ヘルニア新治療薬治験へ 山梨大病院、体への負担軽く
山梨大付属病院は18日、腰椎椎間板ヘルニアの新たな治療薬の治験を始めると発表した。人体でも生成される酵素と同じ構造の薬剤を使い、5年以内の実用化に向けて有効性や安全性を検証する。ヒト由来の薬剤を使った椎間板ヘルニアの治験は国内で初めて。山梨大付属病院は「開発を目指している治療薬は体への負担が軽いため早期完治につながりやすく、再発時にも有効」としている。
山梨大付属病院によると、椎間板はもともと軟らかいが、遺伝や加齢などによって硬くなる。硬い状態で腰に負荷がかかると椎骨の間から椎間板が飛び出し、神経に当たり尻や足などが痛む。患者は20~40代の男性に多く、再発も珍しくないという。
治療は手術のほか、患部への薬剤注入の方法がある。ただ、手術は1週間程度の入院や全身麻酔などが必要で、患者の負担が大きい。既存薬は抗体ができやすいため使用回数に限度があり、再発時に対応しにくいとされる。
治験では、山梨大付属病院などが約10年前に開発した、ヒトの酵素と同じ構造の薬剤を使用。飛び出た椎間板に注入すると、椎間板を収縮させることができ、完治に至る想定という。同病院は抗体ができにくく、複数回の注入も可能とみている。慶応大病院と協力し、月内から1年間ほど臨床試験を行い、最も有効な使用量などを判断。その後より大規模な治験を経て、効果や安全性を実証する考え。
18日は中央市の山梨大医学部キャンパスで、同大の島田真路学長や波呂浩孝教授らが会見し、治験の方法などを説明した。波呂教授は「山梨県内を含め、働き盛りの年齢層に患者が多い。体への負担が軽く済み、早めに社会復帰できるような治療薬が望ましい」と話した。
山梨大付属病院は治験に協力する患者を募集している。問い合わせは病院臨床研究連携推進部治験センター、電話055(273)9325。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます