アルツハイマー病薬に効果 認知機能低下を抑制 米イーライリリー、申請へ
2023年5月8日 (月)配信共同通信社
【ワシントン共同】米製薬大手イーライリリーは3日、開発中のアルツハイマー病治療薬ドナネマブの臨床試験で、比較的症状が軽い患者の認知機能が低下していくのを防ぐ効果が示せたと発表した。米国では6月までに、日本でも年内に承認申請する。
ドナネマブは、脳内に蓄積し病気の原因となる有害なタンパク質「アミロイドベータ」に結合し除去する抗体を基にした点滴薬。
臨床試験は、認知症の前段階から軽い症状が出た人までを対象とした。1182人のデータを解析したところ、ドナネマブを投与した人は、薬効のない偽の薬を投与した人に比べて認知機能や日常生活を送る能力の低下が1年半後の時点で35%抑えられたという。
一方、一過性の脳浮腫はドナネマブを投与した人の24%、微小な脳出血は31%にみられた。多くは軽度から中等度だったが、重度の症状が1・6%に起きた。この症状により2人が死亡、他に1人が重い症状が出た後に死亡した。各国の薬事当局は、薬の効果がこうしたリスクと釣り合うかどうかを検討する。
同社は、早期のアルツハイマー病患者で特に有害タンパク質の除去が有効である可能性が示せたとしつつ「致命的な病気に対する他の有効な治療法と同様に、重篤で命にかかわるリスクも存在する」とコメントした。試験の詳しい結果は追って発表する。
同じ有害タンパク質の除去を狙った薬では、エーザイと米バイオジェンのレカネマブが米国で迅速承認され、日本でも承認申請中。
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