■関東地方の水不足が深刻化してきているそうです。6月としては29年ぶりの利根川水系での10%取水制限が始まっており、このまま空梅雨が続けば、取水制限の20-30%への引き上げも考えられるのだそうです。利根川の水位は下がっているのでしょうか?なぜ、どのような経緯で水位を下げて来たのか?平気でうそをつく国交省の発表なので、なぜダムの水位がこんなに下がったのか、果たして渇水だけによるものだろうか、と疑念を持つ人は決して少なくありません。
大同特殊鋼渋川工場では、特殊鋼を作る際の製錬工程でどうしても出てしまうスラグという不純物(カス)を、その中に有害物質が含まれていることを知りながら群馬県中に投棄してしまいました。このことが問題になり、群馬県が大同特殊鋼と佐藤建設工業を群馬県警に告発し、群馬県による強制捜査の結果、前橋地検に書類送検されています。特に渋川工場がある渋川市にはスラグの投棄場所がたくさんあり、徘徊が趣味な老人達が「リットン調査団」という特別調査チームを立ちあげて、粘り強く有害スラグが不法に投棄されている現場を探しています。
今回は国交省によって渇水が心配されている利根川の河川敷にある大崎緑地公園をリットン調査団が訪れました。
↑大崎緑地公園です。左側が高くなっていますが高水位護岸(HWL)となっています。台風などの大水が出たとき計画高水位とされ、この河川敷は水に沈むことが計画されています。
詳しくはこちらをご覧ください。 ⇒ http://www.thr.mlit.go.jp/yamagata/river/enc/words/02ka/ka-011.html ↑
場所はこちらです。↓↓
<script type="'text/javascript'" charset="'UTF-8'" src="'http://map.yahooapis.jp/MapsService/embedmap/V2/?cond=p%3A%E6%B8%8B%E5%B7%9D%E5%B8%82%E5%A4%A7%E5%B4%8E%3Blat%3A36.48931756%3Blon%3A139.01137716%3Bei%3AUTF-8%3Bv%3A2%3Bsc%3A3%3Bdatum%3Awgs%3Bgov%3A10208001105%3Bz%3A18%3Bs%3A1468125811c8dd58047d3d3b055bfed8ba22471127%3Blayer%3Apl%3B&p=%E6%B8%8B%E5%B7%9D%E5%B8%82%E5%A4%A7%E5%B4%8E&zoom=18&lat=36.4894566371691&lon=139.01510437828307&pluginid=place&z=17&mode=map&active=true&layer=place&home=on&hlat=36.488070735697434&hlon=139.0168968573047&pointer=off&pan=off&ei=utf8&v=3&datum=wgs&width=480&height=360&device=pc&isleft='"></script>
*****リットン調査団の実況レポート*****
リットン調査団集合(^^)/。
今回は、渇水が心配される利根川を見に大崎緑地公園を徘徊調査します。
↑公園入口に立ち入り禁止のバリケード。いつまでこんな状態を続けるのだろうか?渋川市は何をやっているのだろうか?↑
大崎緑地公園についてはこちらの記事もご覧ください。↓↓
○2015年8月28日:大同スラグ問題を斬る!…渋川市の対応「ここが変だよ、その18」
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1704.html
↑黒っぽい色の砕石のようなものが遊歩道に敷き詰めてあります。有毒物質の六価クロムやフッ素が含まれている疑いのあるスラグです。↑
渋川市の発表では、スラグから第二種特定有害物質のフッ素が検出されましたが、六価クロムは基準値以内の調査結果となっています。しかし渋川市の分析調査結果の末尾には、「分析が土壌汚染対策法で指定されていない者により行われた参考値」と記されており、分析結果については到底信じられません。水に流れやすい性質の六価クロムについては、専門家による試料採取の段階から慎重に取り扱わなければなりません。このことについては、渋川市のホームページをご確認ください。↓↓
○平成26年6月16日鉄鋼スラグを含む砕石の使用状況調査結果について
http://www.city.shibukawa.lg.jp/kurashi/gomi/suragusaiseki/p001605.html
○鉄鋼スラグを含む砕石の分析試験結果一覧
http://www.city.shibukawa.lg.jp/kurashi/gomi/suragusaiseki/p001605_d/fil/t_suragu.pdf
↑有害スラグの上を雨水が流れ、利根川に注ぎ込んでいます。この雨水の中に有害物質が溶け出していないか心配です。↑
↑低水位コンクリート護岸がご覧いただけます。護岸が終わると有害スラグが50cmほど盛り上げられています。一体何のための有害スラグなのでしょうか?LWL低水位護岸ですから、台風などで大水が出るとこの河川敷の上に水が乗り上げることが想定されています。コンクリート脇の有害スラグなどは、当然のことながら水に洗い流されてしまうことでしょう。↑
↑大崎緑地公園の南端に来てみました。有害スラグの上を歩きたくないので、コンクリート護岸の上を歩いて来ました。少し利根川の水の量が少ないような気がします、やはり渇水なのでしょうか?雨水が有害スラグの上を流れて利根川に注ぎ込んでいますが、下流の皆さんにとって大丈夫なのでしょうか?↑
↑公園の終わりは大きな土のう袋に有害スラグ100%を詰めて土留めの代わりにしています。↑
↑大きな土のう袋は風雨にさらされ相当風化しています。↑
↑風化した有害スラグは砂となって、雨水と共に利根川に流れ込んでいます。利根川を管理している国土交通省高崎河川工事事務所はなぜ、計画高水位(HWL)の中の河川敷に有害スラグが使用されているのを黙って見ているのでしょうか?大水が出れば有害スラグの上に水が乗ることが予定されていますよね。お得意の不作為で国民の生活環境に支障が出れば、国土交通省のお役人様の責任は重いですよ。↑
↑利根川の向こうには高速道路が見えます。おやっ、反対岸になにかみえませんか?↑
↑お~~っ!あれに見えるは、“越後の龍”ではないだろうか?毘沙門天の化身じゃそうな!こちらとて甲斐の虎と恐れているのじゃ。「南無諏訪南宮法性上下大明神」・・・我らに有害スラグを取り除く力を与えたまえ~~っ!↑
※当会注:上杉謙信と武田信玄が戦ったのは長野県の川中島です。群馬県周辺は武田信玄没後に上杉と北条の覇権争いの舞台となりました。
これを見たリットン調査団長から早速の訓示です。
「反対岸にも公園らしき平らな場所が見えるぞ。そちらにも徘徊調査にフラフラいってみることにしよう!
**********次回に続く**********
■有害スラグは監督官庁の群馬県により「鉱さい」という名の廃棄物に認定されました。「鉱さい」には、廃棄物処理基準が定められています。
廃棄物処理法施行令第2条の4(特別管理産業廃棄物)
第5項
ホ 第二条第八号に掲げる廃棄物(事業活動に伴つて生じたものに限る。以下「鉱さい」という。)(環境省令で定める基準に適合しないものに限る。)及び当該鉱さいを処分するために処理したもの(環境省令で定める基準に適合しないものに限る。)
と規定され、鉱さい=スラグの特別管理産業廃棄物の判断基準について環境省令が示されています。
この環境省令として次の二つが挙げられます
●環境庁告示第46号.
( 改正平成5環告19・平成6環告5・平成6環告25・平成7環告19・平成10環告21・平成13環告16・平成20環告46・平成22環告37・平成26環告44.)⇒末尾資料1参照
●環境省告示第105号(平成十八年七月二十七日)⇒末尾資料2参照
このどちらも環境省令も
ふっ素 検液1Lにつき0.8mg以下であること。
となっています。
特に平成18年の環境省告示第105号は鉱さいの安定型処分場の埋め立てに関する基準ですので、基準値を超過して有害物質が含まれている場合には特別管理産業廃棄物として遮断型最終処分場に埋設処分しなければならない、と個別具体的に定め、明確にしたと考えることができます。
今回、リットン調査団が訪れた大崎緑地公園は、フッ素の値が環境基準を超過しています、しかし公園の施工が平成8年であるため、「平成18年の環境省告示第105号には抵触しない」、とする考えをもつ、不作為がお得意のお役人様もいることでしょう。しかしこの公園の分析調査は、土壌汚染対策法の登録機関でない素人が行った分析調査です。水に流れやすい六価クロムの性質に鑑み、表面ではなく土壌に近い所から慎重に試料をサンプリングすれば結果はどうなるのでしょうか?
また、フッ素は現在でも雨水に溶けだして、利根川に微量ですが流れ続けています。フッ素汚染は現在進行形なのです。当会では、今現在、大崎緑地公園の有害スラグにどのような有害物質が含まれているのかを問題にしています。現時点で有害物質が含まれているならば、当然 「平成18年の環境省告示第105号」に抵触すると考えます。
*****続く*****
【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】
※参考資料1
平成27年9月群馬県環境部局は、大同特殊鋼由来のスラグを廃棄物と認定しました、その理由の中で次のように述べています。
http://www.gunma-sanpai.jp/gp26/003.htm
********
(7) ふっ素の土壌環境基準等が設定されて以降、大同特殊鋼(株)渋川工場から製鋼過程の副産物として排出された鉄鋼スラグは、土壌と接する方法で使用した場合、ふっ素による土壌汚染の可能性があり、また、平成14年4月から平成26年1月までの間、関係者の間で逆有償取引等が行われていたことなどから、当該スラグは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案し、廃棄物と認定される。
********
上記の通り、「土壌と接する方法で使用した場合、ふっ素による土壌汚染の可能性があり」とハッキリ明示しています。
直接接触していなくても、水は高い所から低い所に流れますので、土壌の上に有害スラグがあれば土壌汚染の可能性があります。
**********
平成3年8月23日
環境庁告示第46号.
改正平成5環告19・平成6環告5・平成6環告25・平成7環告19・平成10環告21・平成13環告16・平成20環告46・平成22環告37・平成26環告44.
公害対策基本法(昭和42年法律第132号)第9条の規定に基づく土壌の汚染に係る環境基準について次のとおり告示する。
環境基本法(平成5年法律第91号)第16条第1項による土壌の汚染に係る環境上の条件につき、人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持することが望ましい基準(以下「環境基準」という。)並びにその達成期間等は、次のとおりとする。
第1 環境基準
1 環境基準は、別表の項目の欄に掲げる項目ごとに、同表の環境上の条件の欄に掲げるとおりとする。
2 1の環境基準は、別表の項目の欄に掲げる項目ごとに、当該項目に係る土壌の汚染の状況を的確に把握することができると認められる場所において、同表の測定方法の欄に掲げる方法により測定した場合における測定値によるものとする。
3 1の環境基準は、汚染がもっぱら自然的原因によることが明らかであると認められる場所及び原材料の堆積場、廃棄物の埋立地その他の別表の項目の欄に掲げる項目に係る物質の利用又は処分を目的として現にこれらを集積している施設に係る土壌については、適用しない。
土壌環境基準 別表
ふっ素 検液1Lにつき0.8mg以下であること。
規格34.1若しくは34.4に定める方法又は規格34.1c)(注(6)第3文を除く。)に定める方法(懸濁物質及びイオンクロマトグラフ法で妨害となる物質が共存しない場合にあっては、これを省略することができる。)及び昭和46年12月環境庁告示第59号付表6に掲げる方法
**********
※参考資料2
石綿含有産業廃棄物を溶融したことにより生じた産業廃棄物(鉱さい)の安定型産業廃棄物の環境基準が示されています。石綿含有産業廃棄物由来の鉱さいについての環境基準ですが、大同特殊鋼渋川工場から排出される「鉱さい」にも適用されるのは明らかです。
http://www.env.go.jp/hourei/add/k023.pdf
○廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第六条第一項第三号イ(6)に掲げる安定型 産業廃棄物として環境大臣が指定する産業廃棄物 (平成十八年七月二十七日環境省告示第百五号) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四十六年政令第三百号)第六条第一項
第三号イ(6)の規定に基づき、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第六条第一項
第三号イ(6)に掲げる安定型産業廃棄物として環境大臣が指定する産業廃棄物を次のよ うに定め、平成十八年十月一日から適用する。 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第六条第一項第三号イ(6)に掲げる安 定型産業廃棄物として環境大臣が指定する産業廃棄物 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四十六年政令第三百号。以下「令」という。)第六条第一項第三号イ(6)に規定する環境大臣が指定する産業廃棄物は、次に掲げる産業廃棄物(鉱さいであるものに限る。)であって、当該産業廃棄物に含まれる別表の 第一欄に掲げる物質ごとに同表の第二欄に掲げる基準に適合するものとする。
―省略―
別表 第一欄 第二欄 第三欄
六価クロム 規格六十五・二に定める方法
合物 〇・〇五ミリグラム以下であること。
ふっ素又はその化合物
検液一リットルにつきふっ素〇・八ミリグラム以下であること。
―後省略―