まだ 現役

８月１８日の朝
空は青い
風はなし
心晴れず

なぜ？

夕べ遅く
友Ｔより電話あり

友Ｔは部下の背任行為で心深く傷つき
なかなか心晴れないのだ
その思いが私に移り
心晴れないのだ

今日は
糖尿病で退院する方に会う
きっと
お話するうちに
心晴れるでしょう

長い間
病む人を励ましてきた
その行為が私自身を励ます

ただ
職場まで出かければいいんだ
そうすれば
看護職としての気持ちの切り替えができ
自分の憂鬱から這い上がることができる

さあ
行こう

元気出して
「ばぁば」は６６歳
まだ
現役なのだ

海は青かった

今日が終わり明日が始まった
こうして
日は暮れていく
月の形は？
雲がある？
そんなことを思っても
いざ窓を開けてみることなく
想像の世界でめい想する
そんなふうに
毎日が過ぎていく
嫌いで嫌いで大嫌いな人
殺したいと思ったり
いつか寝たきりの蝋人形のようになる
老いぼれた自分を想像したり
人はなんでも頭の中で実現できる

深い人生の埋没する坂の上で
足をすべらす子どものように
頼りない自分が
ふわりと飛んで
紙飛行機の翼につかまった小人のように
いとも簡単に空の人になったり

青い青い海の上で
じっと浮かんでいると
魚がわんさか寄って来て
ぱくぱくぱくぱく口から泡を吐き
目から涙を出しながら
痙攣する

この夜は
精神がおかしくなって
夢ばかり起きながら見る

めちゃくちゃな夢を起きながら見る
そんな不思議な体感が襲う

きっと
戦争で熱帯の夜を歩きながら
或いは
極寒の草原を歩きながら
兵隊達は夢を見る
起きながら
歩きながら
夢を見る

風が吹いている
頬にあたる
髪が揺れる
空ろな感覚で感じている精神

眠くない夜はそんな迷う心を映す
そんな過去の夢を再現する

海はなぜ青いの？