務局によると、庭山市議は2期目の無所属。5月25日の投稿後、多数の抗議や苦情が議会などに寄せられ、6月10日に除名を求める懲罰動議が提出された。
庭山市議は各派代表者会議で「桐生市は汚染地域で、住民は内部被ばくしている。訂正も謝罪もしない」などと話した。
桐生市は、自然界からの被ばくを除く追加線量が年間1ミリシーベルト以上の地域がある「汚染状況重点調査地域」に指定されている。
**********
■住民の意見を代表する桐生市議会としては、圧倒的多数決で庭山市議を村八分にする動きがどうにも止まらないという状況のようです。筆者は庭山市議とは面識がありませんが、念のため、同市議のツイッターhttp://twitter.com/#!/niwayamayukiと問題とされる記事http://yfrog.com/nx41iyfjを確認してみました。また、同市議のブログhttp://niwayamayuki.cocolog-nifty.com/も拝見しました。
筆者が同市議の記事を拝見したところ、なぜ、こんなにも反発を受けるのかが理解できました。日本の、それも保守色の強い群馬県の地方都市で、このような発言をすると、必ず抑圧しようという力がかかるからです。おそらく、大都市圏であれば、これほど問題にされないはずです。
とくに同市議のブログで平成24年6月19日付の群馬県の大澤正明知事あての「がれき受け入れ中止要請書及び公開質問状」などは、よくまとまっており、ぜひ知事からの回答を知りたいところです。
■今回は、「放射能汚染地域に住む人の血って、ほしいですか」というツイッター記事が波紋を呼んでいますが、問題なのは、内部被曝をした人たちの献血について、ガイドラインが全く示されていないことです。
献血といえば、筆者はかつて社会貢献の一環として献血協力を自分自身に課して、50回以上献血に勤しみ、日本赤十字群馬支部から表彰してもらったことがあります。ところが、筆者は1998年8月から2000年4月までサウジアラビアで暮らし、2000年5月から2002年7月までスペインで暮らしていた為、それ以降、献血をしたくても出来ない身体とされてしまいました。生涯100回の献血を目指していた筆者にとって、極めて残念でなりません。
ときどき、駅前で献血車を見かけ、「輸血用血液が足りませーん。献血をお願いしまーす」と呼びかけられると、大変さびしく感じます。あるとき、もしかしたら献血ができるようになったかもしれない、と、テントの下の献血窓口で献血希望を口にしたところ、アンケート用紙を渡されました。もしかして、もう、あの質問項目はなくなったかもしれない、と思いつつ、アンケート項目をよく見ると「1980年以降のヨーロッパの国々の海外滞在(渡航)歴・海外居住歴」というのがあり、断念しました。
日赤によると、「アイルランド、イタリア、オランダ、サウジアラビア、スペイン、ドイツ、フランス、ベルギー、ポルトガルに、昭和55年(1980年)から平成16年(2004年)までに通算6ヵ月以上の滞在(居住)歴のある方」は献血できないことになっているからです。
この理由については、日赤のホームページhttp://www.jrc.or.jp/donation/refrain/detail/detail09.htmlに次のとおり詳しく述べられています。
**********
■変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)について 近年、英国を中心に発生している変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)については、輸血による伝播に関して未知の部分が多い一方、牛海綿状脳症(BSE)との関連も強く指摘されていることから、安全が確認されるまでの間、BSEが発生している下記の欧州諸国に滞在(居住)された方の献血をご遠慮いただいています。
(1) 英国に昭和55年(1980年)から平成8年(1996年)までに通算1ヵ月(31日)以上の滞在歴のある方。
(2)英国に平成9年(1997年)から平成16年(2004年)までに通算6ヵ月以上の滞在(居住)歴のある方。(通算6ヵ月の計算には(1)(3)(4)の滞在(居住)歴も含みます。)
(3)アイルランド、イタリア、オランダ、サウジアラビア、スペイン、ドイツ、フランス、ベルギー、ポルトガルに、昭和55年(1980年)から平成16年(2004年)までに通算6ヵ月以上の滞在(居住)歴のある方。(通算6ヵ月の計算には(1)(2)(4)の滞在(居住)歴も含みます。)
(4)スイスに、昭和55年(1980年)から今日までに通算6ヵ月以上の滞在(居住)歴がある方。(通算6ヵ月の計算には(1)(2)(3)の滞在(居住)歴も含みます。)
(5)オーストリア、ギリシャ、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ルクセンブルグに、昭和55年(1980年)から平成16年(2004年)までに通算5年以上の滞在(居住)歴のある方。(通算5年の計算には(1)(2)(3)(4)(6)の滞在(居住)歴も含みます。)
(6) アイスランド、アルバニア、アンドラ、クロアチア、サンマリノ、スロバキア、スロベニア、セルビア、チェコ、ノルウェー、バチカン、ハンガリー、ブルガリア、ポーランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア、マルタ、モナコ、モンテネグロ、リヒテンシュタイン、ルーマニアに昭和55年(1980年)から今日までに通算5年以上の滞在(居住)歴がある方。(通算5年の計算には(1)(2)(3)(4)(5)の滞在(居住)歴も含みます。)
**********
■新潟県赤十字血液センターによれば、「狂牛病(変異型クロイツフェルト・ヤコブ病=vCJD)に関する献血の基準は、“1980(昭和55)年以降、英国、アイルランド、スイス、スペイン、ドイツ、フランス、ポルトガルに通算6ヶ月以上の滞在歴を有する人からは採血しない”となっており、現時点では、輸血でvCJDが感染したという事実はないが、動物実験等からは、血液によるvCJD伝播の危険性も完全には否定できないので、vCJD伝播の機序が明らかとなり輸血の安全性が確認されるまで、予防的措置としてこの基準が使用されている。従って、将来研究が進み、安全性が確認された場合には、再び献血できるようになる可能性はあると思う」ということです。
http://www.asyura.com/sora/bd14/msg/840.html
この論理によれば、「直ちに危険はないものの、狂牛病に係った牛を食する環境にあった人たちは、輸血による感染の危険性も完全には否定できないので、献血は遠慮戴く。あるいは献血禁止」ということになります。献血という善意の行為であれ、他者への影響を及ぼすリスクが完全に否定できない限り、その善意は否定されるべきである、というひじょうに明解な論理であり、これまで誰もそれに異論を唱えていないところをみると、全員がこの論理を納得して受け入れていることになります。
筆者も、献血を通じて社会貢献の一助を担いたいと考えていましたが、他者への影響を慮り、最近では献血車の前を通りすぎても、「もうしわけない」という気持ちは薄れてきました。
■今回の桐生市の庭山市議の発信した、内部被曝が否定できない人たちの善意の献血について、警告を発したことは、特段問題とすべきことではないと筆者は考えています。
むしろ、この警告を真摯に受け止めて、政府や自治体、そして日本赤十字は、医療研究機関等の協力を得て、国民の放射線の内部被曝の実態をきちんと調査し、福島原発事故由来の体外被曝はもとより、その後問題となっているセシウム等の放射性物質を含んだ食材を体内に摂取した場合の体内被曝と、それによる血液への影響についても、真剣に検討する必要があると思います。
広島、長崎の原爆投下による被爆の影響を調べている放射能影響研究所でも、放射線による被爆者の子どもたちへの遺伝子的な影響について調べる為に、被爆者の子どもたちの血液細胞の保存を行い、今後、数十年間を見据えた調査が必要であるという見解をとっています(本件記事のあとの放射能影響研究所のQ&A参照)。
■1980年代に英国で大発生した狂牛病(BSE)は、当初英国特有の牛の病気だと思われていましたが、やがて、その原因がBSEに感染した牛由来の肉骨粉を飼料として牛が食べたことによるものであることがわかってきました。
海を隔てたスペインでも、最初はまさか自国で狂牛病が出るとは思っていませんでしたが、2000年に最初の狂牛病の発症が見られると、次々に各地で感染牛が報告され、社会的な大問題となりました。当時の現地報道では、英国での感染状況と肉骨粉使用禁止措置後の感染牛の頭数の変遷を参考に、スペインにおける狂牛病感染牛は今後10年に亘り、トータル500頭以上に上るだろうと報じていました。実際に、その後のスペインでの感染牛の状況はそれを上回る状況になっているようです(本件記事のあとの横浜市衛生研究所のデータ参照)。
日本でも2001年9月22日にアジアで初めて、感染牛が1頭発見されて以来、現在までに36頭の感染牛が確認されています(厚労省のホームページhttp://www.mhlw.go.jp/topics/0103/tp0308-1.html#22q2参照)。
3頭の感染牛が摂取した当該代用乳には、原料として肉骨粉は使用されていませんでしたが、BSE発生国であるオランダから輸入された粉末油脂(動物性油脂をカゼイン等の乳たん白と混合し粉状にしたもの)が使用されていたため、代用乳を作っていた高崎市の科飼研に立入り検査が入ったことを記憶しているかたもいると思います。
■このように、海外からの狂牛病の伝播により人間の狂牛病といわれる「異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)」の蔓延というバイオハザードのリスクに対して、今もなお、日赤が献血制限を課しているのに、なぜ、自国の東電福島第一原発事故による国民の外部被曝、そして飲食物の汚染等による内部被曝がもたらしている放射能ハザードに対して、狂牛病と同様なリスク評価をして、献血の基準を設定し、対象者への献血規制を行なおうとしないのか、まことに不思議でなりません。
その観点からすれば、桐生市議のツイッターでの警告は、傾聴に値すると考えられます。「善意の献血者に対する冒涜だ」などという、テンパーな批判さえたくさん見受けられますが、まず批判すべきは、政府であり自治体であり、そして原因者の東電であり、献血基準を設定しようとしない厚労省や日赤なのではないでしょうか。
■こうした感情的な村八分的バッシングは、きちんと主張できる議員を排除し、議会からまともな討論の機会を排除して、シャンシャンシャンで行政の執行部のいうことを鵜呑みにする議会をますます助長することになります。
それを食い止めるのは有権者次第ですが、今回、同市議を除名することについて、桐生市電気設備工事会社、新田みどり農協、桐生市農業委員会、みどり市農業委員会、群馬県農協中央会、桐生市区長連絡協議会などからいろいろと要請書や要望書が出されていますが、批判の矛先を取り違えており、これでは、食の安全や医療の安全は確保されません。要請書や要望書は、政府や自治体、東電や日赤宛に提出されるべきものです。
【ひらく会事務局】
※参考資料
【横浜市衛生研究所のHPから抜粋】
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/madcow1.html
牛海綿状脳症(BSE)と(新)変異型クロイツフェルト-ヤコブ病について
いわゆる狂牛病 ( Mad - Cow Disease ) は俗称で、正式な名称は、牛海綿状脳症( bovine spongiform encephalopathy : BSE )と言います。牛海綿状脳症は、牛の進行性の神経系統の疾患で、伝達因子によって感染します。この伝達因子は、細菌でもウイルスでもない、異常なプリオン蛋白であるとされています。
2004年末までで、牛海綿状脳症の報告の累計数は、英国環境・食品・農事省 ( defra ) の統計によれば、全世界で189,158頭、その内、英国が184109頭(97.3%)、その他の国の合計が5049頭(2.7%)となっています。その他の国の中では、アイルランド1455頭、フランス945頭、ポルトガル916頭、スペイン502頭、スイス455頭、ドイツ363頭などが多いです。日本は14頭でした。これまでの累計報告の大部分は英国からのものでしたが、年間報告については英国からの報告の占める割合は近年低下して来ていて、英国環境・食品・農事省(defra)の統計によれば、2004年には、全世界で792頭に対して英国321頭(40.5%)でした。2004年については、OIE ( the Office International Des Epizooties : world organization for animal health : 国際獣疫事務局 )の統計によれば、英国に次いで、スペイン131頭、アイルランド126頭、ポルトガル92頭、ドイツ59頭、フランス54頭などが多く、日本は5頭でした。
英国における牛海綿状脳症の流行のピークは、1993年の1月で一週間に約1000頭の牛海綿状脳症の発生が見られました。英国では、当初、牛海綿状脳症に汚染した牛がエサの一部として子牛に与えられた結果、ますます多くの牛が牛海綿状脳症に感染していったと考えられています。
2001年9月22日には、アジアで初めて、日本の牛が1頭、牛海綿状脳症と確認されています。OIE(国際獣疫事務局)によれば、日本における牛海綿状脳症(BSE)の報告は、2001年3頭、2002年2頭、2003年4頭、2004年5頭であり、2004年末までの累計で14頭となっています。
【公益財団法人 放射能影響研究所のホームページから抜粋】
Q7:
被爆者から生まれた子供(被爆二世)にも放射線の影響があるのでしょうか?
A7:
放射線が被爆者の子供にどのような影響をもたらすかは、被爆後早くから懸念された問題の一つでした。遺伝的影響を検出するための膨大な努力が1940年代後半から開始され、現在も続けられていますが、これまでに調べられた限りでは遺伝的な影響は見いだされていません。しかし、これまでの調査の中には放射線の遺伝的影響を検出するのに適していないものもあったので、このことは必ずしも影響がないことを意味しているわけではありません。
分子生物学における最近の進歩により、遺伝子(DNA)レベルでの遺伝的影響の検出が可能となってきました。そこで放影研では、遺伝的影響の調査のために血液細胞の保存を行っています。
被爆者の子供の死亡およびがん発生に関する追跡調査も継続して行われています。また、成人になって発症する生活習慣病について、親の放射線被曝の影響が見られるかどうかを明らかにするために、2002年から2006年にかけて被爆者の子供の臨床健康診断調査が初めて行われました。これまでのところ、成人期における疾患に放射線に関係する過剰例数は見られていませんが、この調査集団はまだ比較的若いので、結論を出すには更に数十年間の調査が必要であると思われます。
**********スポニチ2012年6月20日 07:07
女性市議除名へ ツイッターで「放射能汚染地域に住む人の血、ほしいですか」
群馬県桐生市議会(定数22)は20日の本会議で、インターネットの短文投稿サイト「ツイッター」に市役所前の献血車の写真とともに「放射能汚染地域に住む人の血って、ほしいですか」などと投稿した庭山由紀市議(43)の除名動議を採決する。
市議17人が連名で提出しており、可決の見通し。
市議会事務局によると、庭山市議は2期目の無所属。5月25日の投稿後、多数の抗議や苦情が議会などに寄せられ、6月10日に除名を求める懲罰動議が提出された。
庭山市議は各派代表者会議で「桐生市は汚染地域で、住民は内部被ばくしている。訂正も謝罪もしない」などと話した。
桐生市は、自然界からの被ばくを除く追加線量が年間1ミリシーベルト以上の地域がある「汚染状況重点調査地域」に指定されている。
**********
■住民の意見を代表する桐生市議会としては、圧倒的多数決で庭山市議を村八分にする動きがどうにも止まらないという状況のようです。筆者は庭山市議とは面識がありませんが、念のため、同市議のツイッターhttp://twitter.com/#!/niwayamayukiと問題とされる記事http://yfrog.com/nx41iyfjを確認してみました。また、同市議のブログhttp://niwayamayuki.cocolog-nifty.com/も拝見しました。
筆者が同市議の記事を拝見したところ、なぜ、こんなにも反発を受けるのかが理解できました。日本の、それも保守色の強い群馬県の地方都市で、このような発言をすると、必ず抑圧しようという力がかかるからです。おそらく、大都市圏であれば、これほど問題にされないはずです。
とくに同市議のブログで平成24年6月19日付の群馬県の大澤正明知事あての「がれき受け入れ中止要請書及び公開質問状」などは、よくまとまっており、ぜひ知事からの回答を知りたいところです。
■今回は、「放射能汚染地域に住む人の血って、ほしいですか」というツイッター記事が波紋を呼んでいますが、問題なのは、内部被曝をした人たちの献血について、ガイドラインが全く示されていないことです。
献血といえば、筆者はかつて社会貢献の一環として献血協力を自分自身に課して、50回以上献血に勤しみ、日本赤十字群馬支部から表彰してもらったことがあります。ところが、筆者は1998年8月から2000年4月までサウジアラビアで暮らし、2000年5月から2002年7月までスペインで暮らしていた為、それ以降、献血をしたくても出来ない身体とされてしまいました。生涯100回の献血を目指していた筆者にとって、極めて残念でなりません。
ときどき、駅前で献血車を見かけ、「輸血用血液が足りませーん。献血をお願いしまーす」と呼びかけられると、大変さびしく感じます。あるとき、もしかしたら献血ができるようになったかもしれない、と、テントの下の献血窓口で献血希望を口にしたところ、アンケート用紙を渡されました。もしかして、もう、あの質問項目はなくなったかもしれない、と思いつつ、アンケート項目をよく見ると「1980年以降のヨーロッパの国々の海外滞在(渡航)歴・海外居住歴」というのがあり、断念しました。
日赤によると、「アイルランド、イタリア、オランダ、サウジアラビア、スペイン、ドイツ、フランス、ベルギー、ポルトガルに、昭和55年(1980年)から平成16年(2004年)までに通算6ヵ月以上の滞在(居住)歴のある方」は献血できないことになっているからです。
この理由については、日赤のホームページhttp://www.jrc.or.jp/donation/refrain/detail/detail09.htmlに次のとおり詳しく述べられています。
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■変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)について 近年、英国を中心に発生している変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)については、輸血による伝播に関して未知の部分が多い一方、牛海綿状脳症(BSE)との関連も強く指摘されていることから、安全が確認されるまでの間、BSEが発生している下記の欧州諸国に滞在(居住)された方の献血をご遠慮いただいています。
(1) 英国に昭和55年(1980年)から平成8年(1996年)までに通算1ヵ月(31日)以上の滞在歴のある方。
(2)英国に平成9年(1997年)から平成16年(2004年)までに通算6ヵ月以上の滞在(居住)歴のある方。(通算6ヵ月の計算には(1)(3)(4)の滞在(居住)歴も含みます。)
(3)アイルランド、イタリア、オランダ、サウジアラビア、スペイン、ドイツ、フランス、ベルギー、ポルトガルに、昭和55年(1980年)から平成16年(2004年)までに通算6ヵ月以上の滞在(居住)歴のある方。(通算6ヵ月の計算には(1)(2)(4)の滞在(居住)歴も含みます。)
(4)スイスに、昭和55年(1980年)から今日までに通算6ヵ月以上の滞在(居住)歴がある方。(通算6ヵ月の計算には(1)(2)(3)の滞在(居住)歴も含みます。)
(5)オーストリア、ギリシャ、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ルクセンブルグに、昭和55年(1980年)から平成16年(2004年)までに通算5年以上の滞在(居住)歴のある方。(通算5年の計算には(1)(2)(3)(4)(6)の滞在(居住)歴も含みます。)
(6) アイスランド、アルバニア、アンドラ、クロアチア、サンマリノ、スロバキア、スロベニア、セルビア、チェコ、ノルウェー、バチカン、ハンガリー、ブルガリア、ポーランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア、マルタ、モナコ、モンテネグロ、リヒテンシュタイン、ルーマニアに昭和55年(1980年)から今日までに通算5年以上の滞在(居住)歴がある方。(通算5年の計算には(1)(2)(3)(4)(5)の滞在(居住)歴も含みます。)
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■新潟県赤十字血液センターによれば、「狂牛病(変異型クロイツフェルト・ヤコブ病=vCJD)に関する献血の基準は、“1980(昭和55)年以降、英国、アイルランド、スイス、スペイン、ドイツ、フランス、ポルトガルに通算6ヶ月以上の滞在歴を有する人からは採血しない”となっており、現時点では、輸血でvCJDが感染したという事実はないが、動物実験等からは、血液によるvCJD伝播の危険性も完全には否定できないので、vCJD伝播の機序が明らかとなり輸血の安全性が確認されるまで、予防的措置としてこの基準が使用されている。従って、将来研究が進み、安全性が確認された場合には、再び献血できるようになる可能性はあると思う」ということです。
http://www.asyura.com/sora/bd14/msg/840.html
この論理によれば、「直ちに危険はないものの、狂牛病に係った牛を食する環境にあった人たちは、輸血による感染の危険性も完全には否定できないので、献血は遠慮戴く。あるいは献血禁止」ということになります。献血という善意の行為であれ、他者への影響を及ぼすリスクが完全に否定できない限り、その善意は否定されるべきである、というひじょうに明解な論理であり、これまで誰もそれに異論を唱えていないところをみると、全員がこの論理を納得して受け入れていることになります。
筆者も、献血を通じて社会貢献の一助を担いたいと考えていましたが、他者への影響を慮り、最近では献血車の前を通りすぎても、「もうしわけない」という気持ちは薄れてきました。
■今回の桐生市の庭山市議の発信した、内部被曝が否定できない人たちの善意の献血について、警告を発したことは、特段問題とすべきことではないと筆者は考えています。
むしろ、この警告を真摯に受け止めて、政府や自治体、そして日本赤十字は、医療研究機関等の協力を得て、国民の放射線の内部被曝の実態をきちんと調査し、福島原発事故由来の体外被曝はもとより、その後問題となっているセシウム等の放射性物質を含んだ食材を体内に摂取した場合の体内被曝と、それによる血液への影響についても、真剣に検討する必要があると思います。
広島、長崎の原爆投下による被爆の影響を調べている放射能影響研究所でも、放射線による被爆者の子どもたちへの遺伝子的な影響について調べる為に、被爆者の子どもたちの血液細胞の保存を行い、今後、数十年間を見据えた調査が必要であるという見解をとっています(本件記事のあとの放射能影響研究所のQ&A参照)。
■1980年代に英国で大発生した狂牛病(BSE)は、当初英国特有の牛の病気だと思われていましたが、やがて、その原因がBSEに感染した牛由来の肉骨粉を飼料として牛が食べたことによるものであることがわかってきました。
海を隔てたスペインでも、最初はまさか自国で狂牛病が出るとは思っていませんでしたが、2000年に最初の狂牛病の発症が見られると、次々に各地で感染牛が報告され、社会的な大問題となりました。当時の現地報道では、英国での感染状況と肉骨粉使用禁止措置後の感染牛の頭数の変遷を参考に、スペインにおける狂牛病感染牛は今後10年に亘り、トータル500頭以上に上るだろうと報じていました。実際に、その後のスペインでの感染牛の状況はそれを上回る状況になっているようです(本件記事のあとの横浜市衛生研究所のデータ参照)。
日本でも2001年9月22日にアジアで初めて、感染牛が1頭発見されて以来、現在までに36頭の感染牛が確認されています(厚労省のホームページhttp://www.mhlw.go.jp/topics/0103/tp0308-1.html#22q2参照)。
3頭の感染牛が摂取した当該代用乳には、原料として肉骨粉は使用されていませんでしたが、BSE発生国であるオランダから輸入された粉末油脂(動物性油脂をカゼイン等の乳たん白と混合し粉状にしたもの)が使用されていたため、代用乳を作っていた高崎市の科飼研に立入り検査が入ったことを記憶しているかたもいると思います。
■このように、海外からの狂牛病の伝播により人間の狂牛病といわれる「異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)」の蔓延というバイオハザードのリスクに対して、今もなお、日赤が献血制限を課しているのに、なぜ、自国の東電福島第一原発事故による国民の外部被曝、そして飲食物の汚染等による内部被曝がもたらしている放射能ハザードに対して、狂牛病と同様なリスク評価をして、献血の基準を設定し、対象者への献血規制を行なおうとしないのか、まことに不思議でなりません。
その観点からすれば、桐生市議のツイッターでの警告は、傾聴に値すると考えられます。「善意の献血者に対する冒涜だ」などという、テンパーな批判さえたくさん見受けられますが、まず批判すべきは、政府であり自治体であり、そして原因者の東電であり、献血基準を設定しようとしない厚労省や日赤なのではないでしょうか。
■こうした感情的な村八分的バッシングは、きちんと主張できる議員を排除し、議会からまともな討論の機会を排除して、シャンシャンシャンで行政の執行部のいうことを鵜呑みにする議会をますます助長することになります。
それを食い止めるのは有権者次第ですが、今回、同市議を除名することについて、桐生市電気設備工事会社、新田みどり農協、桐生市農業委員会、みどり市農業委員会、群馬県農協中央会、桐生市区長連絡協議会などからいろいろと要請書や要望書が出されていますが、批判の矛先を取り違えており、これでは、食の安全や医療の安全は確保されません。要請書や要望書は、政府や自治体、東電や日赤宛に提出されるべきものです。
【ひらく会事務局】
※参考資料
【横浜市衛生研究所のHPから抜粋】
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/madcow1.html
牛海綿状脳症(BSE)と(新)変異型クロイツフェルト-ヤコブ病について
いわゆる狂牛病 ( Mad - Cow Disease ) は俗称で、正式な名称は、牛海綿状脳症( bovine spongiform encephalopathy : BSE )と言います。牛海綿状脳症は、牛の進行性の神経系統の疾患で、伝達因子によって感染します。この伝達因子は、細菌でもウイルスでもない、異常なプリオン蛋白であるとされています。
2004年末までで、牛海綿状脳症の報告の累計数は、英国環境・食品・農事省 ( defra ) の統計によれば、全世界で189,158頭、その内、英国が184109頭(97.3%)、その他の国の合計が5049頭(2.7%)となっています。その他の国の中では、アイルランド1455頭、フランス945頭、ポルトガル916頭、スペイン502頭、スイス455頭、ドイツ363頭などが多いです。日本は14頭でした。これまでの累計報告の大部分は英国からのものでしたが、年間報告については英国からの報告の占める割合は近年低下して来ていて、英国環境・食品・農事省(defra)の統計によれば、2004年には、全世界で792頭に対して英国321頭(40.5%)でした。2004年については、OIE ( the Office International Des Epizooties : world organization for animal health : 国際獣疫事務局 )の統計によれば、英国に次いで、スペイン131頭、アイルランド126頭、ポルトガル92頭、ドイツ59頭、フランス54頭などが多く、日本は5頭でした。
英国における牛海綿状脳症の流行のピークは、1993年の1月で一週間に約1000頭の牛海綿状脳症の発生が見られました。英国では、当初、牛海綿状脳症に汚染した牛がエサの一部として子牛に与えられた結果、ますます多くの牛が牛海綿状脳症に感染していったと考えられています。
2001年9月22日には、アジアで初めて、日本の牛が1頭、牛海綿状脳症と確認されています。OIE(国際獣疫事務局)によれば、日本における牛海綿状脳症(BSE)の報告は、2001年3頭、2002年2頭、2003年4頭、2004年5頭であり、2004年末までの累計で14頭となっています。
【公益財団法人 放射能影響研究所のホームページから抜粋】
Q7:
被爆者から生まれた子供(被爆二世)にも放射線の影響があるのでしょうか?
A7:
放射線が被爆者の子供にどのような影響をもたらすかは、被爆後早くから懸念された問題の一つでした。遺伝的影響を検出するための膨大な努力が1940年代後半から開始され、現在も続けられていますが、これまでに調べられた限りでは遺伝的な影響は見いだされていません。しかし、これまでの調査の中には放射線の遺伝的影響を検出するのに適していないものもあったので、このことは必ずしも影響がないことを意味しているわけではありません。
分子生物学における最近の進歩により、遺伝子(DNA)レベルでの遺伝的影響の検出が可能となってきました。そこで放影研では、遺伝的影響の調査のために血液細胞の保存を行っています。
被爆者の子供の死亡およびがん発生に関する追跡調査も継続して行われています。また、成人になって発症する生活習慣病について、親の放射線被曝の影響が見られるかどうかを明らかにするために、2002年から2006年にかけて被爆者の子供の臨床健康診断調査が初めて行われました。これまでのところ、成人期における疾患に放射線に関係する過剰例数は見られていませんが、この調査集団はまだ比較的若いので、結論を出すには更に数十年間の調査が必要であると思われます。