「おれ、誕生日だから登別温泉一泊で予約したぞ」 突然夫がそんなことを言う。
結婚して18年、お互いの誕生日に贈り物の交換などはしたことが無い。
(物は欲してないだろう)と暗黙に互いの心中を踏まえてのことだが、改めて振り返って
本当に何ももらった覚えが無い。だれかの誕生日を口実にすし屋に行く程度。
二人で温泉に一泊なんて、猫のまつげ程も考えたこと無かった。
ちょっとなんだか、いよいよ年寄り臭くなったなあ。。。が、特に拒否する理由も無く。
しかし、なんとなく、このトシでまだそんな贅沢は恥ずかしい。落ち着かない。
それも、じゃらんの『メオトプラン』だって。ああもう老夫婦って感じだ。
なんで、素直に喜べないんだろ。。夫もずっと頑張ってきた。自分も然り。ご褒美だ。
でもやっぱり落ち着かなくて、静さんも誘う。ついでに遂にヨメが来たミウラ君も誘った。
ゆっくり温泉に浸かり、夕食の膳の前に浴衣で五人が揃う。誕生日の夫の為に刺身の船盛が用意されている。
「おめでとう。オメデトウ。OMEDETOU」と皆に祝われて夫はニコニコと嬉しそうだ。
そして 「わたしが62まで生きてこれたのは、母さんがわたしを産んでくれたおかげです。ありがとう」と照れずに言った。
母一人子一人の夫が、ここ10年、静さんに対して素っ気なく、ゾンザイな口ばかりきくので呆れることが多々あった。
ほんとうは大好きなのに、なんで優しくないんだろう・・・と思っていたが、なんとなく分かるようになった。
美人で聡明で 自慢の母が年々明らかに老いてゆく・・・・たぶん夫はその現実の前で50過ぎてもすねていた。
結婚するとき40過ぎた息子のことを、静さんは 「目の中に入れても痛くない」 と 嫁になる私に言ったっけ。
「あ、今陣痛来た!もうすぐ! あ、産まれた!!」宴もたけなわ午後8時すぎ、静さん62年前にタイムスリップ。
人間だけなんだろうか、死ぬまで親子の縁にこだわり続ける生き物は・・・・・
60を二つ越して、夫は少し親離れしたか。。。
結婚して18年、お互いの誕生日に贈り物の交換などはしたことが無い。
(物は欲してないだろう)と暗黙に互いの心中を踏まえてのことだが、改めて振り返って
本当に何ももらった覚えが無い。だれかの誕生日を口実にすし屋に行く程度。
二人で温泉に一泊なんて、猫のまつげ程も考えたこと無かった。
ちょっとなんだか、いよいよ年寄り臭くなったなあ。。。が、特に拒否する理由も無く。
しかし、なんとなく、このトシでまだそんな贅沢は恥ずかしい。落ち着かない。
それも、じゃらんの『メオトプラン』だって。ああもう老夫婦って感じだ。
なんで、素直に喜べないんだろ。。夫もずっと頑張ってきた。自分も然り。ご褒美だ。
でもやっぱり落ち着かなくて、静さんも誘う。ついでに遂にヨメが来たミウラ君も誘った。
ゆっくり温泉に浸かり、夕食の膳の前に浴衣で五人が揃う。誕生日の夫の為に刺身の船盛が用意されている。
「おめでとう。オメデトウ。OMEDETOU」と皆に祝われて夫はニコニコと嬉しそうだ。
そして 「わたしが62まで生きてこれたのは、母さんがわたしを産んでくれたおかげです。ありがとう」と照れずに言った。
母一人子一人の夫が、ここ10年、静さんに対して素っ気なく、ゾンザイな口ばかりきくので呆れることが多々あった。
ほんとうは大好きなのに、なんで優しくないんだろう・・・と思っていたが、なんとなく分かるようになった。
美人で聡明で 自慢の母が年々明らかに老いてゆく・・・・たぶん夫はその現実の前で50過ぎてもすねていた。
結婚するとき40過ぎた息子のことを、静さんは 「目の中に入れても痛くない」 と 嫁になる私に言ったっけ。
「あ、今陣痛来た!もうすぐ! あ、産まれた!!」宴もたけなわ午後8時すぎ、静さん62年前にタイムスリップ。
人間だけなんだろうか、死ぬまで親子の縁にこだわり続ける生き物は・・・・・
60を二つ越して、夫は少し親離れしたか。。。