今の日本は、ものがたくさんあって、食べ物でも電化製品でも好きなだけ手に入る、すごく豊かな
社会です。50年前の日本は貧しかったですから、いまはいい時代に生きているなあと思います。
しかし、豊かになりすぎて変な方向に行き過ぎて、いい時代に生きているわりには、大人はガンに
なったりリウマチになったり、あるいは潰瘍性大腸炎になったりと、いろいろな病気になっている人
が多くなっています。子供は、風邪のたびに高熱を出すことが多く、またアトピー性皮膚炎や
気管支喘息が増えています。
50年前までは、おとなの病気といえば、重労働が多かったので腰が曲がったり、働きすぎからくる
独特の病気が多かったのですが、いまはそのような激しい病気はなくなって、むしろ慢性の経過をとる病気が
多くなっています。子供は青ばなを垂らしていましたし、盲腸炎になったり、また独特の感染症が多かったのですが、
今は感染症は少なくなって、かわりにアレルギーの病気になっています。
このように時代が変わって病気の種類も変わったということは、私たちの生き方自体が病気の成り立ちに大きく
影響していると考えなければなりません。いま医学の世界では、病気の原因は遺伝子の問題ではないかと考えられ
るようになっています。しかし、もし病気が遺伝子異常で起こるなら、不思議なことになります。
まわりを見渡すと、高血圧症とか腰痛などありふれた病気は500万人とか1000万人という単位でいます。
本当に病気が遺伝子異常によって起こるのなら、ほとんどの日本人は、遺伝子の狂った”問題人間”ということに
なります。ほんとうにそうなのかなという疑問を感じます。
私たちの生き方と病気がつながっているということは、慢性の病気を治すためには医者に行って薬を飲むこと
ではなくて、生き方を変えることが必要だったのです。
阿部徹著 「免疫力を高める生き方 食べ方暮らし方」 より