市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月23日午前10時の第1回口頭弁論期日の様子

2016-09-24 00:12:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■住民の声はどこ吹く風…政官業の間で、勝手に手続きが進んでしまい、いよいよ放射能汚染木材を原料とする木質チップ製造施設の建設が開始されようとしていますが、東電グループの中でも筆頭の大企業である関電工が主体の前橋バイオマス燃料㈱に対して、なぜ行政から補助金が支払われなければならないのか、を問う住民訴訟の第1回口頭弁論が、2016年9月24日(金)午後10時から前橋地裁2階の第21号法廷で開催されました。その概要を報告します。


*****第21号法廷(本館2階)開廷表*****
開始/終了/予定  10:00/10:10/第1回弁論
事件番号/事件名  平成28年(行ウ)第12号/住民訴訟によるバイオマス補助金取消し請求事件
当事者       小川賢 外   群馬県知事大澤正明
代理人       -            -
備考        民事第2部合議係
 裁判長 原道子、裁判官 佐藤薫、裁判官 根岸聡志
事務官 清宮清隆
**********

 当日は10時10分前までに傍聴席に入りました。すると当会の副代表が床に散らばっている黒い派遣を目ざとく見つけました。どうやら撥ね上げ式椅子の回転部分の軸受けのゴム加工品が劣化して破損したようでした。あるいはネズミがかじった可能性もあります。いずれにしても群馬県の司法のシンボルである第21号法廷の傍聴席の床に黒い破片が散乱しているのは好ましくないとして裁判所側に掃除をお願いしました。

■さて、裁判のほうは定刻通り10時開催されました。定刻きっかりに法廷に入場してきた原道子裁判長らにむかって、一同起立してから、裁判がスタートしました。

 冒頭に裁判長が、「ただいまから第1回口頭弁期日を開始します」と述べてから、「原告から訴状と訴状訂正の申立てが提出されている」とを告げましたので、原告住民らは「はい、陳述します」と述べました。裁判では、いちいち訴状などの裁判文書は読み上げす、「陳述します」と言えば、それらの文書をその場で読み上げたことになるのです。

 次に裁判長は「被告からは答弁書が提出されている」と告げ、被告訴訟代理人の弁護士が「はい、陳述します」と言いました。

 裁判長は「甲号証として甲1から13まで提示してあるが、手元にあれば確認してほしい」と言うので、裁判資料綴りのファイルをめくり、甲13号証を確認しました。裁判長は「甲13の1枚目だが、そこのところの宛先が小川さんになっている。1枚めくって、羽鳥さんのがある。それぞれに監査結果の書面を・・・」というので、原告らはすぐにピンときて「ああ、そういうことですか。(2枚目以降の監査結果の内容は)同じなんで端折っちゃったんです。これはダメですよね?」と言うと、裁判長はすぐに原告が理解したと分かり「では甲13の1枚目を枝番の1ということにして、2枚目からは同じですね?」と念押しの確認を求めて来たので、原告らは「そうです」と答えました。すると裁判長は「そうすると羽鳥さんのは甲13の2というふうに枝番に分けることにしたい」と述べ、甲13号証については、原告2名それぞれに対する監査結果通知を、甲13-1(小川)と甲13-2(羽鳥)で特定することになりました。

 裁判長からは次に「裁判所から2、3うかがいたいことがある」として、「まず、この(監査)結果をそれぞれ渡したということだが、郵送だとか、手渡しだとかどういう方法で原告らは受け取ったのか?被告はどうやって渡したのか?」と原告被告双方に質問がありました。

 被告は「反対に、事務局に聞かないと分からない」と言いました。

 裁判長は「では原告はどうやって受け取ったか?」と原告に聞きました。原告は「「たくさん(案件を)やっているので忘れたが、たしか郵送だと思います」と答えました。裁判長は「さらに詳しく憶えていますか?」と聞くので、原告は「たしか郵送でいただいたとおもう。必ず監査委員事務局からは簡易書留で送ってくるので、そのはずです」と記憶を頼りに説明しました。

 裁判長は「裁判所としては甲13の枝番を打ったので、それぞれ、郵送とか手渡しとか、いずれかの方法で(原告らはそれを)受け取ったということだろうから、原告二人がいずれも6月19日に(受け取ったことについて)間違いが無いですね?なぜかというと当日は日曜日なんです」と詳しい説明とともに、原告らに当時の様子を聞いてきました。

 これを聞いているうちに原告は、ようやく当時のことを思い出しました。「ああ、私(小川)はようするに、不在だったので日曜日に郵便局に行って受領した。忙しいものですからなかなか、行くチャンスが無くて、配達を受けた時不在だったので」と答えると、裁判長は「すると不在通知だったわけですね。すると羽鳥さんもですか?」と言いました。

 もう一人の原告は「私は自宅にいたがよく把握できない」と答えました。

 すると裁判長は「簡易書留だったら、被告のほうで把握できるのではないか?」と矛先を被告に向けると、被告は「はい」と答えました。

 裁判長は「(住民監査結果の)通知が6月14日付けで、翌15日に配達された可能性がある。裁判所としては、いつ、どのように、原告が通知を受け取ったのか、はっきりさせておく必要がある。だから(被告は)不知などと言わずに、きちんと調べて答えてもらいたい」と、被告に対して痛烈な批判を込めて訴訟指揮をしました。

 「今の話だと19日が小川さんで、羽鳥さんは18日の土曜日に受け取った可能性がありますね?」と裁判長に聞かれた原告のひとりは「田舎に住んでいるので、遅れて翌週の月曜日かも知れません。いずれにしてもよく覚えていません」と答えました。

 裁判長は「つまり羽鳥さんは家で受け取ったと思われるが、日付ははっきりしないということですね?」と言うと、原告は「はい」と答えました。それを聞いた裁判長は「このことを確認できれば、次へ安心して進めるので」と言いました。

 このときの裁判長の心情としては、被告が答弁書の中で、監査委員事務局が原告らに送った監査結果通知について、いつ簡易書留で原告が受け取ったのかも当該事務局に確認しようとせずに、通り一辺倒に「不知」などと安易に記載したことから、被告の対応を苦々しく思ってくれていたに違いありません。

 こうして、何とか裁判の入口で住民の訴えを門前払いしようとしたがる被告群馬県の思惑はあえなく潰えたのでした。

 裁判長は続いて「次は中身に入る。甲13の最後の13ページを確認したい。ここで下から8行目に『補助金申請がおこなわれておらず』とある。6月14日の時点ではまだ補助金交付申請が行われていないということだと思うが、今現在はどうなっていますか?」と質問しました。

 原告側からは「我々住民と努力していろいろ限られた条件下で把握している情報によれば、渋川環境森林事務所が7月15日までに業者から補助金交付申請を出せという通知を出している。その前段階の設計書の提出を受けて、次の補助金申請手続きを促そうというものだ」と説明しました。

 裁判長は「原告側としては、(業者は申請書を)出したと思うということなのか?」と質問したので、原告の一人は「はい」と説明しました。

 すると裁判長は「(補助金交付申請書は)出したと思う、ということなのか?」と質問してきました。これに対いて原告のひとりが「情報公開で請求書と決裁書はもらっている」と答えたところ、裁判長は「補助金申請は既にしてあるのね?」と念押しの質問をしました。

 原告のひとりから「業者はしていると思う」と言うと、裁判長は「(甲13-2 の)ここには6月14日の時はまだ(申請していないの)だとあるが、現時点では行われているのですか?」と更に確認を求めて来たので、原告の一人は「はい。日程的なハッキリしたことは、出てこないが」と答えました

 裁判長は、むしろ被告に聞いた方が確実だと思ったのか、被告のほうを向いて「被告は(このことについて)はどうなのか?」と聞くと、被告はあっさりと「はい」と答えました。

 これを聞いた裁判長は、なあーんだという感じで「ああ、(申請手続きは既に)行われているのね」と言いました。そして、重要なことを口にしました。

「では、裁判所としては、(被告がこだわっている)入口のことよりも、本体を争うのであれば、しかも補助金申請が行われているのであれば、この段階でそれを問題にして、監査請求をあらためてしてもらったほうが生産的だとおもうが、どうか?」

 まさに原告が思っていたことを裁判長の口から聞いたことに嬉しくなってしまい、思わず、間髪を入れずに、「さっき出してきたところです」と原告から答えました。

 すると裁判長は、少しびっくりしつつも、原告の素早い対応に関心をした様子で、きっぱりとした口調で「わかりました」と述べました。そして「現時点で補助金申請はおこなわれていること。甲13の枝番2の13ページ下から8行目にある補助金申請は現時点で既に行われていて、本日(原告らによって)監査請求を行ったところであるということですね」と納得がいった様子で語りました。

 原告としては、本日、裁判直前に監査委員事務局に提出した住民監査請求に、関電工に7月15日までに補助金申請をするように、と指示する渋川環境森林事務所の通知の写しを添付して、既に補助金申請が行われていることを間接的に示す証拠を添付していたことから、はっきりと「申請済み」という表現で住民監査請求を出したわけではないので、少し注釈が必要かもしれないと考えて、裁判長に「(今度の監査請求では)言い回しの点について、7月15日までに出せと渋川森林事務所が業者に言っているので、それから既に2カ月以上経過しているから、当然申請手続きが進行しているものと判断した。だから、監査委員事務局に対しては、さきほど監査請求を提出した際に、無闇に補正命令など出して、住民監査手続きを妨害しようとせずに、60日以内に一刻も早く監査結果を出すように、と強く票精した」と縷々説明しました。

 すると原告からの長い説明に辟易したのか裁判長は、原告の説明が終わるのを待ちきれずに「裁判所から話をしたいんですけど」とおっしゃったので、原告から「どうぞ」と発言を譲りました。裁判長は続けて「そうであれば、そっちの(新たな住民監査請求の)関係話が進んでいった場合、結論はどうなるかは分からないにしても、そっちで決着する可能性も有るだろうし、あるいは原告には不本意ながら、指摘が通らないことも有るだろうし」と言うので、思わず「まず、(今度も)通らないと思います」と合いの手を入れると、裁判長は「その時は、それを行政訴訟として行うのがよろしいのではないかと思う。そう、思うのだが、その時はその時で、これを進めておいて・・・」と言いました。

 そこで原告は「進めておいて、途中でまた、必要であれば、訴状の訂正申立てをやればよいのでしょうか?それとも、(新たな監査請求の結果を踏まえて、その時に)根本的にもう一回、(あらたに訴状を提出)するということでしょうか?」と訊ねました。

 裁判長は「そちらのほうは行政処分した別物なので、それはそれで訴えの提起をしていただいて、将来的な可能性の一つとして、(その結果次第で)それを(現在の訴訟と)併合すれば、こちらでやっていることも無駄にならないと思うが、どうでしょうか?」と言いました。原告らは全く異存がないので「裁判長の訴訟指揮にしたがいます」と即答しました。

 裁判長は原告の即答に苦笑しつつ「ということで、この事件については、将来的に中身に入っていく可能性もあり、裁判所としては中身に入っていきたいと思っている。それには、補助金申請が行われて、それについて監査請求が行われて、その手続きが問題なく進み、行政から郵便で送られてくることも含めて、心配のない状態で行っていただけるのであれば、それはそれで、窓口の争点は減っていくのではないでしょうか?」と述べました。

 原告としては、群馬県の監査委員そのものを信用していないので、「まあ、減っていくかもしれないが、時間がどんどん経過してしまうので忸怩たる思いもあるけれど・・・」とブツブツ言いかけると、裁判長は「そういうことも考えてくださいということ。だって、だからこの事件を進めていきたいわけでしょう?」と声掛けをしてくれました。原告は「そうです。スピード感をもってやりたいんです」と応えました。

 裁判長は「はい。そうしたら、原告は、被告の却下答弁についての反論をお願いします。今日の答弁書に対する反論をお願いします」と述べたので原告は「わかりました」と応えました。

 裁判長は、原告らに「では次に聞きたいのは、訴状の3から10頁に(1)~(9)ということで、こういうところがいけないという事項が列挙されています。これが全部で(9)まであるが、これらは全部、補助金交付が地方自治法第2条第14項と地方財政法第4条第1項に反する基礎付けるものとして理解してよろしいのか?」と確認を求めて来たので、原告は力強く「はい。そうです」と言いました。

 裁判長は「そうだとすれば、被告は(1)から(9)についても主張するように」と被告に対して述べました。被告の訴訟代理人は「はい」と応えました。

 裁判長は「以上で、今日申し上げたいことを話しました。話が細かくなるが、もう1つお願いがある。原告の証拠説明書で、間違いではないかということを確認したい」として、証拠説明書の1ページ目の作成年月日のうち、平成28年とあるのが27年ではないかという指摘がありました。事務官に丁寧に指摘されたので、直ぐに誤植であることが分かり、その場で訂正しました。

 裁判長は本日のまとめとして、「今日は幾つかいろいろな事項をお話ししたましたが、それぞれよろしいですね?」と言うと、原告・被告双方は「はい」と応えました。

 裁判長は被告に向かって「主に被告のほうは、中身について反論することと、いつ届いたかについて調べるということになるが、どの位時間がかかりますか?」と訊ねました。被告の訴訟代理人は「いろいろ調べることがあるので・・・2カ月くらい」と答えました。

 それにもとづき、裁判長は次回の第2回口頭弁論期日について裁判所、原告、被告の都合を確認して次のように宣言しました。

「それでは次回弁論期日を2016年11月18日金曜日午前10時30分とします。準備書面は同11月11日までに提出すること」

 以上で、前橋バイオマス発電事業に係る補助金交付申請差止め訴訟の第1回口頭弁論期日が終了しました。約15分間にわたる裁判でした。

■上記の通り、本日10時から第1回公判が前橋地方裁判所21号法廷で行われました第1回口頭弁論期日には、平日にもかかわらず当会会員や、赤城山の自然と環境を守る会のメンバーの皆さんら10名に駆けつけていただき、裁判の一部始終を傍聴していただきました。この場をお借りして、傍聴してくださったみなさま方や、職場やご家庭でご心配を下さった方々に、厚く御礼を申し上げます。

 他方、被告群馬県側は、公務時間中というのに、弁護士3名と県の役人ら4名という錚々たるメンバーが出廷および傍聴に来ていました。

 次回11月18日(金)10:30からの第2回口頭弁論期日には、さらにこの問題について関心をお持ちの住民、納税者の皆様に数多くお集まりしていただくよう、ご案内申し上げます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※上記の法廷内の口頭でのやりとりは、出席・傍聴した当会会員らのメモと記憶により構成したものであり、概ね間違っていないとは思いますが、発言内容を正確に表してはありませんので、あらかじめ認識ください。
ただし、もし事実と異なっている箇所が有ると判断される場合には、FAXやメールなど書面でご指摘、ご連絡いただけると幸いです。
 また、文中の表現や感想は、あくまで当会独自の印象と判断によるもので他意はありません。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…住民訴訟直前の9月23日午前9時半に再度住民監査請求を提出

2016-09-23 23:17:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■被告群馬県からの答弁書の内容は衝撃的でした。被告群馬県が「本案前の主張」として次の内容で住民監査請求に続けて、住民訴訟をも門前払いしようと躍起になっていたからです。それにしても、これを読むたびに、納税者として腹立たしさを超えて、あきれ果て、挙句の果て、我が群馬県の公務員はこれまで落ちぶれたかと情けなくなり、涙さえ漏らしそうです。それでは彼らが答弁書に記した内容をもう一度見てみましょう。



**********
第2 本案前の主張
1 原告らは,平成28年3月31日付住民監査請求(以下「本件監査請求」という)において,平成27年度9月補正予算に計上された木質バイオマス発電燃料製造施設等整備に係る補助金(以下「本件補助金」という)の違法,不当を主張して差止めを求めたが(甲1),群馬県監査委員は,「現時点において本件補助金の交付の差止めの是非を検討しなければならないと判断される程度にまで相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えているとまではいえない」とし,地方自治法242条1項の要件を充たさないとして本件監査請求を却下した(甲13の13頁)。
2 住民訴訟については,監査請求前置主義が採用されているところ(地方自治法242条の2第1項),この制度は,住民訴訟に先立って監査委員に住民の請求に係る財務会計上の行為又は怠る事実について監査の機会を与え,当該行為又は怠る事実の違法,不当を当該普通地方公共団体の自治的,内部的処理によって予防,是正させることを目的とするものである(最判昭和62年2月20日民集41巻1号122頁)。
3 しかるに,本件監査請求は,地方自治法242条1項の要件を充たさない不適法なものとして却下されており,監査委員による本件補助金の違法,不当についての実質的審査は全く行われなかったのであるから,前述の監査請求前置主義の目的を果たしていない
  したがって,本件訴訟における原告ら請求は,適法な監査請求を経ておらず,監査請求前置主義の要件を充たしていないものと言わざるを得ない。
4 よって,本件訴訟は,訴訟要件を充たさないので,不適法として却下されなければならない。

**********

 何が一体情けないのかというと、監査委員に住民監査請求を行わせないまま門前払いをさせておいて、住民訴訟で今度は、監査委員が門前払いをしたから監査請求前置主義の要件を満たしていないと主張しているからです。これでは、住民監査請求そのものの制度を自ら否定することになり、「住民は役所のやることに一切口を出すな」と言わんばかりの、つまり戦前・戦中の我が国のファシズム体制を彷彿とさせる重大な企みだからです。

■9月23日の第1回目の口頭弁論期日を控えて、当会と赤城山の自然と環境を守る会では、住民監査請求を再度出すかどうか、迷っていました。しかし、被告群馬県の答弁書で、相変わらず群馬県が本案前の主張として上記に示す内容を示したことで、住民監査請求を早急に出すべきであるとの結論に達し、同日朝、前橋地裁に行く前に県庁26階の群馬県監査委員事務局を訪れて、次の内容の住民監査請求書を提出しました。

**********※緑色部分が前回住民監査請求に加えた箇所
               群馬県職員措置請求書

大澤正明群馬県知事に対する措置請求の要旨

1. 請求の要旨
 事実証明書1によれば、群馬県は、平成27年9月4日に平成27年度9月補正予算案として、次の事業を後述する補助交付金の対象事業(以下「本事業」という)として計上し、本事業は、同年9月14日から10月7日まで開催された群馬県議会第3回前期定例会に上程され承認された。
  事業名:(新規)木質バイオマス発電燃料製造施設等整備〔環境森林部林業振興課〕
  金 額:480,000千円
  説 明;・林業県ぐんまの実現に向け、未利用材の活用を推進するため、木質バイオマス発電燃料(チップ)の製造施設整備に対して補助。
・事業主体:前橋バイオマス燃料(株)
・補 助 率:6/10以内
 即ち上記の4億8000万円は、本事業費8億円に対する補助交付金で、国は50%、県が10%の補助率とされている。
 本事業は、関電工が、親会社である東京電力を主体とする赤城山麓にある電力中央研究所の敷地内に建設を計画中の木質バイオマス発電施設に併設される、同発電施設専用のチップ破砕施設やチップ加工施設貯蔵庫の整備を行うもので、発電用に使われるチップの年間生産量は7万トン、原料である間伐材等の受入量は8万4100トンであり、補助対象施設設備は、燃料乾燥施設、作業用建物兼燃料貯蔵庫、チップ製造機等とされている。
 また、本事業主体は、㈱トーセン、㈱関電工、群馬県森林組合連合会、群馬県素材生産流通協同組合の共同出資の「前橋バイオマス燃料㈱」とされている。
 しかし、当該補助金が投入されることになる木質バイオマス発電用のチップ燃料の製造施設整備事業、および、同事業と同じ場所に立地される木質バイオマス発電施設は、未だに事業の内容について、不確定な情報が多く、事業者はもとより関連自治体など行政側においても、十分に説明責任が果たされているとは言えない。
 それにも関わらず、事実証明書21に示す通り、平成28年6月17日に群馬県渋川林業事務所は、前橋バイオマス燃料㈱に対して、「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の内報について」と題する伺い書を起案し、林業振興課長から内報があったとして前橋バイオマス燃料㈱に対して同6月30日までに事業実施設計所を提出するよう指示する書面の発出について、即日同所長桑原が決裁している。
 さらに事実証明書22のとおり、同6月21日には「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業実施計画書について」と題する伺い書が渋川林業事務所で伺い書として起案され、前橋バイオマス燃料㈱から提出された事業実施設計書が適正である林業振興課長に進達する旨、即日同所長桑原により決裁されている。
 そして事実証明書23によれば、平成28年6月27日に群馬県渋川林業事務所は、「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の内示について」と題する伺い書を起案し、前橋バイオマス燃料㈱に対して7月15日までに補助金交付申請書を提出するよう指示する書面の発出について、即日同所長桑原が決裁している。
 これら一連の手続は、請求人らが前回行った本件に係る住民監査請求が監査委員により却下された平成28年6月14日の僅か3日~13日後のことであり、請求人らを愚弄する行為であり、誠に遺憾である。

 本事業により燃料の供給を受ける関電工とトーセンが出資する前橋バイオマス発電㈱による木質バイオマス燃焼による発電事業では、放射能汚染された燃料を燃やすことにより、高濃度の放射性物資が濃縮され、それらが排ガスとして、あるいは燃焼灰として、さらには排水として、長年にわたり半恒久的な排出源となることから、その影響は地元及び周辺住民のみならずひろく群馬県に住む多くの県民に及ぶことになる。
 そのような危険性が指摘される中、住民らの不安要素が払しょくされないまま、木質バイオマス発電事業が進められているが、次に示す問題点により、本事業は補助金交付事業として不適格であるため、群馬県知事においては、本事業に対する補助金の交付を直ちに取り下げることが必要である。
 次にその理由を述べる。
(1)補助事業の目的から逸脱していること
 本事業は、次の補助事業によるものとされている。
<森林整備加速化・林業再生総合対策事業>
 この補助事業は、「森林整備加速化・林業再生計画」と呼ばれており、実施要綱別記1の第1に定める森林整備加速化・林業再生計画(以下「再生計画」という。)は、都道府県が地域の特性を活かし、地域が主体となって林業の成長産業化を実現するために、森林整備加速化・林業再生交付金(以下「交付金」という。)を活用して行う事業(以下「交付金事業」という。)の実施により達成すべき目標及びその達成状況を客観的に評価できる内容並びにそれを実現するために必要となる内容をとりまとめた計画とする、とされている。
 本事業は、放射能汚染のリスクがない地域においては有効であるが、東京電力福島第一原発事故により大量に外部に放出された放射性物質が風にのって、隣接の北関東の山間部に降り注いだことによる放射能汚染の被害を受けた群馬県や栃木県、茨城県等においては、リスクの増大に結びつく結果をもたらすことになる。
 よって、放射能の除染対策に手を付けられない群馬県やその周辺の森林からの間伐材を集積してチップ化して燃焼させることは、法令違反行為であり、森林整備や林業再生という次元よりさらに根本的な住民の生命や財産の安全のほうが重要であることから、補助対象事業には当たらないことは明らかである。
(2)補助金交付を受ける資格がないこと
 関電工は、福島第一原発事故の原因者である東京電力のグループ会社であり、本来、放射能汚染に苦しむ住民に対して、謝罪すべき立場にあるはずである。また、事実証明書2によれば、株式会社トーセンが平成26年2月28日に設立した㈱松井田バイオマスという法人が平成26年10月30日に看板を架け替えただけの㈱前橋バイオマスに対して、事実証明書3によれば、関電工は、本件事業で補助金交付に関して群馬県議会の平成27年第3回定例会議の最中の同年9月28日に、群馬県森林組合連合会、群馬県素材生産流通協同組合とともに、104株の出資参加をして、併せて、関電工の戦略事業本部開発事業部長の石塚浩が取締役として役員に就任している。
 即ち、知事大澤が、平成27年9月4日に平成27年度9月補正予算案として、次の事業を後述する補助交付金の対象事業として計上し、同年9月14日から開始された群馬県議会の定例会期間中、9月25日(金)の県議会本会議、一般質問までは補助金交付を受けるための事業主体ではなかった。
 また、事実証明書3によれば、㈱前橋バイオマスの定款には「間伐材・廃材等の森林資源を有効利用してのバイオマス発電燃料云々」と記されており、本来、㈱トーセンは、廃棄物中間処理の許可が必要な廃材や木くずなどを間伐材に紛れ込ませて発電燃料として受け入れることを想定していた。そして、平成27年9月28日に関電工らが出資参加した際、「間伐材等を有効利用してのバイオマス発電燃料云々」と定款を変更したが、依然として「間伐材“等”」というふうに表現しており、放射能汚染された木くずや廃材などを間伐材に紛れ込ませようとする意図が強く感じられる。
 さらに事実証明書5及び事実証明書6によれば、平成27年6月22日に関電工とトーセンによって設立された㈱前橋バイオマス発電では、定款で「間伐材・廃材等の森林資源を有効利用してのバイオマス発電燃料云々」と明記されており、㈱前橋バイオマスの定款のコピペであることがわかる。このことは、㈱前橋バイオマス燃料の現在の定款に記されている「間伐材等」の“等”の意味が、廃材も含む可能性を示唆しており、極めて危険である。
 このような行き当たりばったりで未成熟な事業にたいして、補助金の交付をすることは、「最少の経費で最大の効果を挙げる」ことを要請している地方自治法第2条第14項及び「経費は、その目的を達するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない」 とする地方財政法第4条第1項の各規定に違反するものである。
(3)地元及び周辺住民への事業に関する周知が不徹底であること
 事実証明書9に示すように、本事業については、平成27年5月の連休中に、事業計画予定地の電力中央研究所の敷地に隣接している赤城ビュータウンの住民らが、関電工が施工主として密かに掘削作業をしていた騒音に驚き、原因を調べてはじめて本事業の存在が発覚した。その後も、関電工は、本事業に関して、近隣住民に対する個別説明方式にこだわり、現在でも、「赤城ビュータウン以外の住民は原則として事業説明の対象としない」とする立場を取り続けている。
 関電工による昨年10月、12月、今年3月に開かれた地元住民説明会では、口コミで本事業の存在を知った赤城ビュータウン以外の参加住民らが、「放射能汚染された木質資源を燃やすという違法行為による広範囲の放射能汚染の拡散のリスク」をアピールして、県内に広く事業の周知徹底を要請する声を上げても、本事業主体のリーダーである関電工は「我関せず」という態度をとり続けている。
 こうした関電工による本事業に関する極めて消極的な説明責任を見るにつけ、地元及び周辺住民らは関電工など事業主体に対して、一層不信感を募らせざるを得なくなっている。
 さらに、同じく本事業の事業主体である㈱トーセンに至っては、住民らの強い出席要請にもかかわらず平成27年10月3日の第1回地元説明会や平成28年3月27日開催の第3回地元説明会には全く顔を出さず、唯一平成27年12月20日開催の第2回地元説明会に出席したが、本事業について一言も語ることはしなかった。このため、監査請求人らをふくむ住民らは、肝心の本事業に関わる木質燃料チップ工場の施設の内容についての説明を事業主体から受けられずにいる。
 このような事業内容の不透明性と、情報開示への消極性は、本事業の目的である「都道府県が地域の特性を活かし、地域が主体となって林業の成長産業化を実現する」こととは、相容れない。したがって、そのような社会性に欠ける企業が進める本事業には、我々の血税である補助金という公金を支出することは絶対に許されない。
(4)事業主体の出資者である関電工の社是や環境方針と合致しないこと
 関電工は事あるごとに、環境への基本姿勢を強調しているが、これを遵守するためには、本事業はまったく馴染まない。だからただちに本事業を白紙撤回しなければならない。
(5)安全な間伐材を県内から安定的に調達することは不可能であること
 事業主体である関電工は、当初のうち群馬県内の間伐材を100%使用すると言いながら、まもなく、万が一足りなければ、近県の間伐材も入れることを可能性として仄めかす発言に転じている。このように、言っていることが最初に比べ、あれもこれも変わること自体、信用できない。
 本事業により発電用に使われるチップの年間生産量7万トン、原料である間伐材等の受入量8万4100トンの安定した確保が、事業実現の基本の一つであるが、群馬県内における森林バイオマスの賦存量の実態をみれば、年間間伐材等の受入量8万4100tもの確保は到底現実的ではない。
 このため、事業主体は上述のとおり、群馬県以外の周辺の栃木県、長野県、埼玉県等から必要に応じて間伐材等を調達する必要があると認識しているのである。そうなると、福島県の製材所で保管されていた大量の放射能汚染木くず・バーク(樹皮)チップなどの特定廃棄物相当のサンパイが、東電から依頼を受けた元官僚で自称コンサルタントの男により、福島県外に持ち出され、滋賀県の琵琶湖西岸に不法投棄された放射能汚染木くず・バークチップが、群馬県民のしらないうちに前橋市内の産廃中間処理業者の破砕施設に持ち込まれ、他の廃材等と眞挫合わされて、オガクズとして群馬県内外に販売された事件と同様な手口で、群馬県外から大量の危険な放射能汚染廃材等が持ち込まれる可能性が極めて高くなる。
 とりわけ、関電工は、絶対安全だとしていた福島第1原発の重大事故の責任を取らないまま、多額の税金を政府につぎ込ませても平然としている東京電力のグループ会社である。本事業が、東電の思惑で立案されたことは、こうした背景から容易に想像できる。
 もし、本事業に補助金が交付されると、東電の除染責任を我々の税金で尻拭いされることになる。東電の息のかかった東電工は、本事業へのこの補助金がないと、事業がなりたたないとしているが、そのような不採算事業を強引に推進する背景には、東電の思惑が見え隠れしているのである。
 群馬県の誇る安心・安全な生活環境、営農環境、自然環境を厳守し、次世代に引き継ぐためにも本事業を助長する補助金の交付は、県民への裏切り行為であり、直ちに停止しならない。
(6)事業主体の信頼性に瑕疵があること
 群馬県に提出された事業計画の情報公開で入手したが、近隣住民への説明経過によると、事実証明書7により、「反対者ゼロ」などと事実と全くかけ離れた文言が続き、虚偽の記載をし、不正に補助金の支給を受けようとしている。
(7)放射能汚染対策に重大な不備があること
 放射能対策が全く盛り込まれていないことは明らかである。放射能汚染物質対策の不備による放射性物質の流出が懸念される理由と、関連する施設の場所・工程を次の①~④に示す。
 ①事業主体の関電工は、地元説明会での配布資料(事実証明書8)では「間伐等を受入する際、トラックスケールで検査する」としているが、メーカーは技術面から「管理基準値(40ベクレル/㎏)は、到底できない」と発言している。その時のやり取りを次に示す。
(質問)走行しながらの測定ということで、トラック全体の総ベクレルが370kBqということではなく、ある一定の塊の線源が370kBq以上ないと測定不可能という解釈でよろしいでしょうか。
(回答)その通りです。【回答者:株式会社テック・デル高畑】
また、関電工自身も、平成28年3月26日の話し合いや同3月27日の説明会の場で、住民からの質問に対して「できない」と答えている。したがって、放射能のかなり高い間伐材が持ち込まれても、その実態について全く把握できないということになり、それによる危害は甚大である。
つまり、その約1万分の一である40ベクレル/㎏など測定できるはずもない。
 ②貯木スペースは間伐材の乾燥のため野天に保管されるが、風等により放射性物質の敷地外への拡散防止策が講じられていない。また、雨等による放射性物質の排水口や敷地外への流出対策が講じられていない。
 ③チップ加工時の放射性物質の空気中への拡散防止策が講じられていない。
 ④チップの脱水時の排液を、放射性物質を未処理のまま地下浸透させてしまうことになり、関東平野の地下水資源に対する重大な脅威となる。
 以上のことより、近隣住民の生活保全環境はもとより、田畑への営農環境、河川への自然環境への放射性物質の流入による重大な環境破壊の危険性はかなりの確率で高くなることは必至である。
(8)本事業主体の運営・技術面に係るレベルと実績等がお粗末であること
 事業主体のひとつである㈱トーセンは数年前に、製材工場で山火事を起こし、体育館などを全焼させた。にもかかわらず、未だに火災の原因は不明とされ、何の対策もとられていない。このままでは、本事業が行われる赤城山での山火事発生の危険性が大いに想定されるため、周辺住民の静観環境や財産保全に対して脅威となる。以下、㈱トーセンのホームページからの火災発生に関する記事を引用する。
トーセンのホームページのURL:
http://www.tohsen.net/news_topicsn.php?num=62&yr=2013
那珂川工場火災のお詫びとお礼
平成25年9月28日(土)午後10:00、県北木材協同組合 那珂川工場におきまして、火災が発生致しました。関係各位、地域住民の皆様には、多大なご心配、ご迷惑をお掛けいたしました。この場をお借りしまして、お詫びとご協力のお礼を申し上げます。
なお、旧体育館(加工棟)の全焼という事態となりましたが、地元消防団、消防署、行政の皆様のご協力により、消火は完了し、那珂川工場内の他の設備、隣接の発電施設建設地への影響はないことをご報告致します。
(9)環境アセスメントを実施しないまま計画を脱法的に進めようとしていること
 本事業では、年間8万トンの木質チップを発電用燃料として製造する計画だが、それを全量発電施設で使用した場合の排ガス量について、きちんとした計算手順と結果について、群馬県からも事業主体からも全く説明がなされていない。群馬県は当該木質バイオマス発電所の制度設計前の平成27年3月に総排気量が4万ⅿ³/hr以上あるかどうかの詳細審査を実施せず関電工に環境アセスメント対象外として事業者に通告している可能性が高く、本事業は法令違反であることが明白である。

 以上のさまざまな観点から、現在のところ森林内に隔離されている放射能汚染物質だが、本事業が実施されれば、これらの危険物質が人家の近くに大量に持ち込まれることになる。しかも焼却をすることにより、さらに放射線レベルが高くなり、一層危険度が増すことになる。この結果、放射能汚染の拡散と高レベルの放射能物質発生を招くという脅威に群馬県民がひろく晒されるのである。このため、憲法に定める多数の住民の生存権が脅かされているのであるから、知事大澤には、本事業に対する補助金の交付による財政支出を停止する措置をとる義務がある。
 よって、監査委員は知事大澤に対し、次の措置を講ずるよう、勧告することを求める。
本事業に対する補助金の交付に関し、平成27年度補正予算から支出することを決めた措置を撤回し、事業者から平成28年7月15日までに提出された補助金交付申請書に基づく補助金の支払いを停止せよ。

2.請求者
  住所 〒379-0114群馬県安中市野殿980番地
  職業 会社員(市民オンブズマン群馬 代表)
  氏名 小川 賢
  電話 090-5302-8312
  住所 〒371-0244群馬県前橋市鼻毛石町1991-42
  職業 会社員(赤城山の自然と環境を守る会 事務局長)
  氏名 羽鳥 昌行
  電話 027-283-4150

地方自治法第242条第1項の規定により、事実証明書を付して、必要な措置を請求します。

平成28年9月23日

群馬県監査委員(あて)

事実証明書
1.平成27年度9月補正予算検討案(知事査定)
2.㈱前橋バイオマスの履歴事項全部証明書(平成27年9月27日以前)
3.㈱前橋バイオマスの定款(平成27年9月27日以前)
4.㈱前橋バイオマス燃料の路歴全部証明書(平成27年9月28日以降)
5.㈱前橋バイオマス発電の履歴全部証明書
6.㈱前橋バイオマス発電の定款
7.近隣住民への説明経過(林業振興課 開示資料)
8.地元説明会で関電工が配布した説明資料の一部「環境対策(放射能測定)」
9.その他、事業主体の説明不足やルール違反の経緯等を示す証拠
21.H28.6.17渋川森林事務所「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の内報について」
22.H28.6.21渋川森林事務所「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業実施設計書について」
23.H28.6.27渋川森林事務所「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の内示について」


添付書類
事実証明書の写し 各1通
**********


チェック作業中の監査委員事務局職員。






閑なようだ。

■提出時に、監査事務局の職員らに対して「今回は、前回却下されたものを受けて、補助金交付申請書が提出されたという背景のもとに再度、住民監査請求を行うものであり、外形的なところで無用な補正命令を出さないようにくれぐれも配慮願いたい」と強く要請しました。

 しかし、事務局の職員らは「監査委員の意見を聞いてみないと分からない」というだけで、配慮がなされる確証は得られませんでした。

 なお、現在の監査委員は、次の4名です。
*****監査委員4人*****
 氏名/選出別/任期/備考
横田秀治/識見委員/平成24年10月1日から/常勤(代表監査委員)
丸山幸男/識見委員/平成25年2月21日から/非常勤
岩井 均/議会選出委員/平成28年5月26日から/非常勤
須藤和臣/議会選出委員/平成28年5月26日から/非常勤
**********

 今度は門前払いの却下ではなく、まともに内容について監査してほしいものですが、監査委員は県職員の操り人形であるとの指摘もあり、予断は許されません。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大同スラグ裁判・・・9月16日に前橋地裁で開廷された第6回口頭弁論期日の模様

2016-09-22 23:43:00 | スラグ不法投棄問題
■我々が生活する群馬県内に、公共・民間工事を通じて有害物質である大同スラグが大量に不法投棄されたことにより、大切なふるさとである県土をあたかも最終処分場と化してしまったことについて、利権あさりの政官業の癒着の仲立ちをした行政に対してきちんと落とし前をつけるべく、当会は、東吾妻町の農業地帯に大同有毒スラグを業者に使わせることを決めた吾妻農業事務所に責任を取らせるべく、2015年4月30日に訴状を前橋地裁に提出することにより、住民訴訟に踏み切りました。以来16カ月半が経過しました。この間、地裁では口頭弁論が5回行われ、9月16日に第6回目の口頭弁論が前橋地裁2階の21号法廷で開催されました。その模様を報告します。

 南米の取材を終えて、羽田空港の国際線ターミナルに午前6時45分に到着後、入国手続き等を終えた当会代表は前橋地裁にまっしぐらに移動し、幸い午前10時前には前橋に着くことができました。

 事務局長いわく「さきほど地裁の書記官から、プロファ設計から調査嘱託の回答結果が届いたので、早めに地裁に来てほしい」と言われたとのことでしたので、10時15分に3階の民事係を訪れて、当該回答書(2ページ)の謄写を行いました。

 地裁の予定表をみると、本日9月16日(金)10:30からの口頭弁論期日としては3件の事案が同時刻に審理されることになっており、本事件は3件のうち最後でした。

■1件目の事件は「平成27年(ワ)第630号」でした。本事件と同様に、調査嘱託の件が話題になっています。5分足らずに終わり、次回は12月9日の午後に開かれることが決まりました。

 2件目の事件は、「平成27年(行ウ)第15号」で、当会のブログでも報じた渋川市内の運動公園の造成を巡るスラグ様の異物を含む廃コンクリートなどの瓦礫を造成工事に紛れて埋め込んだ事件らしく、原告の藤井建設㈱が被告渋川市を相手取って提起した損害賠償請求訴訟です。今回が第4回口頭弁論期日のようです。原告からの新たな準備書面は9月16日朝、FAXで裁判所に送られてきましたが、裁判所は1週間前までに出さないと読めないことから、本日の口頭弁論では、原告から第5・第6準備書面のみ陳述されました。

 その後甲号証のチェックが行われましたが、最後に裁判長は原告に対して、「名誉棄損の理由を特定する記者会見の内容について、記者会見の内容についての答えは第7準備書面には書かれていないときいている」旨の訴訟指揮をしたところ、原告は「記者会見については被告の準備書面(5)の中に明確に記載しているのでそれを援用する」と答えていました。すると裁判長は「原告が不法行為の特定をしない限り、訴訟が組み立てられないので、きちんと名誉棄損の理由の特定を摘示しなければならない」と原告に諭しました。

 すると、原告は分が悪いと見えて「今年11月に(渋川市の)指名停止処分が切れるので、その前に一度、今後の進め方について進行協議の場を設けてもらいたい」などと裁判長に願い出ました。どうやら指名停止処分が解除されれば、訴訟の目的の大半が果たせることになるようで、そのため法廷ではない形での協議を行いたいという原告側の意向が感じ取れます。

 そのことを察した裁判長は早速「今日はどうか?」と持ち掛けたところ、原告の藤井建設は「今日はまだ準備が整っていない」として別途開催を求めました。結局10月21日10時から口頭弁論ではなく、ラウンドテーブル法廷で進行協議の形で開催されるようです。この間約15分間を要しました。

■そしていよいよ当会が提起した訴訟である「平成27年(行ウ)第7号」事件の第6回口頭弁論期日の番です。

 原道子裁判長は冒頭に「おまたせしました」とねぎらいの言葉を発しました。そして「調査嘱託の結果として、片山化学工業からの回答書とプロファ設計からの回答書の2点を法廷に提出する」と述べました。

 次に、原告側から2016年7月14日付の原告準備書面(9)について陳述し、そのあと続けて同9月5日付原告準備書面(10)も陳述しました。

 続いて、被告が被告第7準備書面を陳述しました。

 裁判長は次に原告が提出すみの証拠として甲第46号証まで提出しましたね」と言うと「本日は被告が乙第18号証を、調査嘱託の関係のものを書証として出してきた」と述べました。そして、「乙第18号証は、原本提出ということにする」と言った後、原告に対して「先ほどプロファ設計㈱からの回答を謄写しと聞いているが本当か?」と質問してきました。

 原告はプロファ設計からの回答書を当日10時15分に謄写したことを裁判長に伝えました。

 すると裁判長は原告に向かって「これを前提に何か準備書面を出す予定か?」と質問してきたので、原告として「ぜひ提出します」と力強く答えました。さらに「気合を入れて(準備書面を被告に)出すからね」と被告に向かっていうと、裁判長がよく聞き取れなかったと見えて、再度さらに力強く「気合を入れてだすからね」と念押しをしました。

 裁判長は原告の気合についてすぐ理解した様子で、「わかりました。まず原告はプロファ設計㈱からの回答、つまり調査嘱託の結果を踏まえて、その内容に対して反論を準備書面のかたちで提出すること」と原告に対して指揮をしました。

 さらに裁判長は、「もうひとつ原告に確認しておきたいことがある。片山化学の関係で(採取者欄に)○○○様と書かれている」と指摘しました。これに対して原告は「ん?○○○だか、▽▽▽だか、□□□と読むのかわからない」と言いました。すると間髪を入れず被告の訴訟代理人の弁護士が「分かりませんが、群馬県内だと○○○と読む方が多い」と言ってきました。

 裁判長も「・・ですね」と同意を示すかのような言葉を発してから、続けて「一応、ともなくもその方が、不特定となると、甲42の試験試料の採取方法が分からないということになる。そうすると甲42の価値が減ってしまうということになるが、ではその試験試料の採取過程をどういうふうに明らかにするのかという問題が、この事件にはある。この片山化学の関係について、(原告は)これ以上なにかするつもりなのか? つまり、どこで(試験用資料を)採ったものなのか、採取した場所を明らかにするために、原告の方で(この件で)訴訟活動を行うという気持ちはあるのか?」と畳みかけて質問を繰り出してきました。

 原告は「これは、その原本を(裁判所が調査嘱託で)とりよせたとおりだが、我々(が証拠として提出したもの)は、政党団体のほうから入手したもので、詳しいことについては我々としても詳しくは分からない。そのため、それを某政党団体に聞くか、いずれにしても詳細な場所をどこに特定してサンプリングしたのか、我々自身がやったわけではないのでわからない」と答えました。加えて、「採取の場所的なことについて、被告はいろいろ細かい特定が必要だと言っているようだが、別の機会に自分も現場に行って肉眼で確認したことはある。スラグは現場にゴロゴロしていた。有毒スラグの混合濃度にはいろいろ有害物質の濃淡があるが、採取した場所についてきっちりと特定するためには、両者で一緒に立ち会って検査をするのがベストだ。今日いただいたプロファ設計からの回答書についても、サンプリングコアの写真は報告書に添付した以外には皆無だなどといい加減なことが書いている。一方、我々の方にしてもどこの場所でサンプリングしたのか分からないので政党団体に聞いてみるしかない。あまりこれ以上やるつもりもない。というか、本当は我々が提案しているように(原告と被告が)一緒に(立ち会ってサンプリングして検査を)やればいい。このプロファ設計の(調査嘱託への回答)をついさっき見させてもらったが、あらましの地図で、それらしきところをXで描いてあるが、それが農道のどの位置なのか、左なのか右なのか、奥なのか端なのかかよくわからない。だから、我々が別途現地で見たが、スラグがゴロゴロしている状態だ」などと、縷々説明しました。

 するとしびれを切らしたのか、裁判長はそれを遮るように「裁判所の方としての問題は、甲42号証の試験試料の採取場所、方法等について、(原告は)さらに立証を行うつもりなにか、或は別の方法を行うつもりなのか、明らかにしてほしい」と原告に対して指揮をしてきました。

 原告は「某政党団体に対して採取者がその方なのかどうか、その方じゃないらしいが、いずれにせよ確認するという努力はしてみる」と述べました。

 裁判長は「某政党団体というのは共産党渋川市議団のことか」と言うので、原告は「そうです」と答えました。原告は続けて「そこでもきちんと記憶があいまいだということであれば、立証の価値としてどのように評価されるかわからないが、場合によっては、取り下げるという選択の可能性もある。このことは、今の段階ではとにかく努力するということ」と述べました。

 裁判長は「(原告に)お願いしたいことは伝わったと思う、先ほどの準備書面の中で、(プロファ設計からの)調査嘱託に対する反論を出されるということなので、2つ目の件(つまり、甲42号証の取扱いに)ついても、その中に記載すればよい」と指揮をしました。

 原告は「分かりました。では1ヶ月ほどで出せるとおもう」というと、裁判長はさっそく次回の口頭弁論期日について予定を気にし始めました。原告としては4週間後の10月14日でもよかったので、裁判長は「では10月21日ではどうか?」と被告に水を向けると、被告の訴訟代理人の弁護士は、「21日は1日中差支える」と拒否をしました。

 すると裁判長は「するとその先、ずっと行ってしまい、11月11日ではどうか」と提案してきました。結果的に次回口頭弁論期日は11月11日(金)10時30分と決まりました。原告からの準備書面(11)は、11月4日(金)までに提出することになりました。

■第6回口頭弁論は以上のとおりでした。今年もスラグ問題は決着を見ずに年越しする公算が大きいようです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

豊洲の土壌汚染原因者の東京ガス=有毒スラグ汚染原因者の大同特殊鋼=赤城バイオマス発電の関電工の相関性

2016-09-22 00:45:00 | 東京ガス高圧パイプライン問題
■もともと東京ガスの石炭乾溜方式のガス製造工場があった跡地に首都東京都民の食材を扱う市場を移転すること自体、常識ではありえないことですが、それを平然とやってしまうのが我が国の行政です。案の定、築地市場の豊洲移転で連日、大揺れの報道が飛び交う始末になっています。前述の通り豊洲新市場は東京ガスの工場跡地で、土壌には有毒物質がたっぷり含まれていました。2008年の調査では、発がん性物質のベンゼンが基準値の4万3000倍という、日本の土壌汚染史上最大の高濃度を検出するなど、“我が国最悪”とも呼べる汚染地帯でした。
※東京ガスの行状と本性については当会のブログ集を参照ください。
http://pink.ap.teacup.com/applet/ogawaken/msgcate11/archive

 ここに手狭で老朽化したということで築地市場を移転させて「豊洲新市場」の看板を掛けること自体、無理難題でしたが、東京都は「土壌汚染対策として、敷地全体の汚染土を削ってきれいな土で“盛り土”をした」と説明してきました。しかし実際には建物の地下では行われておらず、嘘っぱちだったことが明らかになったのでした。

 自ら汚染対策として「盛り土」方式に決めておきながら、実際には東京都は、建物地下に“盛り土”をしないで、高さ約5mの不可解な“地下空間”を作ってしまいました。この「地下空間」は、東京都が2007年の専門家会議で、市場で使われる荷台付き小型三輪車(通称「ターレ」)の置き場や、配管メンテナンス用の地下ピットとして提案したもの。しかし専門家から、「(ベンゼンなどの)揮発性のものは、隙間や亀裂から室内に入り込んでたまってしまう可能性がある」との指摘を受けました。

 その後、東京都からは、「やはり建物地下には盛り土はせずに地下空間を作ります」などという説明が一切なされないまま、858億円もの巨額な土壌汚染対策費用が投入されたのでした。当然責任追及が為されなければなりませんが、現在の報道を見る限り、関係者による責任のなすり合いが続いている感があります。

 当然のことながら、納税者としては、巨額の公金が投入されたこの汚染対策事業について「いつ、誰が、どのように、このような判断を下したのか」を徹底的に明らかにしない限り、納得できないわけで、まずは当時の都政の最高責任者である石原慎太郎元都知事にその説明責任を果たす義務があるわけです。なぜなら、この築地の豊洲移転は、石原氏の現職期間中(1999年~2012年)に発案され、推進され、予算案が可決されたからです。

■この豊洲新市場の騒動に接している群馬県民としては、群馬県内で起きている有害スラグによる土壌汚染問題や、赤城南麓の木質バイオマス発電による木質チップの放射能を含む搾汁の地下浸透による土壌汚染問題を思い起こしてしまいます。

 大同特殊鋼も、東電グループの関電工も土壌汚染の原因者となる(あるいはなり得る)にもかかわらず、行政からの手厚い支援を受けて、超法規的措置で保護されている感があります。

 そうしたなか、環境とCSRに焦点を合わせた日本唯一のビジネス情報誌を標榜する「オルタナ」マガジンが、豊洲新市場にかかる土壌汚染問題で興味深い記事を掲載しています。さっそく見てみましょう。

**********オルタナ 9月21日(水)11時59分配信
http://www.alterna.co.jp/18894
豊洲の土壌を汚染した東京ガスの社会的責任は
 築地市場の豊洲移転を巡っては、土壌汚染対策として「あるはずだった盛り土」が無かったことで、紛糾の度合いが一気に高まった。メディアは石原慎太郎・元都知事や元市場長らに矛先を向け始めたが、そもそも土壌を汚染した東京ガスの責任を問うメディアは意外に少ない。(オルタナ編集長・森 摂)

 同社は、汚染対策工事費用100億円と追加の78億円を東京都に支払い、これで決着を付けたようだ。しかし、こうした「経済的責任」以前の「法的責任」、そして「社会的責任」に対して同社はどう向き合ってきたのだろうか。

 そう考えていた最中に、一般社団法人環境金融研究機構(RIEF)の藤井良広・代表理事(元日本経済新聞編集委員、元上智大学大学院教授)が9月18日、「東京都・豊洲市場 土壌汚染問題。汚染地を売却した東京ガスの責任はどうなのか?」と題した記事をRIEFのサイトにアップした。
 藤井氏は次のように記事をまとめた。「長年にわたって土壌汚染を積み重ねてきたのが東ガスであることは否定できない事実である。少なくとも企業の社会的責任(CSR)の観点からの対応責任は今も、東ガスにもあるとみるべきだろう。しかし、東ガス自体は、今回の問題再燃に対して、臆病なほど発言を控えているようにみえる」
 確かにメディアで連日、豊洲の問題が取り上げられているにも関わらず、同社が改めて土壌汚染問題で説明したという話は聞かない。都庁関係者や市場関係者が大混乱になる中で、汚染源の発生者としての社会的責任は改めて問われないのだろうか。
 藤井氏は電話で「買ったのが民間企業なら必ず訴訟になっていた案件。東京ガスは汚染対策費を負担したとしても、それでも説明責任はある。CSRこそ本業の価値に影響する。さまざまなリスクがちらついている中で、株価に影響する可能性もある」とのコメントを寄せてくれた。
 東京ガス豊洲工場は1956年、当時の最新鋭の技術を集めて完成した(1976年まで20年間操業)。当時の都市ガスは、現在の天然ガス(LNG)と違い、石炭を蒸し焼き(乾留)にして作られた。石炭を炉に投入し高温で乾留すると、ガスが20-24%取れる。その過程でコールタールやベンゾールなどが発生し、最後にコークスが残る。コークスは製鉄や蒸気機関車の燃料になった。
 このガス製造の副産物が、いま問題になっているベンゼン、シアン、鉛、ヒ素、六価クロム、水銀など。豊洲工場の跡地からはベンゼンが環境基準の43000倍、シアン化合物も同860倍も検出されている。
 これらの苛烈な土壌汚染について、東京ガスはその法的責任に向き合ってきたのだろうか。
 まず公害対策基本法(1967年)と、その後を継いだ環境基本法(1993年)。さらには土壌汚染防止法、水質汚濁防止法などの法令もある。これらについてオルタナ編集部は、環境省の担当者に今回の豊洲の土壌汚染についての見解を聞いた。
 では、同社の社会的責任はどう果たされるべきなのだろうか。近年のCSRでは、直接的に法令(ハードロー)に違反しないと思われる事例(ソフトローの範囲)においても、ステークホルダーとの対話を通じて説明責任を果たすべきという考え方が主流だ。
 同社のステークホルダーの第一は住民だろう。住民は工場の土壌に今も残る苛烈な汚染の影響を直接的・間接的に受ける可能性があるとともに、ガスの直接的なユーザー(顧客)でもある。その次に、従業員とその家族だ。すでに40年前に操業を停止したものの、これだけの汚染を出し続けてきた工場で働いた人たちに健康被害はなかったのだろうか。
 株主への説明責任も当然ある。コーポレート・ガバナンス・コードの「基本原則3」には「上場会社は(中略)リスクやガバナンスに係る情報などの非財務情報について、法令に基づく開示以外の情報提供にも主体的に取り組むべきである」との記述がある。
 何よりISO26000は、企業(組織)の社会的責任を「組織の決定および活動が社会および環境に及ぼす影響に対して、透明かつ倫理的な行動を通じて組織が担う責任」と定義している。そこには「健康及び社会の繁栄を含む持続可能な発展への貢献」が含まれる。今回の豊洲の土壌汚染は、まさに「組織の決定及び活動が社会および環境に及ぼす影響」に該当する事例であろう。
 その上で、オルタナ編集部は、東京ガス広報部に下記の三つの質問をした。
 1)なぜ豊洲工場でのガス製造過程において土壌を汚染してしまったのか。土壌汚染への対策は取っていなかったのか。
 2)2007年3月、貴社が豊洲工場敷地の土壌対策を完了した後、なぜ東京都がさらなる土壌汚染対策をしなければならなかったのか。
 3)豊洲工場の土壌汚染について、社会的責任に基づき、ステークホルダー(顧客である都民、従業員、株主など)への説明はどのようにしてきたか。(東京ガス広報部の回答は末尾記事を参照ください)。
 ところで、東京ガスのホームページには、これまでの土壌汚染の事例と経過の説明があった。そこには豊洲だけではなく、実に14カ所(※)の同社所有地で、「部分的に環境基準を上回る汚染物質(主にシアン、ベンゼン、砒素)が検出された」ことを明らかにしている。(※大森用地、千住用地、相模原用地、日立用地、宇都宮用地、平塚用地、甲府支社用地、甲府工場用地、鶴見事業所、末広工場跡地、横浜工場跡地、平沼用地、江東区の深川用地、熊谷用地)
 同社は土壌汚染について「操業開始の時期が古いため、正確に原因を特定することは困難ですが、装置の損傷等による漏洩があり、土壌に浸透したものと推定されます」と回答した
 だが、これほど多くのガス製造工場で、一様にシアンやベンゼンが検出されたということは「石炭の乾留技術は土壌汚染を前提に成り立っていた」と結論付けざるを得ない。この点については、引き続き東京ガスに回答を求める予定だ。

**********http://www.alterna.co.jp/18895
豊洲の土壌汚染問題について環境省の見解
 豊洲の土壌汚染問題について環境省の見解は次の通り。
(2016年9月20日、オルタナ編集部が電話取材)

1)環境基本法に違反していないか。
 環境基準の値を守ることが望ましいが、守らなければいけないものでもない。環境省としては指導できるものではない。
●環境省 水・大気環境局 土壌環境課 中村 功 係長

2)土壌汚染防止法に違反していないか。
 掘削工事を行う場合に届出の義務がある「形質変更時要届出区域」に該当する。土壌汚染の人への摂取経路がなく、人が立ち入らない場所で、対策はしなくても措置が必要となる
●環境省 水・大気環境局 土壌環境課 中村 功 係長

3)水質汚濁防止法に違反していないか。
 工業用水など流すことを禁止した「特定施設」に該当する。東京都に届け出の義務がある。違反している・していないの判断はできない。
●環境省 水・大気環境局 土壌環境課 地下水・地盤環境室 遠藤 祐太郎 係員

**********http://www.alterna.co.jp/18896
豊洲の土壌汚染について東京ガス広報部の回答
 豊洲の土壌汚染について、オルタナ編集部からの質問に対する東京ガス広報部報道グループ・府川浩明氏からの回答は下記の通り。

1)なぜ豊洲工場でのガス製造過程において土壌を汚染してしまったのでしょうか。土壌汚染への対策は取っていなかったのでしょうか。

回答: 豊洲工場では、昭和31年から昭和51年まで、石炭を主原料として都市ガスを製造しており、その製造の過程で、ベンゼン・シアン化合物等の物質が生成されていました。それが何らかの理由で土壌に浸透したものと思われます。操業開始の時期が古いため、正確に原因を特定することは困難ですが、装置の損傷等による漏洩があり、土壌に浸透したものと推定されます。
 工場操業時には、昭和34年(1959年)に施行された下水道法、昭和42年(1967年)に施行された公害対策基本法、昭和43年(1968年)に施行された大気汚染防止法、昭和44年(1969年)に施行された東京都公害防止条例、昭和46年(1971年)に施行された水質汚濁防止法などがございましたが、稼働中は常にその当時の環境規制法規を順守しておりました。


2)2007年3月、貴社が豊洲工場敷地の土壌対策を完了した後、なぜ東京都がさらなる土壌汚染対策をしなければならなかったのでしょうか。

回答: 弊社は豊洲地区用地について、平成10年7月から土壌調査を実施し、平成13年1月にその調査結果を公表の上、東京都の「環境確保条例」並びに東京都との合意に基づいて対策工事を実施し、平成19年4月に「汚染拡散防止措置完了届出書」を東京都に提出して確認をいただき、対策工事を完了しました。これにより、東京都との合意事項を履行し、法的な手続きを完了いたしました。
その後、東京都が「食の安全」のために実施しました詳細調査において、新たな汚染が確認されたため東京都が土壌汚染対策を実施したものです。東京都は市場施設建設に伴い土壌汚染対策を実施しておりますが、自然由来を除いた土壌汚染は弊社の工場操業に由来するものと考えられ、市場が公益性の高い施設であることから、これまでの経緯を踏まえ、東京都との協議の結果、東京都が実施する土壌汚染対策費の一部を負担することといたしました。


3)豊洲工場の土壌汚染について、社会的責任に基づき、ステークホルダー(顧客である都民、従業員、株主など)への説明はどのようにしてきたのでしょうか。

回答: 豊洲工場の土壌汚染に関しては、以下の内容をプレスリリースおよび「CSRレポート」等にて情報開示するとともに、株主様向けに適時開示を実施しております。
(プレスリリース)
・平成13年1月25日「社有地の土壌調査結果と今後の対応について」
(CSRレポート)

http://www.tokyo-gas.co.jp/csr/report_j/5_environment/management02_01.html
**********

■小池新知事が果たしてどこまで苛斂誅求を極めて真相を暴き出せるかが注目されます。それに比べると我らが群馬県においては、まさに汚染原因者にとってのタックスヘイブンみたいな行政による手厚い保護環境が整えられているとしかいいようのない状況が繰り広げられています。

 これからも大同スラグによる土壌汚染問題や、関電工らによる放射能汚染木材の大量搬入とチップを高圧の圧縮プレスで水分を絞り出し、放射能汚染された水を地下浸透させることによる土壌汚染問題について、粘り強く追及していきます。

【市民オンブズマン事務局からの報告】

※参考情報
*********週刊文春2016年9月29日号(9月21日発売)
総力取材 豊洲の「戦犯」 石原慎太郎とドン内田
▲石原単独直撃「豊洲は専門じゃない。浜渦副知事に一任していた」
▲ベンゼンまみれの豊洲が1859億円 浜渦がサインした疑惑の覚書
▲土壌汚染対策工事を全区画受注 鹿島専務は石原知事元秘書
▲民主党議員を寝返らせ1票差で豊洲移転を可決させた内田茂
▲小池知事が空けたパンドラの箱「落とし所は決まっていない」


盛り土問題をきっかけに混迷を深める豊洲新市場問題。誰が、いつ豊洲への移転を決めたのか。なぜ、豊洲でなければならなかったのか。その経緯を検証すると、二人の「戦犯」が浮かび上がる。そして、暗躍した副知事の存在。すべては石原都政時代に始まった――。

 九月十八日夕方、閑静な高級住宅街にある石原慎太郎元都知事(83)の自宅前は、多くのテレビカメラと記者に囲まれていた。玄関に姿を見せるや「あなた方に話をする必要はない。邪魔だ、帰りなさい」と言い残し、足早にウォーキングに出掛けていく石原氏。小誌記者は一人その後を追いかけ、声をかけた。
 なぜ汚染された豊洲の土地を買ったのか。
「何も知らない。あれは福永(正通副知事)から引き継いで浜渦(武生副知事)がやったんでしょ。僕はね、横田(基地)とか、大江戸線とか、尖閣諸島を守ることに必死だったから」
――つまり豊洲は専門ではない?
「まあ、彼は一緒に使命感を持ってやっていたけどね、僕は人から聞いたんだけど、浜渦が胸張って『俺が実質的知事』と言ってた(笑)」
 築地市場の移転先となる豊洲新市場。だが、その主要建物の地下で、都が土壌汚染対策に実施したとしていた「盛り土」がされていなかったことが明るみに出ると、移転を推進してきた石原氏の関与が注目を集めるようになった。
「当初、石原氏は『これは僕、騙されたんですね。手を抜いて、していない仕事をしたことにし、予算措置をした。都の役人は腐敗している』と“被害者”であると説明していた。ところが、二〇〇八年五月の知事会見で建物下にコンクリートの箱を埋める案に言及していたと報じられると、『市場長から(地下空間案の)報告を受けた』と言い出したのです。これに対し、当時の中央卸売市場長の比留間英人氏は『知事から提案がありました』と否定しました」(都庁担当記者)
 二転三転する石原氏の説明。小誌に対しても、石原氏は「比留間君には僕のほうから言ったんだ」と前言を翻してこう続けた。
「比留間から(報告が)上がってきたんじゃない。この話はね、週一回の副知事もいる幹部会で『こういう話もあるよ、やってみたらどうだ』と言ったら、なるほどとなって、その後の記者会見で僕は披露したんだよ。あれ(地下空間案)は悪いわけじゃない。あそこに本当に二階、三階の駐車場を作って建物を造ったほうが支えになると聞いて、なるほどと思って、比留間君に言ったんだよ。
 その後、ふぁーっと物事が進んでね、後は全く何の報告もない。(特別秘書だった)兵藤(茂)も『あの話の後、不思議なことに何の報告もなかったです』と言っていた。(彼は)克明に時系列でメモしていたみたいだからね」
 そして「足腰弱っちゃうから。野垂れ死ぬのは嫌だから」と言って、一定のリズムで腕を振り、ウォーキングを続けたのだった。
 混迷する豊洲移転問題。
 もともと移転を巡っては、「築地」ブランドが失われる、豊洲の交通・物流アクセスの悪さ、土壌汚染の危険性などから反対論が根強かった。にもかかわらず、なぜ豊洲だったのか。

★大赤字を消すための移転

「一九六〇年代から築地の移転計画はありましたが、反対論が根強く、八六年に築地での再整備が決定しました。一旦工事が始まったものの、二十年という工期の長さや整備費用が問題視され、九六年に工事はストップ。そこで都が移転候補地を調査したところ、東京ガスの工場跡地で広大な土地がある豊洲が浮上したのです」(元都庁幹部)
 九九年四月、石原都知事氏が誕生すると、豊洲への移転構想が一気に動き出した。その背景にあったのが、都が抱えてきた“ブラックボックス”だ。
「それは、都が推し進めてきた台場、青海、有明などの臨海副都心開発です。豊洲もこの再開発地区に含まれ、駅が開業するなど整備が進められた。しかし、バブル崩壊で開発は失敗に終わり、その特別会計は、累積五千億円超の大赤字を抱えていました。まず、石原氏はこれを黒宇の羽田沖埋立事業会計などと統合させ、赤宇を見えにくくした。そして、築地市場を豊洲に移転させて、超一等地の市場跡地を民間に高値で売却し、赤宇削減と臨海再開発の一挙両得を狙ったのです」(同前)
 だが、移転は簡単ではなかった。土地の所有者である東京ガスとの交渉が難航したのである。
 交渉は当初、福永副知事担当でしたが、なかなか前に進まなかった。東京ガスは、芝浦工業大を誘致するなど独自に豊洲の再開発計画を立てており、土地の売却を渋っていたのです。
 また、東京ガスは〇一年一月、環境基準値を大きく上回るベンゼンなどが検出されたと公表した」(同前)
 ただ、石原氏は諦めておらず、交渉担当を浜渦副知事に交代させていた。
「浜渦氏は、石原氏が国会議員時代から公設秘書を務めてきた側近中の側近。庁内で人事権を振り回し、浜渦氏に近い人間が市場長にも就任していました」(当時、知事本部に勤務していた都庁職員)
 “実質的知事”を自任していたという浜渦氏に改めて経緯を尋ねると、
「私、(豊洲移転は)タッチしましたよ。担当の副知事がいたけど、話が進まなかったので。ダメだったから私が引き取ったんです」
 浜渦氏は、持ち前の“豪腕”で、渋る東京ガスとの交渉を進めていく。
 二〇〇一年二月二十一日には、浜渦氏は東京ガス副社長と〈覚書〉を交わし、十月を目途に地権者との最終合意を得るとした。
 そして、七月六日には、ついに基本合意に達する。
 これにより、築地市場の豊洲移転は大きく動き出すことになった。
 前出・元都庁幹部の解説。
「もともと防潮護岸の整備費は東京ガスも相当程度負担する予定でした。ところが合意文書では、東京ガスの負担をゼロにするという条件が盛り込まれたのです」
 当時、東京ガス副社長として文書にサインした伊藤春野氏は「十年以上前で全部忘れています」と答えた。
 東京ガスの広報部は、
「築地市場は都民をはじめ多くの人々の生活を支える重要な公益施設であることから、基本合意に達しました」と回答した。
 さらに都と東京ガスとの契約では、都の保有地と、工場跡地の五、六、七街区の一部を交換した上で、残りの土地代金を東京ガスなどに支払うことになった。その額は一五年三月現在、千八百五十九億円にのぽる。
 この土地購入を巡って公金支出金返還請求訴訟を起こした水谷和子氏が語る。
「きれいな土地と、汚染された土地を等価で交換していることが、まずおかしいのです。さらに、都は○六年に約七百二十億円で予定地の一部の約十三ヘクタールを東京ガスなどから購入しましたが、この土地の評価額は、汚染なしの土地とほぼ同じです。その理由として、都の財産価格審議会は『東京ガスが○六年三月までに掘削除去することになっているため、土壌汚染対策に関わる要因を考慮外とした』と説明していました。ところが、東京ガスは汚染の“封じ込め”をしただけで、すべての汚染の“掘削除去”までは行っていなかった。この事実は、東京ガスが都に提出した汚染処理の報告書にも明記されています」
 豊洲移転の目算をつけた都は、〇七年以降、予定地全体の土壌や地下水の調査を実施した。その結果、ベンゼンが最大で環境基準の四万三千倍、シアンが九百三十倍も検出される。
 都は専門家会議(座長=平田健正和歌山大教授)を設置。同会議は○八年七月に「敷地全体に盛り土を実施するべき」と提言した。

★「石原には全部言っている」

「『新たな土壌汚染対策を徹底的にやる』と言っていた比留間市場長に対し、石原氏は『時間もかかる。カネもかかる。そこまでやることないだろ』と不満を滲ませていた。平田氏にも『いつまでも四角四面のやり方のままだ』と怒ったことがありました。そこで会見でコンクリ箱案を披露するのです。石原氏の頭にあったのは、早く安く市場を豊洲に移転させることだけでした」(元市場部門幹部)
 紆余曲折をへて進んできた豊洲移転が、最大の危機を迎えたのは、二〇〇九年だった。
 七月の都議選で、移転反対を掲げる民主党(当時)が第一党を占めたのだ。都議会で関連予算が成立しなければ、土壌汚染対策工事も進められず、移転はストップする。
 ここで登場したのが、“都議会のドン”こと内田茂氏(77)である。当時の内田氏は、前出の都議選で落選したものの、自民党東京都連幹事長に留任。都議会に部屋と車が用意され、都政に大きな影響を持っていた。
 そもそも内田氏が“ドン”としての地位を揺るぎないものにしたきっかけは、浜鍋氏だった。
「当初、石原氏と内田氏の関係は険悪でした。九九年に初当選した石原氏が挨拶回りをした際、都議会自民党の控え室には誰もいなかった。内田氏の指示で石原氏と対決姿勢を取ったのです」(都連幹部)
 そして○五年、内田氏主導で都議会に百条委員会が設置され、石原氏の右腕だった浜渦氏はやらせ質問を巡る答弁偽証で副知事辞任に追い込まれる。
「公明党や民主党と太いパイプを持つ内田氏は都議会の意向をバックに、石原氏に『浜渦氏を辞任させるべき』と引導を渡したのです。
 一方で、内田氏はこの後、伸晃氏を都連会長に担ぎ、石原氏に恩を売ることも忘れませんでした」(同前)
 以降、石原氏は内田氏との関係を深めていく。
「〇八年の新銀行東京問題では、自民党が議会で追及しないよう内田氏側に根回しをしていた。内田氏も国会議員や都庁幹部に対し、『石原には全部言っているからよお』と言い放っていました」(同前)
 豊洲移転の最大のピンチに、石原氏はやはりドンを頼った。内田氏は落選中にもかかわらず、民主党との交渉を水面下で指揮する。

★次々民主党都議を寝返らせる

「当時、知事与党対野党の勢力図は六十二対六十三で劣勢だった。そこで内田氏は、築地に関する特別委員会の委員長だった民主党の花輪智史都議を寝返らせたのです。東日本大震災当日に行われた移転関連予算案の採決は、一票差で可決しました。内田氏は、世田谷区長選への出馬を狙っていた花輪氏に『石原知事を応援に行かせるから』と約束していた。実際、石原氏は応援に行きました。花輪氏は区長選に落選しますが、その後の就職の世話も内田氏がしていたといいます。後に内田氏は『花輪への義理は果たせた』と言っていました」(民主党都議)
 その後、花輪氏は石原氏率いる日本維新の会から、都議選や衆院選に出馬したが、落選した。今回、小誌の取材に「築地と区長選は絡んでいない。内田氏は関係ない。就職の世話も受けてない」と回答した。
 だが、議会運営はその後も綱渡りだった。一一年七月には〈内田、許さない〉と綴った遺書を残して樺山卓司自民党都議が自殺したのだ。すると内田氏は再び民主党を切り崩した。
「民主党の相川博都議が離党届を出し、再び与党会派が上回ります。翌一二年三月、移転関連予算案は賛成多数で可決された。内田氏は、この相川氏を一五年に都議会自民党幹事長に就任させます。借りを返すことで求心力を高めるのがドンのやり方なのでず」(自民党都議)
 相川氏はこう語る。
「佐藤広副知事(当時)が高校の後輩で、内田先生に一度会ってくれないか、と言われて会った。(幹事長は)お断りしたんだけど、義理人情だと思いますよ」
 地方自治は、議会と知事が、相互の牽制と調和によって公正な行政を確保する二元代表制をとる。しかし、知事の石原氏と都議会のドン・内田氏が手を結ぶことで、豊洲移転はチェツク・アンド・バランスが働かないまま、今日を迎えたのだ。
 その結果、総事業費は○九年二月時点の約四千三百億円から約五干九百億円と大幅に膨らんでいる。そうした事業費はどこに流れているのか。
 一一年八月にはまず豊洲新市場の青果棟(五街区)、水産仲卸売場棟(六街区)、水産卸売場棟(七街区)の土壌汚染対策工事という三件の競争入札が実施された。
五街区=鹿島ほか六社JV(落札額=約百十四億円)
六街区=清水建設ほか十社JV(約三百十八億円)
七街区=大成建設ほか五社JV(約八十五億円)
「いずれも九五%前後の落札率でした。この土壌汚染工事を巡っては、都は入札の四日前に談合情報を入手していたことを認めています」(ゼネコン関係者)
 しかもJVの筆頭幹事として落札しつつ、他街区でもJVに加わり、結果、五~七街区全てで工事を落札した社がある。鹿島だ。
 鹿島は一四年二月、豊洲新市場(五街区)の建設工事も、JVの筆頭幹事として落札している。落札率は九九・九六%だった。
「入札直前に都幹部がゼネコン側にヒアリングを行っていたことを朝日新聞がスクープし、官製談合疑惑が取り沙汰されています」(社会部記者)
 実は、鹿島と石原氏には太いパイプがある。鹿島の栗原俊記専務執行役員が石原氏の元公設秘書なのだ。
「栗原氏は鹿島に入社後、すぐに休職して石原氏の秘書になります。石原氏と同じ一橋大学卒で信頼も厚かった。事務所内では総務関係の仕事をしていました。約十五年間秘書として働いた後、鹿島に復帰するのです。それだけブランクがあったにもかかわらず、営業畑であっという間に出世し、いまや専務です。石原都政下では、秋葉原の再開発事業で鹿島に有利にコンぺが行われていたと報じられたこともありました」(石原氏の元秘書)
 栗原氏が社用車に乗って帰宅したところを直撃したが、「私の口からお話しすることは何もありませんので」と語るのみだった。
 鹿島は「栗原氏は(土壌汚染対策工事の)担当ではありません」と回答。都財務局も「一般競争入札の手続きにより適正に行われたものです」と回答した。
 豊洲市場工事を巡っては、内田氏の親密企業も受注したことは、小誌既報の通りだ。豊洲新市場の管理施設棟の電気工事を一三年十二月に約三十八億円で落札したのが、東光電気工事が中心のJVである。
「内田氏は落選中の一〇年から東光の監査役を務めています。報酬は年三百五十万円程度。東光には娘婿まで入社させています」(東光元幹部)
 東光は小誌に「個別の営業は(内田氏に)相談していない」と回答している。
 巨額の税金が投入される中、数々の“闇”が付きまとう豊洲への移転。渦中の石原氏は、小池氏に「徹底してやってもらいたい」とエールを送るが、小池氏の心境は複雑だという。
 「都知事選の最中には、石原氏が都連の大会で小池氏を『大年増の厚化粧で嘘つき』と罵倒していましたから」(政治部デスク)
 小池氏は都知事選出馬前、小誌の取材に石原氏との因縁をこう明かしていた。
「父が石原さんの後援活動をしていた関係で、猪瀬(直樹)さんが辞めた年末、石原さんから電話がかかってきた。事務所でお会すると、『知事選に出ないか。必要なカネも出す。お父さんへの恩返しだ』と言われて。ところが、いつの間にか田母神(俊雄)さんを支援していた。私もビックリしましたよ」
 一部では小池氏と浜渦氏の連携も囁かれるが、「浜渦氏は小池氏の初登庁時に勝手に都庁に姿を見せていました。ただ、小池氏は『浜渦さんは学生時代、我が家に居候していたけど、今は全然関係ない。近いと言われて本当に迷惑している』と言っていた」(小池氏周辺)

★石原氏「強く反省しています」

 石原氏は書面での事実関係の確認に対して、改めて次のように回答した。
「(浜渦氏の交渉経緯について)このような重要な案件を任せたことで、浜渦氏が過剰な権限を行使するに至ったのであれば、強く反省しています。質問内容が事実であるなら、当時の知事としての責任を感じています。経緯等は浜渦氏自身に聞いてもらいたい。
(鹿島の土壌汚染工事について)これら複雑な事情に関しては、一切関知しておりません。(内田氏に頭を下げたことなどは)すべて事実と異なります」
 一方、内田氏が取り仕切ってきた自民党都連に対しても小池氏は引き続き対決姿勢を取っている。
「内田氏の地元、千代田区の区長選が来年二月に行われます。現区長の石川雅己氏は内田氏と対立していますが、小池氏は石川氏を推薦する方向。政治塾の立ち上げも、小池氏を支援した地元区議七人に離党勧告を行った都連への牽制球でした」(前出・小池氏周辺)
 その都連は九月十六日の会合で新執行部を決定。内田氏の顔色を窺う都議からは「小池知事から豊洲移転について都議会に何ら報告がない。マスコミに流れている嘘の情報も含めて、議会で問い質していきたい」との声まで上がっていた。
「都職員の虚偽説明を批判する声も聞こえてきますが、安全対策は万全だと強調して、チェック機能を果たしてこなかったのは、内田氏率いる都議会自民党自身です」(前出・デスク)
 この日、正式に幹事長を辞任した内田氏を直撃した。
――週刊文春です。
「(否定的な)いいよ~」
――豊洲移転について。
「知らないよ~。聞いているだけ」
 徹底した情報公開を掲げて“伏魔殿”に斬り込む小池氏。豊洲移転問題をどう決着させるのか。
「小池氏はリオから一日何回も側近に電話し、盛り土問題について指示をしていました。都幹部には全然相談していない。市場担当の中西充副知事はげっそりしています。ただ、当初の想像以上に様々な疑惑が噴出しているのが実情で、落とし所は決まっていません」(前出・小池氏周辺)
 パンドラの箱を開けて見つかったコンクリの箱。都民にとっての希望はどこにあるのだろうか。
**********


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安中市の0.5%が中国資本に渡る安中メガソーラー計画・・・東芝プラントが9月28日地元説明会で工事着手?

2016-09-21 00:28:00 | 安中市内の大規模開発計画

■地元住民の強い不安と懸念による反対意見が出されているにもかかわらず、朝日新聞グループの日刊スポーツの所有するゴルフ場計画跡地だった137ヘクタールもの広大な水源地帯が、いよいよ中国資本が絡む外資系のペーパー会社に売り渡されるようです。先週9月12日の週に、地元安中市岩野谷地区に、次のチラシが回覧されました。


*****回覧*****
   安中市大谷・野殿地区での太陽光発電所建設工事の説明会
             ≪ご案内≫
                              東芝プラントシステム株式会社
謹啓
 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。大谷・野殿地区にお住いの皆様には平素より格別のご理解・ご協力をいただき厚くお礼申し上げます。

 さて、このたび安中ソーラー合同会社にて計画する太陽光発電事業の建設工事を東芝プラントシステム株式会社にて施工をする運びとなりました。

 つきましては、工事開始に先立ち、下記の通り説明会を開催させて頂きたくご案内申し上げます。

 ご多用の折、誠に恐縮でございますが、何卒ご参加賜りますようお願い申し上げます。

 なお、説明会の後には質疑応答の時間も設けておりますので、ご意見ご質問を賜りますれば幸いに存じます。

 また、工事着工に先立ち、敷地境界の確認及び工事測量をするため現地に作業員が立ち入ります。立ち入った際に一部草刈等を実施させて頂きますのでご了承願います。
                              謹白

                記

  日   時 : 平成28年9月28日(水)午後6時30分~午後8時
          ※開場 午後6時~
 場   所 : 水境公会堂
 お問合わせ : 東芝プラントシステム株式会社
         TEL044-542-7165 担当:阿部・田島
                              以上
**********

■メガソーラー施設設置による再生エネルギー推進を標榜しつつ、中国資本による我が国水源地帯の買い占めになりかねないこの重大な事業計画は、国家安全保障上のリスクのほかにも、次の問題を包含しています。

(1) 大規模な自然環境破壊事業
(2) 出水パターンの変化による洪水等被害や害獣放逐による作物等被害など、地元住民の生活・営農環境への重大なリスク
(3) 既に国土利用計画法違反を犯すなどコンプライアンス無視の無法な外資系開発事業者
(4) 手続や工事をすべて外部業者任せで地元と対話をしようとしない外資系開発事業者

 このため、現在、この事業の資金がどこから出ているのかなどを確認すべく、群馬県に2016年8月10日付で審査請求を行っています。詳しくは次のブログを参照ください。
○2016年8月23日:安中市の0.5%が中国資本に渡る日刊ゴルフ場跡地メガソーラー計画の融資元確認のため県知事に審査請求↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2107.html#readmore

■一方、行政サイドは我が国の国家安全保障よりも、行政手続法の遵守を優先しているらしく、これまで群馬県や安中市に、中国資本の絡む外資による事業計画を白紙に戻すよう再三要請してきましたが、いずれも徒労に帰しました。このため安倍首相を議長とする国家安全保障会議(NSC)にも直訴状を出したり、中谷防衛大臣にも直訴状を提出しましたが、いまのところ何の動きもありません。

 そこで、この計画地に隣接して操業中の㈱IHIエアロスペース富岡事業所を運営するIHIエアロスペース社のトップと富岡事業所長あてに、彼らの見解を質すべく直訴状を2016年8月29日付で提出しました。これまでは地元の市民団体の立場で直訴状を関係先に提出してきましたが、事が重大だけに、市民オンブズマン群馬の立場として出状しました。

 日本の防衛産業の一翼を担う民間企業であれば、その事業遂行に対するリスクについて、さらに身近に捉えてくれるかもしれないと考えたからです。

*****IHIエアロスペース社への直訴状*****PDF ⇒ o20160829hghgaxyxhghiij1.pdf
                         平成28年8月29日
〒135-0061
東京都江東区豊洲三丁目1番1号 豊洲IHI ビル
株式会社IHIエアロスペース
 代表取締役 木内 重基 殿
TEL 03-6204-8000 / FAX 03-6204-8810

〒370-2398
群馬県富岡市藤木900番地
株式会社IHIエアロスペース
 富岡事業所長 殿
TEL 0274-62-4123 / FAX 0274-62-7711

                     〒379-0114
                     群馬県安中市野殿980番地
                     市民オンブズマン群馬
                     代表 小川 賢

 中国資本に拠る、安中市野殿・大谷地区日刊ゴルフ場跡地メガソーラー計画について

 突然の書状をお許し下さい。
 早速ですが、御社の事業は、我が国の先端重要産業である、宇宙機器、防衛機器等の設計、製造、販売及び航空部品の製造、販売等と認識しております。
 それは取りも直さず、我が国の根幹に関わる最重要部門と考えています。

 さて、既にご存知かと推察致しますが、標題の如く、現在、御社富岡事業所の直ぐ目と鼻の先である、すなわち群馬県安中市の野殿、大谷両地区に跨ってある日刊ゴルフ場跡地 に於いて、中国資本に拠るメガソーラー事業計画が、正に行われようとしております。
 私は、当該地の山林を有する者であり、このメガソーラーの事業計画により影響を受ける近隣住民の方々のご意向を受けて、またこの事業計画地に囲まれた場所に山林を所有する地権者として、現在反対運動をしている者です。
 つまり、この事業により水害や有害獣による田畑の農業被害など、生活・営農・自然環境への悪影響を心配している地域住民の皆様のご意向を受けて活動をしている次第です。
 今回、この事業を行わんとする中国資本については、信用性も含めて、総合的に調査・勘案しているところですが、どうにも信用に足るものでは無いという結論に達している次 第です。
 その事業計画に反対する根拠は多々ありますが、住民最大の懸念は、メガソーラー事業 は言うに及ばず、それを実行しようとする会社組織としても信用に足るものでは無く、 所謂「ダミー会社」では無いのか、と疑う次第です。

 その主な根拠を列挙すれば、次のとおりです。

1.事業主体が、資本金1円の安中ソーラー合同会社というものであり、その代表社員であるグレート・ディスカバリー・ホールディング・エルエルシー(GDH)社はタックスヘイブンで知られる米国デラウェア州ウィルミントン市で設立登記をしているペーパーカンパニーであり、開発事業者の正体は非常に怪しいことです。
 私が調べた限り、その関係する会社役員全員は、全て「香港在住」の様です。
 またこの事業者は、「不動産取引」を主に展開しており、良い値がつけば、直ぐにでも第三者に売却している事業形態でした。
 その為、責任を持って、適正に事業が遂行され、また、約20年後のその事業の節目 に対して、きちんとした処理が行われるのかどうかという疑念もあります。
 きちんと設備一式を処分するのか、若しくは事業継続するのであれば、設備等を入れ替えられるのかどうか、これらについては現在もなお、この開発事業者から地元住民や自治体に対して説明がありません。

2.このように非常に信用出来ない事業者であることを強く疑われますので、もしダミー会社であるとすれば、他の企業体や団体(宗教団体等も考えられます)に売却する事も 十二分に有り得ると考えられます。

3.この事業者は中国資本とつながりがあることが強く疑われるペーパー会社であること に加えて、その取得予定の土地は、御社の富岡事業所に隣接しているため、所謂スパイ活動も想定外の事と決めつけることができない状況にあると考えます。
 近年、我が国の自衛隊施設や、米軍施設に隣接する土地を、中国資本により購入されている事実はご承知の事と思います。
 我が国の、宇宙・防衛産業に携わる御社としては、企業機密を初めとして、様々なる備えはなさっておられると推察致しますが、近隣にこの様な「怪しい事業所」が隣接する以上、しかも、中国資本との関係が疑われることからリスクとして様々な事態の発生が考えられます。その内の一つとして御社従業員に対する、所謂「ハニートラップ」に よる仕掛けも無いとは言い切れません。
 一度重要機密が漏れてしまえば、我が国の安全保障に多大なる損害が発生する事は必定であり、これ程の高いリスクはありません。
 また、メガソーラー事業を隠れ蓑にして、強力な磁場などを発生させて、御社事業に対する「妨害工作」も有り得ます。

 以上、近隣住民としては、その他環境問題として、メガソーラーのパネル設置により、周辺温度が異常上昇したり、山林が枯れてしまい悪影響を及ぼしたりと、また事業転換と称して、墓地に変更されたり(以前より「墓地開発」という話は燻っています)、と危惧の種は尽きる事がありません。

 それらはひとえに、この事業体、及び背後に存在する杳と知れない外国企業と日本人ではない正体の知れない外国人によるものであり、とても信用に足るものではありません。
 義理人情や仁義など到底通用するものでは無く、儲かると見るや否や、直ぐに誰彼構わずに(中国人に対しても)売却すると思われます。
 以上の如く、近隣住民は非常に危惧しており、住民説明会も形ばかりの事であり、近隣住民は反対しているにも拘わらず、この事業体企業は平気で虚偽・ウソの報告を、許認可権を持つ、安中市長や群馬県知事に行う極めて悪質なものです。
 それ故、幾ら近隣住民として意見を述べても、現況では「握りつぶされる状態」であり、安全保障上のリスクを訴えても、安中市や群馬県は理解出来ない様子なので、こうして 御社に対して直接ご連絡申し上げるものです。

 我が国の、宇宙・防衛産業に直接携わっておられる御社としても、リスクを無視できるとは考えられません。
 どうぞ深く思慮され、ご意見を賜りたく存じます。
 尚、許認可権を持つ、安中市長や群馬県知事は、形式的な手続きのみを重視して、その開発企業体のウソ報告も真に受けて、その内容を何ら吟味・理解せず、その結果がもたらす最悪の事態についても想像することすらしようとせず、その発生リスクも何ら考慮しておりません。
 只々、外形的・手続き的に問題無ければ、許可を下してしまう人たちと言う事が、はっきりしている以上、御社の迅速なる対応を期待する次第です。
 つきましては、御社として、私たち近隣住民一同と意見を等しくされるかどうかはわかりませんが、何らかのご助言を頂きたく存じます。
 ご多忙中とは存じますが、何卒貴職のご見解について、上記住所宛まで賜りたくお願い申し上げる次第です。
                          以上
**********

■現時点ではまだ同社から回答は寄せられていませんが、9月28日に中国資本が関与する資本金1年のペーパー会社である安中ソーラー合同会社から、メガソーラー施設の造成工事と設備工事を請け負った東芝プラントシステム㈱が工事着工に先立ち地元説明会を開催するようですので、いよいよ地元住民への生活・営農そして自然環境への重大な脅威にもならず、我が国の国家安全保障上への深刻なダメージのリスクが現実のものとなるわけです。

 当会は、中国資本の絡むこの事業計画がどのように企てられたのか、資金面で誰がどのような目的で支援をしているのか、なぜ地元住民の反対を無視して行政は開発手続の過程でどんどんゴーサインを出し続けたのか、などを引き続き追及してゆく所存です。

【ひらく会情報部・市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする