■我々が生活する群馬県内に、公共・民間工事を通じて有害物質である大同スラグが大量に不法投棄されたことにより、大切なふるさとである県土をあたかも最終処分場と化してしまったことについて、利権あさりの政官業の癒着の仲立ちをした行政に対してきちんと落とし前をつけるべく、当会は、東吾妻町の農業地帯に大同有毒スラグを業者に使わせることを決めた吾妻農業事務所に責任を取らせるべく、2015年4月30日に訴状を前橋地裁に提出することにより、住民訴訟に踏み切りました。以来16カ月半が経過しました。この間、地裁では口頭弁論が5回行われ、9月16日に第6回目の口頭弁論が前橋地裁2階の21号法廷で開催されました。その模様を報告します。
南米の取材を終えて、羽田空港の国際線ターミナルに午前6時45分に到着後、入国手続き等を終えた当会代表は前橋地裁にまっしぐらに移動し、幸い午前10時前には前橋に着くことができました。
事務局長いわく「さきほど地裁の書記官から、プロファ設計から調査嘱託の回答結果が届いたので、早めに地裁に来てほしい」と言われたとのことでしたので、10時15分に3階の民事係を訪れて、当該回答書(2ページ)の謄写を行いました。
地裁の予定表をみると、本日9月16日(金)10:30からの口頭弁論期日としては3件の事案が同時刻に審理されることになっており、本事件は3件のうち最後でした。
■1件目の事件は「平成27年(ワ)第630号」でした。本事件と同様に、調査嘱託の件が話題になっています。5分足らずに終わり、次回は12月9日の午後に開かれることが決まりました。
2件目の事件は、「平成27年(行ウ)第15号」で、当会のブログでも報じた渋川市内の運動公園の造成を巡るスラグ様の異物を含む廃コンクリートなどの瓦礫を造成工事に紛れて埋め込んだ事件らしく、原告の藤井建設㈱が被告渋川市を相手取って提起した損害賠償請求訴訟です。今回が第4回口頭弁論期日のようです。原告からの新たな準備書面は9月16日朝、FAXで裁判所に送られてきましたが、裁判所は1週間前までに出さないと読めないことから、本日の口頭弁論では、原告から第5・第6準備書面のみ陳述されました。
その後甲号証のチェックが行われましたが、最後に裁判長は原告に対して、「名誉棄損の理由を特定する記者会見の内容について、記者会見の内容についての答えは第7準備書面には書かれていないときいている」旨の訴訟指揮をしたところ、原告は「記者会見については被告の準備書面(5)の中に明確に記載しているのでそれを援用する」と答えていました。すると裁判長は「原告が不法行為の特定をしない限り、訴訟が組み立てられないので、きちんと名誉棄損の理由の特定を摘示しなければならない」と原告に諭しました。
すると、原告は分が悪いと見えて「今年11月に(渋川市の)指名停止処分が切れるので、その前に一度、今後の進め方について進行協議の場を設けてもらいたい」などと裁判長に願い出ました。どうやら指名停止処分が解除されれば、訴訟の目的の大半が果たせることになるようで、そのため法廷ではない形での協議を行いたいという原告側の意向が感じ取れます。
そのことを察した裁判長は早速「今日はどうか?」と持ち掛けたところ、原告の藤井建設は「今日はまだ準備が整っていない」として別途開催を求めました。結局10月21日10時から口頭弁論ではなく、ラウンドテーブル法廷で進行協議の形で開催されるようです。この間約15分間を要しました。
■そしていよいよ当会が提起した訴訟である「平成27年(行ウ)第7号」事件の第6回口頭弁論期日の番です。
原道子裁判長は冒頭に「おまたせしました」とねぎらいの言葉を発しました。そして「調査嘱託の結果として、片山化学工業からの回答書とプロファ設計からの回答書の2点を法廷に提出する」と述べました。
次に、原告側から2016年7月14日付の原告準備書面(9)について陳述し、そのあと続けて同9月5日付原告準備書面(10)も陳述しました。
続いて、被告が被告第7準備書面を陳述しました。
裁判長は次に原告が提出すみの証拠として甲第46号証まで提出しましたね」と言うと「本日は被告が乙第18号証を、調査嘱託の関係のものを書証として出してきた」と述べました。そして、「乙第18号証は、原本提出ということにする」と言った後、原告に対して「先ほどプロファ設計㈱からの回答を謄写しと聞いているが本当か?」と質問してきました。
原告はプロファ設計からの回答書を当日10時15分に謄写したことを裁判長に伝えました。
すると裁判長は原告に向かって「これを前提に何か準備書面を出す予定か?」と質問してきたので、原告として「ぜひ提出します」と力強く答えました。さらに「気合を入れて(準備書面を被告に)出すからね」と被告に向かっていうと、裁判長がよく聞き取れなかったと見えて、再度さらに力強く「気合を入れてだすからね」と念押しをしました。
裁判長は原告の気合についてすぐ理解した様子で、「わかりました。まず原告はプロファ設計㈱からの回答、つまり調査嘱託の結果を踏まえて、その内容に対して反論を準備書面のかたちで提出すること」と原告に対して指揮をしました。
さらに裁判長は、「もうひとつ原告に確認しておきたいことがある。片山化学の関係で(採取者欄に)○○○様と書かれている」と指摘しました。これに対して原告は「ん?○○○だか、▽▽▽だか、□□□と読むのかわからない」と言いました。すると間髪を入れず被告の訴訟代理人の弁護士が「分かりませんが、群馬県内だと○○○と読む方が多い」と言ってきました。
裁判長も「・・ですね」と同意を示すかのような言葉を発してから、続けて「一応、ともなくもその方が、不特定となると、甲42の試験試料の採取方法が分からないということになる。そうすると甲42の価値が減ってしまうということになるが、ではその試験試料の採取過程をどういうふうに明らかにするのかという問題が、この事件にはある。この片山化学の関係について、(原告は)これ以上なにかするつもりなのか? つまり、どこで(試験用資料を)採ったものなのか、採取した場所を明らかにするために、原告の方で(この件で)訴訟活動を行うという気持ちはあるのか?」と畳みかけて質問を繰り出してきました。
原告は「これは、その原本を(裁判所が調査嘱託で)とりよせたとおりだが、我々(が証拠として提出したもの)は、政党団体のほうから入手したもので、詳しいことについては我々としても詳しくは分からない。そのため、それを某政党団体に聞くか、いずれにしても詳細な場所をどこに特定してサンプリングしたのか、我々自身がやったわけではないのでわからない」と答えました。加えて、「採取の場所的なことについて、被告はいろいろ細かい特定が必要だと言っているようだが、別の機会に自分も現場に行って肉眼で確認したことはある。スラグは現場にゴロゴロしていた。有毒スラグの混合濃度にはいろいろ有害物質の濃淡があるが、採取した場所についてきっちりと特定するためには、両者で一緒に立ち会って検査をするのがベストだ。今日いただいたプロファ設計からの回答書についても、サンプリングコアの写真は報告書に添付した以外には皆無だなどといい加減なことが書いている。一方、我々の方にしてもどこの場所でサンプリングしたのか分からないので政党団体に聞いてみるしかない。あまりこれ以上やるつもりもない。というか、本当は我々が提案しているように(原告と被告が)一緒に(立ち会ってサンプリングして検査を)やればいい。このプロファ設計の(調査嘱託への回答)をついさっき見させてもらったが、あらましの地図で、それらしきところをXで描いてあるが、それが農道のどの位置なのか、左なのか右なのか、奥なのか端なのかかよくわからない。だから、我々が別途現地で見たが、スラグがゴロゴロしている状態だ」などと、縷々説明しました。
するとしびれを切らしたのか、裁判長はそれを遮るように「裁判所の方としての問題は、甲42号証の試験試料の採取場所、方法等について、(原告は)さらに立証を行うつもりなにか、或は別の方法を行うつもりなのか、明らかにしてほしい」と原告に対して指揮をしてきました。
原告は「某政党団体に対して採取者がその方なのかどうか、その方じゃないらしいが、いずれにせよ確認するという努力はしてみる」と述べました。
裁判長は「某政党団体というのは共産党渋川市議団のことか」と言うので、原告は「そうです」と答えました。原告は続けて「そこでもきちんと記憶があいまいだということであれば、立証の価値としてどのように評価されるかわからないが、場合によっては、取り下げるという選択の可能性もある。このことは、今の段階ではとにかく努力するということ」と述べました。
裁判長は「(原告に)お願いしたいことは伝わったと思う、先ほどの準備書面の中で、(プロファ設計からの)調査嘱託に対する反論を出されるということなので、2つ目の件(つまり、甲42号証の取扱いに)ついても、その中に記載すればよい」と指揮をしました。
原告は「分かりました。では1ヶ月ほどで出せるとおもう」というと、裁判長はさっそく次回の口頭弁論期日について予定を気にし始めました。原告としては4週間後の10月14日でもよかったので、裁判長は「では10月21日ではどうか?」と被告に水を向けると、被告の訴訟代理人の弁護士は、「21日は1日中差支える」と拒否をしました。
すると裁判長は「するとその先、ずっと行ってしまい、11月11日ではどうか」と提案してきました。結果的に次回口頭弁論期日は11月11日(金)10時30分と決まりました。原告からの準備書面(11)は、11月4日(金)までに提出することになりました。
■第6回口頭弁論は以上のとおりでした。今年もスラグ問題は決着を見ずに年越しする公算が大きいようです。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
南米の取材を終えて、羽田空港の国際線ターミナルに午前6時45分に到着後、入国手続き等を終えた当会代表は前橋地裁にまっしぐらに移動し、幸い午前10時前には前橋に着くことができました。
事務局長いわく「さきほど地裁の書記官から、プロファ設計から調査嘱託の回答結果が届いたので、早めに地裁に来てほしい」と言われたとのことでしたので、10時15分に3階の民事係を訪れて、当該回答書(2ページ)の謄写を行いました。
地裁の予定表をみると、本日9月16日(金)10:30からの口頭弁論期日としては3件の事案が同時刻に審理されることになっており、本事件は3件のうち最後でした。
■1件目の事件は「平成27年(ワ)第630号」でした。本事件と同様に、調査嘱託の件が話題になっています。5分足らずに終わり、次回は12月9日の午後に開かれることが決まりました。
2件目の事件は、「平成27年(行ウ)第15号」で、当会のブログでも報じた渋川市内の運動公園の造成を巡るスラグ様の異物を含む廃コンクリートなどの瓦礫を造成工事に紛れて埋め込んだ事件らしく、原告の藤井建設㈱が被告渋川市を相手取って提起した損害賠償請求訴訟です。今回が第4回口頭弁論期日のようです。原告からの新たな準備書面は9月16日朝、FAXで裁判所に送られてきましたが、裁判所は1週間前までに出さないと読めないことから、本日の口頭弁論では、原告から第5・第6準備書面のみ陳述されました。
その後甲号証のチェックが行われましたが、最後に裁判長は原告に対して、「名誉棄損の理由を特定する記者会見の内容について、記者会見の内容についての答えは第7準備書面には書かれていないときいている」旨の訴訟指揮をしたところ、原告は「記者会見については被告の準備書面(5)の中に明確に記載しているのでそれを援用する」と答えていました。すると裁判長は「原告が不法行為の特定をしない限り、訴訟が組み立てられないので、きちんと名誉棄損の理由の特定を摘示しなければならない」と原告に諭しました。
すると、原告は分が悪いと見えて「今年11月に(渋川市の)指名停止処分が切れるので、その前に一度、今後の進め方について進行協議の場を設けてもらいたい」などと裁判長に願い出ました。どうやら指名停止処分が解除されれば、訴訟の目的の大半が果たせることになるようで、そのため法廷ではない形での協議を行いたいという原告側の意向が感じ取れます。
そのことを察した裁判長は早速「今日はどうか?」と持ち掛けたところ、原告の藤井建設は「今日はまだ準備が整っていない」として別途開催を求めました。結局10月21日10時から口頭弁論ではなく、ラウンドテーブル法廷で進行協議の形で開催されるようです。この間約15分間を要しました。
■そしていよいよ当会が提起した訴訟である「平成27年(行ウ)第7号」事件の第6回口頭弁論期日の番です。
原道子裁判長は冒頭に「おまたせしました」とねぎらいの言葉を発しました。そして「調査嘱託の結果として、片山化学工業からの回答書とプロファ設計からの回答書の2点を法廷に提出する」と述べました。
次に、原告側から2016年7月14日付の原告準備書面(9)について陳述し、そのあと続けて同9月5日付原告準備書面(10)も陳述しました。
続いて、被告が被告第7準備書面を陳述しました。
裁判長は次に原告が提出すみの証拠として甲第46号証まで提出しましたね」と言うと「本日は被告が乙第18号証を、調査嘱託の関係のものを書証として出してきた」と述べました。そして、「乙第18号証は、原本提出ということにする」と言った後、原告に対して「先ほどプロファ設計㈱からの回答を謄写しと聞いているが本当か?」と質問してきました。
原告はプロファ設計からの回答書を当日10時15分に謄写したことを裁判長に伝えました。
すると裁判長は原告に向かって「これを前提に何か準備書面を出す予定か?」と質問してきたので、原告として「ぜひ提出します」と力強く答えました。さらに「気合を入れて(準備書面を被告に)出すからね」と被告に向かっていうと、裁判長がよく聞き取れなかったと見えて、再度さらに力強く「気合を入れてだすからね」と念押しをしました。
裁判長は原告の気合についてすぐ理解した様子で、「わかりました。まず原告はプロファ設計㈱からの回答、つまり調査嘱託の結果を踏まえて、その内容に対して反論を準備書面のかたちで提出すること」と原告に対して指揮をしました。
さらに裁判長は、「もうひとつ原告に確認しておきたいことがある。片山化学の関係で(採取者欄に)○○○様と書かれている」と指摘しました。これに対して原告は「ん?○○○だか、▽▽▽だか、□□□と読むのかわからない」と言いました。すると間髪を入れず被告の訴訟代理人の弁護士が「分かりませんが、群馬県内だと○○○と読む方が多い」と言ってきました。
裁判長も「・・ですね」と同意を示すかのような言葉を発してから、続けて「一応、ともなくもその方が、不特定となると、甲42の試験試料の採取方法が分からないということになる。そうすると甲42の価値が減ってしまうということになるが、ではその試験試料の採取過程をどういうふうに明らかにするのかという問題が、この事件にはある。この片山化学の関係について、(原告は)これ以上なにかするつもりなのか? つまり、どこで(試験用資料を)採ったものなのか、採取した場所を明らかにするために、原告の方で(この件で)訴訟活動を行うという気持ちはあるのか?」と畳みかけて質問を繰り出してきました。
原告は「これは、その原本を(裁判所が調査嘱託で)とりよせたとおりだが、我々(が証拠として提出したもの)は、政党団体のほうから入手したもので、詳しいことについては我々としても詳しくは分からない。そのため、それを某政党団体に聞くか、いずれにしても詳細な場所をどこに特定してサンプリングしたのか、我々自身がやったわけではないのでわからない」と答えました。加えて、「採取の場所的なことについて、被告はいろいろ細かい特定が必要だと言っているようだが、別の機会に自分も現場に行って肉眼で確認したことはある。スラグは現場にゴロゴロしていた。有毒スラグの混合濃度にはいろいろ有害物質の濃淡があるが、採取した場所についてきっちりと特定するためには、両者で一緒に立ち会って検査をするのがベストだ。今日いただいたプロファ設計からの回答書についても、サンプリングコアの写真は報告書に添付した以外には皆無だなどといい加減なことが書いている。一方、我々の方にしてもどこの場所でサンプリングしたのか分からないので政党団体に聞いてみるしかない。あまりこれ以上やるつもりもない。というか、本当は我々が提案しているように(原告と被告が)一緒に(立ち会ってサンプリングして検査を)やればいい。このプロファ設計の(調査嘱託への回答)をついさっき見させてもらったが、あらましの地図で、それらしきところをXで描いてあるが、それが農道のどの位置なのか、左なのか右なのか、奥なのか端なのかかよくわからない。だから、我々が別途現地で見たが、スラグがゴロゴロしている状態だ」などと、縷々説明しました。
するとしびれを切らしたのか、裁判長はそれを遮るように「裁判所の方としての問題は、甲42号証の試験試料の採取場所、方法等について、(原告は)さらに立証を行うつもりなにか、或は別の方法を行うつもりなのか、明らかにしてほしい」と原告に対して指揮をしてきました。
原告は「某政党団体に対して採取者がその方なのかどうか、その方じゃないらしいが、いずれにせよ確認するという努力はしてみる」と述べました。
裁判長は「某政党団体というのは共産党渋川市議団のことか」と言うので、原告は「そうです」と答えました。原告は続けて「そこでもきちんと記憶があいまいだということであれば、立証の価値としてどのように評価されるかわからないが、場合によっては、取り下げるという選択の可能性もある。このことは、今の段階ではとにかく努力するということ」と述べました。
裁判長は「(原告に)お願いしたいことは伝わったと思う、先ほどの準備書面の中で、(プロファ設計からの)調査嘱託に対する反論を出されるということなので、2つ目の件(つまり、甲42号証の取扱いに)ついても、その中に記載すればよい」と指揮をしました。
原告は「分かりました。では1ヶ月ほどで出せるとおもう」というと、裁判長はさっそく次回の口頭弁論期日について予定を気にし始めました。原告としては4週間後の10月14日でもよかったので、裁判長は「では10月21日ではどうか?」と被告に水を向けると、被告の訴訟代理人の弁護士は、「21日は1日中差支える」と拒否をしました。
すると裁判長は「するとその先、ずっと行ってしまい、11月11日ではどうか」と提案してきました。結果的に次回口頭弁論期日は11月11日(金)10時30分と決まりました。原告からの準備書面(11)は、11月4日(金)までに提出することになりました。
■第6回口頭弁論は以上のとおりでした。今年もスラグ問題は決着を見ずに年越しする公算が大きいようです。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】