大きなかぶ農園だより

北海道マオイの丘にある大きなかぶ農園からのお便り・・
※写真はsatosi  

娘、成長す。

2018-10-28 | 日記
冷たい雨が降る。
周りの木々が鮮やかな赤や黄色に色づき思わずため息が漏れる。
しかし、どこに行っても9月の台風の爪痕がまだまだ生々しく、、、
国道を曲がった先の古いお墓の中で墓石を直撃している大木や
家の前の道を塞いだ大木も、道路の隅に転がっている。
田んぼのある山崎さんの屋敷周りの倒れた防風林も片づける暇がない。
あちらこちらの森の中でも根こそぎ倒れたままの大木が未だその状態。
けれど、森も、山も、静かに光っている。。。。。

娘からSOSが来て、先週の週末から4日間岐阜に行く。
婿さんが2週間出張のため、幼稚園が休みの土日に孫の守り係を頼まれる。
「飛行機代だすからお願い!!」という一言で、「それならいく、、」となる。
岐阜に暮らし始めて2年、岐阜の町興しメンバーとして活動し始めた娘が自分の居場所をみつけ
苦手な家事育児のストレスが少し中和されてきたことを感じ胸をなでおろすところだ。
相変わらず部屋の中は空き巣襲来状態だった。(どうやればこれほど散らかれるんだ???)感心する。
台所はごみの分別が事細かにきっちりと実践されていて、それはやる気でやっているのが伝わってくる。
しかし、洗って乾かした牛乳パックが山となって台所の隅を占拠。
ガスレンジの上は色々なものが散らばっている。
さっそく夕飯の支度をしながら、レンジの上をスポンジに水を含ませて擦ればすぐに落ちてピカピカ。
ご飯炊ける間、山となった牛乳パックを開けば、あっという間に山は跡形もなく。。。
「母さん!すごい!どうしたらそんなこと出来る!!!」いつものように娘が感嘆狂喜乱舞。
「スポンジ水で濡らして擦っただけだよ」毎日汚れたレンジ見てれば、気持ちが汚れに冒される。
そのうち、強力な洗剤じゃないと落ちないんじゃないか。。などと妄想し、さらにやる気が失せるのだろう。
洗剤が無い我が家での経験上、大抵の汚れは熱湯と塩があればなんなく落ちる。
旅費浮いた分働くぞ!と張り切って片づけまくる。冷蔵庫の残り物で4日間をやりくりする。
「あの材料でこれが出来たのーー!天さーい!!」娘歓喜!!(えへん、家事能力高いからね、、)
ベランダとサッシの溝ににたまった砂埃を歯ブラシで取っていたら、孫も自分の歯ブラシで掃除を始めた。
「それでまた歯磨きしたらだめだよ、、」「うん」 アプローチ次第で役に立つ。仕事好き。気が合う。
「母さんほんとに助かったありがとー!!」とバス停まで見送られて4日間の任務終了。やれやれ

「かあさん○○が無いんだけど。◇◇どこにやった?」千歳空港に着いたとたん複数の着信メール。
この部屋整理してー!と言われ、「お安い御用」と引き受けて、部屋はすっきりしたのだが。
「え??、、うーーーーーんと、あそこに無ければ、、思い出せない。。。」ただただ平謝り。
その後さらに娘から あれ、これ、それ、無い、無い、無いと泣きそうな声でうったえてくる。
分類して片づけたが、捨ててはいない。どこかにあるのだ。ひとつひとつの袋を開けて行けば良い。
しかし、それは娘が最も苦手な作業なのだ。。。娘の心中を想像すると、、、恐ろしい、、、ワナワナ。。。
それから1週間、しょんぼりと過ごしていたが、「出てきた!!!」と写真つきで連絡が来た。「ほっ。」
もっとコテンパンに叱られると思ったら、娘、ずいぶん大人になってるんだな、、、失せ物が教えてくれた。 


あるある

2018-10-22 | 日記
突然バケツをひっくり返したような雨が降り、、5分もして止んだ。
国道を家から畑に向かって走りながら、ふと右を見たら大きな虹。
昨日もこんな大きな虹がでた。今年はじめてみた虹。。。

「昨日ATMでお金おろして家賃振込んで、、、別な場所で買物しようと
財布見たら残りのお金が無い。探して、探して探しても無くて、、、
ああ、ATMに置きわすれたんだ、、、心底年取ったんだって思った。
ものすごく落ち込んで、、情けなくて、、自分が嫌になって、、」
そうだよね、そんな失敗今までは無かったのに、ショック大きいね。。共感共感。
「ほんとうに、もう自分はお金のことは一切しない。娘にやってもらう。絶対自分はしないぞ。。。」
ふと通帳を見たら残りのお金が挟まっていて、、、「なああんだ~!!」さっきまでの感情がサッと拭われた。
ちょっと年上のKちゃんが、わずかな時間に起こった出来事の心の起伏を話しながら笑っている。
あるある、そういうこと、いくらでもある。
荷物の発送伝票、確かに書いたはずなのにどこにもない。しばらく探すが時間惜しくて書き直す。
(ぜったい書いたはず。。)それがずっと気になる。何日もたって思いがけない所から出てくる。
(やっぱり書いていた)とそこでようやく落ちつく。
最近夫との間の言った言わないでモメルことは無い。お互いほとんど聞いてない。すぐ忘れる。
だから、相手が言ったというならそうだろう。自分が聞いていなかったの。。かもね、、
じぶんはそんなこと言った覚えないのに相手がそう聞いたというのなら、、たぶん、言ったの、、かもね、、
まぎれもなく今この一瞬に生きて、後は野と成れ山と成れ。
この現象は、狭くなっていくばかりの世界だと思っていたが、どんどん広がって正常に見えてきて、、
生きるって、どこまでもどこまでも自分に都合よく自分勝手に設計されているものなんだな。フフフ

ギューッと抱きしめたい

2018-10-14 | 日記
稲刈が終わり一安心。
今年の収量はぐんと少ないようだが、生きてるだけで丸儲けってことで。
ヨボヨボしていても、やりたいことがあり、やることがあって、それでよし。
冷たい雨が降り、なんだか冬がすぐそこに来ているような。。。。
自分の家や仕事場をうしなったひと、家族をうしなったひと、、、
更に世界中を見渡せば過酷な状況を生きている人達がいくらでもいる。
その状況を使ってじぶんを知り、大切なものが何かをみつけたり、
そうかと思えば、絶望し、混乱し、じぶんを見失う人生もあるだろう。
どちらを選ぶことも自由なら、それに耐え超えていく意志にはその状況が与えられるのか?
ならば、じぶんの力の限度はこのゆるゆるでおわりか?
すごく安心、だいぶがっかり、、、、怖いもの見たさで、想像を超える新しい自分に出会ってみたいが。。。

台風、地震、風邪ひき、、と忙しくて女友達とゆっくりお茶飲む時間がなかったけれど、
Kちゃんに豆の選別手伝ってもらいながら、久しぶりにとりとめもなくお喋りタイム。
親を見送って、自分が元気なうちはお寺に通えるけれど、子供たちはもう来れないだろう。
じぶんの始末をどうするかの話になる。一人暮らしのKちゃんは合同墓地にするかな、って言う。
ちょっと前なら、あたしも一緒にそれにするー!とか、夫婦は一緒に同じ場所に、とか頭が考えていた。
故郷離れて約半世紀、帰りたいなどと少しも思わなかったのに、ここ数年でじわじわ軸がずれ
「死んだら、故郷の土になりたい」と思うようになる。不思議。どうやら夫も生まれ故郷に還りたいそうだ。  
若い時、死んだ後のことなどどうでもいいって本気で思っていたのに、「故郷の土に還りたい」か。。。
なんだか、ギュ-ッと抱きしめたいほどニンゲンっていとおしいなあ、と思った。

映画の力

2018-10-07 | 日記
温帯低気圧に変わった台風25号が、家の周りの木々を
いたずらに揺らしている。
先週の日曜日、半額のいなり寿司を5個食べた後、
何ともないので、寝てばかりいた反動で調子にのって長沼温泉に行く。
帰ってきて湯豆腐鍋をつつきながら、夫が美味そうに飲んでいる
ビールを思わず一口飲みたくなる。飲んだ。(ああ、うま、、)
で、元の木阿弥となり、更に3日布団から出られず。。。
咳とか鼻水ならつい動いてしまうが、頭痛なら全く何もできず。
久しぶりにひいた風邪ですっかり涵養することになった。
そして、治った途端、映画が観たくなり樹木希林の「日日是好日」を観に行く。
「よかったな。ほんとによかった。俺、こういうのが好きだな」 、見終わってすぐに夫が珍しく口を開く。
じつは自分も本当に予想以上に静かに感動していた。
お茶の稽古の場面が淡々と映し出される。静かで美しい映像。人の内面が成長する様が浮かび上がる。
60年かかってようやく腹に落ちたことが(ああ、、、、)と深く納得させられるようで、、、
だから、7つ上の夫の「よかった」をあえて「どこがよかったのさ」と聞くのはやめておいた。
観た人が各々の人生をそこに重ね、各々の今日を歩きだす、、、あたりまえのことの尊さ。
ひとを感動させる映画って、すごいな、とまた思った。役者ってすごいなといつも思う。

みんな逝ってしまう

2018-10-07 | 日記
2018 10/2

あっちでもこっちでも大型台風また暴れている。
地球上を更地にする気かい?

先週末、娘婿の父昭治さんが亡くなり横浜に行く。
昭和元年生まれの91歳。ここ3年ほどを自宅近くの介護付老人ホーム
で過ごしていた。今年の夏は特に暑く体力が落ち、、眠るように逝った。
その前の週はKちゃんのお母さんが逝き、Tちゃんから義母が危ない
ので今本州なの、と電話が来た。
そして、さっき灯り作家のマコちゃんが安らかに旅立ったと連絡をもらう。
今年は、ヒデキも逝き、希林さんも逝き、さくらももこも逝き、、、あのひとこのひと、、いっちゃったなあ。。。
昭治さんの告別式の朝、「母さん死にそうなとき延命しなくていいからね」と娘にいうと
「あ、このカードで自分の希望する事しない事、振り分けてみて母さん」 トランプサイズの50枚ほどの
カードを渡された。(へ~こんなカードがあるんだ!)いろいろ色々書いてあったが、結論としては
苦しかったり痛かったりしたくないだけだった。苦しむならすぐに逝かせて~~~!!と頼んだ。

金曜の朝から突然頭痛がして夜になると熱も出てきたようで昏々と眠る。翌日も頭痛は治まらず
寝てばかりいるから腰も痛い。吐き気もしてきた。食べてないから出るものが何もないのに
何故吐き出したくなるんだろう?七転八倒の妻に夫は少しも動揺せず、台所で何か作ってる。
「これ飲んでおけ」とスープを枕元に置いて行った。
2年に1度くらい、突然熱が出る。そのとき夫は何故だかウキウキこのスープを作る。
わざわざ北広生協で大根と蓮根と分厚い九州の乾し椎茸まで調達し、コトコト煮詰めて作った
第一大根湯Ⅱ。(ああ、うま、、、)また昏々と眠り、翌朝目覚めるとまだ頭が痛いのに編みかけの毛糸に
触りたくなる。読みかけの本も読みたくなる。腹、ぐーっと鳴り、下に降りるとテーブルに『半額』と
赤いシールの貼られたいなりずしのパックが置いてあった。いなりずしは妻の好物。
サザエでも生協でもどこのでも美味しく食べる。
しかし、いま、この状態でどうか、、と思ったが一つ口にいれてみた。 (あら、うま、、)
1時間置きくらいにひとつ、また一つと食べているうちに5個食べた。
そうして、気が付くと、なんとなく頭痛は治まっていた。この程度の苦しみではまだ逝かないんだな、、