市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

住民監査請求を棄却してまでタクマ提訴の気概を示した岡田市長の説明責任のこれから

2010-12-02 19:13:00 | オンブズマン活動
■11月30日に、配達証明付きで安中市監査委員から、当会が10月12日付で提出していた安中市のごみ焼却施設の談合問題に関する住民監査請求に対して、棄却通知が届きました。

 その翌日、12月1日の東京新聞長朝刊に次の記事が掲載されました。これを見ると、岡田市長は、11月30日の12月定例市議会でタクマへの損害賠償請求に関する議案提出を行ったと報じています。

 住民に対しては、「現時点で、談合(受注調整)を確認できない以上、市が損害を被ったことも確認できない」として棄却し、議会に対しては、「談合による損害賠償請求を行う」と、なぜ裏腹な対応をしたのか。岡田市長の今後の本件の進め方を占ってみました。

■まずは東京新聞の12月1日付の記事を見てみましょう。

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ごみ焼却施設 建設談合疑惑
受注業者を提訴へ 安中市6億4800万円の賠償請求
 安中市は11月30日、市ごみ焼却施設「碓氷川クリーンセンター」の建設工事の入札で談合が行われていたとして、工事を受注した「タクマ」(兵庫県尼崎市)に対し、落札金額の1割にあたる約六億四千八百万円の損害賠償請求をするため、この日開会した市議会定例会で議案を提案した。
 同センター建設については一九九五年、当時の安中市と松井田町でつくる安中松井田衛生施設組合が指名競争入札を実施。大手メーカーのタクマが、二番札とは二百万円差で、予定価格の99・76%の約六十四億八千六百万円で落札し九八年三月に完成した。
 同市では、タクマを合む大手メーカー五社が絡む談合があったとする公取委の審決を受け、同社に対し事実確認とともに弁明書の提出を求め審議していた。その結果、審決によれば大手五社以外の落札率は89・76%だったことから談合が推察できると判断。十月に同社に賠償請求したが応じなかったため提訴することにした。
 十月には、市民十一人が同焼却場建設で多大な損害を被ったとして損害賠償請求を求めるための監査請求を行ったが、先月二十九日、「談合を確認できなかった」として請求は棄却された。
 同市の岡田義弘市長は「住民に対する説明責任を果たすために提訴が必要と判断した」と話し、タクマは「内容を見て検討する」としている。(樋口聡)
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■次に、安中市監査委員から配達証明付きで11月30日に送られてきた監査結果通知を掲げます。


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             安監発第18201号
             平成22年11月29日
請求人 小川 賢 様
       安中市監査委員 安藤忠善 印
       安中市監査委員 中里 稔 印
安中市職員措置請求書に関する監査の結果について(通知)
 平成22年10月12日付けで提出された、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条第1項の規定による請求について、同条第4項の規定により監査を行ったので、その結果を下記のとおり通知します。
     記
第1 請求の受付
1 請求人
 安中市野殿980番地 会社員 小川 賢
2 請求の受理
 本件請求は、法第242条第1項に規定する要件を具備しているものと認め、平成22年10月18日、これを受理した。
第2 請求の要旨(原文のとおり)
1 対象行為
 平成7年(1995年)6月22日に聞かれた安中・松井田衛生施設組合(当時)によるゴミ処理施設(日量90トンの焼却炉及び日量20トンの破砕機など)の入札で、税込み総額64億8591万円でタクマが一番札となり、続いて、三機工業64億8797万円、川崎重工67.8億円、日立造船67.9億円、日本鋼管(現在のJFEエンジニアリング)69.4億円、クボタ70.1億円、ユニチカフ0.3億円、荏原製作所70.8億円、三菱重工業70.9億円という入札額の順位であった。当時、ストーカ式ゴミ焼却炉の相場は、ゴミ処理量1トン当りせいぜい5000万円といわれており、破砕機1Oトンのコストが数億円として、およそ50億円強が相場であり、65億円近い受注額は異常に高いので大変驚かされた記憶がある。
 その後、タクマをはじめ、日立造船、JFEエンジニアリング、三菱重工業、川崎重工業が、全国各地の衛生施設組合が発注したごみ焼却施設建設の入札において、談合を繰り返した結果、建設価格が高騰し、自治体が多額の損害を受けている問題が浮き彫りにされた。
2 違法・不当の理由
 そのため、公正取引委員会は平成11年(1999年)8月、安中・松井田衛生施設組合の案件を含む地方公共団体が発注するごみ処理施設建設の入札において、談合行為を繰り返していたとして、当該5社に排除勧告を行った。その後、この5社は、談合行為の排除措置を命じた、公疋取引委員会の審決取り消しを求めて提訴したが、最高裁判所が平成21年(2009年)10月6日、5社の上告を棄却した。この結果、談合を認定した公正取引委員会の審決が確定した。
3 回復不能な損害額の発生
 この最高裁の上告棄却によって、談合行為の認定が確定したことを受けて、安中市長は、直ちに損害額の算定をしたうえで、株式会社タクマに対して、遠やかに損害賠償の支払いを請求しなければならない。請求額の目安としては、当時の落札率を計算し、公正取引委員会審決で示された、談合行為を繰り返していたタクマほか4社以外の業者が受注した平均落札率89.76%(要確認)との差が損害金であると断定し得るので、それを損害額として算出することが可能である。こうした手続きを踏まえ、もし、安中市からの損害賠償の支払い請求に対して、株式会社タクマが支払いを拒否した場合には、速やかに訴訟における法理を構築したうえで、訴訟を視野に入れた対応をとらなければならない。
4 監査委員に求める措置
 以上のように、既に安中市に回復困難な損害が発生しているので、監査委員が以下の勧告をすることを求める。
 「市長は、談合によって高値につり上げられた、工事費に使われた市民の血税を、きちんと取り戻すよう万全の手段を講じなければならない」
5 事実証明書
 公正取引委員会 平成11年(判)第4号審決別紙(記載省略)
 TKC法律情報データベース最新判例(記載省略)
第3 監査の実施
1 請求人の陳述
 法第242条第6項の規定に基づく、請求人の陳述及び証拠の提出について機会を与えたところ、請求人より陳述書の提出があり、証拠の提出はなかった。
(1)陳述書概要
 請求人は、仕事の都合で陳述に出向けないので、書面にて陳述を行う旨述べ、自分は、市民オンブズマン群馬の代表であり、談合問題については、犯罪と捉えて、全国市民オンブズマン連絡会議において、積極的に住民訴訟を奨励し、多額の税金を自治体に返却させて来たと言う。
 続いて、本件請求事実である地方公共団体発注のストーカ炉建設談合問題の経過を説明し、談合問題の背景に、地方自治体の談合に対する極めて甘い体質があると指摘し、この問題に関しては、全国のオンブズマンや住民がその努力により、数多くの勝訴判決を勝ち取って来たと述べ、これは住民の談合を許さないという意思が示されたものだとしている。
 また、本来このような入札談合の損害回復は、地方自治体自ら率先して行わなければならないのに、多額の税金を役人する事業において、談合について鈍感な自治体が多いと述べ、市にあっては、公正取引委員会の度重なる立ち入り調査、警告、排除勧告、審決等の情報があるのだから、債権管理の責務を果たさず裁判の推移を見守るだけ、という傍観者的姿勢は取らないでもらいたいと述べている。
2 監査対象事項
 本件請求の内容は、公正取引委員会が平成18年6月27日に下した、平成17年法律第35号による改正前の私的独占の禁止及び公正取引の雍保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)に基づく平成11年(判)第4号審決(以下「審決」という。)が、平成21年10月6日、最高裁判所の決定により確定し、平成6年4月から平成10年9月17日までの間、日立造船株式会社、JFEエンジニアリング株式会社(旧商号 日本鋼管株式会社)、株式会社タクマ、三菱重工業株式会社及び川崎重工業株式会社の5社(以下「5社]という。)による独占禁止法違反行為が明らかになり、平成7年6月22日に、安中・松井田衛生施設組合(現在は合併により安中市)が実施した、ごみ処理施設及び粗大ごみ処理施設建設工事(以下「本件工事」という。)の入札においても、入札参加事業者による、独占禁止法違反行為である談合(受注調整)が行われたことによって、安中市(以下「市」という。)が披った損害を回復するため、損害賠償請求を、受注者である株式会社タクマに対し行うことを、安中市長に勧告するよう求めているものと認められる。
 このことから市が損害賠償請求権の行使を怠っていることについての監査請求とみなされ、法第242条第1項の違法若しくは不当に財産の管理を怠る事実に該当すると解した。
 よって次の点について監査を行うこととした。
(1)本件工事の入札において談合(受注調整)があったかについて
(2)市は損害を被ったかについて
(3)市は違法若しくは不当に財産の管理を怠っているかについて
3 監査対象部課
 法第242条第4項の規定により、次の関係部課に対し、監査を行い事情を聴取した。
(1)市民部クリーンセンター
 ア 事情を聴取した者
    市民部長、市民部クリーンセンター所長
(2)財務部財政課、財務部契約検査課
 ア 事情を聴取した者
    財務部長、財務部財政課長及び財務部契約検査課長
4 関係人調査
 法第199条第8項の規定により、次の関係人に対し、書面による調査を行った。
(1)公正取引委員会
(2)本件工事入札参加者
 株式会社タクマ、日立造船株式会社、JFEエンジニアリング株式会社(旧商号 日本鋼管株式会社)、三菱重工業株式会社、川崎重工株式会社、株式会社荏原製作所、株式会社クボタ、ユニチカ株式会社及び三機工業株式会社
(3)国土交通省近畿地方整備局
5 その他関連調査
 公正取引委員会ホームページ、裁判所ホームページより、審決害、判例を取得し、調査研究を行った。

第4 関係人調査の回答概要
1 公正取引委員会
(1)本件工事において、談合(受注調整)が行われた事実があるか。
(回答)
  審決では、5社が、遅くとも平成6年4月以降、地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注するストーカ炉の建設工事について、審決案理由第1の2(1)の本件合意に基づいて、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにすることにより、同工事の取引分野における競争を実質的に制限していたことを違反行為として認定しているものであり(同行為は、平成10年9月17日以降、取りやめられている。)、個別の入札物件ごとに違反行為の有無を認定しているものではない。
 なお、審決は、具体的な証拠から、5社が受注予定者を決定したと推認される工事として30工事があること等から、当該30工事を含め地方公共団体の発注するストーカ炉の建設工事の過半について、受注予定者を決定し、これを受注することにより、前述の取引分野における競争を実質的に制限していたものと認定しているが、お尋ねの安中・松井田衛生施設組合工事入札は、当該30工事に含まれていない。
(2)本件工事において、談合(受注調整)による、契約実績額の引き上げが行われた事実があるか。
(回答)
 審決においては、5社の平成6年4月から平成10年9月17日までの契約実績額が違反行為により引き上げられたという認定は行っていない。
(3)審決では、本件工事は、審査官が違反対象であると主張する60件の工事に入っていたが、審判官が違反を認定した30件の工事には入っていないその理由
(回答)
 審決における30工事の認定については、(1)のとおりであり、当該30工事は、具体的な証拠から、5社が受注予定者を決定したと推認されると判断した。
(4)審決では、地方公共団体の発注するストーカ炉建設工事の過半について独占禁止法違反行為があったと認めることができるとあるが、過半とは具体的にどのような工事を指しているのか。
(回答)
 審決においては、30工事以外に具体的にどの工事が過半の工事に含まれるかについては、認定していない。
(5)課徴金について
(回答)
 平成22年11月10日に課徴金の納付を命ずる審決(平成19年(判)第3号ないし第7号。)を行ったが、当該審決において、安中・松井田衛生施設組合工事は、課徴金算定の対象となっていない。
2 本件工事入札参加者
(1)本件工事の入札に係る談合(受注調整)の事実は確認できなかった。
(2)本件工事の入杜価格は工事にかかる原価を積算の上、当該原価に基づき決定した。
(3)本件工事の入札に係る資料は廃棄されているのでわからない。
(4)本件工事の入札が安中・松井田衛生施設組合に損害を与えたとは考えていない。
3 国土交通省近畿地方整備局
(1)照会事項
 平成22年1月20日、近畿地方整備局長(建設部建設産業課)が、独占禁止法違反で、株式会社タクマに対して行った、建設業法第28条第3項の規定に基づく処分(営業の停止命令)についで、停止を命ずる営業の範囲に群馬県が含まれていない理由について
(回答)
 本件監督処分は、平成6年から平成10年までの独占禁止法違反に関して、平成21年10月6日に最高裁の判決が確定したことから、建設業法第28条第1項第3号(他法令違反)に該当し、処分基準【不正行為に対する監督処分の基準について】(平成6年6月3日建設省経建発第133号)に基づく地域限定の考え方により、審判審決及び最高裁判決において「具体的な証拠から受注予定者を決定したと推認される工事」として22都道府県内の工事が明示されていることから、当該営業停止の範囲とした。なお、この22都道府県の中に群馬県は含まれていない。
第5 監査の結果
1 事実関係
(1)主な経過
 平成11年 8月13日 公正取引委員会が5社に対し排除勧告
 平成11年 9月 8日 公正取引委員会が5社の不服申し立てを受け審判開始決定
 平成18年 6月27日 公正取引委員会が5社の独占禁止法違反を認定する審決
 平成18年 7月27日 5社が審決取消請求を東京高裁へ提訴
 平成20年 9月26日 東京高裁が5社の審決取消請求棄却
 平成21年10月 6日 最高裁が5社の上告棄却及び上告不受理
             (公正取引委員会審決確定)
(2)安中市の対応
 平成22年 2月19日 審決確定を受け、株式会社タクマに対し、弁明書の提出を要請
 平成22年 3月 3日 審決確定を受け、指名参加登録のある、株式会社タクマ、日立造船株式会社及びJFEエンジニアリング株式会社(旧商号 日本鋼管株式会社)について、4箇月の指名停止措置
 平成22年10月20日 株式会社タクマに対し、損害賠償請求書を送付(契約金額の10%+年5%の割合による遅延損害金)
(3)本件工事の契約等について
 ア 入札方法  指名競争入札(9社)
 イ 工事名   ごみ処理施設及び粗大ごみ処理施設建設工事
 ウ エ事場所  安中市原市65番地
 エ 工事期間  平成 7年6月26日着工
         平成10年3月10日完成
 オ 契約金額  6,485,910,000円(うち消費税188,910,000円)
 カ 契 約 日  平成7年6月23日 仮契約
         平成7年6月26日 本契約(議会可決の日)
 キ 発 注 者  安中市原市65番地
         安中・松井田衛生施設組合
         管理者 小川 勝寿
 ク 請 負 者  東京都中央区日本橋一丁目2番5号
         株式会社タクマ東京支社
         取締役副社長・支社長 寺中 慶二郎
 ケ 工事完成保証人 日立造船株式会社東京支社
           川崎重工業株式会社東京本社
 コ 落 札 率(落札価格/予定価格) 99.8%
(4)本件工事の概要
 ア 建物構造  鉄筋コンクリート造及び鉄骨造
 イ 建築面積  3,553㎡(工場株3,088㎡・管理株465㎡)
 ウ 施設規模
   ① ごみ焼却処理施設 准連続燃焼式ストーカ炉
              90t/日(45t/16hx2基)
   ② 粗大ゴみ処理施設(20t/5hx1基)
(5)入札執行状況(平成7年6月22日入札即時開札)
     入札参加事業者名    第1回入札金額(税抜き金額) 結果
   株式会社タクマ東京支社      6,297,000千円 落札
   三機工業株式会社         6,299,000千円
   川崎重工業株式会社東京本社    6,578,000千円
   日立造船株式会社東京支社     6,590,000千円
   日本鋼管株式会社         6,736,000千円
   株式会社クボタ東京本社      6,810,000千円
   ユニチカ株式会社東京本社     6,830,000千円
   株式会社荏原製作所        6,875,000千円
   三菱重工業株式会社        6,888,000千円
   予定価格             6,3 1. 1,700千円
2 監査委員の判断
(1)本件工事の入札において談合(受注調整)があったかについて
ア 損害賠償請求権
 5社による独占禁止法違反行為である談合(受注調整)を認定した公正取引委員会の審決が、最高裁判所の決定で確定した。
 請求人は、本件工事の入札においても談合(受注調整)が行われ、市が損害を被ったので、落札者である株式会社タクマに損害賠償請求を行えと主張する。独占禁止法は、独占禁止法の規定に違反する行為をした事業者は、被害者に対し、損害賠償の責めに任ずると定めている。
 入札談合の被害者は発注者である。市が損害賠償請求権を有しているか否か判断するためには、個別工事に位置付けられる本件工事の入札において、談合(受注調整)が行われたか確認しなければならない。
イ 審決が認定した独占禁止法違反行為
 東京高等裁判所は、平成20年9月26日の判決で、審決は5社が「基本合意の下に受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていたことを違反行為と捉え、個別の受注調整行為は間接事実として認定している」と述べ、「個別の合意に関しては、基本合意がその内容のとおり機能し、競争を実質的に制限していたとの事実を認定する上で必要な範囲で立証されれば足りる」として、個別工事については、5社の基本合意を立証するために、必要な範囲で受注調整行為を立証したと述べている。
ウ 審決で談合(受注調整)が認定された個別工事
 審決は、「具体的な証拠から、5社が受注予定者を決定したと推認される工事jとして、30件の工事を認定しているが、本件工事はこの中に含まれていない。
 ただし、「5社が受注予定者を決定したと具体的に推認される工事を含め、地方公共団体の発注するストーカ炉の建設工事の過半について、受注予定者を決定していた」とし、30件の工事以外の個別工事について、受注調整行為が行われていなかったと認定したものでもない。
エ 課徴金
 公正取引委員会は、平成19年3月23日、5社に対し課徴金納付命令を発し、審判が開始されたが、平成22年11月10日、課徴金の納付を命ずる審決を行った。
 課徴金は違反行為実行期間の売り上げに算定率を掛けて算出する。
 課徴金の算定根拠を調べることにより、個別工事の談合(受注調整)を特定できるものと考えられるが、違反行為実行期間の限度は、違反行為の終期から追って3年間であるため、違反行為終期の平成10年9月17日から起算した場合、平成7年6月22日の入札である本件工事は対象に含まれない。
オ 証拠
 審決で、審査官(公正取引委員会)は本件工事が違反対象である証拠として「査第107号証」を挙げている。「査第107号証」は、川崎重工業株式会社の社員が所持していた書類である。審査官(公正取引委員会)は、この書類について、5社がアウトサイダーの株式会社荏原製作所及び株式会社クボタに協力要請を行った証拠としたが、審判官(公正取引委員会)はこれを認めていない。
 しかし、東京高等裁判所は、平成20年9月26日の判決で、「7社に関する数値について、審査官が主張したような荏原製作所及びクボタとの協力関係に基づく数値の加算が行われていたことが認められないからといって、7社に関する数値の存在が直ちに本件違反行為と無関係なものということはできない。」とも述べている。
カ アウトサイダー
 本件工事の入札は5社の外、アウトサイダーである株式会社荏原製作所、株式会社クボタ、ユニチカ株式会社及び三該工業株式会社が加わった9社で行われた。
 アウトサイダーの存在を過大評価するものではないが、本件工事の場合4社と多く、談合(受注調整)の確認には、アウトサイダーの協力を明らかにすることが必要と考えられる。
 しかし審決で、本件工事におけるアウトサイダーの協力が説明されているとは認められない。
 株式会社荏原製作所、株式会社クボタについては、審査官(公正取引委員会)が主張する「アウトサイダーに協力要請を行った工事」に記載はあるが、ユニチカ株式会社、三機工業株式会社、特に2番札を入れた三機工業株式会社については記載がほとんどなく、関係人調査でも情報を得ることができなかった。
キ 落札率
 落札率について、審決では「平成6年4月1日から同10年9月17日までの間に、地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注したストーカ炉の建設工事は87件のうち予定価格が判明している84件について落札率をみると、5社以外の者が受注した工事の平均落札率は、89.8%であるのに対し、5社のうちのいずれかが受注した物件の平均落札率は、96.6%であった。」としている。
 本件工事の落札率は99.8%と、際だって高い。このことは、本件工事の入札における談合(受注調整)を疑わせるが、5社以外で落札率の高い所もあり、落札率の高さのみから何らかの結論を導くことはできない。
ク 結論
 現時点で、本件工事の入札において、独占禁止法違反行為である談合(受注調整)が行われたか確認することはできない。
(2)市は損害を被ったかについて
 現時点で、談合(受注調整)を確認できない以上、市が損害を被ったことも確認できない。
(3)市は違法若しくは不当に財産の管理をかつているかについて
 市が行使すべき損害賠償請求権を確認できないので、市は違法若しくは不当に財産の管理を怠っているとは言えない。
 よって本件請求には理由がないものと判断し請求を棄却する。
**********

■いろいろごちゃごちゃ述べていますが、最後に「請求を棄却する」とあることから、要するに「住民から言われなくても、既にタクマには損害賠償請求のための手はずを打ちつつあるので、でしゃばるな」という意味の回答のようです。

 当会が予想したように、安中市は10月20日、タクマに対して、損害賠償請求書を提出していることが分かりました。また、それ以前にも、昨年末の審決確定を受けて、市の指名参加登録をしていたタクマを含む談合3社の指名停止措置をとったり、タクマに対して弁明書の提出を要請していたことが分かりました。(この件については別途情報公開で事実関係を確認する予定)

 ところが、タクマに対して損害賠償請求書を提出したのが、市監査委員が住民から監査請求を受理した直後の10月20日であることをみると、岡田市長は、当初はタクマ相手の訴訟にあまり乗り気でなかったことをうかがわせます。

■住民からの監査請求を門前払いにしたことから、岡田市長には今後、不退転の決意をもって、談合会社のタクマ相手に損害の回復をきちんと行わせる責務が生じました。

 しかし、口利き行政を得意とする岡田市政の脇の甘さは、業者のほうも認識しているかもしれません。裁判所に顔の効く岡田市長であるからこそ、裁判において、業者側から何らかの形で「談合」が持ちかけられるのではないか、心配です。

 なにしろ互いに談合体質を引きずっている原告と被告同士です。当会では、裁判の経緯についてしっかりとモニターして、裁判の行方をきちんと監視してゆく所存です。

【ひらく会情報部】

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12年前にオープンした談合焼却場・・・新ゴミ焼却施設稼動によせて(当時の当会会報から)

2010-12-01 15:43:00 | オンブズマン活動
■当会では、談合問題で一躍脚光を浴びているゴミ焼却施設について、かつて当会が毎月発行していた安中市民通信「まど」1998年4月20日第28号7ページで、平成10年4月11日の竣工式を契機に、「環境特集 新ゴミ焼却炉稼動によせて」と題して、この施設の設置計画の閲覧で入手したデータを詳細に掲載したことがあります。

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【環境特集 新ゴミ焼却施設稼動によせて】
 安中市原市にある碓氷川クリーンセンターのグラウンド跡地(旧焼却灰捨て場)に、安中市民と松井田町民待望の新しいゴミ処理施設が着工から二年半で完成し四月一一日(土)に竣工式が行われました。
 新施設は、地下一階地上四階建て。延べ床面積は約五六〇〇平方メートルで、今年の一月から試運転を始め、四月一日から稼働を開始しており、この日の竣工式では、安中松井田衛生施設組合の管理者も兼務する中島市長が挨拶。「この地域の地球環境保全を担う中心施設一」東京紙)と、グローバルな表現で小川前市長の「置き土産」施設を評しました。
 新聞には「ダイオキシンなど環境対策にも最新設備を導入したので、管理棟を含めた総事業費は約六五億五千万円に膨らんだ」などともっともらしく報じられていますが、総事業費が膨らんだのは、もっと別な理由であることは、本紙でも既にお伝えしたとおりです。
 この新しいゴミ処理施設(焼却炉、粗大ゴミ破砕施設)の稼働開始にあたり、計画時点ではどうなっていたのか、主な内容を紹介します。ぜひ、市民の皆さんも時間があれば新施設を見学し、この計画内容を参考に、じっくり内部を見て回り、担当者に六五億五千万円の事業費の内訳を質問してみることをお薦めします。  【情報部】

<事業費>                 【単位:円】
           焼却処理施設  粗大ゴミ破砕施設
建設費合計      5,470,000,000  1,480,000,000
 補助対象事業分   4,212,250,000  1,110,600,000
  土木建築工事    273,000,000   48,100,000
  機械工事     2,572,900,000  725,800,000
  配管工事       48,000,000   12,000,000
  電気工事      295,000,000  102,000,000
  計装工事      365,000,000   53,000,000
  共通仮設費      71,100,000   14,000,000
  現場管理費     181,300,000   40,500,000
  一般管理費     342,000,000   98,700,000
  委託料        62,250,000   16,400,000
 補助対象外事業分  1,339,800,000  391,600,000
  土木建築工事   1,086,200,000  306,400,000
  機械工事           0       0
  配管工事           0       0
  電気工事           0       0
  計装工事           0       0
  共通仮設費      21,700,000   4,600,000
  現場管理費      55,400,000   13,200,000
  一般管理費     104,700,000   32,100,000
  付帯工事       52,000,000   29,500,000
   土地造成工事    13,000,000
   構内道路工事    11,000,000
   場内整備工事    10,000,000
   門・囲障工事    10,500,000
   土木工事             25,300,000
   機・管・電工事               0
   共通仮設費      900,000    400,000
   現場管理費     2,300,000   1,100,000
   一般管理費     4,300,000   2,700,000
  委託料        19,300,000   5,800,000
事務費          82,050,000   22,200,000
総計         5,552,050,000 1,502,200,000

<安中・松井田のゴミ等の排出量の見通し>
    年度    平成元年  平成5年  平成10年  平成17年
項目        (1989)  (1993)  (1998)  (2003)
人口   (人)    64,815   65,825   69,610   82,794
総量 (g/人・日)   687.53   772.35   922.50   1080.21
  可燃物      585.55   666.92   668.72    782.46
  不燃物       -     -    81.84    100,01
  紙         -     -    74.30    86.94
  ガラス      55.54    57.12    33.86    41.38
  金物       46.44    48.31    25.24    31.04
  粗大ゴミ      -     -     38.37    38.37
処理量トータル(t/日) 49.14    54.86    67.95    93.27
  焼却量      42.54    47.92    51.09    69.45
  不燃物理立量    3.84    3.60    7.07    10.18
  資源化量      2.77    2.91    9.80    13.64
  その他       -     -     -     -
焼却残渣 (t/日)   16.18     5.23    7.66    10.42
最終埋立量 (m3/年)  2903    2563    4301     6022
  不燃物      1168    1094    2149     3097
  灰        1735    1468    2152     2925
し尿焼却灰理立量(m3/年) -     -     115     115

<財源>                【単位:円】
           焼却処理施設  粗大ゴミ破砕処理
国庫補助金       446,085,000  277,650,000
起債         3,829,400,000  918,400,000
県補助               0       0
一般財源       1,276,565,000  306,150,000
その他              0       0
小計         5,552,050,000 1,502,200,000
消費税         166,561,000   45,066,000
総合計        5,718,611,000 1,547,266,000

<ゴミ処理施設庇備計画概要>
規模形式   90トン/日(16時間炉、45トン/日×2炉)
更新工期   平成7~9年度
目標値    熟灼波量    5%
       排煙中煤塵量  0.02ミリグラム/N立米
       排水      無
       排ガス処理設備 有
       前処理設備   有(粗大ゴミ)

用地     地番      安中市原市65(公有地)
       面積      9550平米
       地目      宅地
       都市計画決定  平成6年12月
同意者    原市代表区長     池島五作 H6/8/26
(敬称略)  安中代表区長     有坂芳一 H6/8/26
および    磯部代表区長     山本政次 H6/8/25
(同意日)  安中5区長      中村藤二 H6/8/23
       安中7区長      大野孝義 H6/8/25
       原市1区長      有限英一 H6/8/25
       磯部11区長     堀口 優 H6/8/25
       碓氷川沿岸水利権者
        連合会会長     金井方平 H6/8/23
       上州漁業協同組合員  大塚金蔵 H6/9バ0
予算計上予算額   5,718,611千円(平成7年3月議会議決予定)
排ガス規制条例   大気汚染防止法第3条第3項又は第
          4条による排出量の基準の適用状況     無
計画の背景
 ▼現有施設は稼働開始後20年を経過しており設備の損傷、老朽化が激しい。これに対しては装置の補修、整備により対応しているが、これによる稼働率の低下や補修費の増大は不可避。
 ▼計画当時に比べ現在のゴミ質の高カロリー化によって炉の容積や機器容量が不足し、そのため処理率が減少。これに対しては運転管理の(運転時間延長等)によって対応しているものの抜本的な対策が必要。
計画の目的
 ▼可燃物については焼却。不燃物は埋立処分。
 ▼ゴミ排出減量化図る。焼却破砕処理における減量化を図る。
 ▼ゴミ排出量の増大に備え、適正な処理能力、処理機能の維持向上に努め処理率を100%とする。
 ▼処理施設の稼働に伴い発生する大気汚染物質について監視し、今後ゴミの多様化に伴い混入する重金属や適正処理困難物についても実態を把握し、その対策を講ずる。
 ▼不燃物の金属物の回収、再資源化並びにゴミ焼却時に生ずる熱エネルギーの効率的な回収、再利用(温水利用等)に務める。

<計画諸元>
年間平均処理量(焼却対象)
 計画収集人口      82,636人
 計画一人1日平均排出量 766.77グラム
 計画収集ゴミ量     63.36トン/日
 計画直接搬入量      3.12トン/日
 計画年間平均処理量   68.00トン/日
 計画処理量       76.86トン/日
 要整備規模 2H=45t/d ・ H×2H=90t/d
       H=68.00t/d×1.13÷0.85=90.4 → 90トン/口
 計画月変動係数分布
  1月1.15  4月1.04  7月1.00  10月0,94
  2月1.08  5月1.03  8月0.99  11月0.91
  3月1.06  6月1.02  9月0.96  12月0.88




<ゴミ知理施設内容>
規模    45トン/16時間 × 2炉
ゴミ組成           低質ゴミ 基準ゴミ 高質ゴミ
       水分(%)     61.3   45.5   27.8
       可燃分(%)    30.3   43.6   59.2
       灰分(%)      8.4   10.9   13.0
       低位発熱量   1,000   1,800   2,700
       (Kcal/Kg)
       見かけ比重    0.24   0.24   0.24
炉形式    準連続燃焼式
焼却残渣の熱灼減量   5%以下
排ガス目標値  煤塵量  0.02 g/Nm3以下
        HCl   3.29 1g/Nm3以下
        NOx   150 pp以下
        SOx   29.0 Mm3/hr以下
受入供給設備  ごみ計量機 ロードセル式、最大秤量25t
        ごみビット 容量1,000m3(3日分)以上
        クレーン 2基
燃焼設備    火格子
        燃焼室熱負荷80,000~150,000Kcal/13/hr以下
排ガス冷却   水噴射方式
排ガス処理   バグフィルター
        出口粉塵量    0.02g/Nm3以下
        設計温度     200度C
        塩化水素除去装置 湿式
        除去率      50%以上
        出口濃度     200ppm以下(酸素=12%)
排水処理設備  ごみピット汚水→炉内噴霧燃焼
        プラント排水→生物処理+濾過→再利用
余熱利用設備  給湯
通風設備    煙突高さ     55m
灰出し設備   灰ピット容量   約90立米
施設面積    約9550平米
年間維持補修費 1年目  6,000,000円
        2年口  9,000,000円
        3年目 16,000,000円
        4年目 36,000,000円
        5年目 41,000,000円

<主な記述>
近年の新設される焼却施設が排ガスの高度処理施設を採用しているのは、これらの施設が公共施設として、ふさわしい公害防止対策を先取りして設置しなければならないという意識の現れであろう。
ダイオキシン類発生防止等ガイドライン(平成2年12月)に示されるダイオキシンヘの対策を含め、より高度な有害ガス除去装置の設置が必要である。
新施設の建設予定地である安中市原市は、市街地や磯部温泉と至近な位置にある。市民の自然保護、公害防止に対する意識は高く、施設の建設に対しては、環境保全に充分貧吝ごするよう要求されている。
SPM(大気浮遊微粒子)対策は、バックグランド値への寄与率をできるだけ低く仰えるためと、ダイオキシン対策を考慮して排出基準は0.02g/Nm3とする。窒素酸化物(Nox)は大気汚染防止法の排出基準250ppmに対し150ppm以下に設定する。硫黄酸化物(SOx)は大気汚染防止法の排出基準K値=17.5(157.5Nm3/hr)に対し、K値=3.25(29.0Nm3/hr)に設定する。塩化水素(HCl)について、大気汚染防止法の排出基準700mg/Nm3に対して3.29mg/Nm3に設定する。

<焼却施設のフローシート>
 計量機
  ↓
 ごみピット………>押込送風機………>燃焼空気
  ↓               ↓
 焼却炉→排ガス→ガス冷却室→空気予熱器→→→
  ↓↑             ↓     ↓
  ↓ <…………温水発生器<……燃焼空気   ↓
  ↓        ↓ ↑温水    白煙防止空気加熱器
  ↓       温水タンク         ↓
  ↓        ↓ ↑給湯    有害ガス除去装置
  ↓       場内 場外         ↓
  ↓  ダスト排出装置←←←←集塵機(バグフィルター),
  ↓  ↓                ↓
  ↓  灰固形化装置         誘引通風器
  ↓  ↓                ↓
  ↓  ↓ダスト             ↓排ガス
  灰ピット                煙突

<粗大ゴミ処理・資源化フローシート>
 粗大ゴミ 鉄アルミ類    不燃ゴミ
   ↓   ↓        ↓
  投入ホッパー    投入ホッパー・破砕機
   ↓            ↓
  前処理租破砕機   ワンウェイ瓶選別ライン
   ↓←←←←←←←←混合(黒、青、緑)
  破砕機            茶→→→→カレット(貯留場)
   ↓             透明→→→カレット(貯留場)
  磁選機→→→→→→→→鉄類→→プレス機→→→鉄類(貯留場)
  アルミ選別装置→→→→アルミ→プレス機→アルミ類(貯留場)
   ↓
  不燃物分別装置
   ↓   ↓
  可燃物 不燃物→→→→→→→→→→埋立地へ
   ↓
    →→→→→→→→→→→→→→→搬送・ごみ焼却ゴミピットへ

<処理プロセス>
 直接搬入ゴミ               収集ゴミミ
  可燃ゴミ ネイチャーランド   可燃ゴミ 不燃ゴミ 粗大ゴミ 収集資源ごみ
  3.12t/d  0.57t/d    63.36t/d  8.06t/d 3.17t/d   12.87t/d
   ↓    ↓     ↓      ↓   ↓      ↓
   ↓    ↓(67.05t/d) ↓      ↓   ↓      ↓
   ゴミ焼却施設 68.00t/d←←←←←粗大ゴミ処理施設  ストックヤード資源化物
      ↓       可燃物0.95t/d ↓   ↓      ↓
   焼却灰↓10.20t/d          ↓  資源化ゴミ  資源化ゴミ
      ↓              ↓   0.631t/d   12.71t/d
    最終処分場←←←←←←←←不燃物9.65t/d
※ネイチャーランド:松井田町の地域開発計画。
※数字はトレンド法による平成16年度の量を示す。
**********

■このように、当会では、タクマが受注して建設したこのゴミ処理施設の計画段階から監視してまいりましたが、コンサルタントによる計画策定段階から、人口の増加やゴミの増加を右肩上がりに過剰に見込むなど、そもそもはじめから談合ありきの計画だったことがわかります。

 現在では、人口が計画値の8万2636人どころか、それより2万人も少ない6万3016人(10月1日現在)しかいません。そのため、2つある焼却炉は、交互に稼動させているだけで、まことにもったいない施設となっています。さらに談合で吊り上げられた事業費にくわえ、当時発生したタゴ51億円巨額詐欺横領事件で、まさに安中市民は泣き面にハチの状況でした。

 そして、その状況は、この談合ゴミ焼却施設の起債に対する返済と、タゴ51億円事件の103年ローンとあわせて、我々安中市民の肩にのしかかり続けています。一方、これら2つの事業・事件に注がれたカネでよい思いをしている輩もいるのです。

【ひらく会情報部】

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12年前にオープンした談合焼却場・・・市ゴミ処分場をめぐる利権争い(当時の当会会報から)

2010-12-01 12:43:00 | オンブズマン活動

■当会では、タクマのゴミ焼却施設について、かつて当会が毎月発行していた安中市民通信「まど」1998年4月20日第28号6ページで、平成10年4月からのゴミ焼却施設稼動を前にして、「環境特集 新ゴミ焼却炉稼動によせて」と題して、「市ゴミ処分場をめぐる利権争い」について特集記事を掲載したことがあります。

**********
【市ゴミ処分場をめぐる利権争い】
 九九年四月に稼働于定か迫る安中・松井田衛生施設組合のゴミ・粗大ゴミ処理施設に関連して、いま市政の中で緊急な問題として浮上しているのが、ゴミ処分場問題です。

■焼却場あって処分場なし
 別項でも述べたとおり、市は最終処分のことを考えずに焼却場を作ってしまったため、新たな処分場の用地選定作業が遅れているためです。四月の稼働開始には到底間に合いません。
 八七年度から使っている現在のゴミ理立処分場は、松井田の湯ノ川温泉の西側の山林にあります。当初から一〇年で満杯になる計画だったため、既にほとんど満杯状態でとりあえず嵩上げして当面しのいでいますが、それでも後三年ともちません。そこで、次の処分場の確保が懸案となっています。
 組合では、これまで日量六〇トン弱の可燃ゴミだけを処理し、ガラスや鉄、アルミ等の不燃ゴ
ミは市内の民間業者に年間約四六〇〇万円で処理を委託していました。ところが四月からは一日当たり、今までの二倍の約一〇トンの焼却灰と、新たに受け入れる粗大ゴミの破砕処理による不燃物が約一〇トン出ます。

■埋め立て地がない
 計画書によると二〇〇三年には灰と不燃物で年間六〇二二立米(約七三〇〇トン)のゴミを埋め立てるスペースだ必要になるそうです。現在松井田にある処分場の規模だと四年も経たないうちに、満杯になる勘定です。松井田の処分場では、地元住民と「埋め立てるのは焼却灰だけ」という協定を結んだ経緯もあります。
 そのため、四年ほど前から組合と両市町で新たな最終処分場の用地選定作業を続けていますが、一向に進展が見られません。それにもかかわらず、ゴミ処理施設だけは作っちゃったのだから、一体どういうつもりなのでしょうか。

■用地選定大幅遅れ
 中島市長は九六年暮れに、ようやく組合と両市町で検討部会を発足させ、その後何回か会合をもっているようですが、話の経緯は少しも見えてきません。
 処分場は、用地選定から環境アセスメント(影響評価)で完成までに通常五年かかるといわれます。当然、四月の開業時の処分場完成は不可能です。そうすると当面は処理ゴミを民間委託することになるのでしょうが、新たな費用がかさみます。
 もし、組合の不燃・粗大ゴミ(年間約三五〇〇トン)を民間業者に委託すると、一体いくらくらいになるのでしょうか。

■ゴミ委託処理に年二億円?
 現在の委託費の相場はトン当たり三万円ほどだから、年間約一億円かかることになります。焼却灰(年間約三八〇〇トン)も含めると年に二・二億円もかかります。
 すると、新たな利権を生む可配性があります。日本ではゴミ処理の費用の内訳は、収集七〇%、設備二〇%、保守・人件費一〇%といわれています。昨年来、中島市長も絡んだ浄化槽内紛問題で、九九年三月二二日に設立登記した会社「有限会社西毛環境保全センター」(柳沢恵美代・代表取締役)でも、業務目的に「一般廃棄物及び産業廃棄物の収集運搬処理に関する業務」をしっかり掲げており、出番が来るかも知れません。
 また、新たな処分場用地を地上げする場合でも、勿論、大きな利権が生まれます。不動産会社を副業とする市会議員の方々(澤、早川、横山ら各議員)にとってはチャンス到来かも。

■次は安中市の番
 処分場の設置場所として、暗黙の了解として、次は安中の番だということになっているようです。
 情報筋によれば、処分場用地の候補としては、中宿のクレー射撃練習場の北側地点、サンパイ業者が盛んに暗躍している岩野谷地区、市内各所にあるベントナイトの掘削跡地などが取り沙汰されています。

■一中野谷の業者の場合
 このうち中野谷にあるベントナイト会社サンケン工業の掘削地が有力候補のひとつと目されています。この付近は畑地で民家もなく、下流に水田がないので水利権の問題も余りありません。地下水汚染防止対策さえ万全なら、あとは臭気に気をつける程度で済むようです。しかも、この地区は信越化学から一キロと離れていないため、既に準工業地帯の指定を受けており、都市計画上も問題ないとされています。
 同社では中野谷でベントナイトを採掘したものの、鉱脈がいまひとつ貧弱だったため採算がとれず、かといって埋め戻すにはさらにコストがかかるので、有効な埋め戻し方を摸索していました。その結果、廃棄物処分場として埋め戻せば一石二鳥という結論に達しました。
 評判の悪い産業廃棄物と違い、自治体の一般廃棄物の処分場としてなら認可も得易いので、あとは自治体と話しがつけば、埋戻し費用を浮かすことができるほか、いろいろなメリットも期待できます。同社はこの案を当時の小川勝寿市長(碓氷・松井田衛生施設組合管理者兼務)にもちかけ、同市長も乗り気だったのですが、公社事件で九五年一〇月に退陣を余儀なくされました。

■色めき立つ関係者
 その後も計画を進める過程において、安中市と松井田町の自治体関係者にいろいろな話が取り沙汰されています。地元にとって必要な施設の計画であれば、なにも秘密にする必要はないと考えますが、ゴミ処分場には利権が絡むため、なにかと血眼になる関係者が現れます。このゴミ処分場問題も、表面上騒がれていませんが、近いうちに必ず浮上してくるでしょう。
 松井田に較べると、廃棄物処分場というとすぐ色めき立つ関係者は安中のほうが沢山居るようです。とりわけサンバイ場計画が目白押しの岩野谷地区では、七年前から七ヵ所も計画(最近八ケ所目の構想書が出た)が持ち込まれていますが、これにも市議会議長経験者が関与しています。

■岩野谷地区の場合
 このうち大谷西谷濠に計画されたものは、九一~九三年に産業廃棄物理立処分場(安定型)で進められましたが、地元の賛成が得られず、九三年八月にいったん業者が撤退しました。その直後の同年一一月から今度は一般廃棄物処分場(管理型)の計画が始まり、九四年二月に事前協議が県に出され、事前協議終了が九五年一一月十日。出直し市長選告示日の二日前でした。事業者は埼玉県大宮市の業者で、市長選の最中に業者の幹部自ら安中市内に入っていました。
 九六年一二月定例市議会の社会常任委員会は、ゴミ処分場の安全性に不安を抱く地元往民からの計画中止の請願を不採択とし、委員長報告をもとに、本会議でも不採択に賛成十七、反対六という結果となりました。
 審議の過程で、もっとも注日された、どこから、どんなゴミか、どのルートで、どのくらい持ち込まれるのかなどは、いっさい不問に付されました。業者によると、県内の東毛地域の自治体
固体から持込むという話ですが、大宮の業者なので県外から灰や汚泥、不燃物を受け入れる可能性は否定できません。
 尚、安中市は、この処分場に原市の焼却灰を埋め立てる予定ほないと、議会答弁しています

■利権が引き起こす二次問題
 ゴミ処分場計画には、金銭配布問題がつきものです。それだけ利権になるという証左です。
 なぜ、住民の意見をよく聞かずに九六年一二月の市議会が、市民の設置反対請願を不採択にしたのか、いろいろ憶測をよんでいます。
 議会は、ゴミ焼却場の利権に預かろうという思惑はあっても、どうしたら焼却灰を出さずに済むか、どうすれば最終処分場をつくらずに済むか、などという意見は極めて少数のようです。
 九六年から九七年にかけて取り沙汰された諸問題、すなわち
▼原市市営団地の談合問題(市長および政和会案件)と、
▼浄出棺清掃会社内紛問題(政和会案件)、それに
▼このゴミ処分場問題(同志会案件。一部政和会を含む)
などは、市長を取り巻く両派閥の取引の材料にされたと見るのが妥当でしょう。
 どうすれば廃棄物を減らせるか、また、どういう方策をとれば安全な環境を維持できるのか、といった真剣な議論が、二大会派の問で交わされるようになるのは、果たしていつの日でしょうか。  【政策部・情報部】
**********

■このように、当会では、タクマが受注して建設したこのゴミ処理施設から排出されるゴミの行方について、きちんと精査する必要があると当時から主張してきました。結局、灰溶融施設などによるゴミの減量化、再利用化、無害化など環境面に配慮した対応は取られず、その後、松井田の既設の処分場がいっぱいになった後、草津町の民営の処分場に持ち込んで埋めていました。

 しかし、そこもほどなく満杯になったため、地元で不動産業を営んでいた元市会議長(故人)らと結託して違法手続きの限りを尽くした大宮の業者(㈱サイボウ)に、群馬県や安中市の関係者が加担して、平成19年4月から岩野谷の大谷地区で稼動開始したゴミ処分場を現在使っている有様です。

【ひらく会情報部】


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