訪日観光、受け入れ解禁 本格再開6月下旬以降 入国申請とビザ一律必要
政府は10日、新型コロナウイルス感染症の影響で停止していた訪日外国人観光客の受け入れ手続きを約2年ぶりに解禁した。米国、中国、韓国など感染リスクが低い98の国・地域が対象で、添乗員同行のパッケージツアーに限定する。外国人向け入国申請システムへの入力や、査証(ビザ)の取得が一律で必要となるため、実際の受け入れまで最短でも数日かかる。本格的な入国は6月下旬以降になる見通しだ。
政府は国内旅行を促すため、都道府県による旅行割引「県民割」の適用対象を広域ブロックから全国に広げる方向で調整。7月中の開始を軸に検討しており、これを観光支援事業「Go To トラベル」の後継とする案も浮上している。
訪日客は入国者数上限2万人の枠内で受け入れる。ワクチン接種の有無に関係なく、入国時検査や自宅待機を免除する。
旅行業者は10日午前0時以降、厚生労働省の入国申請システム「ERFS(エルフス)」にツアー参加者の氏名や旅券番号、滞在先などを入力。システムに登録済みなら即日、受け付け済み証が発行される。
この後、大使館などにビザを申請。発給まで原則5日かかる。米国、韓国など68カ国・地域からの短期滞在者はコロナ禍前、ビザ不要だったが、水際対策で免除措置を停止している。
外務省、観光庁とも10日の観光客入国は「考えにくい」としている。
訪日ツアーは国内外の旅行業者が参加者を募り、国内の登録業者が受け入れ責任者となる。旅行大手JTBは、マスク着用徹底、保険加入を求める国の感染対策指針の説明も必要として、受け入れは6月下旬から7月上旬とみる。日本旅行も、指針を受けた社員教育やツアー企画に時間がかかり、受け入れは夏ごろとの見方を示した。
海外では香港の業者が6月18日出発の日本旅行を募集。政府はツアー人数を制限しておらず、業界関係者は「例えば富裕層1人の添乗員付き旅行は入国が早いのではないか」と話した。
※訪日客
海外から日本を訪れる外国人。2003年に小泉純一郎首相(当時)が「年間約500万人を10年に倍増させる」と表明し、観光立国の取り組みが本格化した。日本政府による査証(ビザ)発給要件の緩和や、格安航空会社(LCC)の台頭、世界的な旅行ブームも追い風に、19年は過去最多の3188万人を記録した。20年に4千万人に増やす目標は新型コロナウイルス感染症の流行で達成できなかったが、30年に6千万人とする目標は維持している。
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