■当会は市民オンブズマン群馬と相談して、平成24年11月2日付で、松本耕司・県議会議長宛に、11月2日(金)16時40分に申入書を提出しました。内容は次のとおりです。
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平成24(2012)年11月2日
〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
群馬県議会
議長 松 本 耕 司 様
市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢
申 入 書
貴職におかれましては、平素より地方自治の推進に真摯に取り組まれ、そのご努力に対して、敬意を表します。
さて、群馬県議会では、11月6日(火)~8日(木)まで2泊3日で、国際戦略対策特別委員会が中国・上海への海外視察を計画していますが、このことについて、再度、見直していただき、今回の海外視察を中止するようここに強く要請します。理由は次のとおりです。
(1) 群馬県議会による海外視察で思い出されるのは、7年前にも、県議会で世界遺産等にからめた欧州主体の視察計画が立案され、実際に第1陣が出発したことがあります。当時、当会がこの視察計画の問題点を摘出し、マスコミに視察情報を事前に提供したところ、実際に現地取材を敢行したマスコミ社があり、世界遺産と称して一人100万円以上もかけた豪遊旅行であることが発覚し、「県議たちのローマの休日」というタイトルで実態映像が番組として全国に放送され、赤恥を晒したことがありました。そして、その番組を視聴した県民の怒りが心頭に達し、第2陣以降、出発予定だった常任委員会による「海外視察」が急遽中止に追い込まれたことがあります。
(2) 今回の県議会による海外視察は昨年度から実施に向けた地ならしが行なわれ、今年度、平成24年度の当初予算要求書にも予算計上され、6月18日の国際戦略対策委の勉強会の開催を手始めに、中国。上海を目的地とした計画立案と実施に向けた協議が重ねられ、計画書が策定されました。そして、計画書が議長宛に提出されたのを受けて、計画の必要性及び妥当性について、「群馬県議会委員会調査審査会設置要綱」に基づき、第三者機関である群馬県議会委員会調査審査会により審査が行なわれて、8月31日にめでたく委員会調査の委員派遣が承認されました。
(3) ところが、野田首相が平成24年9月11日に、東京都の石原知事が進めていた東京都による尖閣諸島購入計画の対象だった、それまで日本人の正当な私有地だった尖閣列島の三島(魚釣島、北小島、南小島)を20億5000万円で購入し、国有地化したことで、中国政府が反日運動を扇動したことから、たちまち風向きがおかしくなりました。中国の反日の動きは、現在もなお続いており、収まる見通しは全く立っていません。
(4) 国際戦略対策特別委による上海への視察計画の調査目的は、①群馬県が来年度に設置予定の上海事務所予定地の現地状況と併せて、既に多くの自治体により設置されている他県等の上海事務所の運営状況等について調査すること。②現地の日本総領事館を訪問し、社会・経済情勢等の情報収集を行うとともに、今後の上海事務所における事業展開がスムーズに推進できるよう協力依頼すること。③本県に本社を置く企業のうち、既に上海やその周辺に工場等を設置し海外展開を進めている事業者も多くあるため、その現地状況等について調査すること。④現地で開催される国際展示会等の会場を訪問し、本県及び他の自治体等が中国に向けてどのように観光誘客や商品をPRしているのか等の現状について調査すること、とされていました。
(5) しかし、④で当てにしていた中国上海市の万博跡地で11月に予定されていた、日中国交正常化40周年を記念する大型イベント「ニッポン・エキスポ in Shanghai 2012」は9月27日までに無期延期されました。また、③の現地に進出している日系企業も、今回の反日暴動の深刻さを重視して、今後の事業展開については皆目検討が点かない状況にあることは明らかです。②の現地の日本総領事館においても、邦人保護の観点から迅速な対応を迫られており、とても今後の事業展開について前向きな協力を要請する環境にないことは明らかです。そして、①の群馬県が来春設置予定の上海事務所の予定場所や、他県等の上海事務所の視察についても、今後の設置の意義そのものが問われかねない状況にあることは誰の目にも明らかです。
(6) さらに心配なのは、11月2日付の報道によると、上海の日本総領事館の話として、邦人2名が江蘇省太倉市で中国人の男2人に殴りかかられ、顔に負傷したという事件が報じられているように、9月11日の中国政府が扇動している反日暴動の影響で、邦人が暴行を受ける事件があとを絶ちません。とくに5万6000人を超える中国最大の在留邦人を抱える上海とその周辺地域では、日本政府による9月11日の国有化決定以降に、路上で突然、ラーメンを頭からかけられるなど邦人が中国人から暴行を受けるケースが多発しており、先月も上海市内で邦人らが刃物で切りつけられる事件が起きています。
(7) 今回の中国における対日感情の急速な悪化という、かかる状況を鑑みて、今後、改善が見込めない対中関係のもとでの群馬県による現地事務所開設は直ちに凍結し、むしろ台湾やロシアなど、まともな国への進出を再検討すべきであることは、県民の誰しも思うところであります。
(8) 私たちが選んだ群馬県の選良の皆さんが、現地で中国人の暴行を受けたりすれば、それこそ大変な問題であり、取り返しのつかない事態も想定されます。そうしたリスクを侵してまで、県議の皆さんが反日暴動の渦中にある中国に赴いて現地視察調査をする意義はどうしても見当たりません。今回も常識ある県議の方は不参加を表明されたと聞き及んでおります。よって、私たちは、来週11月6日に迫った現地視察は直ちに中止されることをここに強く申し入れるものです。
以上
**********
■さっそく、この問題を以前から記事にしている毎日新聞が、11月3日の朝刊に関連記事を掲載しました。
**********2012年11月03日毎日新聞地方版
県議会:中国上海視察 茂木英子県議の不参加正式決定 /群馬
県議会の国際戦略特別委員会が6~8日に実施する中国上海市の視察について、委員の茂木英子県議(爽風)が参加しないことが、2日までに正式に決まった。視察は、茂木県議を除く11人の委員で実施する。
毎日新聞の取材に対し茂木県議は「日中関係が悪化する中、当初予定していた人脈作りや観光誘客を視野に入れた視察ができるのか不安が残る。時期を選び延期したほうが良い」などと不参加の理由を話した。
一方、市民団体の市民オンブズマン群馬(小川賢代表)は同日、「日中関係が悪化する中での視察は不適切」などとして、松本耕司議長宛てに視察中止を申し入れた。理由について、鈴木庸事務局長は「5年に1回の中国共産党大会の開幕を8日に控えており、視察時期も非常識」などと話している。【庄司哲也】
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■上記記事にもあるとおり、11月8日は第18回中国共産党代表大会(略して中共党大会)が開催される日です。
実際にはこの中共党大会の前に、中国共産党の第17期中央委員会第7回全体会議(7中全会)が11月1日に、北京市内の軍直轄のホテルで開会しました。この会議は11月8日からの第18回中共党大会の準備作業をするためのものです。この準備会議の最大の焦点は、党大会閉幕翌日に選出される党最高指導部の政治局常務委員や政治局員などの幹部人事に関する協議です。
ふだんであれば、夏に河北省北戴河で開かれる非公式会議で幹部の人事案がほぼ固まるはずでした。ところが今回は、胡錦濤・国家主席と江沢民・前国家主席らとの間で意見が対立したため、当初は10月中旬を予定していた中共党大会の開幕が11月8日まで延びたのです。
中共党大会は5年に1回、1週間ほど開催されます。規則上は、中央委員会あるいは省級党委員会の3分の1以上の要求があれば5年よりも早く開催され、また、非常事態を除いては延期は禁止されています。ただし1976年9月9日の毛沢東の死後から現在までは、5年毎に定期的に行われています。
中共党中央委員会の委員と委員候補は、この党大会で選挙されます。委員や委員候補になるには5年以上の党歴が必要であり、委員に欠員が出ると、委員候補から得票の多い順に補填されます。委員に立候補するためには、党組織の推薦が必要で、推薦された者が多い場合には、予備選挙を行うこともあります。
■今回の第18回中共党大会と来年、2013年3月開催予定の第12期となる全人代を経て、10年間続いた胡錦濤・総書記(国家主席)と温家宝・首相を中核とする指導部から、習近平・国家副主席と李克強・副首相を中核とする新指導部への移行が想定されます。
この全国人民代表大会(略して「全人代」=国会)は任期が5年で、毎年1回、3月頃に開催されています。代表の定数は3000人を超えてはならないとされ、今年3月14日まで2週間開かれた第11期全人代では、議員数は2,985人でした。各省・自治区・直轄市・特別行政区の代表および軍の代表から構成されており、少数民族や非中国共産党員も含まれていますが、代表の約70%が共産党員です。なお、全人代代表選挙は全人代常務委員会が主催します。
全人代の期間中、北京では厳戒態勢が敷かれます。北京以外の車両は、事前に特別通行書を取得しておかなければ、北京へ入ることはできなくなります。また、包丁などを購入する場合は身分証の呈示が必要となり、この期間中は、一般庶民にとって不自由な日々が続きます。
全人代の代表人数(定員)は2978人で、このうち公務員は2,491人を占めており、全体の80%以上の代表は公務員で構成されていることになります。このため、中国国民、とりわけ開催地の首都北京の市民の間でも「全人代は、人民の代表ではなく、役人の代表の会議だ。全国役人代表大会の開催で、どうして北京市民が不自由な生活を強いられるのか」と不満の声が出ています。
■今回、我らが県議会議員のセンセイたちは、こういうややこしい時期に、上海に行くのです。もっとも、厳戒態勢になるのは北京であり、上海は直接的には警備はさほど厳しくないでしょうが、上海当局も、中共党大会の推移にはさぞかし神経を尖らせているでしょう。
となると、我らが群馬県議のセンセイたちも、さぞかし、邪魔者扱いされるに違いありません。相手にしてもらえず、門前払いされ、ただ、当局の建物を見てくるだけに終わるかもしれません。
しかし、最初から、中国当局との面談など、計画していなければ、むしろ当局が多忙な時のほうが遊びに行くチャンスなのかもしれません。
北京事務所の設置許可には、当局のお墨付きが必要になるはずです。であれば、県議のセンセイたちが、なぜこの時期にそれほど行くのにこだわるのでしょうか。
ただ単に、上海事務所の予定場所を見て、他の自治体の上海事務所をただ単に見学して、在上海日本総領事館にいってお茶を飲んで、多忙を極めているだとう書記官にちょっとだけ挨拶して、あとは、東京海上日動火災保険の上海支店とシバタ?電子工業のオフィスに立ち寄って、挨拶がてら写真を一緒にとってくるだけなのではないか、と思ってしまいます。
■㈶自治体国際化協会によると、中国に事務所を設置した日本の自治体としては、大阪府が1985年に、横浜市が1987年に、改革開放後の1970年代末~80年代中頃、いわゆる第一次投資ブーム当時に上海事務所を開設しました。当時は、友好都市提携を契機に設置するという、どちらかといえば都市間交流促進が目的でした。
その後90年代中頃から、中国の経済発展につれて、経済に比重が移り、長崎県、静岡県、茨城県など進出自治体が徐々に増えはじめました。
2001年、中国がWTOに加盟して第3次投資ブームに突入すると、企業の進出増加に歩調を合わせて日本の自治体の海外事務所も増え、現在では44自治体に及んでいます。
地域別で見ると上海に拠点を構える自治体事務所が圧倒的に多く、また、西日本の自治体が多数を占めています。上海には外部委託も含め、33の自治体が事務所を構えています。
→上海市:北海道2011、青森県2005、福島県2004、横浜市1987、茨城県1996、埼玉県2010、長野県1995、石川県1997、福井県1999、岐阜県2004、富山県2004、静岡県1994、愛知県2004、大阪府1985・大阪市1996、京都府、神戸市、岡山県1997、広島県2003、香川県2009、愛媛県2009、高知県2003、徳島県2009、福岡県2003・福岡市2005・北九州市2005、大分県2006、長崎県1991、宮崎県2002、鹿児島県1987、熊本県・熊本市2011、沖縄県2005
一方、北の大連では、距離的にも近いせいか東北地方の自治体が多く進出しています。
→大連市:青森県2005、岩手県2005、宮城県2005、秋田県2005、神奈川県1990、新潟県1997、富山県2004、北九州市2005、北海道(地方銀行へ職員派遣)
首都の北京には4つの自治体(北海道・札幌市2003、新潟市2006、沖縄県2012)しか事務所が存在していません。北京には上場企業の進出数が非上場企業より多く、行政サービスを必要とする中小企業の進出数が相対的に他より少ないためと見られます。上海が経済都市で、北京が政治都市と呼ばれる所以もここにあるかもしれません。
その他、天津市:神戸市1985、南京市:兵庫県・神戸市2001、福州市:沖縄県1998、ハルピン市:山形県2011、瀋陽市:佐賀県2011、香港:7自治体(栃木県、福井県、兵庫県、福岡県、佐賀県、鹿児島県、沖縄県)となっています。
これらの海外事務所の業務目的はそれぞれ異なりますが、一般的には「進出企業の支援」「観光客誘致」、最近では中国・上海への「特産品の売り込み」の傾向にあり、その他、大阪や横浜市などは、地元企業の中国進出促進のみならず中国企業の誘致も積極的に行っています。
最近の自治体進出の動きとしては、2011年から2012年にかけて、佐賀県、山形県、北海道、熊本県、熊本市および沖縄県が相次いで中国国内へ新たに事務所を開設、あるいは開設準備をしています。
佐賀県は、1995年から交流している遼寧省との長年にわたる友好関係で築かれた人脈により、2011年10月に遼寧省瀋陽市に事務所を開設するとともに、定着してきた佐賀牛ブランド等の輸出拡大や県内企業の支援、観光客誘致など推進のため、香港事務所も開設しました。
山形県は、これまで友好県省としての交流実績や人脈形成等が進んだ黒龍江省ハルピン市に2011年10月に事務所を開設しました。
北海道は、近年中国との貿易が増えて、中国からの観光客も大幅に増加しているとして、日中経済協会との連携で、2011年12月に上海事務所を開設しました。
熊本県・熊本市は、熊本大学と共同で、ビジネス支援・観光客誘致・留学生獲得のため2012年1月に上海事務所を開設しました。
沖縄県は、1998年に福州市に、2005年から上海市に事務所を開設済みですが、2011年7月1日から日本政府による中国人個人観光客への数次ビザが創設され、同7月28日に初めて北京・沖縄間の航空路線が開設されたため、北京に2012年7月事務所を開設しました。
このように、他の多くの自治体はそれぞれ戦略を持っていち早く中国に出先機関を設置して活動していましたが、群馬県は、これまでほったらかしで、民間の中小企業は自ら中国に進出して市場を開拓してきました。最近では新たな企業進出が一段落したため、観光客誘致や物産品の販路開拓などにシフトしてきたため、それまで他県の動きを指を加えてみていた群馬県も、遅まきながらようやく事務所開設を計画しだしたものと思われます。中国のワイロ社会における許認可支援業務をともなう企業進出支援と異なり、観光客誘致や物産品の販売促進などは、どちらかといえば簡単な業務だからです。
ところが、ようやく上海の現地事務所開設に向けた準備の段取りをしているうちに、中国情勢が大きく変化してしまったのです。もはや、血税を投入してまで上海事務所を開設したり、北京事務所や香港事務所に職員を派遣する必要はありません。
【ひらく会情報部】
参考資料
群馬県の国際戦略(群馬県HPから)
ぐんま広報24年5月号 特集 群馬県国際戦略~東アジアの活力を取り込むために~ 3
海外に拠点をつくる
職員を派遣したり、在住者に協力を求めたりして、現地の情報収集や人的ネットワークの構築を図ります。
群馬県上海事務所の開設
自治体国際化協会北京事務所、日本政府観光局香港事務所への職員派遣
海外ぐんまサポーターズ委嘱
※海外ぐんまサポーターズ
群馬県の応援組織として海外にある県人会などに、委嘱しています。海外在住・在勤者ならではの人脈や経験を生かし、情報の提供や本県のPRなどに協力していただきます。
現在は上海とシンガポールの2カ所にあり、今後、その他の地域にも設置していく予定です
昨年11月に、海外ぐんまサポーターズを委嘱された、上海群馬県人会「上州空っ風会」代表幹事の高野英明さんにお話を伺いました。
「上州空っ風会は、群馬県出身者を中心とした県人会で、100人を超える会員がいます。3カ月に1度ほど集まって交流を深めています。
群馬には上海の人に喜ばれそうな食べ物や観光資源がたくさんあるので、もっとPRするとよいと思います。上海で見本市やイベントを開催する際には応援したいですし、県内の事業者の人も、積極的に進出に挑戦してみてはいかがでしょうか。上州空っ風会には、日本人だけでなく、中国人の会員もたくさんいるので、さまざまな形での情報提供が可能だと思います。何か困ったことがあれば、気軽に相談してほしいです」
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【対象となる主な国・地域の特性】
中国
観光誘客、農畜産物等の販路拡大の両面で、巨大な市場(人口13億人)。経済成長も進む。(GDP成長率10.4%)。企業の展開意欲も高い。
訪日外客数第2位(141万人)。本県宿泊者数第2位(約10,300人)。
<上海市を中心とする沿岸部>
従来成長の牽引役であり、日系企業が集積。世界中から、企業、人、もの、情報などが集中。交通ネットワークも充実。他県事務所も多い(24道府県)。
<東北部を中心とする渤海湾沿岸部>
沿岸部を上回る経済成長(14%程度)。三県知事会議で連携する新潟県が交流に力。遼寧省とのネットワーク。
<内陸部>
沿岸部を上回る経済成長(13%程度)だが、第1次産業が主流。距離的にも遠く、産業集積も少ない。
【観光誘客の促進、農畜産物等の販路拡大、企業のビジネス展開に大きな可能性】
香港
フリーポート(日本からの農林水産物輸出額1,210億円)
本県宿泊者数第4位(約5,700人)。リピータ多く、旅行が生活に根付いた国民性。流行、情報の中国本土への波及効果。
【観光誘客の促進、農畜産物等の販路拡大に大きな可能性】
台湾
本県宿泊者数第1位(約25,000人)。教育旅行で実績あり。
親日的風土や日系企業集積があり、日本食への需要大。
【観光誘客の促進、農畜産物等の販路拡大に大きな可能性】
韓国
訪日外客数第1位(244万人)。
本県宿泊者数は、台湾、中国に次ぎ第3位(約8,600人)。
個人旅行やリピータが増加。温泉、自然、四季にも強い興味。
【観光誘客の促進に大きな可能性】
シンガポール、タイ、ベトナムなどのASEAN諸国
<シンガポール>
フリーポート。上州牛で築いた販路あり。
<タイ>
在留邦人多く、日本食への需要大。産業集積、ASEANへの輸出拠点としての特性から、企業の展開意欲高い。
<ベトナム>
安い人件費(賃金107ドル/月)から、企業の展開意欲高い。
<その他のASEAN諸国>
総じて安い人件費を背景に、企業の展開意欲高い。
【群馬県国際戦略体系】
重点戦略
戦略1 中国一の経済・情報都市「上海」における施策の重点展開と「GUNMA」の総合情報発信
戦略2 これまでの取組などを足がかりとした「中国東北部」における経済交流の創出
戦略3 中国本土への波及効果も見据えた「香港」への取組強化
戦略4 観光誘客の促進を中心とする「台湾」「韓国」への取組強化
戦略5 「ASEAN諸国」に対する農畜産物等の販路拡大、ビジネス展開支援の取組強化
【施策展開の方向性】
セールス・プロモーション活動の強化
海外に向けた情報発信機能の強化
「経済」に目を向けた「きっかけづくり」と人的資源の十分な活用
事業者の販路開拓活動の支援
現地情報収集・提供機能の強化
県内環境の整備
支援機関との連携強化・支援制度の十分な活用
庁内の人材育成や組織体制の充実
●海外拠点を設置し、1~5の施策に重点的に取り組む。
上海市群馬県上海事務所(平成25年度の開設に向けて準備)
北京市(財)自治体国際化協会(CLAIR)へ職員派遣(平成24年度から。北京事務所勤務は平成25年度から)
香港日本政府観光局(JNTO)へ職員派遣(平成24年度から)
●観光協会などの関係者とネットワークを共有し、一体となって取り組む。
【推進体系】
国内体制
ネットワークの共有と関係者一体となった取組
県(企画部、観光局、農政部、産業経済部):目標の共有、連携した取組:県議会、市町村、団体事業者支援機関、県内留学生
【海外拠点等展開(最終年度(平成27年度)の完成イメージ)】
海外拠点を通じたネットワーク、協力体制の構築
群馬県上海事務所
CLAIR北京事務所(職員派遣)
JNTO香港事務所(職員派遣)
海外ぐんまサポーター(ズ)(県人会等)
設置済地域 2カ所(上海・シンガポール)(平成23年度末時点)
今後の設置に向け、キーパーソンの発掘に努める地域 4カ所(中国東北部、台湾、韓国、ASEAN諸国)
支援機関の海外拠点、本県からの進出企業、本県留学生OB
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平成24(2012)年11月2日
〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
群馬県議会
議長 松 本 耕 司 様
市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢
申 入 書
貴職におかれましては、平素より地方自治の推進に真摯に取り組まれ、そのご努力に対して、敬意を表します。
さて、群馬県議会では、11月6日(火)~8日(木)まで2泊3日で、国際戦略対策特別委員会が中国・上海への海外視察を計画していますが、このことについて、再度、見直していただき、今回の海外視察を中止するようここに強く要請します。理由は次のとおりです。
(1) 群馬県議会による海外視察で思い出されるのは、7年前にも、県議会で世界遺産等にからめた欧州主体の視察計画が立案され、実際に第1陣が出発したことがあります。当時、当会がこの視察計画の問題点を摘出し、マスコミに視察情報を事前に提供したところ、実際に現地取材を敢行したマスコミ社があり、世界遺産と称して一人100万円以上もかけた豪遊旅行であることが発覚し、「県議たちのローマの休日」というタイトルで実態映像が番組として全国に放送され、赤恥を晒したことがありました。そして、その番組を視聴した県民の怒りが心頭に達し、第2陣以降、出発予定だった常任委員会による「海外視察」が急遽中止に追い込まれたことがあります。
(2) 今回の県議会による海外視察は昨年度から実施に向けた地ならしが行なわれ、今年度、平成24年度の当初予算要求書にも予算計上され、6月18日の国際戦略対策委の勉強会の開催を手始めに、中国。上海を目的地とした計画立案と実施に向けた協議が重ねられ、計画書が策定されました。そして、計画書が議長宛に提出されたのを受けて、計画の必要性及び妥当性について、「群馬県議会委員会調査審査会設置要綱」に基づき、第三者機関である群馬県議会委員会調査審査会により審査が行なわれて、8月31日にめでたく委員会調査の委員派遣が承認されました。
(3) ところが、野田首相が平成24年9月11日に、東京都の石原知事が進めていた東京都による尖閣諸島購入計画の対象だった、それまで日本人の正当な私有地だった尖閣列島の三島(魚釣島、北小島、南小島)を20億5000万円で購入し、国有地化したことで、中国政府が反日運動を扇動したことから、たちまち風向きがおかしくなりました。中国の反日の動きは、現在もなお続いており、収まる見通しは全く立っていません。
(4) 国際戦略対策特別委による上海への視察計画の調査目的は、①群馬県が来年度に設置予定の上海事務所予定地の現地状況と併せて、既に多くの自治体により設置されている他県等の上海事務所の運営状況等について調査すること。②現地の日本総領事館を訪問し、社会・経済情勢等の情報収集を行うとともに、今後の上海事務所における事業展開がスムーズに推進できるよう協力依頼すること。③本県に本社を置く企業のうち、既に上海やその周辺に工場等を設置し海外展開を進めている事業者も多くあるため、その現地状況等について調査すること。④現地で開催される国際展示会等の会場を訪問し、本県及び他の自治体等が中国に向けてどのように観光誘客や商品をPRしているのか等の現状について調査すること、とされていました。
(5) しかし、④で当てにしていた中国上海市の万博跡地で11月に予定されていた、日中国交正常化40周年を記念する大型イベント「ニッポン・エキスポ in Shanghai 2012」は9月27日までに無期延期されました。また、③の現地に進出している日系企業も、今回の反日暴動の深刻さを重視して、今後の事業展開については皆目検討が点かない状況にあることは明らかです。②の現地の日本総領事館においても、邦人保護の観点から迅速な対応を迫られており、とても今後の事業展開について前向きな協力を要請する環境にないことは明らかです。そして、①の群馬県が来春設置予定の上海事務所の予定場所や、他県等の上海事務所の視察についても、今後の設置の意義そのものが問われかねない状況にあることは誰の目にも明らかです。
(6) さらに心配なのは、11月2日付の報道によると、上海の日本総領事館の話として、邦人2名が江蘇省太倉市で中国人の男2人に殴りかかられ、顔に負傷したという事件が報じられているように、9月11日の中国政府が扇動している反日暴動の影響で、邦人が暴行を受ける事件があとを絶ちません。とくに5万6000人を超える中国最大の在留邦人を抱える上海とその周辺地域では、日本政府による9月11日の国有化決定以降に、路上で突然、ラーメンを頭からかけられるなど邦人が中国人から暴行を受けるケースが多発しており、先月も上海市内で邦人らが刃物で切りつけられる事件が起きています。
(7) 今回の中国における対日感情の急速な悪化という、かかる状況を鑑みて、今後、改善が見込めない対中関係のもとでの群馬県による現地事務所開設は直ちに凍結し、むしろ台湾やロシアなど、まともな国への進出を再検討すべきであることは、県民の誰しも思うところであります。
(8) 私たちが選んだ群馬県の選良の皆さんが、現地で中国人の暴行を受けたりすれば、それこそ大変な問題であり、取り返しのつかない事態も想定されます。そうしたリスクを侵してまで、県議の皆さんが反日暴動の渦中にある中国に赴いて現地視察調査をする意義はどうしても見当たりません。今回も常識ある県議の方は不参加を表明されたと聞き及んでおります。よって、私たちは、来週11月6日に迫った現地視察は直ちに中止されることをここに強く申し入れるものです。
以上
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■さっそく、この問題を以前から記事にしている毎日新聞が、11月3日の朝刊に関連記事を掲載しました。
**********2012年11月03日毎日新聞地方版
県議会:中国上海視察 茂木英子県議の不参加正式決定 /群馬
県議会の国際戦略特別委員会が6~8日に実施する中国上海市の視察について、委員の茂木英子県議(爽風)が参加しないことが、2日までに正式に決まった。視察は、茂木県議を除く11人の委員で実施する。
毎日新聞の取材に対し茂木県議は「日中関係が悪化する中、当初予定していた人脈作りや観光誘客を視野に入れた視察ができるのか不安が残る。時期を選び延期したほうが良い」などと不参加の理由を話した。
一方、市民団体の市民オンブズマン群馬(小川賢代表)は同日、「日中関係が悪化する中での視察は不適切」などとして、松本耕司議長宛てに視察中止を申し入れた。理由について、鈴木庸事務局長は「5年に1回の中国共産党大会の開幕を8日に控えており、視察時期も非常識」などと話している。【庄司哲也】
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■上記記事にもあるとおり、11月8日は第18回中国共産党代表大会(略して中共党大会)が開催される日です。
実際にはこの中共党大会の前に、中国共産党の第17期中央委員会第7回全体会議(7中全会)が11月1日に、北京市内の軍直轄のホテルで開会しました。この会議は11月8日からの第18回中共党大会の準備作業をするためのものです。この準備会議の最大の焦点は、党大会閉幕翌日に選出される党最高指導部の政治局常務委員や政治局員などの幹部人事に関する協議です。
ふだんであれば、夏に河北省北戴河で開かれる非公式会議で幹部の人事案がほぼ固まるはずでした。ところが今回は、胡錦濤・国家主席と江沢民・前国家主席らとの間で意見が対立したため、当初は10月中旬を予定していた中共党大会の開幕が11月8日まで延びたのです。
中共党大会は5年に1回、1週間ほど開催されます。規則上は、中央委員会あるいは省級党委員会の3分の1以上の要求があれば5年よりも早く開催され、また、非常事態を除いては延期は禁止されています。ただし1976年9月9日の毛沢東の死後から現在までは、5年毎に定期的に行われています。
中共党中央委員会の委員と委員候補は、この党大会で選挙されます。委員や委員候補になるには5年以上の党歴が必要であり、委員に欠員が出ると、委員候補から得票の多い順に補填されます。委員に立候補するためには、党組織の推薦が必要で、推薦された者が多い場合には、予備選挙を行うこともあります。
■今回の第18回中共党大会と来年、2013年3月開催予定の第12期となる全人代を経て、10年間続いた胡錦濤・総書記(国家主席)と温家宝・首相を中核とする指導部から、習近平・国家副主席と李克強・副首相を中核とする新指導部への移行が想定されます。
この全国人民代表大会(略して「全人代」=国会)は任期が5年で、毎年1回、3月頃に開催されています。代表の定数は3000人を超えてはならないとされ、今年3月14日まで2週間開かれた第11期全人代では、議員数は2,985人でした。各省・自治区・直轄市・特別行政区の代表および軍の代表から構成されており、少数民族や非中国共産党員も含まれていますが、代表の約70%が共産党員です。なお、全人代代表選挙は全人代常務委員会が主催します。
全人代の期間中、北京では厳戒態勢が敷かれます。北京以外の車両は、事前に特別通行書を取得しておかなければ、北京へ入ることはできなくなります。また、包丁などを購入する場合は身分証の呈示が必要となり、この期間中は、一般庶民にとって不自由な日々が続きます。
全人代の代表人数(定員)は2978人で、このうち公務員は2,491人を占めており、全体の80%以上の代表は公務員で構成されていることになります。このため、中国国民、とりわけ開催地の首都北京の市民の間でも「全人代は、人民の代表ではなく、役人の代表の会議だ。全国役人代表大会の開催で、どうして北京市民が不自由な生活を強いられるのか」と不満の声が出ています。
■今回、我らが県議会議員のセンセイたちは、こういうややこしい時期に、上海に行くのです。もっとも、厳戒態勢になるのは北京であり、上海は直接的には警備はさほど厳しくないでしょうが、上海当局も、中共党大会の推移にはさぞかし神経を尖らせているでしょう。
となると、我らが群馬県議のセンセイたちも、さぞかし、邪魔者扱いされるに違いありません。相手にしてもらえず、門前払いされ、ただ、当局の建物を見てくるだけに終わるかもしれません。
しかし、最初から、中国当局との面談など、計画していなければ、むしろ当局が多忙な時のほうが遊びに行くチャンスなのかもしれません。
北京事務所の設置許可には、当局のお墨付きが必要になるはずです。であれば、県議のセンセイたちが、なぜこの時期にそれほど行くのにこだわるのでしょうか。
ただ単に、上海事務所の予定場所を見て、他の自治体の上海事務所をただ単に見学して、在上海日本総領事館にいってお茶を飲んで、多忙を極めているだとう書記官にちょっとだけ挨拶して、あとは、東京海上日動火災保険の上海支店とシバタ?電子工業のオフィスに立ち寄って、挨拶がてら写真を一緒にとってくるだけなのではないか、と思ってしまいます。
■㈶自治体国際化協会によると、中国に事務所を設置した日本の自治体としては、大阪府が1985年に、横浜市が1987年に、改革開放後の1970年代末~80年代中頃、いわゆる第一次投資ブーム当時に上海事務所を開設しました。当時は、友好都市提携を契機に設置するという、どちらかといえば都市間交流促進が目的でした。
その後90年代中頃から、中国の経済発展につれて、経済に比重が移り、長崎県、静岡県、茨城県など進出自治体が徐々に増えはじめました。
2001年、中国がWTOに加盟して第3次投資ブームに突入すると、企業の進出増加に歩調を合わせて日本の自治体の海外事務所も増え、現在では44自治体に及んでいます。
地域別で見ると上海に拠点を構える自治体事務所が圧倒的に多く、また、西日本の自治体が多数を占めています。上海には外部委託も含め、33の自治体が事務所を構えています。
→上海市:北海道2011、青森県2005、福島県2004、横浜市1987、茨城県1996、埼玉県2010、長野県1995、石川県1997、福井県1999、岐阜県2004、富山県2004、静岡県1994、愛知県2004、大阪府1985・大阪市1996、京都府、神戸市、岡山県1997、広島県2003、香川県2009、愛媛県2009、高知県2003、徳島県2009、福岡県2003・福岡市2005・北九州市2005、大分県2006、長崎県1991、宮崎県2002、鹿児島県1987、熊本県・熊本市2011、沖縄県2005
一方、北の大連では、距離的にも近いせいか東北地方の自治体が多く進出しています。
→大連市:青森県2005、岩手県2005、宮城県2005、秋田県2005、神奈川県1990、新潟県1997、富山県2004、北九州市2005、北海道(地方銀行へ職員派遣)
首都の北京には4つの自治体(北海道・札幌市2003、新潟市2006、沖縄県2012)しか事務所が存在していません。北京には上場企業の進出数が非上場企業より多く、行政サービスを必要とする中小企業の進出数が相対的に他より少ないためと見られます。上海が経済都市で、北京が政治都市と呼ばれる所以もここにあるかもしれません。
その他、天津市:神戸市1985、南京市:兵庫県・神戸市2001、福州市:沖縄県1998、ハルピン市:山形県2011、瀋陽市:佐賀県2011、香港:7自治体(栃木県、福井県、兵庫県、福岡県、佐賀県、鹿児島県、沖縄県)となっています。
これらの海外事務所の業務目的はそれぞれ異なりますが、一般的には「進出企業の支援」「観光客誘致」、最近では中国・上海への「特産品の売り込み」の傾向にあり、その他、大阪や横浜市などは、地元企業の中国進出促進のみならず中国企業の誘致も積極的に行っています。
最近の自治体進出の動きとしては、2011年から2012年にかけて、佐賀県、山形県、北海道、熊本県、熊本市および沖縄県が相次いで中国国内へ新たに事務所を開設、あるいは開設準備をしています。
佐賀県は、1995年から交流している遼寧省との長年にわたる友好関係で築かれた人脈により、2011年10月に遼寧省瀋陽市に事務所を開設するとともに、定着してきた佐賀牛ブランド等の輸出拡大や県内企業の支援、観光客誘致など推進のため、香港事務所も開設しました。
山形県は、これまで友好県省としての交流実績や人脈形成等が進んだ黒龍江省ハルピン市に2011年10月に事務所を開設しました。
北海道は、近年中国との貿易が増えて、中国からの観光客も大幅に増加しているとして、日中経済協会との連携で、2011年12月に上海事務所を開設しました。
熊本県・熊本市は、熊本大学と共同で、ビジネス支援・観光客誘致・留学生獲得のため2012年1月に上海事務所を開設しました。
沖縄県は、1998年に福州市に、2005年から上海市に事務所を開設済みですが、2011年7月1日から日本政府による中国人個人観光客への数次ビザが創設され、同7月28日に初めて北京・沖縄間の航空路線が開設されたため、北京に2012年7月事務所を開設しました。
このように、他の多くの自治体はそれぞれ戦略を持っていち早く中国に出先機関を設置して活動していましたが、群馬県は、これまでほったらかしで、民間の中小企業は自ら中国に進出して市場を開拓してきました。最近では新たな企業進出が一段落したため、観光客誘致や物産品の販路開拓などにシフトしてきたため、それまで他県の動きを指を加えてみていた群馬県も、遅まきながらようやく事務所開設を計画しだしたものと思われます。中国のワイロ社会における許認可支援業務をともなう企業進出支援と異なり、観光客誘致や物産品の販売促進などは、どちらかといえば簡単な業務だからです。
ところが、ようやく上海の現地事務所開設に向けた準備の段取りをしているうちに、中国情勢が大きく変化してしまったのです。もはや、血税を投入してまで上海事務所を開設したり、北京事務所や香港事務所に職員を派遣する必要はありません。
【ひらく会情報部】
参考資料
群馬県の国際戦略(群馬県HPから)
ぐんま広報24年5月号 特集 群馬県国際戦略~東アジアの活力を取り込むために~ 3
海外に拠点をつくる
職員を派遣したり、在住者に協力を求めたりして、現地の情報収集や人的ネットワークの構築を図ります。
群馬県上海事務所の開設
自治体国際化協会北京事務所、日本政府観光局香港事務所への職員派遣
海外ぐんまサポーターズ委嘱
※海外ぐんまサポーターズ
群馬県の応援組織として海外にある県人会などに、委嘱しています。海外在住・在勤者ならではの人脈や経験を生かし、情報の提供や本県のPRなどに協力していただきます。
現在は上海とシンガポールの2カ所にあり、今後、その他の地域にも設置していく予定です
昨年11月に、海外ぐんまサポーターズを委嘱された、上海群馬県人会「上州空っ風会」代表幹事の高野英明さんにお話を伺いました。
「上州空っ風会は、群馬県出身者を中心とした県人会で、100人を超える会員がいます。3カ月に1度ほど集まって交流を深めています。
群馬には上海の人に喜ばれそうな食べ物や観光資源がたくさんあるので、もっとPRするとよいと思います。上海で見本市やイベントを開催する際には応援したいですし、県内の事業者の人も、積極的に進出に挑戦してみてはいかがでしょうか。上州空っ風会には、日本人だけでなく、中国人の会員もたくさんいるので、さまざまな形での情報提供が可能だと思います。何か困ったことがあれば、気軽に相談してほしいです」
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【対象となる主な国・地域の特性】
中国
観光誘客、農畜産物等の販路拡大の両面で、巨大な市場(人口13億人)。経済成長も進む。(GDP成長率10.4%)。企業の展開意欲も高い。
訪日外客数第2位(141万人)。本県宿泊者数第2位(約10,300人)。
<上海市を中心とする沿岸部>
従来成長の牽引役であり、日系企業が集積。世界中から、企業、人、もの、情報などが集中。交通ネットワークも充実。他県事務所も多い(24道府県)。
<東北部を中心とする渤海湾沿岸部>
沿岸部を上回る経済成長(14%程度)。三県知事会議で連携する新潟県が交流に力。遼寧省とのネットワーク。
<内陸部>
沿岸部を上回る経済成長(13%程度)だが、第1次産業が主流。距離的にも遠く、産業集積も少ない。
【観光誘客の促進、農畜産物等の販路拡大、企業のビジネス展開に大きな可能性】
香港
フリーポート(日本からの農林水産物輸出額1,210億円)
本県宿泊者数第4位(約5,700人)。リピータ多く、旅行が生活に根付いた国民性。流行、情報の中国本土への波及効果。
【観光誘客の促進、農畜産物等の販路拡大に大きな可能性】
台湾
本県宿泊者数第1位(約25,000人)。教育旅行で実績あり。
親日的風土や日系企業集積があり、日本食への需要大。
【観光誘客の促進、農畜産物等の販路拡大に大きな可能性】
韓国
訪日外客数第1位(244万人)。
本県宿泊者数は、台湾、中国に次ぎ第3位(約8,600人)。
個人旅行やリピータが増加。温泉、自然、四季にも強い興味。
【観光誘客の促進に大きな可能性】
シンガポール、タイ、ベトナムなどのASEAN諸国
<シンガポール>
フリーポート。上州牛で築いた販路あり。
<タイ>
在留邦人多く、日本食への需要大。産業集積、ASEANへの輸出拠点としての特性から、企業の展開意欲高い。
<ベトナム>
安い人件費(賃金107ドル/月)から、企業の展開意欲高い。
<その他のASEAN諸国>
総じて安い人件費を背景に、企業の展開意欲高い。
【群馬県国際戦略体系】
重点戦略
戦略1 中国一の経済・情報都市「上海」における施策の重点展開と「GUNMA」の総合情報発信
戦略2 これまでの取組などを足がかりとした「中国東北部」における経済交流の創出
戦略3 中国本土への波及効果も見据えた「香港」への取組強化
戦略4 観光誘客の促進を中心とする「台湾」「韓国」への取組強化
戦略5 「ASEAN諸国」に対する農畜産物等の販路拡大、ビジネス展開支援の取組強化
【施策展開の方向性】
セールス・プロモーション活動の強化
海外に向けた情報発信機能の強化
「経済」に目を向けた「きっかけづくり」と人的資源の十分な活用
事業者の販路開拓活動の支援
現地情報収集・提供機能の強化
県内環境の整備
支援機関との連携強化・支援制度の十分な活用
庁内の人材育成や組織体制の充実
●海外拠点を設置し、1~5の施策に重点的に取り組む。
上海市群馬県上海事務所(平成25年度の開設に向けて準備)
北京市(財)自治体国際化協会(CLAIR)へ職員派遣(平成24年度から。北京事務所勤務は平成25年度から)
香港日本政府観光局(JNTO)へ職員派遣(平成24年度から)
●観光協会などの関係者とネットワークを共有し、一体となって取り組む。
【推進体系】
国内体制
ネットワークの共有と関係者一体となった取組
県(企画部、観光局、農政部、産業経済部):目標の共有、連携した取組:県議会、市町村、団体事業者支援機関、県内留学生
【海外拠点等展開(最終年度(平成27年度)の完成イメージ)】
海外拠点を通じたネットワーク、協力体制の構築
群馬県上海事務所
CLAIR北京事務所(職員派遣)
JNTO香港事務所(職員派遣)
海外ぐんまサポーター(ズ)(県人会等)
設置済地域 2カ所(上海・シンガポール)(平成23年度末時点)
今後の設置に向け、キーパーソンの発掘に努める地域 4カ所(中国東北部、台湾、韓国、ASEAN諸国)
支援機関の海外拠点、本県からの進出企業、本県留学生OB