屋外でのマスク着用は半数程度に 新型コロナウイルスが5類に移行して3カ月
地域 2023年8月9日 (水)配信山陰中央新報
新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けがインフルエンザと同じ5類に移行し、8日で3カ月を迎えた。マスク着用も個人の判断に委ねられているが、街中のマスク姿はどのように変化したのだろうか。JR松江駅(松江市朝日町)周辺の様子を調べた。(Sデジ編集部・林李奈)
本紙は、5類移行当日の状況を記事に載せた。それによると、5月8日午前8時の松江駅周辺は8割の人がマスクを着用していた。これを基に、記者が独自に1カ月後の6月8日、3カ月後の8月8日に駅に通って、マスクの着用状況を調べた。
6月8日午前8時半ごろ、松江駅でマスクを着用している人を目視で確認すると約7割の人が着用していた。1カ月前と大差ないように感じた。仕事に向かう準備をしていた松江市美保関町の会社員、宮本麻希さん(41)は「仕事で1人きりの時に外すことはあるが、人と会う時やバスで通勤する時にはマスクを着用する。特にバスの中はマスクを着けることを心掛けている」と話し、感染症対策としてマスクを着用しているという。
駐車場を管理する電気工事会社の石原保夫さん(62)は「キャリーバッグを持つ観光客は、マスクを外している人を見かけるが、まだ県内の人たちのほとんどはマスクを着けている状態だ」。本人は仕事もプライベートもマスクを着用しているという。
そして8月8日午前8時半ごろ再び、松江駅に向かった。6月の時よりマスクを外している人は多かったが、マスクを着用している人は半数以上いた。
部活動に向かう途中の松江養護学校高等部3年の袖本千代さん(18)は、マスクを着用し続けている。「マスクを着用すると顔が隠れて楽。感染者が増えているし怖いのでマスクを着用している。これからもマスクを着用すると思う」と話した。
一方で、同2年の大竹愛さん(17)は、マスクを先週から外しているという。「外さないと息がしづらいので着用していない。周囲で外している人も増えてきて違和感はない。感染より熱中症などが怖い」と理由を話した。
2カ月前に話を聞いた石原さんと同じ電気工事会社で、駐車場を管理する坂本舞子さん(25)は「半分程度の人がマスクを外しているように感じる。6月の時より着用していない人が増えた。観光客ではないと思われる人も徐々に外している。以前は外している人を見ていると理由や意志をもってそうしていると思っていたが、今は違和感がない」と言う。本人は仕事や友人と遊ぶ時はマスクを着けているが、1人の時はマスクを外しているという。
午後5時に松江駅の入り口付近で通行人50人のマスク着用の有無を調べると、着用している人が29人、着用していない人は21人という結果になり、着用率は58%だった。まだマスク着用の人が多いが、ひと頃よりも「脱マスク」が進んでいた。
足元では島根県のコロナ感染者は増加傾向。隣県の鳥取県では県が「注意報」も発令した。専門家はマスク着用をどのようにみているのか。島根県感染症対策室の田原研司室長は「暑い場所や屋外でのマスク着用は熱中症の危険もあるので不要」と指摘。一方「3密(密閉、密集、密接)の場所に訪れる時は、着用を心がけてほしい」と話す。
人目を気にして着用したくなくても仕方なく着用するケースは減ってきているようだ。特に子どもたちが外でマスクせずに遊んでいる姿を見るとほっとする。ただ、本来の目的は感染予防。時に着用した方がいいケースもある。人目が気になるからではなく、感染リスクを考慮した上で、自分の意志でマスク着用の是非は判断したい。