1990年代より乳酸菌の免疫への関与とくにアレルギーに関する作用についての研究が始まりました。欧州で研究成果が初めて発表されて以降、乳酸菌が花粉症や通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などの症状を緩和する働きがあることがわかってきました。
アレルギーに大きく関与しているのがTh1細胞とTh2細胞といわれる2種類の司令官役の免疫細胞で、通常両者はバランスを保ち、免疫反応をコントロールしています。食生活や生活環境の変化などによりTh1細胞とTh2細胞との免疫バランスがくずれTh2型に偏ると、花粉などのアレルゲンと反応するIgE抗体が過剰につくられ、アレルギー症状が発症してしまうのです。
したがって、Th1細胞とTh2細胞の免疫バランスを改善(体質改善)すれば、花粉のような本来反応しなくてよい危害の少ない物質に対するIgE抗体の産生を抑えることができ、アレルギー体質が改善されると考えられます。
カルピス社の「L-92乳酸菌」はTh1細胞を活性化させる働きを持つことが知られており、Th1細胞とTh2細胞の免疫バランスの改善が期待できるものとして注目されてきました。「L-92乳酸菌」が免疫バランスを整えるメカニズムは、腸管の免疫細胞を刺激するためと考えられています。
花粉曝露試験施設(所在地:和歌山県有田郡有田川町、 所有:NPO法人日本健康増進支援機構)において、 「L-92乳酸菌」を用いた スギ花粉曝露試験を実施しました。この花粉曝露試験施設の特長として、 天候や地域によって花粉飛散量が大きく異なる自然環境に比べ、 年間を通じて施設内で均一に花粉を飛散することができるため、 花粉症に対する正確なデータを得ることができます。この試験施設にて、 花粉症ボランティア80名が「L-92乳酸菌」の菌末を配合したタブレット3種類 (菌末量20mg、60mg、180mg)とプラセボ(「L-92乳酸菌」未配合タブレット)の 4群(各20名)にわけられ、8週間摂取しました。摂食後8週目に再び花粉曝露を行い、 摂食前後の目や鼻などの自覚症状の変化を解析しました。その結果、 菌末量20mg、60mg、180mgのどの群とも、花粉再曝露後の自覚症状として、 『眼のかゆみ』『鼻のかゆみ』において有意な改善が確認されました。
通年性アレルギー性鼻炎患者49名を対象に、「L-92乳酸菌」含有飲料もしくは擬似飲料(100mlを毎朝1本)を8週間飲用し、症状の変化を測定しました。その結果、「L-92乳酸菌」飲用群は鼻水・眼のかゆみの症状スコアが有意に改善し、鼻づまりの症状スコアも改善傾向が認められました。さらに、医師の診断による総合改善度も有意な改善が確認されました。
4歳から15歳のアトピー性皮膚炎患児20名に対し、8週間にわたって「L-92乳酸菌」を含む発酵乳を連日摂取させ、皮膚症状変化の観察、血液検査、糞便菌叢解析を実施しました。飲用した結果、皮膚症状とかゆみが有意に軽減されることが明らかとなりました。血液分析の結果、血液中の白血球数の減少が認められました。