<防潮堤整備>300億円寄付…住宅メーカーが静岡県と合意
毎日新聞 6月11日(月)21時41分配信
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一条工務店グループとの基本合意書を手に笑顔を見せる川勝平太・静岡県知事(左)と鈴木康友・浜松市長=静岡市の静岡県庁で2012年6月11日、小玉沙織撮影
静岡県は11日、浜松市で創業した住宅メーカー「一条工務店」(本社・東京都江東区、宮地剛社長)グループから計300億円の寄付を受け、同市沿岸部約17.5キロに津波対策の防潮堤を整備する方針を明らかにした。県と浜松市、同社は同日、寄付金を防潮堤整備に充てる基本合意を結んだ。県によると、大規模防災事業に民間の寄付金を充てるのは異例。
◇浜松で創業
同社は今年度100億円、来年度以降は工事の進捗(しんちょく)状況に応じて2年間で200億円を寄付する予定だという。
寄付は東日本大震災の被害状況を目の当たりにした創業者の大澄賢次郎氏が「育ててもらった地元に恩返ししたい」と防潮堤の費用として発案。自動車メーカー「スズキ」(本社・浜松市南区)の鈴木修会長兼社長に相談し、鈴木会長を介して11年4月、同市の鈴木康友市長と川勝平太知事に伝えられた。
浜松市は巨大地震時の最大津波高を13.5メートルと想定。しかし海岸に防潮堤はなく、これまで避難ビルの指定など避難方法を中心に対策を検討してきた。県は来年6月をめどにまとめる第4次地震被害想定を基に、具体的な設計などを決めていく考え。着工は早くても14年以降で予算規模は未定。寄付は基金に積み立てる。
この日県庁を訪れた鈴木市長は、宮地社長の「(会社が)大きくなれたのは、ひとえに地域の皆様の長年のご支援のたまもの。速やかに対応しなければいけない防潮堤構築で恩返ししたい」とのコメントを代読した。川勝知事は「大変感じ入る。できるだけ早く(工事を)やりたい」と応じた。【樋口淳也、高橋龍介】