■米軍高官の不倫問題が国際ニュース欄を度々騒がせています。一方、我らが日本国の群馬県でも、昨年7月13日以降、大澤知事の不倫問題で県民を驚かせましたが、なぜか同じ県議仲間や県庁職員らには、問題視する姿勢が欠落しているようです。
米国では、昨年9月にアフガン駐留軍司令官からCIA(中央情報局)長官に異動したデービッド・ペトレイアス氏(60)と、同長官のアフガン司令官時代に同氏の伝記を執筆し今年1月「ALL IN」というタイトルで出版したこともある既婚の女性ジャーナリストのポーラ・ブロードウェルさん(40)との不倫が今年11月初めに発覚し、11月9日、ペトレイアス氏がCIA長官を辞任しました。
同氏は、軍事力で武装勢力を一掃し住民と協力関係を築いて治安を維持する「反政府武装勢力鎮圧(COIN)戦略」の理論構築者で、ブッシュ前大統領に抜擢されてイラク駐留米軍司令官に就任し、持論のCOIN戦略を実践してイラク情勢を好転させ、アフガン駐留米軍司令官を経て、昨年9月にCIA長官に就任していました。共和党の大統領候補や再選したオバマ大統領の重要閣僚候補に名が挙がるなど、米国の英雄として国民の敬意を集めてきましたが、それだけに不倫発覚報道は米国に衝撃を拡げています。また、オバマ大統領が再選された大統領選の終了を待って辞任した可能性も指摘されています。後任が決まるまでCIAのモレル副長官が代行を務めています。
ペトレイアス氏はCIA職員宛ての声明で、「不倫を理由にオバマ大統領に辞表を提出した」と述べ、不倫は「夫としても組織のリーダーとしても容認されない」としました。ペトレイアス氏と妻のホリーさんは結婚38年で、ホリーさんは政府高官として米兵が抱える金銭問題などの解決を担当していました。
■その4日後の11月13日、ペトレイアス氏の後任としてアフガン駐留軍司令官になったジョン・アレン氏(58。海兵隊大将)が米軍のボランティア職員の女性(37)に不適切なメールを送っていたことが発覚したとして、バネッタ米国防長官が声明を発表し、アレン氏による機密漏洩の有無の調査を開始したことを明らかにしました。ペトレイアス前CIA長官の辞任につながったFBIの捜査の過程でアレン氏の疑惑も浮上したのでした。
アレン氏は北大西洋条約機構(NATO)欧州連合軍の次期最高司令官に指名されていましたが、パネッタ氏はこの人事案承認に関する審議を当面は見合わせるよう、米議会に要請しました。アレン氏はペトレイアス氏の後任として昨年7月にアフガン駐留軍司令官として就任し、2014年末以降の米軍のアフガン撤退戦略について、オバマ大統領に進言する立場にあります。アレン氏は捜査結果が出るまで、現職に留まるようですが、撤退戦略の策定にも影響が出かねない状況にあります。
■こうした事態を受けて、レオン・パネッタ米国防長官(74)は11月14日付で、米軍高官の倫理規範の見直しをマーティン・デンプシー統合参謀本部議長(60)への覚書で指示しました。パネッタ国防長官は「高官の大半は責任ある行動を取っているが、“過ち”が起きると、公共の信頼を失い、米国民を守るという任務の妨げにもなる」と述べ、11月中の報告を求めています。
ところが、パネッタ長官の覚書にある“過ち”はペトレイアス氏の不倫などを指すものではなく、米国のメディアによりますと、それ以前にもいくつもの不祥事があり、国防総省は対応を迫られていたというのです。
例えば、アフガン駐留軍のジェフリー・シンクレア陸軍准将は27年の軍暦を持っていましたが、部下の女性に対するセクハラの疑いが持ち上がり、今年5月に帰国を命じられました。先日、軍法会議に起訴するかどうかの審問が開かれ、駐留軍の上官が、被害者の女性兵士に代わって証言しました。既婚者である准将と米国やドイツ、イラク、アフガンで3年間関係を持ち、別れようとしたが聞き入れられず、駐留軍のこの上官に訴え出たのだそうです。この上官は、准将の求めに応じて、この女性兵士を准将の部下にしたと証言しました。
米アフリカ軍司令官のウィリアム・ウォード氏は、妻の買物やスパ通いに軍用車両を使わせたり、給油地のバミューダで妻や部下とともに高級ホテルに泊まったり、業者に金を出させてニューヨークでミュージカル観賞や食事をしたりしました。ウォード氏は既に退役していますが、国防総省は先ごろ、ウォード氏の退役時の階級を大将から中将とする降格処分を下し、年金を減額するとともに、私用に使った8万2000ドル(約656万円)の返却を命じました。
■CIA長官を辞任したペトレイアス氏はイラク戦争を好転させた「米軍の英雄」ですが、女性問題に絡んで軍の高官がフロリダ州の高級住宅街でセレブな生活をしている実態も判明しました。不倫の発覚が大統領選直後だったことから、連邦捜査局(FBI)によるオバマ政権への政治的配慮ではないかとの臆測がされており、議会から真相究明を求める声も上がっています。
メディアの報道によると、同氏と不倫相手のポーラさんが知り合ったのは2006年当時で、同氏がハーバード大で講演した際、学生だったポーラさんが自らの研究への助言を求めたのがきっかけでした。
ポーラさんは、ウェストポイント陸軍士官学校出身で、軍や安全保障政策に詳しく、民間人として軍の指揮系統を研究していましたが、ペトレイアス氏がいるアフガニスタンを何度も取材に訪れ、関係を深めていきました。2人が「教師と生徒」の一線を越えたのは、同氏が帰国し、CIA長官に就任してから2カ月後の2011年11月ごろでした。陸軍を退役し、不慣れな役職で孤独を感じた同氏が「魅力的で、共通の話題もある」ポーラさんに魅かれたと関係者はCNNテレビに証言しています。
2人の交際は約8カ月で破局しましたが、今回、不倫関係が表沙汰になったのは、ポーラさんの嫉妬が原因と言われています。ペトレイアス氏が家族ぐるみで付き合っているジル・ケリーさん(37)と同氏の交際を疑って、嫌がらせの匿名メールを双方に送りつけたため、ケリーさんがFBIに通報して、捜査の端緒となったのでした。
■報道によると、ケリーさんは既婚者で子どももいる社交界の著名人で、かつてペトレイアス氏が司令官を務めたフロリダ州タンパ市にある中央軍司令部に出入りしていました。中央軍はアフガンや中東を管轄し、マスコミにも頻繁に報じられていて、50カ国以上の駐在武官が基地の周辺に住んでおり、タンパ市は軍人と地元名士の交流の場でした。
ケリーさんは、タンパ湾が目の前に広がる豪邸で「ビュッフェにシャンパン、葉巻付きのパーティー」(米紙ニューヨーク・タイムズ)を頻繁に開催。ペトレイアス氏の部下だったアレン氏(58)=現アフガン駐留米軍司令官=と親しくなった。
アレン氏とケリーさんは2010~12年にかけ、Eメールなどで2万~3万ページも交信していましたが、一部に不適切な内容のやりとりが含まれている疑いがあるとして、国防総省が捜査を進める異例の展開となっています。
一方、ケリーさん夫婦には200万ドル(約1億6000万円)の借金があったとの報道もあり、派手な生活を維持するのも楽ではなかったようです。
FBIの対応にも批判が出ています。ペトレイアス氏を数カ月も捜査しながら、ホワイトハウスや上下両院の情報委員会への報告が一切なかったことや、発覚が大統領選直後になったことなど、タイミング的に見て、オバマ政権への政治的配慮とする声も出ています。FBIはかつてフーバー初代長官時代の1935~1972年、不法収集した政治家らの情報を武器に政界への影響力を拡大させた“闇の歴史”があるからです。さっそく、ホルダー司法長官は刑事事件の情報を事前伝達する必要はなく、不倫によって国家機密が脅威にさらされたこともなかったという声明を出して、判断の正当性を強調しています。
■米国の情報当局や米軍高官は、敵国の情報当局による脅迫や懐柔の材料になることもあるため、不倫が内規で禁じられています。不倫が処罰の対象になるのは、軍の規律や軍の社会的評価を守るためでもあります。ペトレアス氏の不倫は軍を退いてから始まっており、処罰の対象ではなかったが、ペトレアス氏は「CIA長官としても夫としても容認されない」と非を潔く認め、辞任しました。
ペトレアス氏からアフガニスタン駐留米軍司令官を引き継いだアレン大将は軍人で、不倫が認定されれば軍規を乱したかどで処罰される恐れもあるため、慎重に調査が進められているのです。
「英雄色を好む」と言われるように、社会的地位の高い人には昔から性的スキャンダルがつきまといます。歴代米大統領ではフランクリン・ルーズベルト、ドワイト・アイゼンハワー、米女優マリリン・モンローと浮名を流したジョン・F・ケネディ、実習生モニカ・ルインスキーさんとの不倫スキャンダルが発覚したビル・クリントン氏らが有名です。
さらに、少女買春疑惑が発覚したイタリアのシルビオ・ベルルスコーニ前首相、性的暴行容疑で逮捕された国際通貨基金(IMF)のドミニク・ストロスカーン前専務理事を見てもわかるように、最近の世界の政界は性的スキャンダルが頻繁です。スポーツ界では米プロゴルファーのタイガー・ウッズ選手の例もあります。
英BBCは性的スキャンダルで受けるダメージを少しでも軽減させる方法として次の心得を挙げています。
(1)否定するより、できるだけ早く非を認めて謝る
性的スキャンダルを否定してウソがばれた場合、今度はウソつきの烙印が押され、失地回復が困難になる。
(2)政治と私生活は別という昔の不文律は適用されない
アイゼンハワー元米大統領と戦時中、親密な関係にあったお抱え英国人女性運転手は、元大統領が亡くなり、自分も末期がんで余命わずかになって初めて2人の関係を自伝で公表した。米国では社会的に地位の高い人にはより高い社会規範が求められる。
(3)スキャンダルが発覚する時期次第では生き残れる
ペトレアス氏の場合、リビアのベンガジで米外交官4人がテロで死亡した後に不倫が発覚。米社会の批判を集める恐れが強かったため、先手を打って辞任した。米共和党のデービッド・ヴィッター上院議員は2007年、売春組織「D.C.マダム」スキャンダルに巻き込まれたが、次の上院選挙まで3年あったので、妻と共同会見し、非を全面的に認めて謝罪し、生き残った。
■我が国でもひと昔前、週刊誌を騒がせた山崎拓元自民党幹事長がいますが、我らが群馬県のトップリーダーである大澤知事がまさか、20年来の愛人と不倫を重ねていたとは、週刊誌で報じられるまでは一般の群馬県民は全く予想だにしていませんでした。
大澤知事の不倫の場合、不倫相手の女性は、現在は合併で中之条町に編入された旧・六合村の出身で、独身。卒業後、前橋の群馬銀行に勤務したあと、事情で退職し、その後、群馬県の嘱託職員として県議会事務局に採用されていました。彼女は、新町選出の別の県議との関係も取りざたされていましたが、1991年に大澤知事が県議として初当選してから、彼女と知り合いました。大澤知事(当時県議)から彼女に声をかけ、まもなく男女の関係になりました。その後、大澤知事が理事長を務める社会福祉法人明光会の職員として勤務しています。大澤知事は県議を4期16年務め、知事が2期目ですから、不倫関係は20年以上続いていたことになります。
しかも、この件でオンブズマンが住民監査請求をしたら、群馬県監査委員のひとりの狩野 浩志(かのう ひろし)県議も不倫をしていたことが判明し、案の定、大澤知事の公社妾宅化にかかる公費の無駄遣いの監査はしてもらえませんでした。
このように米国に比べると、日本ではまだまだ政治家の不倫には寛容なところがあることを痛感させられます。しかし、知事公舎で政務ならぬ性務を行うため、公金をふんだんに投入したことについて、殆どの群馬県民は寛容にはなれないと思います。
【ひらく会情報部】
米国では、昨年9月にアフガン駐留軍司令官からCIA(中央情報局)長官に異動したデービッド・ペトレイアス氏(60)と、同長官のアフガン司令官時代に同氏の伝記を執筆し今年1月「ALL IN」というタイトルで出版したこともある既婚の女性ジャーナリストのポーラ・ブロードウェルさん(40)との不倫が今年11月初めに発覚し、11月9日、ペトレイアス氏がCIA長官を辞任しました。
同氏は、軍事力で武装勢力を一掃し住民と協力関係を築いて治安を維持する「反政府武装勢力鎮圧(COIN)戦略」の理論構築者で、ブッシュ前大統領に抜擢されてイラク駐留米軍司令官に就任し、持論のCOIN戦略を実践してイラク情勢を好転させ、アフガン駐留米軍司令官を経て、昨年9月にCIA長官に就任していました。共和党の大統領候補や再選したオバマ大統領の重要閣僚候補に名が挙がるなど、米国の英雄として国民の敬意を集めてきましたが、それだけに不倫発覚報道は米国に衝撃を拡げています。また、オバマ大統領が再選された大統領選の終了を待って辞任した可能性も指摘されています。後任が決まるまでCIAのモレル副長官が代行を務めています。
ペトレイアス氏はCIA職員宛ての声明で、「不倫を理由にオバマ大統領に辞表を提出した」と述べ、不倫は「夫としても組織のリーダーとしても容認されない」としました。ペトレイアス氏と妻のホリーさんは結婚38年で、ホリーさんは政府高官として米兵が抱える金銭問題などの解決を担当していました。
■その4日後の11月13日、ペトレイアス氏の後任としてアフガン駐留軍司令官になったジョン・アレン氏(58。海兵隊大将)が米軍のボランティア職員の女性(37)に不適切なメールを送っていたことが発覚したとして、バネッタ米国防長官が声明を発表し、アレン氏による機密漏洩の有無の調査を開始したことを明らかにしました。ペトレイアス前CIA長官の辞任につながったFBIの捜査の過程でアレン氏の疑惑も浮上したのでした。
アレン氏は北大西洋条約機構(NATO)欧州連合軍の次期最高司令官に指名されていましたが、パネッタ氏はこの人事案承認に関する審議を当面は見合わせるよう、米議会に要請しました。アレン氏はペトレイアス氏の後任として昨年7月にアフガン駐留軍司令官として就任し、2014年末以降の米軍のアフガン撤退戦略について、オバマ大統領に進言する立場にあります。アレン氏は捜査結果が出るまで、現職に留まるようですが、撤退戦略の策定にも影響が出かねない状況にあります。
■こうした事態を受けて、レオン・パネッタ米国防長官(74)は11月14日付で、米軍高官の倫理規範の見直しをマーティン・デンプシー統合参謀本部議長(60)への覚書で指示しました。パネッタ国防長官は「高官の大半は責任ある行動を取っているが、“過ち”が起きると、公共の信頼を失い、米国民を守るという任務の妨げにもなる」と述べ、11月中の報告を求めています。
ところが、パネッタ長官の覚書にある“過ち”はペトレイアス氏の不倫などを指すものではなく、米国のメディアによりますと、それ以前にもいくつもの不祥事があり、国防総省は対応を迫られていたというのです。
例えば、アフガン駐留軍のジェフリー・シンクレア陸軍准将は27年の軍暦を持っていましたが、部下の女性に対するセクハラの疑いが持ち上がり、今年5月に帰国を命じられました。先日、軍法会議に起訴するかどうかの審問が開かれ、駐留軍の上官が、被害者の女性兵士に代わって証言しました。既婚者である准将と米国やドイツ、イラク、アフガンで3年間関係を持ち、別れようとしたが聞き入れられず、駐留軍のこの上官に訴え出たのだそうです。この上官は、准将の求めに応じて、この女性兵士を准将の部下にしたと証言しました。
米アフリカ軍司令官のウィリアム・ウォード氏は、妻の買物やスパ通いに軍用車両を使わせたり、給油地のバミューダで妻や部下とともに高級ホテルに泊まったり、業者に金を出させてニューヨークでミュージカル観賞や食事をしたりしました。ウォード氏は既に退役していますが、国防総省は先ごろ、ウォード氏の退役時の階級を大将から中将とする降格処分を下し、年金を減額するとともに、私用に使った8万2000ドル(約656万円)の返却を命じました。
■CIA長官を辞任したペトレイアス氏はイラク戦争を好転させた「米軍の英雄」ですが、女性問題に絡んで軍の高官がフロリダ州の高級住宅街でセレブな生活をしている実態も判明しました。不倫の発覚が大統領選直後だったことから、連邦捜査局(FBI)によるオバマ政権への政治的配慮ではないかとの臆測がされており、議会から真相究明を求める声も上がっています。
メディアの報道によると、同氏と不倫相手のポーラさんが知り合ったのは2006年当時で、同氏がハーバード大で講演した際、学生だったポーラさんが自らの研究への助言を求めたのがきっかけでした。
ポーラさんは、ウェストポイント陸軍士官学校出身で、軍や安全保障政策に詳しく、民間人として軍の指揮系統を研究していましたが、ペトレイアス氏がいるアフガニスタンを何度も取材に訪れ、関係を深めていきました。2人が「教師と生徒」の一線を越えたのは、同氏が帰国し、CIA長官に就任してから2カ月後の2011年11月ごろでした。陸軍を退役し、不慣れな役職で孤独を感じた同氏が「魅力的で、共通の話題もある」ポーラさんに魅かれたと関係者はCNNテレビに証言しています。
2人の交際は約8カ月で破局しましたが、今回、不倫関係が表沙汰になったのは、ポーラさんの嫉妬が原因と言われています。ペトレイアス氏が家族ぐるみで付き合っているジル・ケリーさん(37)と同氏の交際を疑って、嫌がらせの匿名メールを双方に送りつけたため、ケリーさんがFBIに通報して、捜査の端緒となったのでした。
■報道によると、ケリーさんは既婚者で子どももいる社交界の著名人で、かつてペトレイアス氏が司令官を務めたフロリダ州タンパ市にある中央軍司令部に出入りしていました。中央軍はアフガンや中東を管轄し、マスコミにも頻繁に報じられていて、50カ国以上の駐在武官が基地の周辺に住んでおり、タンパ市は軍人と地元名士の交流の場でした。
ケリーさんは、タンパ湾が目の前に広がる豪邸で「ビュッフェにシャンパン、葉巻付きのパーティー」(米紙ニューヨーク・タイムズ)を頻繁に開催。ペトレイアス氏の部下だったアレン氏(58)=現アフガン駐留米軍司令官=と親しくなった。
アレン氏とケリーさんは2010~12年にかけ、Eメールなどで2万~3万ページも交信していましたが、一部に不適切な内容のやりとりが含まれている疑いがあるとして、国防総省が捜査を進める異例の展開となっています。
一方、ケリーさん夫婦には200万ドル(約1億6000万円)の借金があったとの報道もあり、派手な生活を維持するのも楽ではなかったようです。
FBIの対応にも批判が出ています。ペトレイアス氏を数カ月も捜査しながら、ホワイトハウスや上下両院の情報委員会への報告が一切なかったことや、発覚が大統領選直後になったことなど、タイミング的に見て、オバマ政権への政治的配慮とする声も出ています。FBIはかつてフーバー初代長官時代の1935~1972年、不法収集した政治家らの情報を武器に政界への影響力を拡大させた“闇の歴史”があるからです。さっそく、ホルダー司法長官は刑事事件の情報を事前伝達する必要はなく、不倫によって国家機密が脅威にさらされたこともなかったという声明を出して、判断の正当性を強調しています。
■米国の情報当局や米軍高官は、敵国の情報当局による脅迫や懐柔の材料になることもあるため、不倫が内規で禁じられています。不倫が処罰の対象になるのは、軍の規律や軍の社会的評価を守るためでもあります。ペトレアス氏の不倫は軍を退いてから始まっており、処罰の対象ではなかったが、ペトレアス氏は「CIA長官としても夫としても容認されない」と非を潔く認め、辞任しました。
ペトレアス氏からアフガニスタン駐留米軍司令官を引き継いだアレン大将は軍人で、不倫が認定されれば軍規を乱したかどで処罰される恐れもあるため、慎重に調査が進められているのです。
「英雄色を好む」と言われるように、社会的地位の高い人には昔から性的スキャンダルがつきまといます。歴代米大統領ではフランクリン・ルーズベルト、ドワイト・アイゼンハワー、米女優マリリン・モンローと浮名を流したジョン・F・ケネディ、実習生モニカ・ルインスキーさんとの不倫スキャンダルが発覚したビル・クリントン氏らが有名です。
さらに、少女買春疑惑が発覚したイタリアのシルビオ・ベルルスコーニ前首相、性的暴行容疑で逮捕された国際通貨基金(IMF)のドミニク・ストロスカーン前専務理事を見てもわかるように、最近の世界の政界は性的スキャンダルが頻繁です。スポーツ界では米プロゴルファーのタイガー・ウッズ選手の例もあります。
英BBCは性的スキャンダルで受けるダメージを少しでも軽減させる方法として次の心得を挙げています。
(1)否定するより、できるだけ早く非を認めて謝る
性的スキャンダルを否定してウソがばれた場合、今度はウソつきの烙印が押され、失地回復が困難になる。
(2)政治と私生活は別という昔の不文律は適用されない
アイゼンハワー元米大統領と戦時中、親密な関係にあったお抱え英国人女性運転手は、元大統領が亡くなり、自分も末期がんで余命わずかになって初めて2人の関係を自伝で公表した。米国では社会的に地位の高い人にはより高い社会規範が求められる。
(3)スキャンダルが発覚する時期次第では生き残れる
ペトレアス氏の場合、リビアのベンガジで米外交官4人がテロで死亡した後に不倫が発覚。米社会の批判を集める恐れが強かったため、先手を打って辞任した。米共和党のデービッド・ヴィッター上院議員は2007年、売春組織「D.C.マダム」スキャンダルに巻き込まれたが、次の上院選挙まで3年あったので、妻と共同会見し、非を全面的に認めて謝罪し、生き残った。
■我が国でもひと昔前、週刊誌を騒がせた山崎拓元自民党幹事長がいますが、我らが群馬県のトップリーダーである大澤知事がまさか、20年来の愛人と不倫を重ねていたとは、週刊誌で報じられるまでは一般の群馬県民は全く予想だにしていませんでした。
大澤知事の不倫の場合、不倫相手の女性は、現在は合併で中之条町に編入された旧・六合村の出身で、独身。卒業後、前橋の群馬銀行に勤務したあと、事情で退職し、その後、群馬県の嘱託職員として県議会事務局に採用されていました。彼女は、新町選出の別の県議との関係も取りざたされていましたが、1991年に大澤知事が県議として初当選してから、彼女と知り合いました。大澤知事(当時県議)から彼女に声をかけ、まもなく男女の関係になりました。その後、大澤知事が理事長を務める社会福祉法人明光会の職員として勤務しています。大澤知事は県議を4期16年務め、知事が2期目ですから、不倫関係は20年以上続いていたことになります。
しかも、この件でオンブズマンが住民監査請求をしたら、群馬県監査委員のひとりの狩野 浩志(かのう ひろし)県議も不倫をしていたことが判明し、案の定、大澤知事の公社妾宅化にかかる公費の無駄遣いの監査はしてもらえませんでした。
このように米国に比べると、日本ではまだまだ政治家の不倫には寛容なところがあることを痛感させられます。しかし、知事公舎で政務ならぬ性務を行うため、公金をふんだんに投入したことについて、殆どの群馬県民は寛容にはなれないと思います。
【ひらく会情報部】