市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

これでいいのか群馬県環境行政…3つ目のゴミ最終処分場の申請が出た安中市岩野谷の大谷地区

2012-08-20 23:57:00 | 全国のサンパイ業者が注目!
■またもや安中市岩野谷の大谷地区にサンパイ場設置計画が浮上しました。平成24年6月29日付で、株式会社アーバン環境サービス(安中市岩井606、代表取締役後藤秀樹)が一般廃棄物・産業廃棄物最終処分場(管理型)の廃棄物処理施設設置等事前協議書を群馬県知事宛に提出したことが明らかになったのです。

新たに大谷地区長坂で浮上したアーバン環境サービスのサンパイ場計画の位置図。
 もともと、この場所(安中市大谷字長坂1200-1ほか)には、エム・ケイ・エス(株)という怪しげな事業者が、平成16年2月4日に一般廃棄物(焼却灰)と産業廃棄物(燃え殼、汚泥、廃プラスチック類、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリー卜くず及び陶磁器くず、鉱さい、がれき類、ぱいじん、13号廃棄物)を埋め立てる管理型処分場の事前協議を群馬県に提出していました。いつのまにか、設置計画が新しい業者にバトンタッチされていたわけです。

 これで、大谷地区では、岩井川の上流から順に4つの廃棄物処理にかかわる施設がズラリと並ぶおそれが高まりました。

■一番奥の新山・出雲地内では、㈱環境資源が管理型の一般廃棄物(焼却残渣・不燃性廃棄物)・産業廃棄物(燃えがら、汚泥、廃プラスチック類、紙くず、木くず、ゴムくず、金属くず、ガラスくず及び陶磁器くず、鉱さい、ばいじん、がれき類、13号廃棄物(猛毒ないし有毒な化学物質を溶かしてコンクリートで固めたもの))最終処分場(施設面積約9ha、埋立容量644,924㎡)設置のための事前協議がほぼ終了目前です。

左手のくぼ地の方向が環境資源のサンパイ場予定地。

 そのすぐ東側には、大和建設㈱(高崎市寺尾町1777、代表取締役萩原正弘)の産業廃棄物中間処理(ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず(廃石膏ボード)の破砕:20t/日(2.5t/時)、木くずの破砕:290.9t/日(36.36t/時間)、廃プラスチック類、紙くず、木くず、繊維くず、ゴムくず、金属くず、ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず、がれき類の選別破砕:121.5t/日、廃プラスチック類の溶解:0.6t/日、がれき類、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くずの破砕:416t/日(52t/時間)、廃プラスチック類の破砕:30.7t/日(3.84t/時))及び一般廃棄物(木くずの破砕:290.9t/日(36.63t/時))最終処分施設が平成16年7月から稼動開始しています。

ヤマト建設安中事業所。

■上記の2施設はいずれも、大谷地区を流れる岩井川の水源地帯に位置しており、それらから集められた雨水は、灌漑用の新山貯水池に注ぐことになります。その貯水池から岩井川が大谷地区の集落と田圃にそって、北の方向に流れ下りますが、大谷の上組の、岩井川の西岸の長谷津の一番奥の、同じ岩野谷の東野殿に接したところに、平成19年1月1日から稼動しているサイボウ環境㈱(安中市大谷1900番地1、代表取締役社長高山和之)の管理型一般廃棄物(焼却灰・不燃ごみ)最終処分場(処分場面積32,298㎡、埋立面積18,988㎡、埋立容積274,388㎥(内訳:廃棄物207,042㎥、覆土67,346㎥)があります。



 サイボウ処分場は当会のブログでも報告している通り、サイボウが違法の限りを尽して偽造した申請書を、群馬県に提出し、地元住民らが警察に告発しましたが、群馬県は県警と密談し、偽造書類の作成を測量委託業者のせいにして起訴し、サイボウは無罪とされてしまったのでした。

 そして、岩井川が流れ込む碓氷川に面した野殿丘陵の北側斜面にある東邦亜鉛㈱でも、自社用と称して、既に平成22年4月に完成させた安定型の産業廃棄物(廃プラスチック類(石綿含有産業廃棄物含む)、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず。陶磁器くず(石綿含有産業廃棄物含む)、がれき類(石綿含有産業廃棄物含む))最終処分場(埋立面積2,083.59㎡、埋立容量12,747.65㎥)が、群馬県の施設検査の完了を待つだけ、という状態になっています。


東邦亜鉛のサンパイ場「廃棄物の坑外埋立場」。2010年12月18日撮影。

 こうした中で、地元住民が懸念していたことが、現実となってしまったのです。それは冒頭で述べたとおり、岩野谷で5つ目の廃棄物処理施設、大谷地区に限れば、4つ目の廃棄物処理施設の事前協議書が平成24年6月29日に群馬県に提出されたことがわかったからです。

■当会の調査によれば、設置場所は群馬県安中市字長坂1200-1外20筆で、設置場所全体の面積は32,743㎡、持ち込まれる廃棄物は一般廃棄物として焼却灰、産業廃棄物として燃え殻、汚泥、廃プラスチック類、紙くず、木くず、繊維くず、動植物残さ、ゴムくず、金属くず、ガラス・陶器くず、鉱さい、がれき類、煤塵、施行令第1条13号廃棄物となっています。これは現在、事前協議が最終段階の大谷の新山・出雲地内の㈱環境資源の処分場と同様の廃棄物の種類です。また、埋立容量は520,000㎥(うち覆土110,000㎥)とされており、サイボウ環境の処分場の約2倍、環境資源が計画中の処分場の規模の約8割という大きな施設のようです。

 廃棄物の搬入は、高崎市側の尾根を走る県道藤木・高崎線から施設に持ち込み、管理事務所前のトラックスケールで重量を測った後、埋立場所に堆積し、廃棄物の高さが3mになったら50cmの覆土をする、いわゆる層状のサンドイッチ方式の埋立をするようです。覆土は、計画地内の残土他で確保し、搬入路入り口の南側に堆積保管するとあります。

新たなサンパイ場の予定地。

■計画予定地の地番は、すべて大谷字長坂の1200-1、1200-3 、1203、1204、1187-1、1199-1、1198、1197、1196-1、1192、1193-1、1195-2(以上の地目は山林)、1188-1(原野)、1201-3、1201-1、1201-4、1191、1190、1189(以上は水田)、1193-2(畑)の合計21筆から構成されています。この場所は、農振法に指定されている農用地区域です。ただ、耕作放棄地が大半を占めているため、所有者は売却したがっている可能性があります。

 また、施設の敷地協会から20mの範囲の土地の筆数は30筆あり、うち3筆は高崎市に属しています。こられの地権者は18人程度いるとみられます。このうち12人程度は、業者による事前協議書の提出について確認書を業者に出している模様です。

埋立完了後の跡地利用として果樹園を想定。


 さらに、予定地周辺の住民の状況は、50m以内には誰も居らず、50m~100mに5戸、100m~200mに21戸、200m~300mに11戸の合計37戸が300m以内に居住しています。施設の敷地境界から最も近い住民の家までは60mです。長坂集会所までは200m、稼働中の大和建設のサンパイ中間処理施設まで350mの距離になります。

 また敷地境界から500m以内の地下水及び湧水の利用状況は皆無となっていますが、本当にそうなのかは定かではありません。

 処分場施設からの排水ルートは、施設内の雨水調整池から大谷の長坂の集落を通る県道吉井・安中線の脇の水路に放流され、その水路を経由して岩井川に注ぎ込まれます。当然、長坂の集落から下流の水田には影響が及ぶものと思われます。

排水は県道脇の水路をとおって岩井川へ。

排水処理施設の予定位置は県道吉井・安中線のすぐ脇。

■協議者の㈱アーバン環境サービスは、平成13年4月5日に東京都新宿区西新宿4-29-2で法人登記され、平成24年6月18日に群馬県安中市岩井に移転登記しました。資本金は9600万円。代表取締役は後藤秀樹、取締役は井上勝、浜田政人、石川徹、矢内正行、大沢龍樹、監査役は田中秀美となっています。

 施設設置に要する資金総額は、18億6000万円で、内訳は用地費3億円、造成費7億円、建物費3000万円、工作物費4億円、機械装置費2億5000万円、重機備品費1億5000万円、その他3000万円が見込まれていますが、サイボウ環境の処分場(34億4000万円)や、環境資源の処分場計画(約38億円)に比べると、非常に投資額が小さくなっています。

 おそらく、廃棄物処理業者は、情報共有化により、群馬県の岩野谷地区周辺では処分場の申請手続きが容易で、群馬県は積極的に許認可を与えるということを知っていると思われます。サイボウの処分場申請手続で実効成果をあげ、現在、環境資源の処分場で活躍中の群馬県の職員OBの存在も、新たな廃棄物最終処分場計画に関して、全く無縁とは思えません。

■当会が平成2年から懸念してきたように、最終処分場は1ヵ所でも作られてしまうと、全国のサンパイ業者の間に「あの地域はサンパイ場が造りやすい場所だ」として、次々と計画が持ち込まれます。当会の知る限り、このほかに大谷にはあと3箇所、岩井にも1箇所の処分場の計画が過去に浮上したことがあります。一旦、計画が立ち消えになったと思って安心することは禁物です。いつまた、今回のように、焼けボックイに火がつくかもしれないからです。

 今回、新たに群馬県に出された事前協議の対象となるアーバン環境サービスの処分場の設置予定場所は非常に民家に近いことから、今後、住民説明会の動きにあわせて、業者からさらに詳しい情報が流されていくとともに、関係住民の間から計画についてのいろいろな意見が出されていくものと見られます。しかし、民家に近いからといって、計画実施が難しくなるということにはなりません。

 なぜなら、サイボウ環境の処分場設置申請手続きの時も、半径300m以内に35軒もの地元住民の家が存在しましたが、業者の切り崩し工作は熾烈を極め、最終的には、“5分の4以上が賛成”という書類がでっちあげられて群馬県に提出され、15年かかって処分場が完成してしまったからです。引き続き、本件の今後の成り行きには注意が必要です。

【ひらく会情報部】

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