第49回 欧州糖尿病学会(EASD2013) 【開催期間:2013年9月23日~27日】
DPP-4阻害薬からリラグルチドへの切り替えで血糖・体重ともに改善、日常診療で確認
2013年9月27日
2型糖尿病の血糖コントロールにおいて、インクレチン関連薬(GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬)は有用な選択肢であることが報告されている。一方、GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬は一部共通の経路を介して作用を発揮するものの、異なる有効性、安全性のプロファイルを有することがわかっている。そこでフランスUniversité Pierre & Marie CurieのLuc Martinez氏らはフランスのリラグルチド市販後観察研究EVIDENCE試験のデータを用い、DPP-4阻害薬からリラグルチドの切り替えによる血糖コントロールおよび体重の変化を検討し、9月25日に発表した。Martinez氏はDPP-4阻害薬からリラグルチドへの切り替えは、2型糖尿病患者に対し血糖コントロールと体重の両者でベネフィットをもたらすことが日常臨床で示されたと解説した。
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EVIDENCE試験はリラグルチドの有効性と安全性を通常の外来診療で評価する多施設の市販後観察研究であり、リラグルチド投与を継続している患者の割合、および2年後のHbA1c目標(7%未満)達成の割合を見ることを試験全体の目的としている。
今回の検討では、試験登録前にDPP-4阻害薬を使用しており、リラグルチドに切り替えて1年間継続された患者の中間データを利用してPost-hoc解析を行った。
EVIDENCE試験全体には3,137人が登録され、そのうち以前にDPP-4阻害薬を使用していたのは1,255人(40%)だった。この1,255人中、リラグルチドへ切り替えとなったのは1,004人(80%)だった。そのうち、734人(73%)が1年間リラグルチド投与を継続し、この734人を今回の検討の対象とした。
対象患者のベースラインの背景を見ると、平均年齢58歳、糖尿病罹病期間9.5年、HbA1c 8.4%、HbA1c 7.0%未満の患者69人(9.4%)、空腹時血糖値180mg/dL、体重96.0kg、BMI 34.0kg/m²だった。
リラグルチド投与1年後、ベースラインと比較してHbA1c、空腹時血糖値、体重すべてが有意に改善した(intention-to-treat解析)。すなわち、HbA1cは0.84%、空腹時血糖値は27mg/dL、体重は3.53kgの有意な低下を認めた(p<0.0001)。
さらにHbA1c 7.0%未満を達成している患者の割合は、ベースライン時には9.4%(69人)だったのに対し、1年後には31.6%(232人)と著明な増加が見られた(p<0.0001)。
この結果についてMartinez氏は「日常診療においてDPP-4阻害薬からリラグルチドへの切り替えは、血糖コントロールおよび体重の両者でベネフィットをもたらすことが示された」と解説した。一方、本試験にはコントロールアームが設定されておらず、この改善がリラグルチド単独で成し得たものか評価が難しいことを限界として指摘しつつも、同様のリラグルチドの有効性がシタグリプチンと比較した無作為化試験でも認められており(Diabetes Care. 2012;35(10):1986-93.)、一貫した結果が得られていることを強調した。その上でMartinez氏は「DPP-4阻害薬で血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者に対し、リラグルチドに切り替えることで臨床的改善が期待できる」と述べた。
DPP-4阻害薬からリラグルチドへの切り替えで血糖・体重ともに改善、日常診療で確認
2013年9月27日
2型糖尿病の血糖コントロールにおいて、インクレチン関連薬(GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬)は有用な選択肢であることが報告されている。一方、GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬は一部共通の経路を介して作用を発揮するものの、異なる有効性、安全性のプロファイルを有することがわかっている。そこでフランスUniversité Pierre & Marie CurieのLuc Martinez氏らはフランスのリラグルチド市販後観察研究EVIDENCE試験のデータを用い、DPP-4阻害薬からリラグルチドの切り替えによる血糖コントロールおよび体重の変化を検討し、9月25日に発表した。Martinez氏はDPP-4阻害薬からリラグルチドへの切り替えは、2型糖尿病患者に対し血糖コントロールと体重の両者でベネフィットをもたらすことが日常臨床で示されたと解説した。
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EVIDENCE試験はリラグルチドの有効性と安全性を通常の外来診療で評価する多施設の市販後観察研究であり、リラグルチド投与を継続している患者の割合、および2年後のHbA1c目標(7%未満)達成の割合を見ることを試験全体の目的としている。
今回の検討では、試験登録前にDPP-4阻害薬を使用しており、リラグルチドに切り替えて1年間継続された患者の中間データを利用してPost-hoc解析を行った。
EVIDENCE試験全体には3,137人が登録され、そのうち以前にDPP-4阻害薬を使用していたのは1,255人(40%)だった。この1,255人中、リラグルチドへ切り替えとなったのは1,004人(80%)だった。そのうち、734人(73%)が1年間リラグルチド投与を継続し、この734人を今回の検討の対象とした。
対象患者のベースラインの背景を見ると、平均年齢58歳、糖尿病罹病期間9.5年、HbA1c 8.4%、HbA1c 7.0%未満の患者69人(9.4%)、空腹時血糖値180mg/dL、体重96.0kg、BMI 34.0kg/m²だった。
リラグルチド投与1年後、ベースラインと比較してHbA1c、空腹時血糖値、体重すべてが有意に改善した(intention-to-treat解析)。すなわち、HbA1cは0.84%、空腹時血糖値は27mg/dL、体重は3.53kgの有意な低下を認めた(p<0.0001)。
さらにHbA1c 7.0%未満を達成している患者の割合は、ベースライン時には9.4%(69人)だったのに対し、1年後には31.6%(232人)と著明な増加が見られた(p<0.0001)。
この結果についてMartinez氏は「日常診療においてDPP-4阻害薬からリラグルチドへの切り替えは、血糖コントロールおよび体重の両者でベネフィットをもたらすことが示された」と解説した。一方、本試験にはコントロールアームが設定されておらず、この改善がリラグルチド単独で成し得たものか評価が難しいことを限界として指摘しつつも、同様のリラグルチドの有効性がシタグリプチンと比較した無作為化試験でも認められており(Diabetes Care. 2012;35(10):1986-93.)、一貫した結果が得られていることを強調した。その上でMartinez氏は「DPP-4阻害薬で血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者に対し、リラグルチドに切り替えることで臨床的改善が期待できる」と述べた。