■廃棄物固形燃料化とは、ゴミから固形燃料(RDF:Refuse Derived FuelおよびRPF:Refuse Paper & Plastic Fuel)を製造することです。これらの廃棄物固形燃料は、専用の装置で燃やされて、乾燥や暖房、発電などの用途に供されます。RDFは可燃性の一般廃棄物を主原料とする固形燃料で、家庭などから排出される厨芥類(台所で発生する生ごみなど)を含みます。一方、RPFは、産業廃棄物として分別収集された古紙及びプラスチックを主原料とする固形燃料で、原料性質が一般廃棄物と比較して安定しているため、製造工程はRDFより単純で、製造コストも低く、低位発熱量もRDFより高くなります。そのRDFを燃やそうとする試みはこれまで各地で行われてきましたが、爆発事故などでいずれも失敗しています。そうした中、みなかみ町でもRDF発電を1998年から開始しましたが、2006年にガス爆発で設備が破損し、発電事業がストップを余儀なくされました。年間約2500トンものRDFを町が運搬費を負担することで、外部に処理を委託してきました。
ところが2016年になり、みなかみ町に突然お助けマン業者が現れました。この業者は、言葉巧みに、行き場がなくなったRDFを利用して温水供給に使い、施設も作ろうと町の有力者らに持ち掛けました。しかしスッポン養殖を前面に出すと世間体が悪いので町営の温泉施設の熱源供給のための実証実験施設ということで、話が進められました。
しかし、この実証実験施設ではRDFを燃やすことから、本来は「廃棄物処理施設」であり、環境アセスメントや説明会など廃棄物処理法にもとづく手続きが必要となります。なぜなら、RDFの原料は所詮ゴミなので、燃やすには当然、バグフィルターなど、さまざまな排ガスクリーニング装置が整備されていなければなりません。そのため、さすがに環境省はともかく、県民のための生活環境保全の意識レベルの低い群馬県も、さすがに大気汚染防止法に基づく施設設置届の受理を保留しました。
仕様書さえ見当たらず、煙突さえなさそうなボイラーもどきが稼動したら、大変な大気汚染は避けられません。温泉施設の熱源供給なぞ、言語道断です。環境汚染から県民を守ろうという意識の乏しい群馬県も「待った」をかけたわけですが、本来なら、「保留」ではなく、「不許可」とすべき事例です。
■みなかみ町のRDF実証実験施設は、適正な手続きを経ずに一般廃棄物を処理しようとする計画です。このようなトンデモナイことがまかり通るのは、利権に左右されやすい我が国の地方の特徴です。そのため、当会会員は、この胡散臭いお助けマン業者との協定書を破棄し、得体のしれない実証実験施設を解体撤去させるために、みなかみ町の監査委員あてに7月29日付で住民監査請求書を提出しました。
*****住民監査請求*****ZIP ⇒ 20190729z.zip
みなかみ町職員措置請求書
みなかみ町長に関する措置請求の要旨
1.請求の要旨
2018年7月31日(火)の読売新聞記事(事実証明書1)によれば、「みなかみ町の町有地に同年春建設されたごみ固形化燃料(RDF)事業の有効利用実証実験施設について、町が土地の使用許可を出していなかったことがわかった」と報じられている。
さらに報道記事によれば、「町は2017年10月、実証実験を担う熱供給会社と協定を結んだ。建設を担ったのは、この構想に賛同した町内の建設会社で、2017年11月に着工、今年4月に完成させた。ところが、町有地の使用許可を町が出していないことがわかり、同館を所管する町観光商工課が完成後の同月になって、建設会社に申請書の提出を求めた。町が主導役と認識していた建設会社側は、無許可との指摘に『戸惑った』といいう」と記されている。
また同記事では「建設会社は町観光商工課の求めに応じて町有地の使用許可を申請したが、施設が稼働できない事情から使用許可の決定はまだで、『無許可設置』状態が続いている」と指摘している。
なお、この事業を巡り、2018年7月27日(金)の読売新聞記事(事実証明書2)によれば「この委託費や遊神館の運営費を抑制しようと、町は岸良昌・前町長時代の2017年10月、熱源利用の実験を進める協定を民間の熱供給会社と結んだ。構想に賛同した町内の建設会社などが施設を建設し、設置も運営も民間が担う形となった。・・・(中略)・・・町担当者は読売新聞の取材に対し、実証実験で効果が確認できた後、『軌道に乗った段階で町が施設を買い取ることが検討された』としている。建設会社の社長も『町の計画だから進めた』と話すが、施設稼働の行方が不透明になったことで、『頓挫したら、町に費用を請求する』と、町の責任を問う構えだ。この問題には、町議会からも「実証実験の中止も視野に議論すべきだ』との意見が出ており、町は、事業者との協定を含め、計画の大幅な見直しを迫られる可能性がある」とも報じている。
続いて2019年3月16日(土)の読売新聞記事(事実証明書3)によると、「RDF稼働『検証必要』」と題して、「同町議会の調査特別委員会は同4月15日までに、実証実験施設の稼働には『より多くの検証、調整が必要となることが判明した』とする中間報告書をまとめた。事業継続の可否には踏み込まなかったものの、懐疑的な見方を含む内容だ」などと報じられ、中間報告書では「正常な稼働に向けては多くの課題があるとの見方がある」との見解が示されたという。
以上の通り、土地の使用許可については違法もしくは不当な財産の管理が問われており、本件事業に絡んで締結された協定書や契約等のとりきめについては、違法もしくは不当な契約の締結、履行に該当する可能性が指摘される。
よって、監査委員はみなかみ町長に対し、次の措置を講ずるよう、勧告することを求める。
①使用許可を出していなかったことによる損害を算定し、しかるべき原因者に請求すること。
②RDF事業に関して町が依然として支出している無駄な経費をただちに精査して、その原因となる協定書ないし契約等の取り決めの有効性を精査し、関連する損失を算定して、しかるべき原因者に請求すること。
2.請求者
住 所 群馬県利根郡みなかみ町布施339-1
氏 名 鈴木 章二
地方自治法第242条第1項の規定により,別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。
令和元年7月29日
みなかみ町監査委員
別紙 事実証明書
事実証明書1 2018年7月31日(火)の読売新聞記事(事実証明書1)
事実証明書2 2018年7月27日(金)の読売新聞記事(事実証明書2)
事実証明書3 2019年3月16日(土)の読売新聞記事(事実証明書3)
**********
■すると、さっそくみなかみ町監査委員から、8月6日付で補正命令が届きました。
※住民監査請求に対する補正要求書 ZIP ⇒ 20190806v.zip
そこで、8月20日に次の補正書を監査委員に提出しました。
*****補正書*****
みなかみ町職員措置請求書の補正書
令和元年8月6日「住民監査請求に対する補正要求書」に基づき、下記の枠内記載の通り補正します。
記
1 勧告を求める講ずべき措置②(RDF事業に関して町が依然として支出している無駄な経費をただちに精査して、その原因となる協定書ないし契約等の取り決めの有効性を精査し、関連する損失を算定して、しかるべき原因者に請求すること)に係る法定要件を要旨内に書くこと。
※法定要件
①誰が、いつ、どのような財務会計上の行為を行っているのか。
②その財務会計上の行為はどのような理由で、違法又は不当なのか。
③その結果、町にどのような損害が生じているのか。
④町にどのような措置(講ずべき改善措置)を請求するのか。
⑤請求日が、財務会計上の行為を行った日から1年以上経過している場合はその理由。
本件請求事案は、町有地の使用許可を与えないまま実証実験施設を建設し、その熱源としての有効性を確認するためにごみ固形化燃料(RDF)を使用することを前提としていた。
2019年5月25日(土)の読売新聞記事(事実証明書4)によれば、「町は2017年度からRDFを県外業者に一般廃棄物として処理を委託しているが、委託費は年間約1億円と、燃料として売却していた頃の運搬費の2倍近くに膨らんだ。最終報告案は、これを当時の担当課長による『独自の判断』としてした。17年10月には、熱源としての有効性を確認する実証実験の協定を熱供給業者と結んだが、これも同じ課長が岸良昌町長(当時)と町議会厚生委員長(同)だけに報告していた。最終報告書案は『委員長の独自判断だったのかと疑念を持たざるを得ない』としている。最終報告書は、地方自治法に基づいて強い調査権限を持つ百条委員会の設置も念頭に、『法的な部分も考慮に入れるべきだ』と結ばれている。特別委は昨年12月に設置され、関係者から聞き取りなどを進めてきた」と報じられている。
このことから、補正要求書で示している「※法定要件」について、次の通り陳述する。
【①誰が、いつ、どのような財務会計上の行為を行っているのか。】
事実証明書④によれば、「当時の担当課長が岸良昌町長(当時)と町議会厚生委員長(同)だけに報告していた」とされていることから、当時の高橋孝一・生活水道課長、岸良昌・町長、高橋市郎・厚生常任委員長が、2017年10月に実証実験の協定書を熱供給業者と結んだとある。
また、これに先立ち、稼働の目途が定かでない施設を前提とした事業のために、2016年7月20日~21日に町議会の厚生常任委員会が行政視察研修と称して、北海道富良野市を1泊2日で宿泊を伴う旅行を公費で実施した。これには、町議会から7名(高橋市郎・厚生常任委員長、石坂武・厚生常任副委員長、森健治・厚生常任委員、阿部賢一・同委員、山田庄一・同委員、久保秀雄・同委員、林喜美雄・議長)及び市側関係者7名(高橋孝一・生活水道課長、林市治・同課環境政策室長、高橋実・同課グループリーダー、本間泉・議会事務局、佐々木利従・運転手、番場哲也・運転手(日帰り))が参加した。このほかにも、この事業を巡り無用な財務会計上の行為が多数あることが新聞報道された「最終報告書案」にも載っていることが想定される。それらは監査委員の権限のもとに調査されなければならない。
【②その財務会計上の行為はどのような理由で、違法又は不当なのか。】
実証実験施設が使用許可の出されていない土地に建設されていて稼働できないのに、協定書を一部の関係者だけで勝手に締結したことは、地方自治法第2条の次の各項に違反している。
○14 地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
○15 地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めるとともに、他の地方公共団体に協力を求めてその規模の適正化を図らなければならない。
○16 地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。なお、市町村及び特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない。
○17 前項の規定に違反して行った地方公共団体の行為は、これを無効とする。
【③その結果、町にどのような損害が生じているのか。】
無許可のまま町有地に施設を建設させたことによる公有財産の棄損のほか、事実証明書4によれば「町は2017年度からRDFを県外業者に一般廃棄物を県外業者に一般廃棄物として処理を委託しているが、委託費は年間約1億円と、燃料として売却していた頃の運搬費の2倍近くに膨らんだ。」とあることから、地方自治法第2条第14項に定める最小の経費で最大の効果を上げることが求められているため、2倍近くに膨らんだ委託費は、当然町の財政に損害を生じせしめている。
【④町にどのような措置(講ずべき改善措置)を請求するのか。】
使用許可を出さないまま町有地を使わせたことによる関連する租税公課の徴収懈怠により、本来得られたはずの収入を失ったことから、勝手に協定書を締結した関係者に当該損失分を請求すること。
また、燃料として売却していた頃の運搬費の2倍近い委託費を上記協定書締結関係者に対して、連帯して損害を賠償させること。
さらに、町有地に無許可で設置した実証実験施設の撤去費用を、上記協定書締結関係者に対して、連帯して損害を賠償させること。
【⑤請求日が、財務会計上の行為を行った日から1年以上経過している場合はその理由。】
請求人は財務会計上の行為を知ったのは、令和元年5月25日の新聞記事(事実証明書4)なので、それから2か月と1週間目に住民監査請求を行っている。仮に財務会計上の行為が行われた日から1年以上経過している場合でも、請求人には正当な理由がある。
ちなみに、地方自治法第242条第2項において、住民監査請求は行為のあった日又は終わった日から1年以内と規定されているが、そもそも本件請求は、財産の管理を怠る事実に対するものであることから、1年の期間制限には該当しない(昭和53年6月23日最高裁判決)。
みなかみ町監査委員あて
令和元年8月20日
住 所 みなかみ町布施339-1
氏 名(自署・押印) 鈴木章二 印
別紙:今回追加の事実証明書
事実証明書4 2019年5月25日(土)の読売新聞記事(事実証明書4)
※ZIP ⇒ 20190820eus.zip
**********
■その後、9月3日になると、みなかみ町議会の調査特別委員会が、ようやく最終報告書をまとめ、同日の町議会定例会本会議で報告しました。
※ごみ処理調査特別委員会の最終報告 ZIP ⇒ 20190903i.zip
そして、7月29日に住民監査請求をだしてから期限一杯の9月30日付で、みなかみ町代表監査委員から監査結果として「みなかみ町職員措置請求に基づく勧告について(通知)」が当会会員あてに送られてきました。
*****送り状*****ZIP ⇒ 20190930ij.zip
<P1>
み監発第3号
令和元年9月30日
請求人代表者
氏 名 鈴木 章二 様
みなかみ町代表監査委員 澁 谷 正 誼
みなかみ町職員措置請求に基づく勧告について(通知)
令和元年8月1日請求のことについて、地方自治法第242条の規定に基づき監査を行った結果、別紙写のとおりみなかみ町長に対し、勧告を行ったので通知します。
**********
み監発第3号
令和元年9月30日
みなかみ町長
鬼 頭 春 二 様
みなかみ町代表監査委員 澁 谷 正 誼
みなかみ町職員措置請求について(勧告)
令和元年8月1日、みなかみ町布施339-1鈴木章二から、別紙写のとおり地方自治法第242条第1項の規定に基づく措置請求があり、監査を行った結果、請求の一部に理由があると認められるので、必要な措置を講じられるよう、下記により勧告します。
記
1.請求の要旨
2018年7月31日の読売新聞記事(事実証明書1)によれば、「みなかみ町の町有地に同年春に建設されたごみ固形燃料(RDF)事業の有効利用実証実験施設について、町が土地の使用許可を出していなかったことがわかった」と報じられている。さらに報道記事によれば、「町は2017年10月、実証実験を担う熱供給会社と協定を結んだ。建設を担ったのは、この構想に賛同した町内の建設会社で、2017年11月に着工、今年4月に完成させた。ところが、町有地の使用許可を町が出していないことがわかり、同館を所管する町観光商工課が完成後の同月になって、建設会社に申請書の提出を求めた。町が主導役と認識していた建設会社側は、無許可との指摘に『戸惑った』と言う。」と記されている。
また同記事では「建設会社側は町観光商工課の求めに応じて町有地の使用許可を申請したが、施設が稼働できない事情から使用許可の決定はまだで、『無許可設置』状態が続いている」と指摘している。
なお、この事業を巡り、2018年7月27日(金)の読売新聞記事(事実証明書2)によれば「この委託費や遊神館の運営費を抑制しようと、町は岸良昌・前町長時代の2017年10月、熱源利用の実験を進める協定を民間の熱供給会社と結んだ。構想に賛同した町内の建設会社などが施設を建設し、設置も運営も民間が担う形となった。・・・(中略)・・・町担当者は読売新聞の取材に対し、)実証実験で効果が確認できた後、『軌道に乗った段階で町が施設を買い取ることが検討された』」としている。建設会社の社長も『町の計画だから進めた』と話すが、施設稼働の行方が不透明になったことで、『頓挫したら、町に費用を請求する』と、町の責任を問う構えだ。この問題は、町議会からも「実証実験の中止も視
<P2>
野に議論すべきだ」との意見が出ており、町は、事業者との協定を含め、計画の大幅な見直しを迫られる可能性があるとも報じている。
続いて2019年3月16日(土)の読売新聞記事(事実証明書3)によると、「RDF稼働検証必要」と題して、町議会の調査特別委員会は同4月15日までに実証実験の稼働には『より多くの検証、調整が必要となることが判明した』とする中間報告書をまとめた。事業継続の可否には踏み込まなかったものの、懐疑的な見方を含む内容だ。などと報じられ、中間報告書では「正常な稼働に向けては多くの課題があると見方がある。」との見解が示されたという。また、2019年5月25日(土)の読売新聞記事(事実証明書4)によれば、「町は2017年度からRDFを県外業者に一般廃棄物として処理を委託しているが、委託費は年間約1億円と、燃料として売却していた頃の運搬費の2倍近くに膨らんだ最終報告案は、これを当時の担当課長による『独自の判断』としていた。17年10月には、熟源としての有効性を確認する実証実験の協定を熱供給業者と結んだが、これも同じ課長が岸良昌町長(当時)と町議会厚生委員長(同)だけに報告していた。最終報告書案は『委員長の独自判断だったのかと疑念を持たざるを得ない』としている。最終報告書は、地方自治法に基づいて強い調査権限を持つ百条委員会の設置も念頭に、『法的な部分も考慮に入れるべきだ』と結ばれている。特別委は昨年12月に設置され、関係者から聞き取りなどをすすめてきた」と報じられている。
事実証明書④によれば、「当時の担当課長が岸良昌町長(当時)と町議会厚生委員長(同)だけに報告していた」とされていることから、当時の高橋孝一・生活水道課長、岸良昌町長、高橋市郎・厚生常任委員長が、2017年10月に実証実験の協定書を熱供給業者と結んだとある。
また、これに先立ち、稼働の目途が定かでない施設を前提とした事業のために2016年7月20日 ~21日 に町議会の厚生常任委員会が行政視察研修と称して、北海道富良野市を1泊2日で宿泊を伴う旅行を公費で実施していた。これには、町議会から7名 (高橋市郎・厚生常任委員長、石坂武・厚生常任副委員長、森健治・厚生常任委員、阿部賢一・同委員、山田庄―・同委員、久保秀雄・同委員、林喜美雄・議長)及び町側関係者7名(高橋孝一・生活水道課長、林市治・同課環第政策室長、高橋実・同課グループリーダー、本間泉・議会事務局、佐々木利従運転手、番場哲也・運転手(日帰り))が参加した。このほかにも、この事業を巡り無用な財務会計上の行為が多数あることが新聞報道された「最終報告書案」にも載っていることが想定される。
以上の通り、土地の使用許可については違法もしくは不当な財産の管理が問われており、本件事業に絡んで締結された協定書や契約等のとりきめについては違法もしくは不当な契約の締結、履行に該当する可能性が指摘される。
よって、監査委員はみなかみ町長に対し、次の措置を講ずるよう勧告することを求める。
① 使用許可を出していなかったことによる損害を算定し、しかるべき原因者に請求すること。
② RDF事業に関して町が依然として支出している無駄な経費を直ちに精査して、その原因となる協定書ないし 契約等の取り決めの有効性を精査し、関連する損失を算定して、しかるべき原因者に請求する。
<P3>
2.監査結果
住民監査請求は、地方公共団体の長、その他の執行機関等の違法又は不当な財務会計上 の行為、財産の管理を怠る行為等について、住民が監査委員の監査を通じてこれを是正し、もって当該地方公共団体の適正な財務運営を確保し、住民全体の財務的な利益を擁護する ことを目的とするものである。以上を踏まえ、請求の趣旨から以下2点を視点として、監査を行った。
1 財産の管理を怠る事実があるかについて
2 違法若しくは不当な契約の締結若しくは履行があるかについて
1 財産の管理を怠る事実があるかについて
請求人は、遊神館敷地内にRDF燃焼実証試験施設が許可なく建設され、現在も存在することが違法若しくは不当に財産の管理を怠る事実があるとして、使用許可を出していなかったことによる損害を算定し、しかるべき原因者に請求することを求めている。
この施設については、平成30年3月に、議会より許可手続きに関する指摘を受けたが、行政財産使用許可の事務手続きを進めておらず、財産の管理を怠る事実があったと認めざるを得ない。しかし、同年4月に、行政財産使用許可の申請を求めており、是正をしていると考えられるが、提出された行政財産使用許可を前町長が決裁をせず、許可が出せない状況にある。
しかしながら、建設前に手続きをとっておくのは当然の事であり、一部財産の管理を怠る事実であると認めるべきであり、早期に行政財産使用許可の手続きを行う必要があると考える。
ただ、本事業に関する協定書に実証試験場所として当該町有地が明記されており、違法 若しくは不当な財産管理とは思料しがたい。
2 違法若しくは不当な契約の締結若しくは履行があるかについて
請求人は、RDF燃焼実証試験事業において、結ばれた協定書が違法若しくは不当な契約の締結であるため、RDF事業に関して依然として支出している無駄な経費を精査し、関連する損失を算定して、しかるべき原因者に請求することを求めている。
この協定書に関して、書類の調査を行ったところ、平成29年9月22日に起案がされ、町長の決裁後、同年10月3日に締結されている。同年11月に前町長が協定書の内容に指摘をし、協定書の変更とRDFボイラーの仕様書等の提出を求めたが、協定相手方からの提出がなく、現在も未提出である。そのため、ボイラーの種類及び安全性等が確認できないため、事業が停止している状況となっているが、協定書の手続きは適法に行われており違法若しくは不当な点はないと判断する。
また、請求人は「町が依然として出している無駄な経費」としているが、本件は現在停滞しているとはいえ事業が継続している状態であり、現時点での判断には問題がある。
まず、この事業は実現していれば、RDFの町内循環が行われ、経費が節減されることとなり、大変期待される事業であった。みなかみ町議会のごみ処理調査特別委員会でも調査が行われ、その最終報告において、町内循環型構想推進の検討を開始したことに対して
<P4>
は一定の評価がされている。みなかみ町職員措置請求書の趣旨内の視察に関して「稼働の 目途が定かではない」とあるが、当時視察先では導入されており、みなかみ町のRDFについても視察先において燃焼試験をしているため、視察の趣旨に反しておらず、事業推進に必要なものであったと考える。その後、事業が停止している状況ではあるが、経費節減の考えは理解できる。
しかしながら、協定相手が必要書類の提出を行わないなど、是正が出来ない理由も大きいが、財産の管理については怠る事実があったと考えられる。協定書については違法若しくは不当な点は確認されていないが、現状、燃やせるごみ固形燃料(RDF)化事業の支出が増加していることは確かである。よって、本件請求には一部理由があると認められるので、地方自治法第242条第4項の規定により次のとおり勧告する。
3.勧告の内容(期限)
みなかみ町長は、 本件RDF燃焼実証試験事業について、 令和元年12月31日までに、下記の通りの対応をすること。
①遊神館地内RDF実証試験施設の行政財産使用許可を出すことによって現在の状態を解 消すること。
②ボイラーの仕様書等の提出を再度求め、安全性等を確認すること。なお、安全性等が確認できない場合は、事業の中止も検討すること。また、燃やせるごみ固形燃(RDF)化事業の支出について精査を行い、経費節減計画を立てること。
意 見
本件に関しては、事業を進める過程において首長の交代といった状況もあるが、内部調 整や議会対応あるいは町関係者の一体感と一貫性に課題無しとはいえない。むろん相手事 業者や県との対応による状況の変化は十分理解できるが事業の停滞は早期に解決を図ら なければならない。
この事業については、燃焼試験を「民設民営」で実施するものの、RDFの町内循環型構想として検討が始められたものであり、その観点からして町の主体的立場は維持されなければならないと考えられる。町長は、本件について改めて課題と問題点、事業のあり方等を検討し、しつかりとした方向性を確立するよう要望する。
**********
■さすがに、ここまできちんと監査請求をしていると、監査委員も無暗に棄却することはでません。
しかしよく読んでみると、問題点をほとんど深堀りしていない内容になっています。それでも、「棄却」ではなく「勧告」が出されたことは画期的なことです。
このRDF問題では、見直しを訴えた前町長が、根拠のないセクハラ問題で身に覚えのないスキャダルに見舞われ、わずか10か月で辞職を余儀なくされました。
その背景をあぶりだすためにも、当会会員は引き続き追及してゆく決意です。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報「ごみ処理調査特別委員会の最終報告」
**********
<P1>
令和元年9月3日
みなかみ町議会
議長 小野 章一 様
ごみ処理調査特別委員会
委員長 中島 信義
ごみ処理調査特別委員会の最終報告
ごみ処理調査特別委員会は、前町長の議会不信任決議に伴う議会解散の争点としてRDFに言及したことにより、町民に対して多大な不安を与えたこと、並びに町有施設遊神館でのRDFボイラー実証試験事業に関しての検証を進めるため、平成30年12月の議会定例会で設置されました。そして、平成31年3月の議会定例会において当委員会の中間報告をさせていただきました。その内容をより詳細にまとめて本日の議会定例会に最終報告をさせていただきます。
今回の最終報告では茨城県古河市のS商店へ固形燃料(RDF)の販売を打ち切った経緯。みなかみエネルギーサービスとの接点、及びRDF(固形燃料)実証試験の協定書などについて報告いたします。
平成26年に元町長より奥利根アメニティパークの経費削減見直しの指示をうけた、当時の担当課長が経費削減は町民の負担軽減になるので、平成27年度よりRDFの町内循環型構想推進の検討を開始したことは評価したいと思う。議会全員協議会で当局よりRDFボ イラーの実証試験を民設民営で行うと報告を受けた。当時RDFの運搬費は(1トン21000円)の委託先(株)IHI環境エンジエアリング(以下IKEと名称)IKEは茨城のS商店に減量で受け入れができないか否かの確認をしたが、S商店は今迄同様全量でなければ受け入れることができないと回答してきた。
平成29年3月14日に町とIKEとの協議が整なかったためS商店に平成28年度末で終了、来年度からはなくなる旨を連絡したとある。調査特別委員会は平成31年2月13日に茨城県のS商店へ伺い担当のN取締役執行役員に聞き取り調査をした所、次年度に向け大型トレーラーまで購入し継続の意思はあった。一度切ったらその次は受け入れられないと回答したとのことであつた。取締役執行役員のNさんはあくまでもIKEの下で事業をしていたのでみなかみ町の職員とはかかわっていないとのことであった。このRDFの運搬量について、元担当課長は運搬量の減量をIKEと協議したが、0か100かの回答に、来年度は0にしてもらいたいと元町長の決裁もなく独自の判断でお願いし
<P2>
た。RDFは平成29年4月からも1日約10トンから生産されており、奥利根アメニティパークでの保管量が限界に近くなった為、運搬処理の見積もりを2社からとりウイズウェイストジャパンと1トン39000円で運搬処理契約を締結した。その結果、倍近い多額の費用がかかっている。ごみ処理経費の削減が進んでいない状況であると言わざるをえない。
次にRDFボ イラーでだが平成28年1月にみなかみエネルギーサービス(以下MES)の代表者が来町、元担当課長に面会、RDFをボイラーで燃焼し熱源としてスッポン事業をしたいとのこと、そして北海道富良野市でのRDFボイラーの実用状況(加温熱供給方式)の説明があり、同年6月に町当局より議会の厚生常任委員会へ報告があった。厚生常任委員会より担当課に町内循環が可能であれば勉強したほうが良いと提案した。同年7月20日 より厚生常任委員会でRDFボイラーを実用している先進地、北海道富良野市へ視察、事前に運搬しておいた当町のRDFをボイラーで燃焼、それは可能であることを確認したが、排ガスより基準値の7倍以上のダイオキシンが発生したとのこと。次にMESの代表者がみなかみ町へ来た経緯は当初富良野市からの紹介であったと町から議会へ報告があつた。しかし調査した結果で富良野市も紹介した事実はないとのことである。元担当課長の勘違いであつたことが判明した。MESの代表者はRDFを製造している自治体をインターネットで検索し、来町したとのことであった。平成31年4月26日の調査特別委員会でMESの代表者が元町長に面会したか、又誰が紹介をしたのかの確認を現在の担当課に依頼した。そ して令和元年5月15日の調査特別委員会の席上担当課より公式記録に面会した事実はなかったとの報告。そして非公式での面会も確認できなかったとのこと、そして8月9日の調査特別委員会で再度確認した所、非公式で面会した事実が判明した。次に町有施設遊神館地内で実証試験を進めるための協定書ですが、平成29年9月22日に起案し、元町長より 決済がおり、平成29年10月3日にMESの代表者と協定書を締結したことを元町長と 元厚生常任委員長に報告した。そして実証試験に向け動きはじめた。同年10月30日に新町長にM氏が就任、11月中旬、協定書が無いとのことで、元担当課長が前町長と元議長へ提示した。その席上協定書に不備がある旨の指摘があり変更指示がでた。そしてMESに対して協定書の変更とRDFボイラー仕様書等の提出を求めたが、現在も未提出のままと なっている。
前町長は昨年5月までは実証試験を推進していたが、一連の騒動後は方向を転換し、政争の具とした。また多数の議員は協定書の有無すら承知しておらず情報共有の観点から反省すべき点は多々あり慎重に進めるべきであったと言わざるをえない。
申し述べ、ごみ 処理調査特別委員会の最終報告といたします。
<P3>
その後議会の要請で協定書が提示された。実証試験でボイラーの設置期間は1年間と確認したにもかかわらず、協定書内容にはボイラーの法定耐用年数以上との記載があった。さらに実証試験が失敗した場合の後処理等責任所在の記載がなかった。初めから成功ありきではなかったかと思わざるをえない。実証試験でありながら町有地内に無許可で施設を建設したことも不適切であった。協定書が事前に議会に提示されていたならばこれらの問題は生じなかったと想われる。一方実証試験に使うボイラーは韓国製であり新古の判断がつかない物であった。
平成31年2月12日より調査特別委員会に於いて同型ボイラーを実用している富良野市へ調査に行き確認した所、自動運転システム及び熱交換器の能力に課題が見受けられ調整及び修繕を行なっていた為、当時は稼働していない状況が見受けられた。調査特別委員会としても遊神館地内での実証試験には疑問を感じている。最後にごみ処理調査特別委員会のまとめとしてRDFボイラーの実証試験を進めるための一連の説明と協議が不十分であった結果、問題を大きく複雑にしたと言わざるをえない。昨年12月の議会定例会に於いてごみ処理調査特別委員会が設置され数多くの委員会、調査、そして関係者への間き取りなどを進めてきたが調査特別委員会としては限界を感じた。
今後町当局としてこの最終報告を受けて対応して頂くことを申し述べ、ごみ処理調査特別委員会の最終報告といたします。
**********読売新聞2019年9月4日
RDF 町長「継続困難」
みなかみ町議会特別委 最終報告書受け
実証実験施設が稼働できていないみなかみ町のごみ固形化燃料(RDF)事業について、同町議会の調査特別委員会は3日、「多数の議員は実証実験の協定の有無すら承知しておらず、慎重に進めるべきだった」と、町の手続きを疑問視する最終報告書をまとめた。昨春完成した施設は1年半も放置されている。鬼頭春二町長は取材に、「事業継続は困難」と話しており、町は稼働を断念する方向だ。
◆みなかみ町のRDF事業にかかる経緯
1998年04月 町のごみ処理場で生成したRDFによる発電を開始(岸良昌町長)
2006年08月 設備の故障で発電休止。年間約2500トンのRDFを燃料として売却開始。町が運搬費負担(岸良昌町長)
2016年07月 町議会厚生常任委が、北海道富良野市でRDF実用事例を視察(岸良昌町長)
2017年04月 RDFを一般廃棄物として県外業者に処理委託。町が支払う委託費は、運搬費の2倍近い1億円に(岸良昌町長)
2017年10月 費用抑制を狙い、町が町営温泉施設「遊神館」の熱源に使う実証試験の協定を熱供給会社と締結(岸良昌町長)
2017年11月 遊神館わきの町有地に、町内の建設会社が実証実験施設を着工(前田善成町長)
2018年04月 施設が完成。しかし、RDFが廃棄物として処理されていることを理由に、県が大気汚染防止法に基づく施設設置届の受理を保留し、稼働できず(前田善成町長)
2018年08月 セクハラ問題に伴う不信任家決議を受けた前田前町長がRDF事業の見直しを訴え、これを争点に「民意を問う」と町議会を開催。9月の町議選で前田氏派は大敗(前田善成町長)
2018年12月 町議会が調査特別委設置。RDF事業の問題究明着手(鬼頭町長)
2019年03月 調査特別委が中間報告。実証実験の継続に懐疑的な見方を示す(鬼頭町長)
2019年09月 調査特別委が「慎重に進めるべきだった」「(実証実験に)疑問を感じている」とする最終報告(鬼頭町長)
★実証実験協定手続き疑問視★
最終報告書の内容は、特別委の中島信義委員長が同日の町議会定例会本会議で伝えた。町は2017年10月、熱源としての有効性を確認する実証実験の協定を熱供給業者と結んだ。最終報告書によると、協定を起案した担当課長が岸良昌町長の決裁を受け、岸町長と町議会厚生委員長だけに協定締結を報告していた(肩書はいずれも当時)。だが、協定には実証実験が失敗した場合の責任の所在について記載がなかったほか、施設は無許可で町有地に建設された。報告書はこれらを「成功ありき」「不適切」と批判し、「協定が事前に議会に提示されていれば、問題は生じなかったと思われる」とした。
↑完成後も稼働できていない実証実験施設。左は町営温泉施設の遊神館↑
ごみ処理場で生成したRDFによる発電が頓挫した後、町は17年度から、県外業者に一般廃棄物としてRDFの処理を委託している。だが、委託費は年間約1億円と、燃料として売却していた頃の運搬費の2倍近くに膨らんだ。最終報告書は、これを当時の担当課長による「独自の判断」と指摘した。町は今後、この費用の削減についても対応を迫られそうだ。
町議会の特別委は8人の町議が委員となり、昨年2月に設置された。これまで17回の会議は1回を除いて非公開で行われた。
**********読売新聞2019年9月5日
RDF実証実験「計画不当」 みなかみ町元町議が住民監査請求
実証実験施設が稼働できていないみなかみ町のごみ固形化燃料(RDF)事業を巡り、町が約1億円のRDF処理費を毎年支出しているのは、実証実験協定を不当に締結したためなどとして、住民監査請求が起こされていることがわかった。岸良昌・元町長や当時の担当課長らに一義的な責任があるとし、町が損害分を算定し請求するよう求めている。
住民監査請求を行ったのは鈴木章二・元町議(61)。町監査委員は8月1日付で請求を受理しており、今月末までに監査結果を出す。
町は2017年度からRDFを県外事業者に一般廃棄物として処理を委託しているが、当時の担当課長による「独自の判断」の結果、委託費は年間約1億円と、燃料として売却していた頃の運搬費の2倍近くに膨らんだ。17年10月には、熱源としての有効性を確認する実証実験協定を熱供給業者と結んだが、これも同じ課長が当時町長だった岸氏と町議会厚生委員長だけに報告していた。
これらは町議会の調査特別委員会が最終報告書で指摘しており、鈴木氏は「一部の独断で計画が不当に進められた」と批判している。
住民監査請求ではさらに、町が町有地使用の手続きを怠ったまま実証実験施設が建設されたことや、大気汚染防止法に基づく設置届の受理を県が保留し、施設が稼働できていないことから、「計画は破綻している」(鈴木氏)として、施設撤去費用の賠償請求も求めている。
**********
ところが2016年になり、みなかみ町に突然お助けマン業者が現れました。この業者は、言葉巧みに、行き場がなくなったRDFを利用して温水供給に使い、施設も作ろうと町の有力者らに持ち掛けました。しかしスッポン養殖を前面に出すと世間体が悪いので町営の温泉施設の熱源供給のための実証実験施設ということで、話が進められました。
しかし、この実証実験施設ではRDFを燃やすことから、本来は「廃棄物処理施設」であり、環境アセスメントや説明会など廃棄物処理法にもとづく手続きが必要となります。なぜなら、RDFの原料は所詮ゴミなので、燃やすには当然、バグフィルターなど、さまざまな排ガスクリーニング装置が整備されていなければなりません。そのため、さすがに環境省はともかく、県民のための生活環境保全の意識レベルの低い群馬県も、さすがに大気汚染防止法に基づく施設設置届の受理を保留しました。
仕様書さえ見当たらず、煙突さえなさそうなボイラーもどきが稼動したら、大変な大気汚染は避けられません。温泉施設の熱源供給なぞ、言語道断です。環境汚染から県民を守ろうという意識の乏しい群馬県も「待った」をかけたわけですが、本来なら、「保留」ではなく、「不許可」とすべき事例です。
■みなかみ町のRDF実証実験施設は、適正な手続きを経ずに一般廃棄物を処理しようとする計画です。このようなトンデモナイことがまかり通るのは、利権に左右されやすい我が国の地方の特徴です。そのため、当会会員は、この胡散臭いお助けマン業者との協定書を破棄し、得体のしれない実証実験施設を解体撤去させるために、みなかみ町の監査委員あてに7月29日付で住民監査請求書を提出しました。
*****住民監査請求*****ZIP ⇒ 20190729z.zip
みなかみ町職員措置請求書
みなかみ町長に関する措置請求の要旨
1.請求の要旨
2018年7月31日(火)の読売新聞記事(事実証明書1)によれば、「みなかみ町の町有地に同年春建設されたごみ固形化燃料(RDF)事業の有効利用実証実験施設について、町が土地の使用許可を出していなかったことがわかった」と報じられている。
さらに報道記事によれば、「町は2017年10月、実証実験を担う熱供給会社と協定を結んだ。建設を担ったのは、この構想に賛同した町内の建設会社で、2017年11月に着工、今年4月に完成させた。ところが、町有地の使用許可を町が出していないことがわかり、同館を所管する町観光商工課が完成後の同月になって、建設会社に申請書の提出を求めた。町が主導役と認識していた建設会社側は、無許可との指摘に『戸惑った』といいう」と記されている。
また同記事では「建設会社は町観光商工課の求めに応じて町有地の使用許可を申請したが、施設が稼働できない事情から使用許可の決定はまだで、『無許可設置』状態が続いている」と指摘している。
なお、この事業を巡り、2018年7月27日(金)の読売新聞記事(事実証明書2)によれば「この委託費や遊神館の運営費を抑制しようと、町は岸良昌・前町長時代の2017年10月、熱源利用の実験を進める協定を民間の熱供給会社と結んだ。構想に賛同した町内の建設会社などが施設を建設し、設置も運営も民間が担う形となった。・・・(中略)・・・町担当者は読売新聞の取材に対し、実証実験で効果が確認できた後、『軌道に乗った段階で町が施設を買い取ることが検討された』としている。建設会社の社長も『町の計画だから進めた』と話すが、施設稼働の行方が不透明になったことで、『頓挫したら、町に費用を請求する』と、町の責任を問う構えだ。この問題には、町議会からも「実証実験の中止も視野に議論すべきだ』との意見が出ており、町は、事業者との協定を含め、計画の大幅な見直しを迫られる可能性がある」とも報じている。
続いて2019年3月16日(土)の読売新聞記事(事実証明書3)によると、「RDF稼働『検証必要』」と題して、「同町議会の調査特別委員会は同4月15日までに、実証実験施設の稼働には『より多くの検証、調整が必要となることが判明した』とする中間報告書をまとめた。事業継続の可否には踏み込まなかったものの、懐疑的な見方を含む内容だ」などと報じられ、中間報告書では「正常な稼働に向けては多くの課題があるとの見方がある」との見解が示されたという。
以上の通り、土地の使用許可については違法もしくは不当な財産の管理が問われており、本件事業に絡んで締結された協定書や契約等のとりきめについては、違法もしくは不当な契約の締結、履行に該当する可能性が指摘される。
よって、監査委員はみなかみ町長に対し、次の措置を講ずるよう、勧告することを求める。
①使用許可を出していなかったことによる損害を算定し、しかるべき原因者に請求すること。
②RDF事業に関して町が依然として支出している無駄な経費をただちに精査して、その原因となる協定書ないし契約等の取り決めの有効性を精査し、関連する損失を算定して、しかるべき原因者に請求すること。
2.請求者
住 所 群馬県利根郡みなかみ町布施339-1
氏 名 鈴木 章二
地方自治法第242条第1項の規定により,別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。
令和元年7月29日
みなかみ町監査委員
別紙 事実証明書
事実証明書1 2018年7月31日(火)の読売新聞記事(事実証明書1)
事実証明書2 2018年7月27日(金)の読売新聞記事(事実証明書2)
事実証明書3 2019年3月16日(土)の読売新聞記事(事実証明書3)
**********
■すると、さっそくみなかみ町監査委員から、8月6日付で補正命令が届きました。
※住民監査請求に対する補正要求書 ZIP ⇒ 20190806v.zip
そこで、8月20日に次の補正書を監査委員に提出しました。
*****補正書*****
みなかみ町職員措置請求書の補正書
令和元年8月6日「住民監査請求に対する補正要求書」に基づき、下記の枠内記載の通り補正します。
記
1 勧告を求める講ずべき措置②(RDF事業に関して町が依然として支出している無駄な経費をただちに精査して、その原因となる協定書ないし契約等の取り決めの有効性を精査し、関連する損失を算定して、しかるべき原因者に請求すること)に係る法定要件を要旨内に書くこと。
※法定要件
①誰が、いつ、どのような財務会計上の行為を行っているのか。
②その財務会計上の行為はどのような理由で、違法又は不当なのか。
③その結果、町にどのような損害が生じているのか。
④町にどのような措置(講ずべき改善措置)を請求するのか。
⑤請求日が、財務会計上の行為を行った日から1年以上経過している場合はその理由。
本件請求事案は、町有地の使用許可を与えないまま実証実験施設を建設し、その熱源としての有効性を確認するためにごみ固形化燃料(RDF)を使用することを前提としていた。
2019年5月25日(土)の読売新聞記事(事実証明書4)によれば、「町は2017年度からRDFを県外業者に一般廃棄物として処理を委託しているが、委託費は年間約1億円と、燃料として売却していた頃の運搬費の2倍近くに膨らんだ。最終報告案は、これを当時の担当課長による『独自の判断』としてした。17年10月には、熱源としての有効性を確認する実証実験の協定を熱供給業者と結んだが、これも同じ課長が岸良昌町長(当時)と町議会厚生委員長(同)だけに報告していた。最終報告書案は『委員長の独自判断だったのかと疑念を持たざるを得ない』としている。最終報告書は、地方自治法に基づいて強い調査権限を持つ百条委員会の設置も念頭に、『法的な部分も考慮に入れるべきだ』と結ばれている。特別委は昨年12月に設置され、関係者から聞き取りなどを進めてきた」と報じられている。
このことから、補正要求書で示している「※法定要件」について、次の通り陳述する。
【①誰が、いつ、どのような財務会計上の行為を行っているのか。】
事実証明書④によれば、「当時の担当課長が岸良昌町長(当時)と町議会厚生委員長(同)だけに報告していた」とされていることから、当時の高橋孝一・生活水道課長、岸良昌・町長、高橋市郎・厚生常任委員長が、2017年10月に実証実験の協定書を熱供給業者と結んだとある。
また、これに先立ち、稼働の目途が定かでない施設を前提とした事業のために、2016年7月20日~21日に町議会の厚生常任委員会が行政視察研修と称して、北海道富良野市を1泊2日で宿泊を伴う旅行を公費で実施した。これには、町議会から7名(高橋市郎・厚生常任委員長、石坂武・厚生常任副委員長、森健治・厚生常任委員、阿部賢一・同委員、山田庄一・同委員、久保秀雄・同委員、林喜美雄・議長)及び市側関係者7名(高橋孝一・生活水道課長、林市治・同課環境政策室長、高橋実・同課グループリーダー、本間泉・議会事務局、佐々木利従・運転手、番場哲也・運転手(日帰り))が参加した。このほかにも、この事業を巡り無用な財務会計上の行為が多数あることが新聞報道された「最終報告書案」にも載っていることが想定される。それらは監査委員の権限のもとに調査されなければならない。
【②その財務会計上の行為はどのような理由で、違法又は不当なのか。】
実証実験施設が使用許可の出されていない土地に建設されていて稼働できないのに、協定書を一部の関係者だけで勝手に締結したことは、地方自治法第2条の次の各項に違反している。
○14 地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
○15 地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めるとともに、他の地方公共団体に協力を求めてその規模の適正化を図らなければならない。
○16 地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。なお、市町村及び特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない。
○17 前項の規定に違反して行った地方公共団体の行為は、これを無効とする。
【③その結果、町にどのような損害が生じているのか。】
無許可のまま町有地に施設を建設させたことによる公有財産の棄損のほか、事実証明書4によれば「町は2017年度からRDFを県外業者に一般廃棄物を県外業者に一般廃棄物として処理を委託しているが、委託費は年間約1億円と、燃料として売却していた頃の運搬費の2倍近くに膨らんだ。」とあることから、地方自治法第2条第14項に定める最小の経費で最大の効果を上げることが求められているため、2倍近くに膨らんだ委託費は、当然町の財政に損害を生じせしめている。
【④町にどのような措置(講ずべき改善措置)を請求するのか。】
使用許可を出さないまま町有地を使わせたことによる関連する租税公課の徴収懈怠により、本来得られたはずの収入を失ったことから、勝手に協定書を締結した関係者に当該損失分を請求すること。
また、燃料として売却していた頃の運搬費の2倍近い委託費を上記協定書締結関係者に対して、連帯して損害を賠償させること。
さらに、町有地に無許可で設置した実証実験施設の撤去費用を、上記協定書締結関係者に対して、連帯して損害を賠償させること。
【⑤請求日が、財務会計上の行為を行った日から1年以上経過している場合はその理由。】
請求人は財務会計上の行為を知ったのは、令和元年5月25日の新聞記事(事実証明書4)なので、それから2か月と1週間目に住民監査請求を行っている。仮に財務会計上の行為が行われた日から1年以上経過している場合でも、請求人には正当な理由がある。
ちなみに、地方自治法第242条第2項において、住民監査請求は行為のあった日又は終わった日から1年以内と規定されているが、そもそも本件請求は、財産の管理を怠る事実に対するものであることから、1年の期間制限には該当しない(昭和53年6月23日最高裁判決)。
みなかみ町監査委員あて
令和元年8月20日
住 所 みなかみ町布施339-1
氏 名(自署・押印) 鈴木章二 印
別紙:今回追加の事実証明書
事実証明書4 2019年5月25日(土)の読売新聞記事(事実証明書4)
※ZIP ⇒ 20190820eus.zip
**********
■その後、9月3日になると、みなかみ町議会の調査特別委員会が、ようやく最終報告書をまとめ、同日の町議会定例会本会議で報告しました。
※ごみ処理調査特別委員会の最終報告 ZIP ⇒ 20190903i.zip
そして、7月29日に住民監査請求をだしてから期限一杯の9月30日付で、みなかみ町代表監査委員から監査結果として「みなかみ町職員措置請求に基づく勧告について(通知)」が当会会員あてに送られてきました。
*****送り状*****ZIP ⇒ 20190930ij.zip
<P1>
み監発第3号
令和元年9月30日
請求人代表者
氏 名 鈴木 章二 様
みなかみ町代表監査委員 澁 谷 正 誼
みなかみ町職員措置請求に基づく勧告について(通知)
令和元年8月1日請求のことについて、地方自治法第242条の規定に基づき監査を行った結果、別紙写のとおりみなかみ町長に対し、勧告を行ったので通知します。
**********
み監発第3号
令和元年9月30日
みなかみ町長
鬼 頭 春 二 様
みなかみ町代表監査委員 澁 谷 正 誼
みなかみ町職員措置請求について(勧告)
令和元年8月1日、みなかみ町布施339-1鈴木章二から、別紙写のとおり地方自治法第242条第1項の規定に基づく措置請求があり、監査を行った結果、請求の一部に理由があると認められるので、必要な措置を講じられるよう、下記により勧告します。
記
1.請求の要旨
2018年7月31日の読売新聞記事(事実証明書1)によれば、「みなかみ町の町有地に同年春に建設されたごみ固形燃料(RDF)事業の有効利用実証実験施設について、町が土地の使用許可を出していなかったことがわかった」と報じられている。さらに報道記事によれば、「町は2017年10月、実証実験を担う熱供給会社と協定を結んだ。建設を担ったのは、この構想に賛同した町内の建設会社で、2017年11月に着工、今年4月に完成させた。ところが、町有地の使用許可を町が出していないことがわかり、同館を所管する町観光商工課が完成後の同月になって、建設会社に申請書の提出を求めた。町が主導役と認識していた建設会社側は、無許可との指摘に『戸惑った』と言う。」と記されている。
また同記事では「建設会社側は町観光商工課の求めに応じて町有地の使用許可を申請したが、施設が稼働できない事情から使用許可の決定はまだで、『無許可設置』状態が続いている」と指摘している。
なお、この事業を巡り、2018年7月27日(金)の読売新聞記事(事実証明書2)によれば「この委託費や遊神館の運営費を抑制しようと、町は岸良昌・前町長時代の2017年10月、熱源利用の実験を進める協定を民間の熱供給会社と結んだ。構想に賛同した町内の建設会社などが施設を建設し、設置も運営も民間が担う形となった。・・・(中略)・・・町担当者は読売新聞の取材に対し、)実証実験で効果が確認できた後、『軌道に乗った段階で町が施設を買い取ることが検討された』」としている。建設会社の社長も『町の計画だから進めた』と話すが、施設稼働の行方が不透明になったことで、『頓挫したら、町に費用を請求する』と、町の責任を問う構えだ。この問題は、町議会からも「実証実験の中止も視
<P2>
野に議論すべきだ」との意見が出ており、町は、事業者との協定を含め、計画の大幅な見直しを迫られる可能性があるとも報じている。
続いて2019年3月16日(土)の読売新聞記事(事実証明書3)によると、「RDF稼働検証必要」と題して、町議会の調査特別委員会は同4月15日までに実証実験の稼働には『より多くの検証、調整が必要となることが判明した』とする中間報告書をまとめた。事業継続の可否には踏み込まなかったものの、懐疑的な見方を含む内容だ。などと報じられ、中間報告書では「正常な稼働に向けては多くの課題があると見方がある。」との見解が示されたという。また、2019年5月25日(土)の読売新聞記事(事実証明書4)によれば、「町は2017年度からRDFを県外業者に一般廃棄物として処理を委託しているが、委託費は年間約1億円と、燃料として売却していた頃の運搬費の2倍近くに膨らんだ最終報告案は、これを当時の担当課長による『独自の判断』としていた。17年10月には、熟源としての有効性を確認する実証実験の協定を熱供給業者と結んだが、これも同じ課長が岸良昌町長(当時)と町議会厚生委員長(同)だけに報告していた。最終報告書案は『委員長の独自判断だったのかと疑念を持たざるを得ない』としている。最終報告書は、地方自治法に基づいて強い調査権限を持つ百条委員会の設置も念頭に、『法的な部分も考慮に入れるべきだ』と結ばれている。特別委は昨年12月に設置され、関係者から聞き取りなどをすすめてきた」と報じられている。
事実証明書④によれば、「当時の担当課長が岸良昌町長(当時)と町議会厚生委員長(同)だけに報告していた」とされていることから、当時の高橋孝一・生活水道課長、岸良昌町長、高橋市郎・厚生常任委員長が、2017年10月に実証実験の協定書を熱供給業者と結んだとある。
また、これに先立ち、稼働の目途が定かでない施設を前提とした事業のために2016年7月20日 ~21日 に町議会の厚生常任委員会が行政視察研修と称して、北海道富良野市を1泊2日で宿泊を伴う旅行を公費で実施していた。これには、町議会から7名 (高橋市郎・厚生常任委員長、石坂武・厚生常任副委員長、森健治・厚生常任委員、阿部賢一・同委員、山田庄―・同委員、久保秀雄・同委員、林喜美雄・議長)及び町側関係者7名(高橋孝一・生活水道課長、林市治・同課環第政策室長、高橋実・同課グループリーダー、本間泉・議会事務局、佐々木利従運転手、番場哲也・運転手(日帰り))が参加した。このほかにも、この事業を巡り無用な財務会計上の行為が多数あることが新聞報道された「最終報告書案」にも載っていることが想定される。
以上の通り、土地の使用許可については違法もしくは不当な財産の管理が問われており、本件事業に絡んで締結された協定書や契約等のとりきめについては違法もしくは不当な契約の締結、履行に該当する可能性が指摘される。
よって、監査委員はみなかみ町長に対し、次の措置を講ずるよう勧告することを求める。
① 使用許可を出していなかったことによる損害を算定し、しかるべき原因者に請求すること。
② RDF事業に関して町が依然として支出している無駄な経費を直ちに精査して、その原因となる協定書ないし 契約等の取り決めの有効性を精査し、関連する損失を算定して、しかるべき原因者に請求する。
<P3>
2.監査結果
住民監査請求は、地方公共団体の長、その他の執行機関等の違法又は不当な財務会計上 の行為、財産の管理を怠る行為等について、住民が監査委員の監査を通じてこれを是正し、もって当該地方公共団体の適正な財務運営を確保し、住民全体の財務的な利益を擁護する ことを目的とするものである。以上を踏まえ、請求の趣旨から以下2点を視点として、監査を行った。
1 財産の管理を怠る事実があるかについて
2 違法若しくは不当な契約の締結若しくは履行があるかについて
1 財産の管理を怠る事実があるかについて
請求人は、遊神館敷地内にRDF燃焼実証試験施設が許可なく建設され、現在も存在することが違法若しくは不当に財産の管理を怠る事実があるとして、使用許可を出していなかったことによる損害を算定し、しかるべき原因者に請求することを求めている。
この施設については、平成30年3月に、議会より許可手続きに関する指摘を受けたが、行政財産使用許可の事務手続きを進めておらず、財産の管理を怠る事実があったと認めざるを得ない。しかし、同年4月に、行政財産使用許可の申請を求めており、是正をしていると考えられるが、提出された行政財産使用許可を前町長が決裁をせず、許可が出せない状況にある。
しかしながら、建設前に手続きをとっておくのは当然の事であり、一部財産の管理を怠る事実であると認めるべきであり、早期に行政財産使用許可の手続きを行う必要があると考える。
ただ、本事業に関する協定書に実証試験場所として当該町有地が明記されており、違法 若しくは不当な財産管理とは思料しがたい。
2 違法若しくは不当な契約の締結若しくは履行があるかについて
請求人は、RDF燃焼実証試験事業において、結ばれた協定書が違法若しくは不当な契約の締結であるため、RDF事業に関して依然として支出している無駄な経費を精査し、関連する損失を算定して、しかるべき原因者に請求することを求めている。
この協定書に関して、書類の調査を行ったところ、平成29年9月22日に起案がされ、町長の決裁後、同年10月3日に締結されている。同年11月に前町長が協定書の内容に指摘をし、協定書の変更とRDFボイラーの仕様書等の提出を求めたが、協定相手方からの提出がなく、現在も未提出である。そのため、ボイラーの種類及び安全性等が確認できないため、事業が停止している状況となっているが、協定書の手続きは適法に行われており違法若しくは不当な点はないと判断する。
また、請求人は「町が依然として出している無駄な経費」としているが、本件は現在停滞しているとはいえ事業が継続している状態であり、現時点での判断には問題がある。
まず、この事業は実現していれば、RDFの町内循環が行われ、経費が節減されることとなり、大変期待される事業であった。みなかみ町議会のごみ処理調査特別委員会でも調査が行われ、その最終報告において、町内循環型構想推進の検討を開始したことに対して
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は一定の評価がされている。みなかみ町職員措置請求書の趣旨内の視察に関して「稼働の 目途が定かではない」とあるが、当時視察先では導入されており、みなかみ町のRDFについても視察先において燃焼試験をしているため、視察の趣旨に反しておらず、事業推進に必要なものであったと考える。その後、事業が停止している状況ではあるが、経費節減の考えは理解できる。
しかしながら、協定相手が必要書類の提出を行わないなど、是正が出来ない理由も大きいが、財産の管理については怠る事実があったと考えられる。協定書については違法若しくは不当な点は確認されていないが、現状、燃やせるごみ固形燃料(RDF)化事業の支出が増加していることは確かである。よって、本件請求には一部理由があると認められるので、地方自治法第242条第4項の規定により次のとおり勧告する。
3.勧告の内容(期限)
みなかみ町長は、 本件RDF燃焼実証試験事業について、 令和元年12月31日までに、下記の通りの対応をすること。
①遊神館地内RDF実証試験施設の行政財産使用許可を出すことによって現在の状態を解 消すること。
②ボイラーの仕様書等の提出を再度求め、安全性等を確認すること。なお、安全性等が確認できない場合は、事業の中止も検討すること。また、燃やせるごみ固形燃(RDF)化事業の支出について精査を行い、経費節減計画を立てること。
意 見
本件に関しては、事業を進める過程において首長の交代といった状況もあるが、内部調 整や議会対応あるいは町関係者の一体感と一貫性に課題無しとはいえない。むろん相手事 業者や県との対応による状況の変化は十分理解できるが事業の停滞は早期に解決を図ら なければならない。
この事業については、燃焼試験を「民設民営」で実施するものの、RDFの町内循環型構想として検討が始められたものであり、その観点からして町の主体的立場は維持されなければならないと考えられる。町長は、本件について改めて課題と問題点、事業のあり方等を検討し、しつかりとした方向性を確立するよう要望する。
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■さすがに、ここまできちんと監査請求をしていると、監査委員も無暗に棄却することはでません。
しかしよく読んでみると、問題点をほとんど深堀りしていない内容になっています。それでも、「棄却」ではなく「勧告」が出されたことは画期的なことです。
このRDF問題では、見直しを訴えた前町長が、根拠のないセクハラ問題で身に覚えのないスキャダルに見舞われ、わずか10か月で辞職を余儀なくされました。
その背景をあぶりだすためにも、当会会員は引き続き追及してゆく決意です。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報「ごみ処理調査特別委員会の最終報告」
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令和元年9月3日
みなかみ町議会
議長 小野 章一 様
ごみ処理調査特別委員会
委員長 中島 信義
ごみ処理調査特別委員会の最終報告
ごみ処理調査特別委員会は、前町長の議会不信任決議に伴う議会解散の争点としてRDFに言及したことにより、町民に対して多大な不安を与えたこと、並びに町有施設遊神館でのRDFボイラー実証試験事業に関しての検証を進めるため、平成30年12月の議会定例会で設置されました。そして、平成31年3月の議会定例会において当委員会の中間報告をさせていただきました。その内容をより詳細にまとめて本日の議会定例会に最終報告をさせていただきます。
今回の最終報告では茨城県古河市のS商店へ固形燃料(RDF)の販売を打ち切った経緯。みなかみエネルギーサービスとの接点、及びRDF(固形燃料)実証試験の協定書などについて報告いたします。
平成26年に元町長より奥利根アメニティパークの経費削減見直しの指示をうけた、当時の担当課長が経費削減は町民の負担軽減になるので、平成27年度よりRDFの町内循環型構想推進の検討を開始したことは評価したいと思う。議会全員協議会で当局よりRDFボ イラーの実証試験を民設民営で行うと報告を受けた。当時RDFの運搬費は(1トン21000円)の委託先(株)IHI環境エンジエアリング(以下IKEと名称)IKEは茨城のS商店に減量で受け入れができないか否かの確認をしたが、S商店は今迄同様全量でなければ受け入れることができないと回答してきた。
平成29年3月14日に町とIKEとの協議が整なかったためS商店に平成28年度末で終了、来年度からはなくなる旨を連絡したとある。調査特別委員会は平成31年2月13日に茨城県のS商店へ伺い担当のN取締役執行役員に聞き取り調査をした所、次年度に向け大型トレーラーまで購入し継続の意思はあった。一度切ったらその次は受け入れられないと回答したとのことであつた。取締役執行役員のNさんはあくまでもIKEの下で事業をしていたのでみなかみ町の職員とはかかわっていないとのことであった。このRDFの運搬量について、元担当課長は運搬量の減量をIKEと協議したが、0か100かの回答に、来年度は0にしてもらいたいと元町長の決裁もなく独自の判断でお願いし
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た。RDFは平成29年4月からも1日約10トンから生産されており、奥利根アメニティパークでの保管量が限界に近くなった為、運搬処理の見積もりを2社からとりウイズウェイストジャパンと1トン39000円で運搬処理契約を締結した。その結果、倍近い多額の費用がかかっている。ごみ処理経費の削減が進んでいない状況であると言わざるをえない。
次にRDFボ イラーでだが平成28年1月にみなかみエネルギーサービス(以下MES)の代表者が来町、元担当課長に面会、RDFをボイラーで燃焼し熱源としてスッポン事業をしたいとのこと、そして北海道富良野市でのRDFボイラーの実用状況(加温熱供給方式)の説明があり、同年6月に町当局より議会の厚生常任委員会へ報告があった。厚生常任委員会より担当課に町内循環が可能であれば勉強したほうが良いと提案した。同年7月20日 より厚生常任委員会でRDFボイラーを実用している先進地、北海道富良野市へ視察、事前に運搬しておいた当町のRDFをボイラーで燃焼、それは可能であることを確認したが、排ガスより基準値の7倍以上のダイオキシンが発生したとのこと。次にMESの代表者がみなかみ町へ来た経緯は当初富良野市からの紹介であったと町から議会へ報告があつた。しかし調査した結果で富良野市も紹介した事実はないとのことである。元担当課長の勘違いであつたことが判明した。MESの代表者はRDFを製造している自治体をインターネットで検索し、来町したとのことであった。平成31年4月26日の調査特別委員会でMESの代表者が元町長に面会したか、又誰が紹介をしたのかの確認を現在の担当課に依頼した。そ して令和元年5月15日の調査特別委員会の席上担当課より公式記録に面会した事実はなかったとの報告。そして非公式での面会も確認できなかったとのこと、そして8月9日の調査特別委員会で再度確認した所、非公式で面会した事実が判明した。次に町有施設遊神館地内で実証試験を進めるための協定書ですが、平成29年9月22日に起案し、元町長より 決済がおり、平成29年10月3日にMESの代表者と協定書を締結したことを元町長と 元厚生常任委員長に報告した。そして実証試験に向け動きはじめた。同年10月30日に新町長にM氏が就任、11月中旬、協定書が無いとのことで、元担当課長が前町長と元議長へ提示した。その席上協定書に不備がある旨の指摘があり変更指示がでた。そしてMESに対して協定書の変更とRDFボイラー仕様書等の提出を求めたが、現在も未提出のままと なっている。
前町長は昨年5月までは実証試験を推進していたが、一連の騒動後は方向を転換し、政争の具とした。また多数の議員は協定書の有無すら承知しておらず情報共有の観点から反省すべき点は多々あり慎重に進めるべきであったと言わざるをえない。
申し述べ、ごみ 処理調査特別委員会の最終報告といたします。
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その後議会の要請で協定書が提示された。実証試験でボイラーの設置期間は1年間と確認したにもかかわらず、協定書内容にはボイラーの法定耐用年数以上との記載があった。さらに実証試験が失敗した場合の後処理等責任所在の記載がなかった。初めから成功ありきではなかったかと思わざるをえない。実証試験でありながら町有地内に無許可で施設を建設したことも不適切であった。協定書が事前に議会に提示されていたならばこれらの問題は生じなかったと想われる。一方実証試験に使うボイラーは韓国製であり新古の判断がつかない物であった。
平成31年2月12日より調査特別委員会に於いて同型ボイラーを実用している富良野市へ調査に行き確認した所、自動運転システム及び熱交換器の能力に課題が見受けられ調整及び修繕を行なっていた為、当時は稼働していない状況が見受けられた。調査特別委員会としても遊神館地内での実証試験には疑問を感じている。最後にごみ処理調査特別委員会のまとめとしてRDFボイラーの実証試験を進めるための一連の説明と協議が不十分であった結果、問題を大きく複雑にしたと言わざるをえない。昨年12月の議会定例会に於いてごみ処理調査特別委員会が設置され数多くの委員会、調査、そして関係者への間き取りなどを進めてきたが調査特別委員会としては限界を感じた。
今後町当局としてこの最終報告を受けて対応して頂くことを申し述べ、ごみ処理調査特別委員会の最終報告といたします。
**********読売新聞2019年9月4日
RDF 町長「継続困難」
みなかみ町議会特別委 最終報告書受け
実証実験施設が稼働できていないみなかみ町のごみ固形化燃料(RDF)事業について、同町議会の調査特別委員会は3日、「多数の議員は実証実験の協定の有無すら承知しておらず、慎重に進めるべきだった」と、町の手続きを疑問視する最終報告書をまとめた。昨春完成した施設は1年半も放置されている。鬼頭春二町長は取材に、「事業継続は困難」と話しており、町は稼働を断念する方向だ。
◆みなかみ町のRDF事業にかかる経緯
1998年04月 町のごみ処理場で生成したRDFによる発電を開始(岸良昌町長)
2006年08月 設備の故障で発電休止。年間約2500トンのRDFを燃料として売却開始。町が運搬費負担(岸良昌町長)
2016年07月 町議会厚生常任委が、北海道富良野市でRDF実用事例を視察(岸良昌町長)
2017年04月 RDFを一般廃棄物として県外業者に処理委託。町が支払う委託費は、運搬費の2倍近い1億円に(岸良昌町長)
2017年10月 費用抑制を狙い、町が町営温泉施設「遊神館」の熱源に使う実証試験の協定を熱供給会社と締結(岸良昌町長)
2017年11月 遊神館わきの町有地に、町内の建設会社が実証実験施設を着工(前田善成町長)
2018年04月 施設が完成。しかし、RDFが廃棄物として処理されていることを理由に、県が大気汚染防止法に基づく施設設置届の受理を保留し、稼働できず(前田善成町長)
2018年08月 セクハラ問題に伴う不信任家決議を受けた前田前町長がRDF事業の見直しを訴え、これを争点に「民意を問う」と町議会を開催。9月の町議選で前田氏派は大敗(前田善成町長)
2018年12月 町議会が調査特別委設置。RDF事業の問題究明着手(鬼頭町長)
2019年03月 調査特別委が中間報告。実証実験の継続に懐疑的な見方を示す(鬼頭町長)
2019年09月 調査特別委が「慎重に進めるべきだった」「(実証実験に)疑問を感じている」とする最終報告(鬼頭町長)
★実証実験協定手続き疑問視★
最終報告書の内容は、特別委の中島信義委員長が同日の町議会定例会本会議で伝えた。町は2017年10月、熱源としての有効性を確認する実証実験の協定を熱供給業者と結んだ。最終報告書によると、協定を起案した担当課長が岸良昌町長の決裁を受け、岸町長と町議会厚生委員長だけに協定締結を報告していた(肩書はいずれも当時)。だが、協定には実証実験が失敗した場合の責任の所在について記載がなかったほか、施設は無許可で町有地に建設された。報告書はこれらを「成功ありき」「不適切」と批判し、「協定が事前に議会に提示されていれば、問題は生じなかったと思われる」とした。
↑完成後も稼働できていない実証実験施設。左は町営温泉施設の遊神館↑
ごみ処理場で生成したRDFによる発電が頓挫した後、町は17年度から、県外業者に一般廃棄物としてRDFの処理を委託している。だが、委託費は年間約1億円と、燃料として売却していた頃の運搬費の2倍近くに膨らんだ。最終報告書は、これを当時の担当課長による「独自の判断」と指摘した。町は今後、この費用の削減についても対応を迫られそうだ。
町議会の特別委は8人の町議が委員となり、昨年2月に設置された。これまで17回の会議は1回を除いて非公開で行われた。
**********読売新聞2019年9月5日
RDF実証実験「計画不当」 みなかみ町元町議が住民監査請求
実証実験施設が稼働できていないみなかみ町のごみ固形化燃料(RDF)事業を巡り、町が約1億円のRDF処理費を毎年支出しているのは、実証実験協定を不当に締結したためなどとして、住民監査請求が起こされていることがわかった。岸良昌・元町長や当時の担当課長らに一義的な責任があるとし、町が損害分を算定し請求するよう求めている。
住民監査請求を行ったのは鈴木章二・元町議(61)。町監査委員は8月1日付で請求を受理しており、今月末までに監査結果を出す。
町は2017年度からRDFを県外事業者に一般廃棄物として処理を委託しているが、当時の担当課長による「独自の判断」の結果、委託費は年間約1億円と、燃料として売却していた頃の運搬費の2倍近くに膨らんだ。17年10月には、熱源としての有効性を確認する実証実験協定を熱供給業者と結んだが、これも同じ課長が当時町長だった岸氏と町議会厚生委員長だけに報告していた。
これらは町議会の調査特別委員会が最終報告書で指摘しており、鈴木氏は「一部の独断で計画が不当に進められた」と批判している。
住民監査請求ではさらに、町が町有地使用の手続きを怠ったまま実証実験施設が建設されたことや、大気汚染防止法に基づく設置届の受理を県が保留し、施設が稼働できていないことから、「計画は破綻している」(鈴木氏)として、施設撤去費用の賠償請求も求めている。
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