糖尿病「治るタイプ」判明 太っていたら減量が大切 非該当でも生活改善を 「医療新世紀」
▽100人に1人
新潟大の曽根博仁(そね・ひろひと)教授(代謝内分泌内科学)、藤原和哉(ふじはら・かずや)特任准教授(同)らは、全国の臨床医が患者データを集積している「糖尿病データマネジメント研究会(JDDM)」のデータベースを利用。糖尿病専門の医療機関に継続して通院する18歳以上の成人、約4万8千人の1989~2022年の臨床経過を抽出し、最近国際的に決められた寛解の新定義に基づき、どんな条件でどのぐらいの人が寛解になったかを調べた。
その結果、対象者千人を1年追跡した場合に約10・5人、おおむね100人に1人が寛解することが分かった。
藤原さんによると、その中でも、特に体格の大きな人が「診断から1年間に大幅に減量ができた」ことが寛解率と関係が深い。受診後の1年間に体重を5・0~9・9%減らせれば、千人1年当たりの寛解は25・0人に、10%以上の減量ができれば48・2人に増えた。また「まだ薬を処方されていない」なら21・7人、「過去1~2カ月の血糖値を反映する数値であるHbA1cの値が7・0%未満」なら27・8人と高まっていた。
ほかにも「診断からの日が浅い」「もともと体格が大きい」などでも寛解者数が増えたという。
▽欧米と同等
これらのデータは、比較的病状が進んでいない一方で、太っていて生活改善の余地が大きい人は、取り組み次第で投薬に至るまでもなく数値が改善し、糖尿病ではない状態に戻せる可能性が十分にあることを示す。
曽根さんによると、糖尿病が「治る」人たちがいることは、専門医なら誰もが経験していた。ただ、日本人を含む東アジアの人は欧米人に比べ、血糖値を抑えるインスリンの分泌が少なく、寛解率は低いのではないかと考えられていた。今回の研究成果は、それを覆す、日本人初のデータだ。
曽根さんは「体格と寛解の関係は人種差があったが、最終的な寛解率は欧米人とほぼ同じと分かった。条件に当てはまる人が日本でもこれほどいるということは、良い意味で驚きだ」と話す。
▽無駄にならない
「診断から日が浅い」という条件の意味も、よく理解する必要がある。
毎年きちんと健康診断を受け「予備軍」の指摘を受けたらすぐ受診すること、なるべく早く生活改善を始めることが条件だ。健診を受けなかったり、受診を勧められても放置したりすれば診断が遅れて寛解は難しくなる。
一方で「条件に該当しなくてがっかりする必要はない。生活習慣を改めることは決して無駄にはならない。それどころか、とても大切なことだ」と曽根さんは強調する。
適切な食生活や運動習慣により、糖尿病があっても脳血管や心臓、あるいは腎臓などの合併症のリスクは下がり、服薬は少なくて済み、健康寿命が延びることは従来の研究で明確だからだ。
残念ながら今回の研究対象でも、一時は寛解となった3人に2人は血糖値が再上昇していた。良い状態を維持するにはどうしたら良いのか。研究チームは今後、どんな生活改善や治療が寛解や寛解の維持と関係するか、詳細を明らかにしたいとしている。(共同=由藤庸二郎)
それでもドクターは、検査通院を、すすめられる!眼科検診も促されて毎年!
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