■住民の声はどこ吹く風…政官業の間で、勝手に手続きが進んでしまい、いよいよ放射能汚染木材を原料とする木質チップ製造施設の建設が開始されようとしていますが、東電グループの中でも筆頭の大企業である関電工が主体の前橋バイオマス燃料㈱に対して、なぜ行政から補助金が支払われなければならないのか、を問う住民訴訟の第1回口頭弁論が、2016年9月24日(金)午後10時から前橋地裁2階の第21号法廷で開催されました。その概要を報告します。
*****第21号法廷(本館2階)開廷表*****
開始/終了/予定 10:00/10:10/第1回弁論
事件番号/事件名 平成28年(行ウ)第12号/住民訴訟によるバイオマス補助金取消し請求事件
当事者 小川賢 外 群馬県知事大澤正明
代理人 - -
備考 民事第2部合議係
裁判長 原道子、裁判官 佐藤薫、裁判官 根岸聡志
事務官 清宮清隆
**********
当日は10時10分前までに傍聴席に入りました。すると当会の副代表が床に散らばっている黒い派遣を目ざとく見つけました。どうやら撥ね上げ式椅子の回転部分の軸受けのゴム加工品が劣化して破損したようでした。あるいはネズミがかじった可能性もあります。いずれにしても群馬県の司法のシンボルである第21号法廷の傍聴席の床に黒い破片が散乱しているのは好ましくないとして裁判所側に掃除をお願いしました。
■さて、裁判のほうは定刻通り10時開催されました。定刻きっかりに法廷に入場してきた原道子裁判長らにむかって、一同起立してから、裁判がスタートしました。
冒頭に裁判長が、「ただいまから第1回口頭弁期日を開始します」と述べてから、「原告から訴状と訴状訂正の申立てが提出されている」とを告げましたので、原告住民らは「はい、陳述します」と述べました。裁判では、いちいち訴状などの裁判文書は読み上げす、「陳述します」と言えば、それらの文書をその場で読み上げたことになるのです。
次に裁判長は「被告からは答弁書が提出されている」と告げ、被告訴訟代理人の弁護士が「はい、陳述します」と言いました。
裁判長は「甲号証として甲1から13まで提示してあるが、手元にあれば確認してほしい」と言うので、裁判資料綴りのファイルをめくり、甲13号証を確認しました。裁判長は「甲13の1枚目だが、そこのところの宛先が小川さんになっている。1枚めくって、羽鳥さんのがある。それぞれに監査結果の書面を・・・」というので、原告らはすぐにピンときて「ああ、そういうことですか。(2枚目以降の監査結果の内容は)同じなんで端折っちゃったんです。これはダメですよね?」と言うと、裁判長はすぐに原告が理解したと分かり「では甲13の1枚目を枝番の1ということにして、2枚目からは同じですね?」と念押しの確認を求めて来たので、原告らは「そうです」と答えました。すると裁判長は「そうすると羽鳥さんのは甲13の2というふうに枝番に分けることにしたい」と述べ、甲13号証については、原告2名それぞれに対する監査結果通知を、甲13-1(小川)と甲13-2(羽鳥)で特定することになりました。
裁判長からは次に「裁判所から2、3うかがいたいことがある」として、「まず、この(監査)結果をそれぞれ渡したということだが、郵送だとか、手渡しだとかどういう方法で原告らは受け取ったのか?被告はどうやって渡したのか?」と原告被告双方に質問がありました。
被告は「反対に、事務局に聞かないと分からない」と言いました。
裁判長は「では原告はどうやって受け取ったか?」と原告に聞きました。原告は「「たくさん(案件を)やっているので忘れたが、たしか郵送だと思います」と答えました。裁判長は「さらに詳しく憶えていますか?」と聞くので、原告は「たしか郵送でいただいたとおもう。必ず監査委員事務局からは簡易書留で送ってくるので、そのはずです」と記憶を頼りに説明しました。
裁判長は「裁判所としては甲13の枝番を打ったので、それぞれ、郵送とか手渡しとか、いずれかの方法で(原告らはそれを)受け取ったということだろうから、原告二人がいずれも6月19日に(受け取ったことについて)間違いが無いですね?なぜかというと当日は日曜日なんです」と詳しい説明とともに、原告らに当時の様子を聞いてきました。
これを聞いているうちに原告は、ようやく当時のことを思い出しました。「ああ、私(小川)はようするに、不在だったので日曜日に郵便局に行って受領した。忙しいものですからなかなか、行くチャンスが無くて、配達を受けた時不在だったので」と答えると、裁判長は「すると不在通知だったわけですね。すると羽鳥さんもですか?」と言いました。
もう一人の原告は「私は自宅にいたがよく把握できない」と答えました。
すると裁判長は「簡易書留だったら、被告のほうで把握できるのではないか?」と矛先を被告に向けると、被告は「はい」と答えました。
裁判長は「(住民監査結果の)通知が6月14日付けで、翌15日に配達された可能性がある。裁判所としては、いつ、どのように、原告が通知を受け取ったのか、はっきりさせておく必要がある。だから(被告は)不知などと言わずに、きちんと調べて答えてもらいたい」と、被告に対して痛烈な批判を込めて訴訟指揮をしました。
「今の話だと19日が小川さんで、羽鳥さんは18日の土曜日に受け取った可能性がありますね?」と裁判長に聞かれた原告のひとりは「田舎に住んでいるので、遅れて翌週の月曜日かも知れません。いずれにしてもよく覚えていません」と答えました。
裁判長は「つまり羽鳥さんは家で受け取ったと思われるが、日付ははっきりしないということですね?」と言うと、原告は「はい」と答えました。それを聞いた裁判長は「このことを確認できれば、次へ安心して進めるので」と言いました。
このときの裁判長の心情としては、被告が答弁書の中で、監査委員事務局が原告らに送った監査結果通知について、いつ簡易書留で原告が受け取ったのかも当該事務局に確認しようとせずに、通り一辺倒に「不知」などと安易に記載したことから、被告の対応を苦々しく思ってくれていたに違いありません。
こうして、何とか裁判の入口で住民の訴えを門前払いしようとしたがる被告群馬県の思惑はあえなく潰えたのでした。
裁判長は続いて「次は中身に入る。甲13の最後の13ページを確認したい。ここで下から8行目に『補助金申請がおこなわれておらず』とある。6月14日の時点ではまだ補助金交付申請が行われていないということだと思うが、今現在はどうなっていますか?」と質問しました。
原告側からは「我々住民と努力していろいろ限られた条件下で把握している情報によれば、渋川環境森林事務所が7月15日までに業者から補助金交付申請を出せという通知を出している。その前段階の設計書の提出を受けて、次の補助金申請手続きを促そうというものだ」と説明しました。
裁判長は「原告側としては、(業者は申請書を)出したと思うということなのか?」と質問したので、原告の一人は「はい」と説明しました。
すると裁判長は「(補助金交付申請書は)出したと思う、ということなのか?」と質問してきました。これに対いて原告のひとりが「情報公開で請求書と決裁書はもらっている」と答えたところ、裁判長は「補助金申請は既にしてあるのね?」と念押しの質問をしました。
原告のひとりから「業者はしていると思う」と言うと、裁判長は「(甲13-2 の)ここには6月14日の時はまだ(申請していないの)だとあるが、現時点では行われているのですか?」と更に確認を求めて来たので、原告の一人は「はい。日程的なハッキリしたことは、出てこないが」と答えました
裁判長は、むしろ被告に聞いた方が確実だと思ったのか、被告のほうを向いて「被告は(このことについて)はどうなのか?」と聞くと、被告はあっさりと「はい」と答えました。
これを聞いた裁判長は、なあーんだという感じで「ああ、(申請手続きは既に)行われているのね」と言いました。そして、重要なことを口にしました。
「では、裁判所としては、(被告がこだわっている)入口のことよりも、本体を争うのであれば、しかも補助金申請が行われているのであれば、この段階でそれを問題にして、監査請求をあらためてしてもらったほうが生産的だとおもうが、どうか?」
まさに原告が思っていたことを裁判長の口から聞いたことに嬉しくなってしまい、思わず、間髪を入れずに、「さっき出してきたところです」と原告から答えました。
すると裁判長は、少しびっくりしつつも、原告の素早い対応に関心をした様子で、きっぱりとした口調で「わかりました」と述べました。そして「現時点で補助金申請はおこなわれていること。甲13の枝番2の13ページ下から8行目にある補助金申請は現時点で既に行われていて、本日(原告らによって)監査請求を行ったところであるということですね」と納得がいった様子で語りました。
原告としては、本日、裁判直前に監査委員事務局に提出した住民監査請求に、関電工に7月15日までに補助金申請をするように、と指示する渋川環境森林事務所の通知の写しを添付して、既に補助金申請が行われていることを間接的に示す証拠を添付していたことから、はっきりと「申請済み」という表現で住民監査請求を出したわけではないので、少し注釈が必要かもしれないと考えて、裁判長に「(今度の監査請求では)言い回しの点について、7月15日までに出せと渋川森林事務所が業者に言っているので、それから既に2カ月以上経過しているから、当然申請手続きが進行しているものと判断した。だから、監査委員事務局に対しては、さきほど監査請求を提出した際に、無闇に補正命令など出して、住民監査手続きを妨害しようとせずに、60日以内に一刻も早く監査結果を出すように、と強く票精した」と縷々説明しました。
すると原告からの長い説明に辟易したのか裁判長は、原告の説明が終わるのを待ちきれずに「裁判所から話をしたいんですけど」とおっしゃったので、原告から「どうぞ」と発言を譲りました。裁判長は続けて「そうであれば、そっちの(新たな住民監査請求の)関係話が進んでいった場合、結論はどうなるかは分からないにしても、そっちで決着する可能性も有るだろうし、あるいは原告には不本意ながら、指摘が通らないことも有るだろうし」と言うので、思わず「まず、(今度も)通らないと思います」と合いの手を入れると、裁判長は「その時は、それを行政訴訟として行うのがよろしいのではないかと思う。そう、思うのだが、その時はその時で、これを進めておいて・・・」と言いました。
そこで原告は「進めておいて、途中でまた、必要であれば、訴状の訂正申立てをやればよいのでしょうか?それとも、(新たな監査請求の結果を踏まえて、その時に)根本的にもう一回、(あらたに訴状を提出)するということでしょうか?」と訊ねました。
裁判長は「そちらのほうは行政処分した別物なので、それはそれで訴えの提起をしていただいて、将来的な可能性の一つとして、(その結果次第で)それを(現在の訴訟と)併合すれば、こちらでやっていることも無駄にならないと思うが、どうでしょうか?」と言いました。原告らは全く異存がないので「裁判長の訴訟指揮にしたがいます」と即答しました。
裁判長は原告の即答に苦笑しつつ「ということで、この事件については、将来的に中身に入っていく可能性もあり、裁判所としては中身に入っていきたいと思っている。それには、補助金申請が行われて、それについて監査請求が行われて、その手続きが問題なく進み、行政から郵便で送られてくることも含めて、心配のない状態で行っていただけるのであれば、それはそれで、窓口の争点は減っていくのではないでしょうか?」と述べました。
原告としては、群馬県の監査委員そのものを信用していないので、「まあ、減っていくかもしれないが、時間がどんどん経過してしまうので忸怩たる思いもあるけれど・・・」とブツブツ言いかけると、裁判長は「そういうことも考えてくださいということ。だって、だからこの事件を進めていきたいわけでしょう?」と声掛けをしてくれました。原告は「そうです。スピード感をもってやりたいんです」と応えました。
裁判長は「はい。そうしたら、原告は、被告の却下答弁についての反論をお願いします。今日の答弁書に対する反論をお願いします」と述べたので原告は「わかりました」と応えました。
裁判長は、原告らに「では次に聞きたいのは、訴状の3から10頁に(1)~(9)ということで、こういうところがいけないという事項が列挙されています。これが全部で(9)まであるが、これらは全部、補助金交付が地方自治法第2条第14項と地方財政法第4条第1項に反する基礎付けるものとして理解してよろしいのか?」と確認を求めて来たので、原告は力強く「はい。そうです」と言いました。
裁判長は「そうだとすれば、被告は(1)から(9)についても主張するように」と被告に対して述べました。被告の訴訟代理人は「はい」と応えました。
裁判長は「以上で、今日申し上げたいことを話しました。話が細かくなるが、もう1つお願いがある。原告の証拠説明書で、間違いではないかということを確認したい」として、証拠説明書の1ページ目の作成年月日のうち、平成28年とあるのが27年ではないかという指摘がありました。事務官に丁寧に指摘されたので、直ぐに誤植であることが分かり、その場で訂正しました。
裁判長は本日のまとめとして、「今日は幾つかいろいろな事項をお話ししたましたが、それぞれよろしいですね?」と言うと、原告・被告双方は「はい」と応えました。
裁判長は被告に向かって「主に被告のほうは、中身について反論することと、いつ届いたかについて調べるということになるが、どの位時間がかかりますか?」と訊ねました。被告の訴訟代理人は「いろいろ調べることがあるので・・・2カ月くらい」と答えました。
それにもとづき、裁判長は次回の第2回口頭弁論期日について裁判所、原告、被告の都合を確認して次のように宣言しました。
「それでは次回弁論期日を2016年11月18日金曜日午前10時30分とします。準備書面は同11月11日までに提出すること」
以上で、前橋バイオマス発電事業に係る補助金交付申請差止め訴訟の第1回口頭弁論期日が終了しました。約15分間にわたる裁判でした。
■上記の通り、本日10時から第1回公判が前橋地方裁判所21号法廷で行われました第1回口頭弁論期日には、平日にもかかわらず当会会員や、赤城山の自然と環境を守る会のメンバーの皆さんら10名に駆けつけていただき、裁判の一部始終を傍聴していただきました。この場をお借りして、傍聴してくださったみなさま方や、職場やご家庭でご心配を下さった方々に、厚く御礼を申し上げます。
他方、被告群馬県側は、公務時間中というのに、弁護士3名と県の役人ら4名という錚々たるメンバーが出廷および傍聴に来ていました。
次回11月18日(金)10:30からの第2回口頭弁論期日には、さらにこの問題について関心をお持ちの住民、納税者の皆様に数多くお集まりしていただくよう、ご案内申し上げます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※上記の法廷内の口頭でのやりとりは、出席・傍聴した当会会員らのメモと記憶により構成したものであり、概ね間違っていないとは思いますが、発言内容を正確に表してはありませんので、あらかじめ認識ください。
ただし、もし事実と異なっている箇所が有ると判断される場合には、FAXやメールなど書面でご指摘、ご連絡いただけると幸いです。
また、文中の表現や感想は、あくまで当会独自の印象と判断によるもので他意はありません。
*****第21号法廷(本館2階)開廷表*****
開始/終了/予定 10:00/10:10/第1回弁論
事件番号/事件名 平成28年(行ウ)第12号/住民訴訟によるバイオマス補助金取消し請求事件
当事者 小川賢 外 群馬県知事大澤正明
代理人 - -
備考 民事第2部合議係
裁判長 原道子、裁判官 佐藤薫、裁判官 根岸聡志
事務官 清宮清隆
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当日は10時10分前までに傍聴席に入りました。すると当会の副代表が床に散らばっている黒い派遣を目ざとく見つけました。どうやら撥ね上げ式椅子の回転部分の軸受けのゴム加工品が劣化して破損したようでした。あるいはネズミがかじった可能性もあります。いずれにしても群馬県の司法のシンボルである第21号法廷の傍聴席の床に黒い破片が散乱しているのは好ましくないとして裁判所側に掃除をお願いしました。
■さて、裁判のほうは定刻通り10時開催されました。定刻きっかりに法廷に入場してきた原道子裁判長らにむかって、一同起立してから、裁判がスタートしました。
冒頭に裁判長が、「ただいまから第1回口頭弁期日を開始します」と述べてから、「原告から訴状と訴状訂正の申立てが提出されている」とを告げましたので、原告住民らは「はい、陳述します」と述べました。裁判では、いちいち訴状などの裁判文書は読み上げす、「陳述します」と言えば、それらの文書をその場で読み上げたことになるのです。
次に裁判長は「被告からは答弁書が提出されている」と告げ、被告訴訟代理人の弁護士が「はい、陳述します」と言いました。
裁判長は「甲号証として甲1から13まで提示してあるが、手元にあれば確認してほしい」と言うので、裁判資料綴りのファイルをめくり、甲13号証を確認しました。裁判長は「甲13の1枚目だが、そこのところの宛先が小川さんになっている。1枚めくって、羽鳥さんのがある。それぞれに監査結果の書面を・・・」というので、原告らはすぐにピンときて「ああ、そういうことですか。(2枚目以降の監査結果の内容は)同じなんで端折っちゃったんです。これはダメですよね?」と言うと、裁判長はすぐに原告が理解したと分かり「では甲13の1枚目を枝番の1ということにして、2枚目からは同じですね?」と念押しの確認を求めて来たので、原告らは「そうです」と答えました。すると裁判長は「そうすると羽鳥さんのは甲13の2というふうに枝番に分けることにしたい」と述べ、甲13号証については、原告2名それぞれに対する監査結果通知を、甲13-1(小川)と甲13-2(羽鳥)で特定することになりました。
裁判長からは次に「裁判所から2、3うかがいたいことがある」として、「まず、この(監査)結果をそれぞれ渡したということだが、郵送だとか、手渡しだとかどういう方法で原告らは受け取ったのか?被告はどうやって渡したのか?」と原告被告双方に質問がありました。
被告は「反対に、事務局に聞かないと分からない」と言いました。
裁判長は「では原告はどうやって受け取ったか?」と原告に聞きました。原告は「「たくさん(案件を)やっているので忘れたが、たしか郵送だと思います」と答えました。裁判長は「さらに詳しく憶えていますか?」と聞くので、原告は「たしか郵送でいただいたとおもう。必ず監査委員事務局からは簡易書留で送ってくるので、そのはずです」と記憶を頼りに説明しました。
裁判長は「裁判所としては甲13の枝番を打ったので、それぞれ、郵送とか手渡しとか、いずれかの方法で(原告らはそれを)受け取ったということだろうから、原告二人がいずれも6月19日に(受け取ったことについて)間違いが無いですね?なぜかというと当日は日曜日なんです」と詳しい説明とともに、原告らに当時の様子を聞いてきました。
これを聞いているうちに原告は、ようやく当時のことを思い出しました。「ああ、私(小川)はようするに、不在だったので日曜日に郵便局に行って受領した。忙しいものですからなかなか、行くチャンスが無くて、配達を受けた時不在だったので」と答えると、裁判長は「すると不在通知だったわけですね。すると羽鳥さんもですか?」と言いました。
もう一人の原告は「私は自宅にいたがよく把握できない」と答えました。
すると裁判長は「簡易書留だったら、被告のほうで把握できるのではないか?」と矛先を被告に向けると、被告は「はい」と答えました。
裁判長は「(住民監査結果の)通知が6月14日付けで、翌15日に配達された可能性がある。裁判所としては、いつ、どのように、原告が通知を受け取ったのか、はっきりさせておく必要がある。だから(被告は)不知などと言わずに、きちんと調べて答えてもらいたい」と、被告に対して痛烈な批判を込めて訴訟指揮をしました。
「今の話だと19日が小川さんで、羽鳥さんは18日の土曜日に受け取った可能性がありますね?」と裁判長に聞かれた原告のひとりは「田舎に住んでいるので、遅れて翌週の月曜日かも知れません。いずれにしてもよく覚えていません」と答えました。
裁判長は「つまり羽鳥さんは家で受け取ったと思われるが、日付ははっきりしないということですね?」と言うと、原告は「はい」と答えました。それを聞いた裁判長は「このことを確認できれば、次へ安心して進めるので」と言いました。
このときの裁判長の心情としては、被告が答弁書の中で、監査委員事務局が原告らに送った監査結果通知について、いつ簡易書留で原告が受け取ったのかも当該事務局に確認しようとせずに、通り一辺倒に「不知」などと安易に記載したことから、被告の対応を苦々しく思ってくれていたに違いありません。
こうして、何とか裁判の入口で住民の訴えを門前払いしようとしたがる被告群馬県の思惑はあえなく潰えたのでした。
裁判長は続いて「次は中身に入る。甲13の最後の13ページを確認したい。ここで下から8行目に『補助金申請がおこなわれておらず』とある。6月14日の時点ではまだ補助金交付申請が行われていないということだと思うが、今現在はどうなっていますか?」と質問しました。
原告側からは「我々住民と努力していろいろ限られた条件下で把握している情報によれば、渋川環境森林事務所が7月15日までに業者から補助金交付申請を出せという通知を出している。その前段階の設計書の提出を受けて、次の補助金申請手続きを促そうというものだ」と説明しました。
裁判長は「原告側としては、(業者は申請書を)出したと思うということなのか?」と質問したので、原告の一人は「はい」と説明しました。
すると裁判長は「(補助金交付申請書は)出したと思う、ということなのか?」と質問してきました。これに対いて原告のひとりが「情報公開で請求書と決裁書はもらっている」と答えたところ、裁判長は「補助金申請は既にしてあるのね?」と念押しの質問をしました。
原告のひとりから「業者はしていると思う」と言うと、裁判長は「(甲13-2 の)ここには6月14日の時はまだ(申請していないの)だとあるが、現時点では行われているのですか?」と更に確認を求めて来たので、原告の一人は「はい。日程的なハッキリしたことは、出てこないが」と答えました
裁判長は、むしろ被告に聞いた方が確実だと思ったのか、被告のほうを向いて「被告は(このことについて)はどうなのか?」と聞くと、被告はあっさりと「はい」と答えました。
これを聞いた裁判長は、なあーんだという感じで「ああ、(申請手続きは既に)行われているのね」と言いました。そして、重要なことを口にしました。
「では、裁判所としては、(被告がこだわっている)入口のことよりも、本体を争うのであれば、しかも補助金申請が行われているのであれば、この段階でそれを問題にして、監査請求をあらためてしてもらったほうが生産的だとおもうが、どうか?」
まさに原告が思っていたことを裁判長の口から聞いたことに嬉しくなってしまい、思わず、間髪を入れずに、「さっき出してきたところです」と原告から答えました。
すると裁判長は、少しびっくりしつつも、原告の素早い対応に関心をした様子で、きっぱりとした口調で「わかりました」と述べました。そして「現時点で補助金申請はおこなわれていること。甲13の枝番2の13ページ下から8行目にある補助金申請は現時点で既に行われていて、本日(原告らによって)監査請求を行ったところであるということですね」と納得がいった様子で語りました。
原告としては、本日、裁判直前に監査委員事務局に提出した住民監査請求に、関電工に7月15日までに補助金申請をするように、と指示する渋川環境森林事務所の通知の写しを添付して、既に補助金申請が行われていることを間接的に示す証拠を添付していたことから、はっきりと「申請済み」という表現で住民監査請求を出したわけではないので、少し注釈が必要かもしれないと考えて、裁判長に「(今度の監査請求では)言い回しの点について、7月15日までに出せと渋川森林事務所が業者に言っているので、それから既に2カ月以上経過しているから、当然申請手続きが進行しているものと判断した。だから、監査委員事務局に対しては、さきほど監査請求を提出した際に、無闇に補正命令など出して、住民監査手続きを妨害しようとせずに、60日以内に一刻も早く監査結果を出すように、と強く票精した」と縷々説明しました。
すると原告からの長い説明に辟易したのか裁判長は、原告の説明が終わるのを待ちきれずに「裁判所から話をしたいんですけど」とおっしゃったので、原告から「どうぞ」と発言を譲りました。裁判長は続けて「そうであれば、そっちの(新たな住民監査請求の)関係話が進んでいった場合、結論はどうなるかは分からないにしても、そっちで決着する可能性も有るだろうし、あるいは原告には不本意ながら、指摘が通らないことも有るだろうし」と言うので、思わず「まず、(今度も)通らないと思います」と合いの手を入れると、裁判長は「その時は、それを行政訴訟として行うのがよろしいのではないかと思う。そう、思うのだが、その時はその時で、これを進めておいて・・・」と言いました。
そこで原告は「進めておいて、途中でまた、必要であれば、訴状の訂正申立てをやればよいのでしょうか?それとも、(新たな監査請求の結果を踏まえて、その時に)根本的にもう一回、(あらたに訴状を提出)するということでしょうか?」と訊ねました。
裁判長は「そちらのほうは行政処分した別物なので、それはそれで訴えの提起をしていただいて、将来的な可能性の一つとして、(その結果次第で)それを(現在の訴訟と)併合すれば、こちらでやっていることも無駄にならないと思うが、どうでしょうか?」と言いました。原告らは全く異存がないので「裁判長の訴訟指揮にしたがいます」と即答しました。
裁判長は原告の即答に苦笑しつつ「ということで、この事件については、将来的に中身に入っていく可能性もあり、裁判所としては中身に入っていきたいと思っている。それには、補助金申請が行われて、それについて監査請求が行われて、その手続きが問題なく進み、行政から郵便で送られてくることも含めて、心配のない状態で行っていただけるのであれば、それはそれで、窓口の争点は減っていくのではないでしょうか?」と述べました。
原告としては、群馬県の監査委員そのものを信用していないので、「まあ、減っていくかもしれないが、時間がどんどん経過してしまうので忸怩たる思いもあるけれど・・・」とブツブツ言いかけると、裁判長は「そういうことも考えてくださいということ。だって、だからこの事件を進めていきたいわけでしょう?」と声掛けをしてくれました。原告は「そうです。スピード感をもってやりたいんです」と応えました。
裁判長は「はい。そうしたら、原告は、被告の却下答弁についての反論をお願いします。今日の答弁書に対する反論をお願いします」と述べたので原告は「わかりました」と応えました。
裁判長は、原告らに「では次に聞きたいのは、訴状の3から10頁に(1)~(9)ということで、こういうところがいけないという事項が列挙されています。これが全部で(9)まであるが、これらは全部、補助金交付が地方自治法第2条第14項と地方財政法第4条第1項に反する基礎付けるものとして理解してよろしいのか?」と確認を求めて来たので、原告は力強く「はい。そうです」と言いました。
裁判長は「そうだとすれば、被告は(1)から(9)についても主張するように」と被告に対して述べました。被告の訴訟代理人は「はい」と応えました。
裁判長は「以上で、今日申し上げたいことを話しました。話が細かくなるが、もう1つお願いがある。原告の証拠説明書で、間違いではないかということを確認したい」として、証拠説明書の1ページ目の作成年月日のうち、平成28年とあるのが27年ではないかという指摘がありました。事務官に丁寧に指摘されたので、直ぐに誤植であることが分かり、その場で訂正しました。
裁判長は本日のまとめとして、「今日は幾つかいろいろな事項をお話ししたましたが、それぞれよろしいですね?」と言うと、原告・被告双方は「はい」と応えました。
裁判長は被告に向かって「主に被告のほうは、中身について反論することと、いつ届いたかについて調べるということになるが、どの位時間がかかりますか?」と訊ねました。被告の訴訟代理人は「いろいろ調べることがあるので・・・2カ月くらい」と答えました。
それにもとづき、裁判長は次回の第2回口頭弁論期日について裁判所、原告、被告の都合を確認して次のように宣言しました。
「それでは次回弁論期日を2016年11月18日金曜日午前10時30分とします。準備書面は同11月11日までに提出すること」
以上で、前橋バイオマス発電事業に係る補助金交付申請差止め訴訟の第1回口頭弁論期日が終了しました。約15分間にわたる裁判でした。
■上記の通り、本日10時から第1回公判が前橋地方裁判所21号法廷で行われました第1回口頭弁論期日には、平日にもかかわらず当会会員や、赤城山の自然と環境を守る会のメンバーの皆さんら10名に駆けつけていただき、裁判の一部始終を傍聴していただきました。この場をお借りして、傍聴してくださったみなさま方や、職場やご家庭でご心配を下さった方々に、厚く御礼を申し上げます。
他方、被告群馬県側は、公務時間中というのに、弁護士3名と県の役人ら4名という錚々たるメンバーが出廷および傍聴に来ていました。
次回11月18日(金)10:30からの第2回口頭弁論期日には、さらにこの問題について関心をお持ちの住民、納税者の皆様に数多くお集まりしていただくよう、ご案内申し上げます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※上記の法廷内の口頭でのやりとりは、出席・傍聴した当会会員らのメモと記憶により構成したものであり、概ね間違っていないとは思いますが、発言内容を正確に表してはありませんので、あらかじめ認識ください。
ただし、もし事実と異なっている箇所が有ると判断される場合には、FAXやメールなど書面でご指摘、ご連絡いただけると幸いです。
また、文中の表現や感想は、あくまで当会独自の印象と判断によるもので他意はありません。