市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

NTT子会社が下秋間カントリーの隣接地に計画する県下最大のメガソーラーにも関心の薄い安中市

2012-08-07 02:13:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■平成24年6月14日に新聞報道で、NTTの100%子会社のNTTファシリティーズが、安中市のゴルフ場隣接地に、3500キロワット規模の発電を行う計画を進めていることが発表されました。

下秋間カントリークラブ入口。

 報道によれば、「太陽光発電システムの設計や構築・運用をしてきたNTTの子会社「NTTファシリティーズ」が、発電施設を建設、売電する。まず、13年1月までに千葉県佐倉市、広島県尾道市、群馬県安中市、山梨県北杜市(3カ所)の4市計6カ所でメガソーラーを稼働させ、合計発電能力は約1万キロワットになる。14年度に30カ所以上に増やし、これらを合わせた発電能力は6万キロワット以上を見込む。総投資額は約150億円」ということで、安中市での3500キロワット規模は、太陽光や風力など再生可能エネルギーで発電した電気の全量買い取りを電力会社に義務づける、固定価格買い取り制度が始まった平成24年7月1日、ソフトバンク子会社のSBエナジーが群馬県の榛東村上野原で発電を始めた2400キロワット出力の大規模太陽光発電所(メガソーラー)「ソフトバンク榛東ソーラーパーク」や、太田市が同日稼動を開始させた自治体単独で国内初となる出力1500キロワットのメガソーラー「おおた太陽光発電所」よりも、はるかに規模が多くなっています。

 当会では、さっそく安中市に対して情報開示請求を行い、詳細を調査しようとしましたが、結局、安中市には、具体的な情報が何もないことが判明しました。情報開示請求で公開されたのは、6月定例市議会で、市側が議会の全員協議会の場において市議らに説明用に提示した、NTTファシリティーズの安中市内におけるメガソーラー計画を報じた平成24年6月14日の新聞スクラップ2件と、今年2月9日付の岡田市長の政府や政党代表、県知事や県議会議長、連合会長ら宛ての意見書だけでした。

**********上毛新聞2012年6月14日(木)
安中にメガソーラー1000世帯分発電へ NTT
全国6か所 発電事業に参入
 「NTTファシリティーズ」(東京)が、来月から来年1月にかけて、安中市を含む全国6カ所に大規模太陽光発電所(メガソーラー)を設置し、発電事業に乗り出すことが6月13日分かった。同社が進める安中市のメガソーラー施設は、市内ゴルフ場に隣接する民有地に計画されており、出力3500キロワットの施設を建設する。発電量は、一般家庭約千世帯分に相当し、来年1月の運転開始を目指す。
★出力3500キロワット、1000世帯分
 事業を行うNTTファシリティーズはNTTの100%子会社。建築や電力事業を手掛けており、1997年から、メガソーラーの企画、設計、運用を全国900カ所以上の施設で手掛けている。
 安中市の計画は、現在、地権者と土地賃貸契約の交渉中の段階。NTTファシリティーズは2年ほど前から、全国で適地を探しており、安中市を選んだ理由として、同社広報室は「日照時間や晴天率、土地の状態や、送電線が近くにあることなどを考慮した」と説明している。
 安中市内では、このほかにもメガソーラー事業計画が検討されており、岡田義弘市長は「メガソーラー事業の進出を市としても歓迎している。設置企業が、進出しやすい環境づくりに向けて、今後も全力を挙げて国に働き掛けていきたい」としている。
 安中市では、ことし2月、(1)設置場所の農地転用手続きの簡略化(2)設置場所の固定資産税評価を雑種地並みとする(3)設置法人の法人税などの税軽減-を求める「メガソーラー設置拡大、推進に係わる意見書」を国に提出している。
**********日経2012年6月14日
NTTが太陽光発電 3年で20か所 6万キロワット、単独で最大級
 NTTは太陽光発電事業に参入する。グループの遊休地などを利用して2014年度までにメガソーラー(大規模太陽光発電所)を20か所程度稼働させる。総発電能力は6万キロワット以上で、単独企業としては国内最大級。再生可能エネルギーの電気を電力会社が全量買い取る制度が7月に始まる。異業種から大手企業の歳入が相次ぎ、再生エネ普及に弾みがつきそうだ。
 子会社のNTTファシリティーズが発電事業に乗り出す。同社は太陽光発電システムの設計・施工などエンジニアリング事業で国内トップ。まず今夏から来年1月にかけて、千葉県佐倉市や山梨県北杜市など6か所で発電所を順次稼働させる。合計の発電能力は約1万1000キロワットになる。
 さらに14年度までに少なくとも合計20か所程度まで増やす計画。総投資額は約150億円を見込む。メガソーラーは雨天や夜間は発電しないが、6万キロワットの発電能力は一般家庭約2万世帯が消費する電気を賄う発電量に相当。再生エネの買い取り条件を決める政府の算定委員会は太陽光発電の電気を1キロワット時あたり42円で20年間買い取る案を提示している。この場合、NTTの売電収入は年間20数億円となり、投資を6~7年で回収できる計算だ。
 NTTはNTTファシリティーズを通じて東京ガスや大阪ガスと新電力(特定規模電気事業者、PPS)最大手エネットに共同出資し、電力の小売りにも進出している。
**********


メガソーラー候補地の臨時駐車場。

■しかし、岡田市長は、今年元旦の地元北野殿公会堂での新年の挨拶の中でも、華々しくメガソーラー計画をぶち上げ、同2月16日の地元岩野谷公民館での地区別懇談会の質疑応答でも、日刊スポーツゴルフ場跡地の利用問題について地元の水境地区の住民からの質問に対して、「あのう、まあ、日刊スポーツのゴルフ場予定地ですけども、市が買取りっていうのは、あのう現段階では無理かなあ、という気がするんですね。で、まあ、今後どうなるかわかりませんけども、漏れ聞くところによると、日本の大手が、その、メガソーラーの、開発の予定地に研究しているっていうのを聞いております。ですから、そういう、クリーンエネルギーの、基地にですね、あのう、できるように、行政としても、できることは、そういう、段階に入ればですね。行政として、しっかりと、クリーンエネルギーの態勢が取れるように、努力はしてみます。そして、それに関連ですけど、市に、クリーンエネルギーの、あの、そういう、誘致を、決まりました。はい。もう2年ぐらいで、あのう、稼働できる、と思います。」と明言していました。
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/747.html#readmore 

■そして、4ヵ月後に冒頭の新聞発表になったわけですが、NTTファシリティーズがてっきり日刊スポーツゴルフ場跡地に計画しているのだと思っていたところ、実は市内の別のゴルフ場であることが分かりました。

 ソフトバンクにしてもNTTにしても、なぜ携帯通信業者がメガソーラーに進出するのか、共通した背景がそこにはあるのでしょうが、ソフトバンクの子会社のSBエネジー社が全国に複数拠点、合計200MW以上の規模で具体的な建設計画を打ち出したのと同様に、NTT子会社のNTTファシリティーズ社も、2014年度までに約150億円を投じ、全国約30カ所に発電所を建設し、発電能力は合計60MW以上になる計画を打ち出しています。

 また、KDDIも、平成24年7月31日に、京セラやIHIなど出資会社6社と新会社「鹿児島メガソーラー発電」(前田辰巳社長、資本金約43億円)を設立し、鹿児島市内で、一箇所の発電能力としては国内最大級の出力70MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)を事業を行うと発表しています。

■「お客様ととともに高めあい、つながりあい、価値想像する」を行動指針に掲げるNTTファシリティーズ社は、1992年12月1日から営業を開始し、資本金124億円、平成23年4月1日現在の社員数は5500名です。売上高は2010年度が2506億円、経常利益が79億円、総資産1436億円、純資産が557億円で、規模はNTT本体に比べると小さいですが、民間企業としては東邦亜鉛の2.5倍の売上の大企業です。

 メガソーラーについて同社は、「次世代を支える太陽光発電システム構築ソリューション」として捉え、「太陽光発電システムの企画・提案から構築・運用までを一元的に管理するシステムインテグレーターとして、企業・自治愛での太陽光発電システムの導入をサポートしています」と強調しています。

 同社のCSR報告書によれば、同社はこれまでに、全国約770箇所、30MW以上の導入実績があり、「基本コンセプト」→「設置場所基本調査」→「設計」→「施工」→「保守・運用」まで一貫してシステムインテグレーターとして取り組む姿勢を打ち出しています。

■岡田市長は、今年2月の時点で既にNTTファシリティーズが市内のゴルフ場跡地にメガソーラーの設置計画があることを情報入手していたようです。そこで、つい、口を滑らせたわけですが、安中市としては、群馬県最大のこのメガソーラー計画には何も関与していないことが分かりました。すなわち、岡田市長が直接企業対話のなかで、個人的に仕入れた情報に過ぎず、メガソーラーなど自然エネルギーに対して安中市としては、組織的な方針として全く検討していないことが判明したのでした。

 実際に、安中市の昨年からのメガソーラーに関する対応を見ると、平成23年10月20日に群馬県企画部企画課長からの「大規模太陽光発電候補地の募集について」と題する通知に対して、市環境推進課は「候補地がないため提案なしとしたい」として、同11月11日までに回答しませんでした。

 次に、平成23年11月8日付の群馬県企画部企画課長からの「大規模な太陽光発電事業におけるマッチングの開催について」と題する同11月18日予定の第1回マッチチング会議の案内通知に対しては、職員を派遣せず欠席としました。

 その後、平成23年11月22日付の群馬県企画部企画課長からの「群馬県企画会議新エネルギー研究会(メガソーラー視察)の開催について」と題する通知で、同12月22日(火)13:15~16:00まで、東電の「エコ暮らし未来館」に併設されている浮島太陽光発電所(神奈川県川崎市浮島)への視察について案内状が市環境推進課に届きましたが、これも欠席としました。

 翌年、平成24年2月29日付で群馬県企画課長から「第2回大規模な発電事業マッチング会の開催について」と題する通知で、同3月22日(木)予定の会議に、市環境推進課からは「欠席することとしたい」と回答しました。

 一方、安中市の農林課から2名が第2回マッチング会に出席しました。この時のプレゼンでは、事業者側として国際航業、オリックス㈱、㈲エコワールドが参加しました。「KW当たりの整備コストは?」との質問に対して事業者から「35万円くらい。事業に際しては採算性が重要」とのコメントがありました。

■国際航業では、宮崎ソーラーウェイとしてリニア実験線3.9kmに出力1MWの太陽光発電所を2011年3月に竣工、館林ソーラーパークとして自社節電対策用に455kWの太陽光発電所を平成23年9月に竣工しています。

 オリックス㈱事業投資本部事業開発部の資料では、パネル1kW 当たりの発電電力量は、関東地方で群馬県が最も大きく全国平均より8%上回ることが分かります。ちなみに、日本国内で最大は高知県(13%)で、山梨県(12%)、静岡県(11%)、宮崎県(9%)と続きます。

 ㈲エコワールドの中村紀雄社長(商社電力部門出身)作成のレジメによると、同社は2002年設立の小規模な商社・コンサルタントで、エンジニアリング会社は都度専門会社と提携し、太陽光モジュールは中国、台湾、カナダ製で、PCS制御装置は日本、ドイツ等、架台は中国、ドイツ製で、1kW当たりの調達コストは20数万円だとしています。

 平成24年3月9日に群馬県企画課科学技術振興室から安中市環境推進課をはじめ県内市町村の担当者宛に「第2回マッチング会開催にあたり、候補地の提案があった」としてリストがメールで送信されてきました。この合計23か所の候補地リストのなかに、「安中市/山林・宅地/1ha/建物無し/都市計画区域内未線引き区域/民地100%/送電線直下」という候補地があり、市環境推進課から県企画課科学技術振興室に確認したところ、「民間からの提案」であることが判明しました。

 その後も、平成24年6月14日付で群馬県企画部企画課長から第3回マッチング会開催に向けて、新たな候補地の提案が、7月20日締切で通知されました。安中市は、平成24年3月22日の第2回マッチング会議にはじめて農林課の職員2名を派遣しましたが、平成24年8月予定の第3回マッチング会には派遣しない模様です。なにしろ市長が企業対話で勝手に情報を聞き、それを市民の前で思わせぶりにしゃべっているだけですから、市としての方針も計画もないのです。

■一方、日刊スポーツゴルフ場跡地を管理する日刊スポーツ興産(東京都築地)に確認したところ、メガソーラーの話は社内でも検討したことがあるが、今のところ、ゴルフ場計画地に仮登記の農地が一部にあるため、この解除手続がネックになっていて、ゴルフ場以外の用途には使えない状態になっています。

 となると、NTTファシリティーズが計画しているゴルフ場隣接地とは一体どこでしょうか。関係者によると、下秋間カントリーゴルフ場のイベント開催時の臨時駐車場だった広大な空き地がメガソーラーの設置場所として計画されているのだそうです。

 しかし、まだ地権者との協議はまとまっていないということで、本当に来年1月から運転開始できるのかどうかは、疑問符です。

 ITTファシリティーズでは、安中市を選定した理由として「日照時間や晴天率、土地の状態や送電線が近くにあること」を挙げていますが、実際には同社の沖田章喜前社長(平成24年6月15日の株主総会で取締役相談役となり、後任に筒井清志現社長が就任)がよく下秋間カントリーにゴルフに来ていたため、たまたま広大な臨時駐車場のあることを聞きつけ、メガソーラーの設置を思いついたのが実態のようです。


クラブハウス。客はほとんど居ない。

【ひらく会情報部】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする