■東邦亜鉛安中製錬所が、東電の一方的な電力の大幅値上げ通告(同社は東電の値上げについては一応受け入れたらしい)に対する緊急対応措置として、7月12日~9月5日までの56日間、夏場の節電のため、操業停止中ですが、今日で、35日目となりました。公害で苦しめられてきた周辺住民らは、75年ぶりの、つかの間の静寂と綺麗な空気に、東邦亜鉛の存在が無ければ、なんと素晴らしい住環境なんだろうと、認識を新たにしていますが、残念ながら、この状態もあと3週間でおしまいとなってしまいます。
↑操業休止中の安中製錬所。亜鉛の製造を中心に、硫黄や金、銀、銅などさまざまな鉱物を扱っており、亜鉛に関しては、安中製錬所だけで生産量が我が国2番目、25%というシェアを有している。8月9日撮影。↑
当会のブログでも再三指摘しておりますが、東邦亜鉛は、公害企業として、長年にわたり、安中製錬所周辺の農地や宅地に、降り注ぎ続けているカドミウムや亜鉛、鉛、ヒ素などの重金属等による土壌汚染被害を認識していながら、全く対策をとってきていません。それどころか、政治家に献金をして、この対策を後送りにするための工作を続けています。
↑操業休止中でも製品積み出し、設備保守・補修工事などで昼間30名程度、毎日出勤しているという。↑
また、同社は公害企業として全国的に有名になる前も後も、周辺住民の一部をカネで懐柔し、公害反対運動を分断して、地域コミュニティに亀裂を生じさせ、公害反対運動を弱体化させるという手法を得意としています。
同社のこの体質は、同社が戦前、日本亜鉛精錬㈱として1937年に安中製錬所をこの地に創設したときにも、「御国のために戦う兵隊さんの大切な命をまもるヘルメット用の高度鋼を製造するためだ」と地元地権者や住民に説明して同意をとり、操業開始直後から亜鉛鉱を焼くときに、中に含有されている硫黄が燃えて出る黄色い排ガス=亜硫酸ガスが周辺に撒き散らされ始めて、地元民は騙されたことに気付かされた時から、今に至るまで連綿と継続しています。
↑安中製錬所入口。1937年日本亜鉛製錬(株)として創設、電気亜鉛の製錬を開始。1941年、社名を東邦亜鉛に。2000年、ISO9002を取得。↑
そのため、地元の長老らは、いまでも東邦亜鉛安中製錬所の事を「コードコー」と呼び、平気で住民にウソをついて騙す東邦亜鉛の体質を忘れまいとしているのです。
↑向かって右側の入口わきの弊に埋め込まれているプレート。かつて構内にあった診療所の名残り?↑
■東邦亜鉛は、高度成長のひずみとして昭和40年代に全国的に浮上した公害問題で、唯一、未だに公害汚染の対策を完了していない企業です。
↑平成24年度安全スローガン。↑
戦時中、このような内陸に立地した背景には、軍事物資としての亜鉛の製錬所として、電気を大量に消費することから、当時、電源として水力発電の調達が容易な長野県に近い立地と、大量の水を消費するために、碓氷川の支流である柳瀬川が直ぐ近くにあること、また、原料から製品までのプロセスにおいて重要な要素を占める搬送を、重力を利用して行う必要があったため、斜面のある場所が必要で有った事など、諸条件を勘案して、この地を選定したという経緯があるようです。
当時、東邦亜鉛は、原料の亜鉛鉱石は、我が国の対馬にある鉱山から採掘された比較的良質な(つまり、亜鉛の含有量が多いという意味)ものを使っていました。対馬からはるばる1000キロを海を渡って運んで、群馬県の内陸まで輸送したのでした。しかし、高度成長の旺盛な亜鉛等の需要に伴い、対馬の鉱山資源も次第に枯渇し始め、それに伴い、海外からの原鉱石輸入に切り替えていったのでした。
しかし、東邦亜鉛は相変わらず、鉱山法の山元製錬所として通産省の庇護の下に、廃水や排ガスを周辺や下流に垂れ流し続けたのでした。そして、昭和40年代にようやく全国的な公害問題を契機に、地元住民らが立ち上がり、東邦亜鉛からの熾烈な妨害を受けながらも粘り強く公害闘争を繰り広げて、ようやく昭和61年(1986年)に和解に漕ぎつけたのでした。
けれども、和解と前後して、周辺の水田の一部は排客土もしくは客土をして、重金属汚染度の度合いを低くする対策が取られましたが、前述のとおり畑地や、その他の水田は未だに汚染対策が手つかずのまま、放置されています。
一方、東邦亜鉛は、安中製錬所に公害防止設備として、亜硫酸ガスの回収装置としての硫酸プラントを導入したり、重金属を含んだ降下煤塵の排出抑止対策として、バグフィルターや排ガス洗浄システムや、重金属イオンを含む排水処理施設を整備しましたが、完全に重金属を排気や排水から除去するには至っておらず、とりわけバグフィルターの目を通過して排ガス中の重金属蒸気の一部が降下煤塵中に含まれてしますため、以前としてかなりの量の重金属が含まれており、もし、安中製錬所周辺の土壌汚染を除染しても、50年後には、現在と同じかそれ以上の再汚染状態になってしまうとも言われています。
↑完全に入口を閉鎖中の事務棟。↑
■東邦亜鉛は、公害問題の後、和解条件として裁判所が提示し、地元と結んだ公害防止協定により毎年4月に工場見学会を実施しています。筆者もなんどか参加したことがありますが、当時から、東邦亜鉛の幹部らは、住民らの前では表向き殊勝なことを言いますが、裏に回って1対1で話をする機会になると、「公害として実際にイタイイタイ病患者も出なかったことだし、カネのかかる除染対策は実施しなくてもよいと思っている。企業として、こうした不必要な支出は、株主の理解を得にくいこともある」などと、本音を漏らすのでした。
こうした二枚舌の体質を如実に示すものとして、東邦亜鉛が対馬の鉱山で亜鉛鉱石を採掘していた当時、対馬でも公害問題を引き起こしていたことが、記録として残っています。これは、別途、ご紹介することにしたいと思いますが、公害企業として、過去の責任を認識していない体質は、同社の事業報告書を見ても明らかです。
本校の末尾に、平成24年6月28日に開催された株主総会で発表された報告書http://www.toho-zinc.co.jp/pdf/soukai/soukai_20120628_1.pdf を掲載しましたが、この中には生産性の向上をさらに追求して「新たな事前へ向けさらなる飛躍を」などというスローガンは掲げられていますが、グローバル企業として、当然掲げなくてはならない環境対策への注力として「排出重金属のゼロ・エミッション化にむけたさらなる追求」とか「公害の痕跡の絶滅に向けた周辺汚染土壌地の徹底除染の即時遂行」などというスローガンはどこにも見当たりません。
↑たしかに駐車場には出勤者のものと思しき車がある。
さらに、地元の安中市岩野谷地区には、廃棄物処分場や計画が目白押しですが、東邦亜鉛が、住民説明会では一言も説明の無かったアスベストを含むサンパイさえも処分可能な最終処分施設を、鉱山法から一般法への移行のドサクサに作ってしまい、今まさに使用許可が群馬県から出されようとしています。
このような二枚舌体質の東邦亜鉛のやり方については、引き続き地元住民として注意深く対処する必要性を痛感させられます。あと3週間後に迫った安中製錬所の再稼働まで、周辺住民にとっては、綺麗な空気と静寂のなかで、今後とも果てしなく続く同社との対峙の方法をじっくり検討する良い機会なのです。
↑製錬所は操業停止中でも在庫製品の顧客への配達は休みなし。子会社の安中運輸のトラックは朝からこのとおり出払っている。↑
【ひらく会・東邦亜鉛公害撲滅対策討班】
※参考資料
株主の皆様へ 第113期報告書 2011.04.01~2012.03.31
東邦亜鉛株式会社TOHO ZONC CO.,LTD.
〒103-8437東京都中央区日本橋本町一丁目6番1号(丸粕ビル)
電話03(3272)5611 Fax03-(3271)0137
http://www.toho-zin.co.jp/
1.株主の皆様へ
株主の皆様には、平素よりご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、当社の第113期(平成23年4月1日から平成24年3月31日まで)についての事業の概況並びに決算状況をここにご報告申しあげます。
当連結会計年度におけるわが国経済は、東日本大震災の影響を大きく受けたものの、その後サプライチェーンやインフラの整備・復旧を背景に緩やかな景気持ち直しの動きが見られました。しかしながら、欧州債務危機に伴う円高や、中東の政情不安による原油高騰などの影響もあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、夏場の電力供給の制約に続き、損益に大きな影響を及ぼすLME(ロンドン金属取引所)相場が9月以降の欧州債務危機を契機に急落し、さらには史上最高値水準の円高も加わり極めて厳しい状況が続きました。
当社グループにおきましても、震災の被害により亜鉛系2工場(.安中製錬所並びに小名浜製錬所)の操業停止を余儀なくされましたが、これらの早期復旧に向け全社―丸となって取り組んだ結果、被害の大きかった小名浜製錬所も6月には操業を再開することができました。
また、さらなる生産性の向上と効率化を図るため、かねてより安中製錬所に建設中でありました最新鋭の電解工場が完成し、昨年9月から本格的な操業を開始しました。加えて、当社グループは、中長期的な原料鉱石の安定確保を磐石なものにするため完全子会社化したCBH Resources Ltd.(豪州の鉱山会社、以下CBH社という。)が保有するラスプ鉱山の開発プロジェクトを、全力を挙げて推進しております。本プロジェクトは順調に進捗しており、本年4月下旬に粗鉱処理プラント等の地上設備が完成し、精鉱生産の試験操業中であります。なお、本格操業への移行を本年7月から8月までの間に計画しております。
中期3ヵ年経常計画の最終年度である当期の業績につきましては、震災等の影響により亜鉛製品及び環境リサイクル製品の販売が大きく落ち込んだものの、銀相場が高値圏で推移したことに伴う銀製品の増収と、前下半期から完全子会社化したCBH社の業績が当期から期中1年間を通じて反映されるようになったことなどもあり、売上高は下表のとおり前期に比べ微増となりました。
一方、損益面につきましては、亜鉛製品及び環境リサイクル製品の減産・減販、円高進行とLME相場の下落により営業利益、経常利益とも前期に比べ大幅な減益となりました。なお、当期純利益につきましては、前期計上し.たCBH社の完全了会社化に伴う特別利益(同社株式の「段階取得に係る差益」及び同社転換社債の早期償還による「投資有価証券償還益」)の剥落に加え、震災に伴う特別損失の計上や法人税法の改正による繰延税金資産の取崩しがあったため、さらに大幅な減益となりました。
当期の期末配当は、業績、当グループを取り巻く経営環境、将来の事業展開に備えた内部留保、安定配当の維持等を総合的に勘案いたしまして、前記と同額の1株につき7円とさせていただきました。
さて、今後の事業環境の見通しにつきましては、史上最高値水準からは脱したものの依然としで続く円高基調、欧州債務危機の再燃及び新興国成長率鈍化に起因するLME相場の下落懸念などの外部不透明要因のほか、国内問題といて原発事故後の電力代の値上がり、産業空洞化の進展による需要の減退も不安定材料として挙げられます。
このような不透明な事業環境のなか、当社グループは平成24年度を初年度とする第9次中期3ヵ年経常計画「東邦新生プランV」をスタートさせております。この「東邦新生プランV」は、前中期3ヵ年経常計画期間中に完遂した厳しい国際競争に打ち克つための経営基盤強化策である「原料鉱石の長期安定確保を図るため有望鉱山を保有するCBH社を完全子会社化すること」並びに「さらなる生産性の向上を追求し安中製錬所に最新鋭電解工場を建設すること」を基点に策定しております。すなわち、この二つの強化策を足掛かりに今次中期経営計画のスローガンとして掲げた「新たな次元へ向けさらなる飛躍を」を果たすべく、諸課題を着実に実行へ移して経営基盤をさらに強固なものとし、持続的な成長・発展と企業価値の最大化を図ってまいります。
その主な経営課題は、以下のとおりであります。
(i) 完全子会社化したCBH社を梃子(てこ)に、インテグレーデッド・スメルター(鉱山開発から地金生産までを担う一貫製錬メーカー)としての強みを活かし、収益力の強化を図ってまいります。
(ii) 製錬事業は、自らの事業採算改善のため、聖域を設けることなく、あらゆる施策を遂行してまいります。
(iii) 電子部材、環境・リサイクル事業等は、新規事業の拡大及び新製品の開発に注力してまいります。
(iv) 次世代への技術・ノウハウの継承は引き続き実施するとともに、受け手たる次世代は、自覚と責任をもって業務遂行にあたってまいります。
当社グループは、こうした取り組みを鋭意実行していくなかで、経営の基本をなすコーポレート・ガバナンスの適正な畝井に加え、経営ン健全性を確保すべくコンプライアンスのさらなる新党と内部統制システムの一層の整備・充実に努めてまいります。
株主の皆様におかれまして、引き続き変わらぬご理解とご支援を賜りますよう心からお願い申しあげます。 平成24年6月
代表取締役社長 手島達也
<表>
(単位:百万円)
区別/第113期平成24年3月期/第112期平成23年3月期/増減/増減率(%)
売上高/105,914/103,628/2,296/2
営業利益/2,802/8,497/△5,694/△67
経常利益/2,875/8,725/△5,849/△67
当期純利益/1,005/7,545/△6,540/△87
2.事業部門別の概況
●製錬事業部門
当事業部門は、震災の被害並びにタイの洪水の影響により、主要製品である亜鉛の販売が大きく落ち込みましたが、鉛・銀の販売は、おおむね堅調に推移しました。
また、震災の被害により安中製錬所並びに小名浜製錬所の生産活動が大きく損なわれましたが、早期の復旧に努めるとともに、下半期に挽回し通気の亜鉛地金の生産量は前期比7%の減産に留まりました。
主要製品の概況は、以下のとおりです。.
《亜鉛》
LME相場は、期初(23年4月平均)2,372ドル/トンでスタートしたものの9月に急落し、10月には一時1,800ドル台を割り込む展開となりました。その後はやや回復基調に転じましたが、期末(24年3月平均)で2、035ドル、期中平均で2,101ドル(前期2,187ドル)と、前記の価格を下回りました。
国内価格は、LME相場の低迷に急激な円高が加わり期中平均で212千円(前潮232千円)と、前期の価格をさらに下回りました。
国内販売につきましては、上半期において、仮設住宅の建材用亜鉛メッキ鋼板向けが一時的に好調であったものの、自動車生産台数の落ち込みと主要ユーザーの被災も加わり、自動車用亜鉛メッキ鋼板及び伸銅・ダイカスト分野を中心に大幅な販売減となりました。下半期に入り、自動車生産台数の回復とともに販売も震災以前の水準近くまで回復しましたが、タイの洪水や円高の影響もあり、1月以降伸銅や建材、家電用の鋼板分野で低迷が続きました。
この結果、販売量は前期比21%の減少、また、販売高は前期比28%の減収となりました。
《鉛》
LME相場は期初(23年4月平均)2,741ドル/トンの高値でスタートしましたが、9月に急落し、10月には一時1,800ドル台を割り込みました。11月以鴎は2,000ドル前後で推移し、期末(24年3月平均)で2,061ドル、期中平均で2,274トル(前期2,244ドル)と、前期の価格と同水準になりました。
国内価格は、円高の影響により期中平均231千円(前期239千円)と、若干の下落になりました。
国内販売につきましては、上半期の自動車生産台数の減少により新車用鉛バッテリー向けの販売が低迷したものの、厳冬で取替用鉛バッテリー向けの販売は増加し、加えて電力供給不安に備える産業用バッテリー向けも好調に推移しました。
この結果、販売量は前期並みとなりましたか、売上高は円高の影響により前期比6%の減収となりま1した。
《銀》
ロンドン銀相場は、期初(23年4月平均)42.0ドル/トロイオンスと歴史的な高値でスタートし、期末(24年3月平均)に入り33.0ドルまで下落したものの、同月期中平均は35.4ドル(前期23.8ドル)と、高値で推移しました。
国内価格は、期中平均で91,709円/キログラム(前期66,387円)となりました。
国内販売につきましては、銀相場の高騰を受け低銀化の商品開発が進み、はんだ向けの販売が大幅に減少し、写真感光材向けやその他の工業用の販売も減少しましたが、輸出で国内販売の減少を補いました。
この結果、販売量は前期並みとなりましたが、売上高は銀相場が高値圏で推移したことにより同期比35%の大幅な増収となりました。
以上のほか、硫酸当その他の製品の売上高を合せた当事業部門の売上高は、761億37百万円と前期比32億16百万円(4%)の増収となりました。一方、亜鉛製品の減産、減販及び円高に加え、銀をのぞく国内金属価格の下落に伴い在庫評価益の実現額が前期を下回ったため、営業利益は10億59百万円と前期比46億61百万円(81%)の大幅な減益となりました。
●資源事業部門
CBH社を擁する当事業部門の業績は、上半明のエンデバー鉱山における小規模操業トラブルによる生産・出荷量の減少に加え、豪ドル高と亜鉛・鉛のLME相場下落により悪化しました。
前述しましたとおり、売上高は、CBH社の完全子会社化により当期から1年を通して計上されることになったため、61億38百万円と前期比24億29百万円(65%)の大幅な増収となりました。
しかしながら、営業利益は、鉱業権・のれん等の償却負拒に加え、CBH社の最終四半期に当たる10月から12月にかけてのLME相場の下落が大きく影響し、8億26百万円の損失となりました。
●電子部材事業部門
当事業部門は、欧州債務危機に起因する世界的な景気後退に伴う受注減と円高により、厳しい事業環境となりました。この状況を打開するべく、市場のニーズに合致し優位性を持つ新製品の開発・拡販に主力を挙げてまいりました。
《電子部品》
電子部品につきましては、円高による売上の減少に加え、世界的な景気後退により取得のOA機器、産業機器向けなどの分野で販売落ち込みました。この結果、売上高は前期比24%の減収となりました。
なお、現在開発・拡販中の各種新製品(TS-i、HMコイル、Cコイル)は電源の高効率化を目的とした商品であり、省エネのニーズに合致した製品となっております。
《電解鉄》
世界のトップシェアを誇る電解鉄(商品名:マイロン・アトミロン)につきましては、鉄鋼研究分野向けの販売が落ち込んだものの、海外の堅調な需要に支えられ、航空機・車載向け特殊鋼用の販売が好調に推移しました。この結果、売上高は前記並みとなりました。
《プレーティンク》
IT・デジタル機器などの接点に使用されるプレーティング製品(金、銀、銅、ニッケル等のメッキ材)につきましては、車載用の販売が好調であったものの、携帯電話や液晶テレビなどの民生機器用の不振により、完上高は前期比10%の減収となりました。
《機器部品》
粉末冶金製品及びタイヤ用バランスウエイトは、震災の影響により上半期の販売が減少したものの、その後の自動車生産台数の回復により粉末冶金製品の販売が持ち直したことに加え、バランスウエイトも海外向けの販売が好調に推移し、売上高は前期並みとなりました。
以上の結果、当事業部門の売上高は、70億75百万円と前期比10億54百万円(13%)の減収、また、営業利益は8億54百万円と前期比1億85百万円(18%)の減益となりました。
●環境・リサイクル事業部門
当事業部門は、長年培った製錬技術を活かし、電路ダストの再資源化を行うなど、循環型社会の構築に貢献すべく積極的な事業展開を図っております。
《酸化亜鉛》
電路ダストから製造する酸化亜鉛(商品名:銀嶺R)は、小名浜製錬所が震災の影響により大幅な減産を余儀なくされたことに加え、その後のタイの洪水により主な需要家であるタイヤメーカーへの販売が減少しました。この結果、当事業部の売上高は前期比48%の大幅な貳収となりました.
《その他のリサイクル事業》
廃硫酸やニカド電池の処理などその他のリサイクル事業につきましては、小名浜製錬所が2ヵ月半ほど操業停止になったことや主要なリサイクル原料の供給元の被災で入荷量が減少したことに加え、ニッケル相場の下落により前期比24%の減収となりました。
以上の結果、当事業部門の売上高は29億89百万円と前期比18億59百万円(38%)の大幅な減収、また営業利益は2億99百万円と前期比6億95百万円(70%)の大幅な減益となりました。
●その他事業部門
当事業部門は、防音建材事業、土木・建築区・プラントエンジニアリング事業及ぴ渾転事業などで構成されています。(防音建材(商品名:ソフトカーム)事業)
防音建材事業は、主力の鉛防音建材や今後大手住宅メーカー向けの拡販が期待される制振謝恩財が建築需要の低迷により厳しい状況であったものの、医療向けの鉛遮蔽板が好調であり、原発向け鉛遮蔽材の特需も加わったため、売上高は前期比8%の増収となりました。
《土木・建築・ブラントエンジニアリンク事業》
民間設備投資や公共工事は依然として低迷しておりましたが、プラントエンジニアリングを中心に幅広い分野で受注した国内外の大型案件の完工により、売上は引き続き堅調に推移しました。《運輸事業その他》
運輸部門は、景気低迷に伴う運送貨物及びリサイクル原料等の扱い量の減少などにより、前期比6%の減収となりました。
また、商社部門におきましては、非鉄金属製品やリサイクル原料の販売の減少などにより、同期比13%の減収となりました。
以上のほか、環境分析部門を合せた当事業部門の売上高は、135億73百万円ヒ前回比4億45百万円(3%)の減収になったものの、営業利益は14億92百万円と前期比41百万円(3%)の増益となりました。
○投棄(平成23年度)事業部門別売上高構成比(連結)
製錬 71.9%(亜鉛製品、鉛製品、電気銀、硫酸)
資源 5.8%(非鉄金属資源)
電子部材 6.7%(電子部品、電解鉄、プレーティング製品、機器部品)
環境・リサイクル 2.8%(酸化亜鉛、廃棄物処理)
その他 12.8%(防音建材、土木・建築・プラントエンジニアリング、商社、運輸、環境分析)
3.連結決算の概況
■貸借対照表(連結)(平成24年3月31日現在) (単位:百万円)
科目/金額
〔資産の部〕
流動資産/67,492
固定資産/82,310
有形固定資産 51,860
無形固定資産 23,815
投資その他の資産 6,634
資産合計/149,903
〔負債の部〕
流動負債/43,987
固定負債/44,934
負債合計/88,921
〔純資産の部〕
株主資本/52,287
資本金 14,630
資本剰余金 9,876
利益剰余金 27,803
自己株式 △23
その他の包括利益累計額/8,594
その他有価証券評価差額金 680
繰延ヘッジ損益 △237
土地再評価差額金 8,290
為替換算調整勘定 △139
純資産合計/60,882
負債・純資産合計/149.903
■損益計算書(連結)(平成23年4月1日から平成24年3月31日まで) (単位:百万円)
科目/金額
売上高/105,914
売上原価/95,428
売上総利益/10,486
販売費及び一般管理費/7,683
営業利益/2,802
営業外収益/724
営業外費用/652
経常利益/2,875
特別利益/1,195
特別損失/1,056
税金等調整前投棄純利益/3,014
法人税、住民税及び事業税/795
法人税等調整学/1,214
少数株主損益調整前当期純利益/1,005
当期純利益/1,005
■連結株主資本等変動計算書(平成23年4月1日から平成24年3月31日まで) (単位:百万円)
当期首残高→当期変動額→当期末残高
株主資本
資本金:14,630→ - →14,630
資本剰余金:9,876→ - →9,876
利益剰余金:27,748→剰余金の配当△950+当期純利益1,005=54→27,803
自己株式:△23→自己株式の取得△0→△23
株主資本合計:52,233→剰余金の配当△950+当期純利益1,005+自己株式の取得△0=54→52,287
その他の包括利益累計額
その他有価証券評価差額金:899→株主資本以外の項目の当期変動額(純額)△219→680
繰延ヘッジ損益:△2,371→同上2,131→△237
土地再評価差額金:7,572→同上718→8,290
為替換算調整勘定:1,763→同上△1,902→△139
その他の包括利益累計額合計:7,864→同上730→8,594
純資産合計:60,096→剰余金の配当△950+当期純利益1,005+自己株式の取得△0+株主資本以外の項目の当期変動額(純額)730=785→60,883
■連結キャッシュ・フロー計算書(要旨)(平成23年4月1日から平成24年3月31日まで) (単位:百万円)
科目/金額
営業活動によるキャッシュ・フロー/△193
投資活動によるキャッシュ・フロー/△11,039
財務活動によるキャッシュ・フロー/15,225
現金及び現金同等物に係る換算差額/△180
現金及び現金同等物の増減額/3,810
現金及び現金同等物の期首残高/12,734
現金及び現金同等物の期末残高/16,545
(注)記載金額は百万円未満を切り捨てて表示しております。
■売上高の推移(百万円)
19年度 147,390
20年度 92,685
21年度 83,592
22年度 103,628
23年度 105,914
■経常利益の推移(百万円)
19年度 17,251
20年度 △1,019
21年度 8,865
22年度 8,725
23年度 2,875
■当期純利益の推移(百万円)
19年度 9,949
20年度 △5,233
21年度 4,654
22年度 7,545
23年度 1,005
■1株当たり当期純利益の推移(円)
19年度 73.26
20年度 △38.54
21年度 34.27
22年度 55.57
23年度 7.40
■1株当たり純資産の推移(円)
19年度 421.61
20年度 357.87
21年度 405.35
22年度 442.54
23年度 448.32
■自己資本当期純利益率(ROE)の推移(%)
19年度 18.9
20年度 △9.9
21年度 9.0
22年度 13.1
23年度 1.7
4.個別決算の概況
■貸借対照表(個別)(平成24年3月31日現在) (単位:百万円)
科目/金額
〔資産の部〕
流動資産/62,954
固定資産/74,049
有形固定資産 38,130
無形固定資産 103
投資その他の資産 35,816
資産合計/137,003
〔負債の部〕
流動負債/38,559
固定負債/41,061
負債合計/79,621
〔純資産の部〕
株主資本/48,691
資本金 14,630
資本剰余金 9,876
利益剰余金 24,207
自己株式 △23
評価・換算差額等/8,690
その他有価証券評価差額金 637
繰延ヘッジ損益 △237
土地再評価差額金 8,290
純資産合計/57,392
負債・純資産合計/137.003
■損益計算書(個別)(平成23年4月1日から平成24年3月31日まで) (単位:百万円)
科目/金額
売上高/92,054
売上原価/84,844
売上総利益/7,210
販売費及び一般管理費/4,763
営業利益/2,446
営業外収益/1,372
営業外費用/554
経常利益/3,264
特別利益/3
特別損失/1,051
税金等調整前投棄純利益/2,217
法人税、住民税及び事業税/289
法人税等調整学/500
当期純利益/1,426
■株主資本等変動計算書(平成23年4月1日から平成24年3月31日まで)(単位:百万円)
当期首残高→当期変動額→当期末残高
株主資本
資本金: 14,630→ - →14,630
資本剰余金
/資本準備金:6,950→ - →6,950
/その他資本剰余金:2,926→ - →2,926
資本剰余金合計:9,876→ - →9,876
利益剰余金
その他利益剰余金
/固定資産圧縮積立金:29→固定資産圧縮積立金の取崩△2+実効税率変更に伴う積立金の増加1=△1→27
/繰越利益剰余金:23,702→剰余金の配当△960+固定資産圧縮積立金の取崩2+実効税率変更に伴う積立金の増加△1+当期純利益1,426=477→24,179
利益剰余金合計:23,731→剰余金の配当△590+固定資産圧縮積立金の取崩-+実効税率変更に伴う積立金の増加-+当期純利益1,246=475→24,207
自己株式: △23→自己株式の取得△0→△23
株主資本合計:48,216→剰余金の配当△950+固定資産圧縮積立金の取崩-+実効税率変更に伴う積立金の増加-+当期純利益1,426+自己株式の取得△0=475→48,691
評価・換算差額等
その他有価証券評価額差額金:860→株主資本以外の項目の当期変動額(純額)△222→637
繰越ヘッジ損益:△2,371→同上2,133→△237
土地再評価差額金:7,572→同上718→8,290
評価・換算差額等合計:6,061→同上2,629→8,690
純資産合計:54,277→剰余金の配当△960+固定資産圧縮積立金の取崩-+実効税率変更に伴う積立金の増加-+当期純利益1,426+自己株式の取得
(注)記載金額は百万円未満を切り捨てて表示しております。
■売上高の推移(百万円)
19年度 138,256
20年度 83,751
21年度 76,977
22年度 93,415
23年度 92,054
■経常利益の推移(百万円)
19年度 15,521
20年度 2,054
21年度 7,858
22年度 8,933
23年度 3,264
■当期純利益の推移(百万円)
19年度 8,824
20年度 △5,456
21年度 4,184
22年度 6,040
23年度 1,426
■1株当たり当期純利益の推移(円)
19年度 64,98
20年度 △40.18
21年度 30.81
22年度 44.48
23年度 10.50
■1株当たり純資産の推移(円)
19年度 404.31
20年度 351.02
21年度 391.20
22年度 399.69
23年度 422.56
■自己資本当期純利益率(ROE)の推移(%)
19年度 17.4
20年度 △10.6
21年度 8.3
22年度 11.2
23年度 2.6
5.トピックス
●第9次中期3ヵ年経営計画「東邦新生プランV」スタート
冒頭申しあげましたとおり、当社グループは、前中期3カ年経営計画の成果を足掛かりに「新たな次元へ向けさらなる飛躍を」をスローガンに掲げ、平成24年度を初年度とする第9次中期3ヵ年経営計画「東邦新生プランV」を策定しました。当社グループを取り巻く事業環境は先行き不透明な状況が続いておりますが、全社員一丸となってこの計画を着実に遂行することにより、安定的な成長・収益を実現し強固な企業基盤の構築に努めてまいります。
《第9次中期3ヵ年経営計画の概要》
1 対象期間 平成24年4月~平成27年3月
2 スローガン 新たな次元へ向けさらなる飛躍を
3 主要課題
① 完全子会社化したCBH社を梃子(てこ)に、インテグレーテッド・スメルター(鉱山開発から地金生産までを担う一貫製錬メーカー)としての強みを活かし、収益力の強化を図る。
② 製錬事業は、自らの事業採算改善のため、聖域を設けることなく、あらゆる施策を遂行する。
③ 電子部材、環境・リサイクル事業等は、新規事業の拡大及び新製品の開発に注力する
④ 次世代への技術・ノウハウの継承を引き続き実施するとともに、受け手たる次世代は、自覚と責任をもって業務遂行にあたる。
4 連結収支計画 (単位:百万円)
区分 平成24年度 平成25年度 平成26年度
売上高 116,000 129,000 139,000
営業利益 4,700 9,500 12,700
経常利益 4,700 9,500 12,700
当期純利益 3,000 6,800 9,500
5 目標とする連結経営指標
① 経常利益 最終年度には100億円超
② 利益剰余金 最終年度には400億円超
③ 株主配当 10円配当
④ 自己資本比率 50%以上
⑤ デット/エクイティレシオ 0.7前後
6.会社の概要
■本 社 東京都中央区日本橋本町一丁目6番1号
電話(03)3272-5611(代表)
■設 立 昭和12年3月5日
■資本金 14、630,708,899円(平成24年3月31日現在)
■従業員数 656名(平成24年3月31日現在)
■事業内容 製錬事業、資源事業、電子部材事業、環境・リサイクル事業、防音建材事業
■主要製品
<製錬事業部門>
亜鉛、亜鉛合金、鉛、鉛合金、鉛カルシウムシート、銀、カドミウム、ビスマス、新ハイアンチ合金、硫酸、酸化カドミウム
<資源事業部門>
亜鉛鉱石、鉛鉱石
<電子部材事業部門>
タクロンコイル(SK・HK・FK・SMD)、トランス、マイロン、アトミロン、プレーティンク製品、粉末冶金製品、バランスウエイト
<環境・リサイクル事業部門>
酸化亜鉛、硫酸銅、廃棄物処理、リサイクル関連機器
<防音建材事業部門>
ソフトカーム(鉛遮音材)、制振遮音材、防音ドア、音響測定、X線防護材、X線防護扉
■事業所 安中製錬所(群馬)、契島製錬所(広島県)、小名浜製錬所(福島県)、藤岡事業所(群馬県)
■支 店 大阪支店、名古屋支店
■重要な子会社の状況
会社名/資本金/当社の議決権比率(%)/主要な事業内容
㈱ティーティーイー/100百万円/100/土木・建築・プラントエンジニアリング業
東邦トレード㈱/100百万円/100/非鉄金属製品等の販売業
安中運輸㈱/20百万円/100/運輸業
契島運輸㈱/30百万円/100/運輸業
東邦キャリア㈱/10百万円/100/運輸業
㈱中国環境分析センター/10百万円/100/環境分析業
CBH Resources Ltd./182百万豪ドル/100/鉱山業
■取締役(執行役員兼務者を含む)及び監査役(平成24年6月28日現在)
代表取締役社長 手島 達也
取締役兼常務執行役員 鈴木 茂実 総務本部長
取締役兼常務執行役員 服部富士雄 亜鉛・鉛事業本部長兼資材統括部長兼資源事業部担当
取締役兼執行役員 野口 純 総務木部副本部長兼総務部長
取締校兼執行役員 今井 力 技術・開発本部長兼技術部長兼開発部長兼知的財産部長
常勤監査役 相原 誠 (社外監査役)
監査役 角出 光一
監査役 多田 稔 (社外監査役)
■執行役員(平成24年6月28日現在)・
常務執行役員 緒方 盛仁 契島製錬所長
常務執行役員 沼崎 孝則 安中製錬所長兼機器部品事業部長
執行役員 秋山 武郎 安中製錬所副所長
執行役員 丹 良文 電子部品事業品部長兼電界鉄事業部長兼藤岡事業部長
執行役員 乙葉 敏夫 管理本部長兼財務部長
執行役昌 丸崎 公康 亜鉛・鉛事業本部副本部長兼営業部長
執行役員 山岸 正明 管理本部副本部長兼経営企画部長兼システム統括部長兼経理部長
執行役員 田島 義巳 小名浜製錬所長兼環境・リサイクル事業部長
執行役員 嶋村登志雄 資源事業部長
7.株式の状況(平成24年3月31日現在)
■発行可能株式総数 264,000,000株
■発行済株式の総数 135,855,217株
■株主数 14,502名
■大株主
株主名/持株数(株)/持株比率
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)/14,011,000/10.32
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口)/7,696,000/5.67
三菱商事株式会社/5,515,750/4.06
三菱UFJ信託銀行株式会社/5,350,000/3.94
資産管理サービス信託銀行株式会社(年金信託口)/2,991,000/2.20
JPモルガン証券株式会社/2,763,200/2.03
資産管理サービス信託銀行株式会社(証券投資信託口)/2,423,000/1.76
中央三井信託銀行株式会社/2,174,000/1.60
日本トラスティ・サービス投資銀行株式会社(信託口9)/2,030,000/1.49
株式会社扇谷/2,003,750/1.48
(注)持株比率は自己株式を控除して算出しております。
●持株所有者別分布状況
金融機関/51,382,875株/37.8%
金融商品取引業者/10,829,124株/8.0%
その他国内法人/14,685,365株/10.8%
外国法人等/19,831,831株/14.6%
個人その他/39,126,032株/28.8%
●株価及び売買高の推移(東京証券取引所)
年月/最高株価~最低株価(円)/売買高(千株)
平成23年4月/450~380/75,000
5月/460~360/41,000
6月/395~350/26,000
7月/410~380/20,000
8月/400~300/31,000
9月/320~280/30,000
10月/330~270/21,000
11月/330~285/25,000
12月/315~285/23,000
平成24年1月/320~285/20,000
2月/380~305/24,000
3月/390~340/31,000
8.株式についてのご案内
■事業年度 4月1日~翌年3月31日
■基準日 3月31日、その他必要により取締役会で決議した日
■配当金支払株主確定日 3月31日及び中間配当を実施する時は9月30日
■定時株主総会 毎年6月
■公告掲載新聞 東京都において発行する日本経済新聞
■単元株主数 1,000株
■株主名簿管理人/特別口座の口座管理機関 東京都千代田区丸の内一丁目4番5号 三菱UFJ信託銀行株式会社
(お問い合わせ先)東京都江東区東砂七丁目10番11号(〒137-8081)
三菱UFJ信託技巧株式会社 証券代行部
フリーダイヤル0120-232-711
(ご注意)
1 株主様の住所変更、単元未満株式の回路地請求その他核種汚手続につきましては、原則、口座を開設されている口座管理機関(証券会社等)で承ることとなっております。口座を開設されている証券会社等にお問い合わせください。株主名簿管理人(三菱UFJ信託銀行)ではお取扱いできませんのでご注意ください。
2 特別口座に記録された株主に関する各種お手続につきましては、三菱UFJ信託銀行が口座管理機関となっておりますので、上記特別口座の口座管理機関(三菱UFJ信託銀行)にお問い合わせください。なお、三菱UFJ信託銀行全国各支店にてもお取次ぎいたします。
3 未受領の配当金につきましては、三菱UFJ信託銀行本支店でお支払いいたします。
↑操業休止中の安中製錬所。亜鉛の製造を中心に、硫黄や金、銀、銅などさまざまな鉱物を扱っており、亜鉛に関しては、安中製錬所だけで生産量が我が国2番目、25%というシェアを有している。8月9日撮影。↑
当会のブログでも再三指摘しておりますが、東邦亜鉛は、公害企業として、長年にわたり、安中製錬所周辺の農地や宅地に、降り注ぎ続けているカドミウムや亜鉛、鉛、ヒ素などの重金属等による土壌汚染被害を認識していながら、全く対策をとってきていません。それどころか、政治家に献金をして、この対策を後送りにするための工作を続けています。
↑操業休止中でも製品積み出し、設備保守・補修工事などで昼間30名程度、毎日出勤しているという。↑
また、同社は公害企業として全国的に有名になる前も後も、周辺住民の一部をカネで懐柔し、公害反対運動を分断して、地域コミュニティに亀裂を生じさせ、公害反対運動を弱体化させるという手法を得意としています。
同社のこの体質は、同社が戦前、日本亜鉛精錬㈱として1937年に安中製錬所をこの地に創設したときにも、「御国のために戦う兵隊さんの大切な命をまもるヘルメット用の高度鋼を製造するためだ」と地元地権者や住民に説明して同意をとり、操業開始直後から亜鉛鉱を焼くときに、中に含有されている硫黄が燃えて出る黄色い排ガス=亜硫酸ガスが周辺に撒き散らされ始めて、地元民は騙されたことに気付かされた時から、今に至るまで連綿と継続しています。
↑安中製錬所入口。1937年日本亜鉛製錬(株)として創設、電気亜鉛の製錬を開始。1941年、社名を東邦亜鉛に。2000年、ISO9002を取得。↑
そのため、地元の長老らは、いまでも東邦亜鉛安中製錬所の事を「コードコー」と呼び、平気で住民にウソをついて騙す東邦亜鉛の体質を忘れまいとしているのです。
↑向かって右側の入口わきの弊に埋め込まれているプレート。かつて構内にあった診療所の名残り?↑
■東邦亜鉛は、高度成長のひずみとして昭和40年代に全国的に浮上した公害問題で、唯一、未だに公害汚染の対策を完了していない企業です。
↑平成24年度安全スローガン。↑
戦時中、このような内陸に立地した背景には、軍事物資としての亜鉛の製錬所として、電気を大量に消費することから、当時、電源として水力発電の調達が容易な長野県に近い立地と、大量の水を消費するために、碓氷川の支流である柳瀬川が直ぐ近くにあること、また、原料から製品までのプロセスにおいて重要な要素を占める搬送を、重力を利用して行う必要があったため、斜面のある場所が必要で有った事など、諸条件を勘案して、この地を選定したという経緯があるようです。
当時、東邦亜鉛は、原料の亜鉛鉱石は、我が国の対馬にある鉱山から採掘された比較的良質な(つまり、亜鉛の含有量が多いという意味)ものを使っていました。対馬からはるばる1000キロを海を渡って運んで、群馬県の内陸まで輸送したのでした。しかし、高度成長の旺盛な亜鉛等の需要に伴い、対馬の鉱山資源も次第に枯渇し始め、それに伴い、海外からの原鉱石輸入に切り替えていったのでした。
しかし、東邦亜鉛は相変わらず、鉱山法の山元製錬所として通産省の庇護の下に、廃水や排ガスを周辺や下流に垂れ流し続けたのでした。そして、昭和40年代にようやく全国的な公害問題を契機に、地元住民らが立ち上がり、東邦亜鉛からの熾烈な妨害を受けながらも粘り強く公害闘争を繰り広げて、ようやく昭和61年(1986年)に和解に漕ぎつけたのでした。
けれども、和解と前後して、周辺の水田の一部は排客土もしくは客土をして、重金属汚染度の度合いを低くする対策が取られましたが、前述のとおり畑地や、その他の水田は未だに汚染対策が手つかずのまま、放置されています。
一方、東邦亜鉛は、安中製錬所に公害防止設備として、亜硫酸ガスの回収装置としての硫酸プラントを導入したり、重金属を含んだ降下煤塵の排出抑止対策として、バグフィルターや排ガス洗浄システムや、重金属イオンを含む排水処理施設を整備しましたが、完全に重金属を排気や排水から除去するには至っておらず、とりわけバグフィルターの目を通過して排ガス中の重金属蒸気の一部が降下煤塵中に含まれてしますため、以前としてかなりの量の重金属が含まれており、もし、安中製錬所周辺の土壌汚染を除染しても、50年後には、現在と同じかそれ以上の再汚染状態になってしまうとも言われています。
↑完全に入口を閉鎖中の事務棟。↑
■東邦亜鉛は、公害問題の後、和解条件として裁判所が提示し、地元と結んだ公害防止協定により毎年4月に工場見学会を実施しています。筆者もなんどか参加したことがありますが、当時から、東邦亜鉛の幹部らは、住民らの前では表向き殊勝なことを言いますが、裏に回って1対1で話をする機会になると、「公害として実際にイタイイタイ病患者も出なかったことだし、カネのかかる除染対策は実施しなくてもよいと思っている。企業として、こうした不必要な支出は、株主の理解を得にくいこともある」などと、本音を漏らすのでした。
こうした二枚舌の体質を如実に示すものとして、東邦亜鉛が対馬の鉱山で亜鉛鉱石を採掘していた当時、対馬でも公害問題を引き起こしていたことが、記録として残っています。これは、別途、ご紹介することにしたいと思いますが、公害企業として、過去の責任を認識していない体質は、同社の事業報告書を見ても明らかです。
本校の末尾に、平成24年6月28日に開催された株主総会で発表された報告書http://www.toho-zinc.co.jp/pdf/soukai/soukai_20120628_1.pdf を掲載しましたが、この中には生産性の向上をさらに追求して「新たな事前へ向けさらなる飛躍を」などというスローガンは掲げられていますが、グローバル企業として、当然掲げなくてはならない環境対策への注力として「排出重金属のゼロ・エミッション化にむけたさらなる追求」とか「公害の痕跡の絶滅に向けた周辺汚染土壌地の徹底除染の即時遂行」などというスローガンはどこにも見当たりません。
↑たしかに駐車場には出勤者のものと思しき車がある。
さらに、地元の安中市岩野谷地区には、廃棄物処分場や計画が目白押しですが、東邦亜鉛が、住民説明会では一言も説明の無かったアスベストを含むサンパイさえも処分可能な最終処分施設を、鉱山法から一般法への移行のドサクサに作ってしまい、今まさに使用許可が群馬県から出されようとしています。
このような二枚舌体質の東邦亜鉛のやり方については、引き続き地元住民として注意深く対処する必要性を痛感させられます。あと3週間後に迫った安中製錬所の再稼働まで、周辺住民にとっては、綺麗な空気と静寂のなかで、今後とも果てしなく続く同社との対峙の方法をじっくり検討する良い機会なのです。
↑製錬所は操業停止中でも在庫製品の顧客への配達は休みなし。子会社の安中運輸のトラックは朝からこのとおり出払っている。↑
【ひらく会・東邦亜鉛公害撲滅対策討班】
※参考資料
株主の皆様へ 第113期報告書 2011.04.01~2012.03.31
東邦亜鉛株式会社TOHO ZONC CO.,LTD.
〒103-8437東京都中央区日本橋本町一丁目6番1号(丸粕ビル)
電話03(3272)5611 Fax03-(3271)0137
http://www.toho-zin.co.jp/
1.株主の皆様へ
株主の皆様には、平素よりご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、当社の第113期(平成23年4月1日から平成24年3月31日まで)についての事業の概況並びに決算状況をここにご報告申しあげます。
当連結会計年度におけるわが国経済は、東日本大震災の影響を大きく受けたものの、その後サプライチェーンやインフラの整備・復旧を背景に緩やかな景気持ち直しの動きが見られました。しかしながら、欧州債務危機に伴う円高や、中東の政情不安による原油高騰などの影響もあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、夏場の電力供給の制約に続き、損益に大きな影響を及ぼすLME(ロンドン金属取引所)相場が9月以降の欧州債務危機を契機に急落し、さらには史上最高値水準の円高も加わり極めて厳しい状況が続きました。
当社グループにおきましても、震災の被害により亜鉛系2工場(.安中製錬所並びに小名浜製錬所)の操業停止を余儀なくされましたが、これらの早期復旧に向け全社―丸となって取り組んだ結果、被害の大きかった小名浜製錬所も6月には操業を再開することができました。
また、さらなる生産性の向上と効率化を図るため、かねてより安中製錬所に建設中でありました最新鋭の電解工場が完成し、昨年9月から本格的な操業を開始しました。加えて、当社グループは、中長期的な原料鉱石の安定確保を磐石なものにするため完全子会社化したCBH Resources Ltd.(豪州の鉱山会社、以下CBH社という。)が保有するラスプ鉱山の開発プロジェクトを、全力を挙げて推進しております。本プロジェクトは順調に進捗しており、本年4月下旬に粗鉱処理プラント等の地上設備が完成し、精鉱生産の試験操業中であります。なお、本格操業への移行を本年7月から8月までの間に計画しております。
中期3ヵ年経常計画の最終年度である当期の業績につきましては、震災等の影響により亜鉛製品及び環境リサイクル製品の販売が大きく落ち込んだものの、銀相場が高値圏で推移したことに伴う銀製品の増収と、前下半期から完全子会社化したCBH社の業績が当期から期中1年間を通じて反映されるようになったことなどもあり、売上高は下表のとおり前期に比べ微増となりました。
一方、損益面につきましては、亜鉛製品及び環境リサイクル製品の減産・減販、円高進行とLME相場の下落により営業利益、経常利益とも前期に比べ大幅な減益となりました。なお、当期純利益につきましては、前期計上し.たCBH社の完全了会社化に伴う特別利益(同社株式の「段階取得に係る差益」及び同社転換社債の早期償還による「投資有価証券償還益」)の剥落に加え、震災に伴う特別損失の計上や法人税法の改正による繰延税金資産の取崩しがあったため、さらに大幅な減益となりました。
当期の期末配当は、業績、当グループを取り巻く経営環境、将来の事業展開に備えた内部留保、安定配当の維持等を総合的に勘案いたしまして、前記と同額の1株につき7円とさせていただきました。
さて、今後の事業環境の見通しにつきましては、史上最高値水準からは脱したものの依然としで続く円高基調、欧州債務危機の再燃及び新興国成長率鈍化に起因するLME相場の下落懸念などの外部不透明要因のほか、国内問題といて原発事故後の電力代の値上がり、産業空洞化の進展による需要の減退も不安定材料として挙げられます。
このような不透明な事業環境のなか、当社グループは平成24年度を初年度とする第9次中期3ヵ年経常計画「東邦新生プランV」をスタートさせております。この「東邦新生プランV」は、前中期3ヵ年経常計画期間中に完遂した厳しい国際競争に打ち克つための経営基盤強化策である「原料鉱石の長期安定確保を図るため有望鉱山を保有するCBH社を完全子会社化すること」並びに「さらなる生産性の向上を追求し安中製錬所に最新鋭電解工場を建設すること」を基点に策定しております。すなわち、この二つの強化策を足掛かりに今次中期経営計画のスローガンとして掲げた「新たな次元へ向けさらなる飛躍を」を果たすべく、諸課題を着実に実行へ移して経営基盤をさらに強固なものとし、持続的な成長・発展と企業価値の最大化を図ってまいります。
その主な経営課題は、以下のとおりであります。
(i) 完全子会社化したCBH社を梃子(てこ)に、インテグレーデッド・スメルター(鉱山開発から地金生産までを担う一貫製錬メーカー)としての強みを活かし、収益力の強化を図ってまいります。
(ii) 製錬事業は、自らの事業採算改善のため、聖域を設けることなく、あらゆる施策を遂行してまいります。
(iii) 電子部材、環境・リサイクル事業等は、新規事業の拡大及び新製品の開発に注力してまいります。
(iv) 次世代への技術・ノウハウの継承は引き続き実施するとともに、受け手たる次世代は、自覚と責任をもって業務遂行にあたってまいります。
当社グループは、こうした取り組みを鋭意実行していくなかで、経営の基本をなすコーポレート・ガバナンスの適正な畝井に加え、経営ン健全性を確保すべくコンプライアンスのさらなる新党と内部統制システムの一層の整備・充実に努めてまいります。
株主の皆様におかれまして、引き続き変わらぬご理解とご支援を賜りますよう心からお願い申しあげます。 平成24年6月
代表取締役社長 手島達也
<表>
(単位:百万円)
区別/第113期平成24年3月期/第112期平成23年3月期/増減/増減率(%)
売上高/105,914/103,628/2,296/2
営業利益/2,802/8,497/△5,694/△67
経常利益/2,875/8,725/△5,849/△67
当期純利益/1,005/7,545/△6,540/△87
2.事業部門別の概況
●製錬事業部門
当事業部門は、震災の被害並びにタイの洪水の影響により、主要製品である亜鉛の販売が大きく落ち込みましたが、鉛・銀の販売は、おおむね堅調に推移しました。
また、震災の被害により安中製錬所並びに小名浜製錬所の生産活動が大きく損なわれましたが、早期の復旧に努めるとともに、下半期に挽回し通気の亜鉛地金の生産量は前期比7%の減産に留まりました。
主要製品の概況は、以下のとおりです。.
《亜鉛》
LME相場は、期初(23年4月平均)2,372ドル/トンでスタートしたものの9月に急落し、10月には一時1,800ドル台を割り込む展開となりました。その後はやや回復基調に転じましたが、期末(24年3月平均)で2、035ドル、期中平均で2,101ドル(前期2,187ドル)と、前記の価格を下回りました。
国内価格は、LME相場の低迷に急激な円高が加わり期中平均で212千円(前潮232千円)と、前期の価格をさらに下回りました。
国内販売につきましては、上半期において、仮設住宅の建材用亜鉛メッキ鋼板向けが一時的に好調であったものの、自動車生産台数の落ち込みと主要ユーザーの被災も加わり、自動車用亜鉛メッキ鋼板及び伸銅・ダイカスト分野を中心に大幅な販売減となりました。下半期に入り、自動車生産台数の回復とともに販売も震災以前の水準近くまで回復しましたが、タイの洪水や円高の影響もあり、1月以降伸銅や建材、家電用の鋼板分野で低迷が続きました。
この結果、販売量は前期比21%の減少、また、販売高は前期比28%の減収となりました。
《鉛》
LME相場は期初(23年4月平均)2,741ドル/トンの高値でスタートしましたが、9月に急落し、10月には一時1,800ドル台を割り込みました。11月以鴎は2,000ドル前後で推移し、期末(24年3月平均)で2,061ドル、期中平均で2,274トル(前期2,244ドル)と、前期の価格と同水準になりました。
国内価格は、円高の影響により期中平均231千円(前期239千円)と、若干の下落になりました。
国内販売につきましては、上半期の自動車生産台数の減少により新車用鉛バッテリー向けの販売が低迷したものの、厳冬で取替用鉛バッテリー向けの販売は増加し、加えて電力供給不安に備える産業用バッテリー向けも好調に推移しました。
この結果、販売量は前期並みとなりましたか、売上高は円高の影響により前期比6%の減収となりま1した。
《銀》
ロンドン銀相場は、期初(23年4月平均)42.0ドル/トロイオンスと歴史的な高値でスタートし、期末(24年3月平均)に入り33.0ドルまで下落したものの、同月期中平均は35.4ドル(前期23.8ドル)と、高値で推移しました。
国内価格は、期中平均で91,709円/キログラム(前期66,387円)となりました。
国内販売につきましては、銀相場の高騰を受け低銀化の商品開発が進み、はんだ向けの販売が大幅に減少し、写真感光材向けやその他の工業用の販売も減少しましたが、輸出で国内販売の減少を補いました。
この結果、販売量は前期並みとなりましたが、売上高は銀相場が高値圏で推移したことにより同期比35%の大幅な増収となりました。
以上のほか、硫酸当その他の製品の売上高を合せた当事業部門の売上高は、761億37百万円と前期比32億16百万円(4%)の増収となりました。一方、亜鉛製品の減産、減販及び円高に加え、銀をのぞく国内金属価格の下落に伴い在庫評価益の実現額が前期を下回ったため、営業利益は10億59百万円と前期比46億61百万円(81%)の大幅な減益となりました。
●資源事業部門
CBH社を擁する当事業部門の業績は、上半明のエンデバー鉱山における小規模操業トラブルによる生産・出荷量の減少に加え、豪ドル高と亜鉛・鉛のLME相場下落により悪化しました。
前述しましたとおり、売上高は、CBH社の完全子会社化により当期から1年を通して計上されることになったため、61億38百万円と前期比24億29百万円(65%)の大幅な増収となりました。
しかしながら、営業利益は、鉱業権・のれん等の償却負拒に加え、CBH社の最終四半期に当たる10月から12月にかけてのLME相場の下落が大きく影響し、8億26百万円の損失となりました。
●電子部材事業部門
当事業部門は、欧州債務危機に起因する世界的な景気後退に伴う受注減と円高により、厳しい事業環境となりました。この状況を打開するべく、市場のニーズに合致し優位性を持つ新製品の開発・拡販に主力を挙げてまいりました。
《電子部品》
電子部品につきましては、円高による売上の減少に加え、世界的な景気後退により取得のOA機器、産業機器向けなどの分野で販売落ち込みました。この結果、売上高は前期比24%の減収となりました。
なお、現在開発・拡販中の各種新製品(TS-i、HMコイル、Cコイル)は電源の高効率化を目的とした商品であり、省エネのニーズに合致した製品となっております。
《電解鉄》
世界のトップシェアを誇る電解鉄(商品名:マイロン・アトミロン)につきましては、鉄鋼研究分野向けの販売が落ち込んだものの、海外の堅調な需要に支えられ、航空機・車載向け特殊鋼用の販売が好調に推移しました。この結果、売上高は前記並みとなりました。
《プレーティンク》
IT・デジタル機器などの接点に使用されるプレーティング製品(金、銀、銅、ニッケル等のメッキ材)につきましては、車載用の販売が好調であったものの、携帯電話や液晶テレビなどの民生機器用の不振により、完上高は前期比10%の減収となりました。
《機器部品》
粉末冶金製品及びタイヤ用バランスウエイトは、震災の影響により上半期の販売が減少したものの、その後の自動車生産台数の回復により粉末冶金製品の販売が持ち直したことに加え、バランスウエイトも海外向けの販売が好調に推移し、売上高は前期並みとなりました。
以上の結果、当事業部門の売上高は、70億75百万円と前期比10億54百万円(13%)の減収、また、営業利益は8億54百万円と前期比1億85百万円(18%)の減益となりました。
●環境・リサイクル事業部門
当事業部門は、長年培った製錬技術を活かし、電路ダストの再資源化を行うなど、循環型社会の構築に貢献すべく積極的な事業展開を図っております。
《酸化亜鉛》
電路ダストから製造する酸化亜鉛(商品名:銀嶺R)は、小名浜製錬所が震災の影響により大幅な減産を余儀なくされたことに加え、その後のタイの洪水により主な需要家であるタイヤメーカーへの販売が減少しました。この結果、当事業部の売上高は前期比48%の大幅な貳収となりました.
《その他のリサイクル事業》
廃硫酸やニカド電池の処理などその他のリサイクル事業につきましては、小名浜製錬所が2ヵ月半ほど操業停止になったことや主要なリサイクル原料の供給元の被災で入荷量が減少したことに加え、ニッケル相場の下落により前期比24%の減収となりました。
以上の結果、当事業部門の売上高は29億89百万円と前期比18億59百万円(38%)の大幅な減収、また営業利益は2億99百万円と前期比6億95百万円(70%)の大幅な減益となりました。
●その他事業部門
当事業部門は、防音建材事業、土木・建築区・プラントエンジニアリング事業及ぴ渾転事業などで構成されています。(防音建材(商品名:ソフトカーム)事業)
防音建材事業は、主力の鉛防音建材や今後大手住宅メーカー向けの拡販が期待される制振謝恩財が建築需要の低迷により厳しい状況であったものの、医療向けの鉛遮蔽板が好調であり、原発向け鉛遮蔽材の特需も加わったため、売上高は前期比8%の増収となりました。
《土木・建築・ブラントエンジニアリンク事業》
民間設備投資や公共工事は依然として低迷しておりましたが、プラントエンジニアリングを中心に幅広い分野で受注した国内外の大型案件の完工により、売上は引き続き堅調に推移しました。《運輸事業その他》
運輸部門は、景気低迷に伴う運送貨物及びリサイクル原料等の扱い量の減少などにより、前期比6%の減収となりました。
また、商社部門におきましては、非鉄金属製品やリサイクル原料の販売の減少などにより、同期比13%の減収となりました。
以上のほか、環境分析部門を合せた当事業部門の売上高は、135億73百万円ヒ前回比4億45百万円(3%)の減収になったものの、営業利益は14億92百万円と前期比41百万円(3%)の増益となりました。
○投棄(平成23年度)事業部門別売上高構成比(連結)
製錬 71.9%(亜鉛製品、鉛製品、電気銀、硫酸)
資源 5.8%(非鉄金属資源)
電子部材 6.7%(電子部品、電解鉄、プレーティング製品、機器部品)
環境・リサイクル 2.8%(酸化亜鉛、廃棄物処理)
その他 12.8%(防音建材、土木・建築・プラントエンジニアリング、商社、運輸、環境分析)
3.連結決算の概況
■貸借対照表(連結)(平成24年3月31日現在) (単位:百万円)
科目/金額
〔資産の部〕
流動資産/67,492
固定資産/82,310
有形固定資産 51,860
無形固定資産 23,815
投資その他の資産 6,634
資産合計/149,903
〔負債の部〕
流動負債/43,987
固定負債/44,934
負債合計/88,921
〔純資産の部〕
株主資本/52,287
資本金 14,630
資本剰余金 9,876
利益剰余金 27,803
自己株式 △23
その他の包括利益累計額/8,594
その他有価証券評価差額金 680
繰延ヘッジ損益 △237
土地再評価差額金 8,290
為替換算調整勘定 △139
純資産合計/60,882
負債・純資産合計/149.903
■損益計算書(連結)(平成23年4月1日から平成24年3月31日まで) (単位:百万円)
科目/金額
売上高/105,914
売上原価/95,428
売上総利益/10,486
販売費及び一般管理費/7,683
営業利益/2,802
営業外収益/724
営業外費用/652
経常利益/2,875
特別利益/1,195
特別損失/1,056
税金等調整前投棄純利益/3,014
法人税、住民税及び事業税/795
法人税等調整学/1,214
少数株主損益調整前当期純利益/1,005
当期純利益/1,005
■連結株主資本等変動計算書(平成23年4月1日から平成24年3月31日まで) (単位:百万円)
当期首残高→当期変動額→当期末残高
株主資本
資本金:14,630→ - →14,630
資本剰余金:9,876→ - →9,876
利益剰余金:27,748→剰余金の配当△950+当期純利益1,005=54→27,803
自己株式:△23→自己株式の取得△0→△23
株主資本合計:52,233→剰余金の配当△950+当期純利益1,005+自己株式の取得△0=54→52,287
その他の包括利益累計額
その他有価証券評価差額金:899→株主資本以外の項目の当期変動額(純額)△219→680
繰延ヘッジ損益:△2,371→同上2,131→△237
土地再評価差額金:7,572→同上718→8,290
為替換算調整勘定:1,763→同上△1,902→△139
その他の包括利益累計額合計:7,864→同上730→8,594
純資産合計:60,096→剰余金の配当△950+当期純利益1,005+自己株式の取得△0+株主資本以外の項目の当期変動額(純額)730=785→60,883
■連結キャッシュ・フロー計算書(要旨)(平成23年4月1日から平成24年3月31日まで) (単位:百万円)
科目/金額
営業活動によるキャッシュ・フロー/△193
投資活動によるキャッシュ・フロー/△11,039
財務活動によるキャッシュ・フロー/15,225
現金及び現金同等物に係る換算差額/△180
現金及び現金同等物の増減額/3,810
現金及び現金同等物の期首残高/12,734
現金及び現金同等物の期末残高/16,545
(注)記載金額は百万円未満を切り捨てて表示しております。
■売上高の推移(百万円)
19年度 147,390
20年度 92,685
21年度 83,592
22年度 103,628
23年度 105,914
■経常利益の推移(百万円)
19年度 17,251
20年度 △1,019
21年度 8,865
22年度 8,725
23年度 2,875
■当期純利益の推移(百万円)
19年度 9,949
20年度 △5,233
21年度 4,654
22年度 7,545
23年度 1,005
■1株当たり当期純利益の推移(円)
19年度 73.26
20年度 △38.54
21年度 34.27
22年度 55.57
23年度 7.40
■1株当たり純資産の推移(円)
19年度 421.61
20年度 357.87
21年度 405.35
22年度 442.54
23年度 448.32
■自己資本当期純利益率(ROE)の推移(%)
19年度 18.9
20年度 △9.9
21年度 9.0
22年度 13.1
23年度 1.7
4.個別決算の概況
■貸借対照表(個別)(平成24年3月31日現在) (単位:百万円)
科目/金額
〔資産の部〕
流動資産/62,954
固定資産/74,049
有形固定資産 38,130
無形固定資産 103
投資その他の資産 35,816
資産合計/137,003
〔負債の部〕
流動負債/38,559
固定負債/41,061
負債合計/79,621
〔純資産の部〕
株主資本/48,691
資本金 14,630
資本剰余金 9,876
利益剰余金 24,207
自己株式 △23
評価・換算差額等/8,690
その他有価証券評価差額金 637
繰延ヘッジ損益 △237
土地再評価差額金 8,290
純資産合計/57,392
負債・純資産合計/137.003
■損益計算書(個別)(平成23年4月1日から平成24年3月31日まで) (単位:百万円)
科目/金額
売上高/92,054
売上原価/84,844
売上総利益/7,210
販売費及び一般管理費/4,763
営業利益/2,446
営業外収益/1,372
営業外費用/554
経常利益/3,264
特別利益/3
特別損失/1,051
税金等調整前投棄純利益/2,217
法人税、住民税及び事業税/289
法人税等調整学/500
当期純利益/1,426
■株主資本等変動計算書(平成23年4月1日から平成24年3月31日まで)(単位:百万円)
当期首残高→当期変動額→当期末残高
株主資本
資本金: 14,630→ - →14,630
資本剰余金
/資本準備金:6,950→ - →6,950
/その他資本剰余金:2,926→ - →2,926
資本剰余金合計:9,876→ - →9,876
利益剰余金
その他利益剰余金
/固定資産圧縮積立金:29→固定資産圧縮積立金の取崩△2+実効税率変更に伴う積立金の増加1=△1→27
/繰越利益剰余金:23,702→剰余金の配当△960+固定資産圧縮積立金の取崩2+実効税率変更に伴う積立金の増加△1+当期純利益1,426=477→24,179
利益剰余金合計:23,731→剰余金の配当△590+固定資産圧縮積立金の取崩-+実効税率変更に伴う積立金の増加-+当期純利益1,246=475→24,207
自己株式: △23→自己株式の取得△0→△23
株主資本合計:48,216→剰余金の配当△950+固定資産圧縮積立金の取崩-+実効税率変更に伴う積立金の増加-+当期純利益1,426+自己株式の取得△0=475→48,691
評価・換算差額等
その他有価証券評価額差額金:860→株主資本以外の項目の当期変動額(純額)△222→637
繰越ヘッジ損益:△2,371→同上2,133→△237
土地再評価差額金:7,572→同上718→8,290
評価・換算差額等合計:6,061→同上2,629→8,690
純資産合計:54,277→剰余金の配当△960+固定資産圧縮積立金の取崩-+実効税率変更に伴う積立金の増加-+当期純利益1,426+自己株式の取得
(注)記載金額は百万円未満を切り捨てて表示しております。
■売上高の推移(百万円)
19年度 138,256
20年度 83,751
21年度 76,977
22年度 93,415
23年度 92,054
■経常利益の推移(百万円)
19年度 15,521
20年度 2,054
21年度 7,858
22年度 8,933
23年度 3,264
■当期純利益の推移(百万円)
19年度 8,824
20年度 △5,456
21年度 4,184
22年度 6,040
23年度 1,426
■1株当たり当期純利益の推移(円)
19年度 64,98
20年度 △40.18
21年度 30.81
22年度 44.48
23年度 10.50
■1株当たり純資産の推移(円)
19年度 404.31
20年度 351.02
21年度 391.20
22年度 399.69
23年度 422.56
■自己資本当期純利益率(ROE)の推移(%)
19年度 17.4
20年度 △10.6
21年度 8.3
22年度 11.2
23年度 2.6
5.トピックス
●第9次中期3ヵ年経営計画「東邦新生プランV」スタート
冒頭申しあげましたとおり、当社グループは、前中期3カ年経営計画の成果を足掛かりに「新たな次元へ向けさらなる飛躍を」をスローガンに掲げ、平成24年度を初年度とする第9次中期3ヵ年経営計画「東邦新生プランV」を策定しました。当社グループを取り巻く事業環境は先行き不透明な状況が続いておりますが、全社員一丸となってこの計画を着実に遂行することにより、安定的な成長・収益を実現し強固な企業基盤の構築に努めてまいります。
《第9次中期3ヵ年経営計画の概要》
1 対象期間 平成24年4月~平成27年3月
2 スローガン 新たな次元へ向けさらなる飛躍を
3 主要課題
① 完全子会社化したCBH社を梃子(てこ)に、インテグレーテッド・スメルター(鉱山開発から地金生産までを担う一貫製錬メーカー)としての強みを活かし、収益力の強化を図る。
② 製錬事業は、自らの事業採算改善のため、聖域を設けることなく、あらゆる施策を遂行する。
③ 電子部材、環境・リサイクル事業等は、新規事業の拡大及び新製品の開発に注力する
④ 次世代への技術・ノウハウの継承を引き続き実施するとともに、受け手たる次世代は、自覚と責任をもって業務遂行にあたる。
4 連結収支計画 (単位:百万円)
区分 平成24年度 平成25年度 平成26年度
売上高 116,000 129,000 139,000
営業利益 4,700 9,500 12,700
経常利益 4,700 9,500 12,700
当期純利益 3,000 6,800 9,500
5 目標とする連結経営指標
① 経常利益 最終年度には100億円超
② 利益剰余金 最終年度には400億円超
③ 株主配当 10円配当
④ 自己資本比率 50%以上
⑤ デット/エクイティレシオ 0.7前後
6.会社の概要
■本 社 東京都中央区日本橋本町一丁目6番1号
電話(03)3272-5611(代表)
■設 立 昭和12年3月5日
■資本金 14、630,708,899円(平成24年3月31日現在)
■従業員数 656名(平成24年3月31日現在)
■事業内容 製錬事業、資源事業、電子部材事業、環境・リサイクル事業、防音建材事業
■主要製品
<製錬事業部門>
亜鉛、亜鉛合金、鉛、鉛合金、鉛カルシウムシート、銀、カドミウム、ビスマス、新ハイアンチ合金、硫酸、酸化カドミウム
<資源事業部門>
亜鉛鉱石、鉛鉱石
<電子部材事業部門>
タクロンコイル(SK・HK・FK・SMD)、トランス、マイロン、アトミロン、プレーティンク製品、粉末冶金製品、バランスウエイト
<環境・リサイクル事業部門>
酸化亜鉛、硫酸銅、廃棄物処理、リサイクル関連機器
<防音建材事業部門>
ソフトカーム(鉛遮音材)、制振遮音材、防音ドア、音響測定、X線防護材、X線防護扉
■事業所 安中製錬所(群馬)、契島製錬所(広島県)、小名浜製錬所(福島県)、藤岡事業所(群馬県)
■支 店 大阪支店、名古屋支店
■重要な子会社の状況
会社名/資本金/当社の議決権比率(%)/主要な事業内容
㈱ティーティーイー/100百万円/100/土木・建築・プラントエンジニアリング業
東邦トレード㈱/100百万円/100/非鉄金属製品等の販売業
安中運輸㈱/20百万円/100/運輸業
契島運輸㈱/30百万円/100/運輸業
東邦キャリア㈱/10百万円/100/運輸業
㈱中国環境分析センター/10百万円/100/環境分析業
CBH Resources Ltd./182百万豪ドル/100/鉱山業
■取締役(執行役員兼務者を含む)及び監査役(平成24年6月28日現在)
代表取締役社長 手島 達也
取締役兼常務執行役員 鈴木 茂実 総務本部長
取締役兼常務執行役員 服部富士雄 亜鉛・鉛事業本部長兼資材統括部長兼資源事業部担当
取締役兼執行役員 野口 純 総務木部副本部長兼総務部長
取締校兼執行役員 今井 力 技術・開発本部長兼技術部長兼開発部長兼知的財産部長
常勤監査役 相原 誠 (社外監査役)
監査役 角出 光一
監査役 多田 稔 (社外監査役)
■執行役員(平成24年6月28日現在)・
常務執行役員 緒方 盛仁 契島製錬所長
常務執行役員 沼崎 孝則 安中製錬所長兼機器部品事業部長
執行役員 秋山 武郎 安中製錬所副所長
執行役員 丹 良文 電子部品事業品部長兼電界鉄事業部長兼藤岡事業部長
執行役員 乙葉 敏夫 管理本部長兼財務部長
執行役昌 丸崎 公康 亜鉛・鉛事業本部副本部長兼営業部長
執行役員 山岸 正明 管理本部副本部長兼経営企画部長兼システム統括部長兼経理部長
執行役員 田島 義巳 小名浜製錬所長兼環境・リサイクル事業部長
執行役員 嶋村登志雄 資源事業部長
7.株式の状況(平成24年3月31日現在)
■発行可能株式総数 264,000,000株
■発行済株式の総数 135,855,217株
■株主数 14,502名
■大株主
株主名/持株数(株)/持株比率
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)/14,011,000/10.32
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口)/7,696,000/5.67
三菱商事株式会社/5,515,750/4.06
三菱UFJ信託銀行株式会社/5,350,000/3.94
資産管理サービス信託銀行株式会社(年金信託口)/2,991,000/2.20
JPモルガン証券株式会社/2,763,200/2.03
資産管理サービス信託銀行株式会社(証券投資信託口)/2,423,000/1.76
中央三井信託銀行株式会社/2,174,000/1.60
日本トラスティ・サービス投資銀行株式会社(信託口9)/2,030,000/1.49
株式会社扇谷/2,003,750/1.48
(注)持株比率は自己株式を控除して算出しております。
●持株所有者別分布状況
金融機関/51,382,875株/37.8%
金融商品取引業者/10,829,124株/8.0%
その他国内法人/14,685,365株/10.8%
外国法人等/19,831,831株/14.6%
個人その他/39,126,032株/28.8%
●株価及び売買高の推移(東京証券取引所)
年月/最高株価~最低株価(円)/売買高(千株)
平成23年4月/450~380/75,000
5月/460~360/41,000
6月/395~350/26,000
7月/410~380/20,000
8月/400~300/31,000
9月/320~280/30,000
10月/330~270/21,000
11月/330~285/25,000
12月/315~285/23,000
平成24年1月/320~285/20,000
2月/380~305/24,000
3月/390~340/31,000
8.株式についてのご案内
■事業年度 4月1日~翌年3月31日
■基準日 3月31日、その他必要により取締役会で決議した日
■配当金支払株主確定日 3月31日及び中間配当を実施する時は9月30日
■定時株主総会 毎年6月
■公告掲載新聞 東京都において発行する日本経済新聞
■単元株主数 1,000株
■株主名簿管理人/特別口座の口座管理機関 東京都千代田区丸の内一丁目4番5号 三菱UFJ信託銀行株式会社
(お問い合わせ先)東京都江東区東砂七丁目10番11号(〒137-8081)
三菱UFJ信託技巧株式会社 証券代行部
フリーダイヤル0120-232-711
(ご注意)
1 株主様の住所変更、単元未満株式の回路地請求その他核種汚手続につきましては、原則、口座を開設されている口座管理機関(証券会社等)で承ることとなっております。口座を開設されている証券会社等にお問い合わせください。株主名簿管理人(三菱UFJ信託銀行)ではお取扱いできませんのでご注意ください。
2 特別口座に記録された株主に関する各種お手続につきましては、三菱UFJ信託銀行が口座管理機関となっておりますので、上記特別口座の口座管理機関(三菱UFJ信託銀行)にお問い合わせください。なお、三菱UFJ信託銀行全国各支店にてもお取次ぎいたします。
3 未受領の配当金につきましては、三菱UFJ信託銀行本支店でお支払いいたします。