■原発再稼動や消費税引き上げが世間の注目を浴びている隙に、政治家たちは、情報公開法を骨抜きにする「秘密保全法」や地方自治法で定めた政務調査費の定義を骨抜きにする「改正地方自治法」の成立に向けて突き進んでいます。
このうち、後者については、地方議会の会派や議員に支給される政務調査費の使い道を野放しにする地方自治法「改正」案が、来週半ばには参議院本会議で成立しようとしています。このため、8月25~26日に青森県弘前市で行なわれた市民オンブズマン全国大会で、「地方自治法の政務調査費条項の改悪に反対する決議」が満場位置で採択されました。
■これを踏まえて、市民オンブズマン群馬でも、この悪法を食い止める為に、次の宣言を行なうことにしています。
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地方自治法の政務調査費条項の改悪に反対する宣言
1 平成24年8月10日、地方自治法100条14項・16項(地方議会の政務調査費についての根拠規定)を改悪する地方自治法「改正」法案が衆議院で可決された。同法案は「政務調査費」を「政務活動費」と改称し、交付の目的について同法100条14項に「その他の活動」の6文字を付加して「議員の調査研究その他の活動に資するため」としている。この改悪案は平成24年8月7日になって、民主党・自民党・公明党・「生活」に所属する6名の議員が、突如、地方自治法の改正案に対する修正案として協同提出したものであり、国民的な議論が全くなされないまま、即日、衆議院総務委員会において、共産党と社民党を除く賛成多数でこの修正案が可決され、衆議院本会議で可決されるに至った。
2 しかし、地方議会の会派、議員の第二の給与と化している政務調査費の乱脈ぶりに対し、私たちオンブズマンは全国各地で次々に住民訴訟を起こしてきた。提起された住民訴訟は全国で70件を超え、そのうち47件の判決で、支出の一部が違法と認定されている。そして、それらの訴訟の争点は、いずれも、当該支出が、地方自治法が定める「議員の調査研究に資する」支出にあたるか否かを厳しく問うものである。議員や会派の調査研究に資するものではないことを理由に、多くの政務調査費が自治体に返還されている。うち6件では、違法とされた支出金額が1000万円を超えてすらいる。
3 ところが修正条項は、「政務調査費」という名称を「政務活動費」と変更だけでなく、交付の目的に「その他の活動」を加えることで、これまでは違法とされてきた、およそ議員の調査研究と関係のない使い方をも合法化できる余地を、議員に広範に与えることになる。したがって、同法案は、政務調査費を再び野放しにし、議員の第二給与に逆戻りさせる驚くべき悪法に他ならない。
4 今日、わが国の財政は、国家においても自治体においても危機的な状況にあり、国民生活に不可欠な分野の財源すら削られている状況にある。そのような財政状況にもかかわらず、地方議員に対する公金支出の規律をゆるめることは、財政秩序のうえからも国民に対する信義のうえからも許されるべきではない。
5 このことについて、平成24年8月26日に第19回全国市民オンブズマン弘前大会で満場一致で決議されたことを踏まえて、私たち市民オンブズマン群馬は、衆議院において議論らしい議論もないまま、修正法案が可決されたことを強く批判するとともに、これを廃案とするためにあらゆる努力を払うことをここに宣言する。
平成24年8月27日
市民オンブズマン群馬 代 表 小川 賢
事務局長 鈴木 庸
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■現在の政務調査費は、議員の調査研究活動費として無税扱いとされて、これは議員の調査研究活動に必要な経費に限定されていますが、これを「政務活動費」と読み替えて、さらに「その他の活動」にも使えるようにしようとするのが今回の「改正」法案です。現在の「政務調査」というくくりでも、およそ政務とは無関係な支出が行なわれているにもかかわらず、「政務活動」というふうに意味を曖昧にしたうえに、さらに「その他の活動」が加わることで、無税で支給される第二の議員給与といわれる「政務調査費」の使い道が、それこそ野放しになります。
この「改正」法案が成立すると、その具体的な内容は、各自治体が条例で決めて実施されることになりますが、もはや、国の法律でタガが緩められたことから、その使い途は、地方議会の会派や議員のサジ加減で、どうにでもなるでしょう。
夜な夜なバーに通っても政務、クラブに集まり盛り上がっても政務、選挙目当てのチラシの配布も政務、自分用のパソコンや、家族の教育費や入院費なども、はっきりと個人と識別できなければ全部議員活動としてつけ回し出来てしまう仕組みが、今回の地方自治法「改正」による新たな「政務活動費」です。
■これを提案したのが、民主・自民・公明と民主から分離したばかりの「国民の生活が第一」です。衆院で共産党と社民党以外は賛成しており、今後、この悪法を断固粉砕する見通しは、これまでの日本の政治家の振る舞いから見て、お手盛り法案を自ら抑制するという期待は残念ながら、持てそうにありません。議員みんなで「政務」と称して、国のカネ=国民の血税が野放図に無駄遣いされる温床が生み出されてしまうことになりかねません。議員諸氏には、ハッピーな法案ですので、参議院で今週半ばにも、可決されてしまうことになりそうです。
納税者である皆さんも、この悪法の成立にむけた動きにぜひご注目ください。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
このうち、後者については、地方議会の会派や議員に支給される政務調査費の使い道を野放しにする地方自治法「改正」案が、来週半ばには参議院本会議で成立しようとしています。このため、8月25~26日に青森県弘前市で行なわれた市民オンブズマン全国大会で、「地方自治法の政務調査費条項の改悪に反対する決議」が満場位置で採択されました。
■これを踏まえて、市民オンブズマン群馬でも、この悪法を食い止める為に、次の宣言を行なうことにしています。
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地方自治法の政務調査費条項の改悪に反対する宣言
1 平成24年8月10日、地方自治法100条14項・16項(地方議会の政務調査費についての根拠規定)を改悪する地方自治法「改正」法案が衆議院で可決された。同法案は「政務調査費」を「政務活動費」と改称し、交付の目的について同法100条14項に「その他の活動」の6文字を付加して「議員の調査研究その他の活動に資するため」としている。この改悪案は平成24年8月7日になって、民主党・自民党・公明党・「生活」に所属する6名の議員が、突如、地方自治法の改正案に対する修正案として協同提出したものであり、国民的な議論が全くなされないまま、即日、衆議院総務委員会において、共産党と社民党を除く賛成多数でこの修正案が可決され、衆議院本会議で可決されるに至った。
2 しかし、地方議会の会派、議員の第二の給与と化している政務調査費の乱脈ぶりに対し、私たちオンブズマンは全国各地で次々に住民訴訟を起こしてきた。提起された住民訴訟は全国で70件を超え、そのうち47件の判決で、支出の一部が違法と認定されている。そして、それらの訴訟の争点は、いずれも、当該支出が、地方自治法が定める「議員の調査研究に資する」支出にあたるか否かを厳しく問うものである。議員や会派の調査研究に資するものではないことを理由に、多くの政務調査費が自治体に返還されている。うち6件では、違法とされた支出金額が1000万円を超えてすらいる。
3 ところが修正条項は、「政務調査費」という名称を「政務活動費」と変更だけでなく、交付の目的に「その他の活動」を加えることで、これまでは違法とされてきた、およそ議員の調査研究と関係のない使い方をも合法化できる余地を、議員に広範に与えることになる。したがって、同法案は、政務調査費を再び野放しにし、議員の第二給与に逆戻りさせる驚くべき悪法に他ならない。
4 今日、わが国の財政は、国家においても自治体においても危機的な状況にあり、国民生活に不可欠な分野の財源すら削られている状況にある。そのような財政状況にもかかわらず、地方議員に対する公金支出の規律をゆるめることは、財政秩序のうえからも国民に対する信義のうえからも許されるべきではない。
5 このことについて、平成24年8月26日に第19回全国市民オンブズマン弘前大会で満場一致で決議されたことを踏まえて、私たち市民オンブズマン群馬は、衆議院において議論らしい議論もないまま、修正法案が可決されたことを強く批判するとともに、これを廃案とするためにあらゆる努力を払うことをここに宣言する。
平成24年8月27日
市民オンブズマン群馬 代 表 小川 賢
事務局長 鈴木 庸
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■現在の政務調査費は、議員の調査研究活動費として無税扱いとされて、これは議員の調査研究活動に必要な経費に限定されていますが、これを「政務活動費」と読み替えて、さらに「その他の活動」にも使えるようにしようとするのが今回の「改正」法案です。現在の「政務調査」というくくりでも、およそ政務とは無関係な支出が行なわれているにもかかわらず、「政務活動」というふうに意味を曖昧にしたうえに、さらに「その他の活動」が加わることで、無税で支給される第二の議員給与といわれる「政務調査費」の使い道が、それこそ野放しになります。
この「改正」法案が成立すると、その具体的な内容は、各自治体が条例で決めて実施されることになりますが、もはや、国の法律でタガが緩められたことから、その使い途は、地方議会の会派や議員のサジ加減で、どうにでもなるでしょう。
夜な夜なバーに通っても政務、クラブに集まり盛り上がっても政務、選挙目当てのチラシの配布も政務、自分用のパソコンや、家族の教育費や入院費なども、はっきりと個人と識別できなければ全部議員活動としてつけ回し出来てしまう仕組みが、今回の地方自治法「改正」による新たな「政務活動費」です。
■これを提案したのが、民主・自民・公明と民主から分離したばかりの「国民の生活が第一」です。衆院で共産党と社民党以外は賛成しており、今後、この悪法を断固粉砕する見通しは、これまでの日本の政治家の振る舞いから見て、お手盛り法案を自ら抑制するという期待は残念ながら、持てそうにありません。議員みんなで「政務」と称して、国のカネ=国民の血税が野放図に無駄遣いされる温床が生み出されてしまうことになりかねません。議員諸氏には、ハッピーな法案ですので、参議院で今週半ばにも、可決されてしまうことになりそうです。
納税者である皆さんも、この悪法の成立にむけた動きにぜひご注目ください。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】