大きなかぶ農園だより

北海道マオイの丘にある大きなかぶ農園からのお便り・・
※写真はsatosi  

任務は、実は、、、

2016-10-31 | 日記
雪がちらつくこの頃。いよいよ来た来た。。。。冬将軍。
ビニールハウスの中で、まだまだ花を咲かせて生きる気満々なピーマン。
背高のっぽで寒がりののオクラは早々と葉を枯らした。おつかれさん
茄子の実もこれ以上大きくはならないな、と取り切る。今年は身体ばかり大きくなったね。
ひも唐辛子、ぶら下がっている小さな細長い実をこれ以上大きくさせるのは無理のようだ。
ハウスの天井まで伸びていた暴れん坊トマトも気温が下がって葉が茶色に変色した。
実がほんのりピンクにはなりつつも、これ以上はここに置いたら霜にやられてしまう。
一本一本から実を収穫しながら、枝を吊りひもから外し短く切っていく。
(あんなに小さかったのに、よくこんなに太く大きくなったものだね!)
(今年は一段と美味しかったね!)(土に還ってゆっくり休んだらまた堆肥になってトマト育てるんだね)
 いっぽんいっぽんと、とりとめもなく話がはずむ。ほんとに植物も、人、犬、羊、ヤギも皆同じだな。
トマトと喋っているところへ、夫が妻の留守に3匹ももらってきた猫の「らん」が足元にじゃれついてきた。
「世話、誰がするのよ!?」と妻の反撃を恐れて何の相談もなく突然来たねこ3匹。
任務は「米倉庫のネズミ番」 魚の骨大事に残して猫たちに与えてる。(なあんだ任務は爺さんの癒し番だったか。。。)    
春に「鹿追隊」としてやってきたはずの子犬2匹は、豆は収穫の時期を迎えるも未だ鹿追研修はなされず。
豆畑に向かってやけに吠えるので「それ行け!」と放すと、畑まで行かず道ばたのパフォーマンスだけで帰ってくる。
結局、夫が畑の見回りに行くとき、助さん角さんのようにはしゃぎながらついていく黄門ごっこの相手犬だった。
最近、鹿は豆畑で寝起きしているようだ。
   ぐわあーぐわあーぐわあーとけたたましく白鳥がハウスの上を通過していく。
              (白鳥、もう来たのか。。。。)


              

18才と81歳の違い

2016-10-17 | 日記
山々が黄色に色づいた。玄関横の楡の木も、バサバサ葉を落として来年の足元を補給。
養分をすっかり根に受け渡して茶色の一本の固い棒と化したイタドリの根元を掘ると
新しい芽が土の中で膨らんで、春を待つ準備を整えていた。 感動で泣きそうになる。

2-3日前テラちゃんが「見て!見て!!」と一枚の紙をもって来た。以下文面。
  「18才」と「81歳」の違い
〇道路を爆走するのが18才、逆走するのが81歳
〇心がもろいのが18才、骨がもろいのが81歳
〇偏差値が気になるのが18才、血糖値が気になるのが81歳
〇受験戦争を戦っているのが18才、アメリカと戦ったのが81歳
〇恋に溺れるのが18才、風呂で溺れるのが81歳
〇まだ何も知らないのが18才、もう何も覚えていないのが81歳
〇東京オリンピックに出たいと思うのが18才、東京オリンピックまで生きたいと思うのが81歳
〇「嵐」というと松本潤を思い出すのが18才、鞍馬天狗の嵐寛寿郎を思い出すのが81歳
〇自分探しをしているのが18才、出かけたまま分からなくなって、皆が探しているのが81歳
 笑って笑って、また免疫上がり、このままじゃうっかり81まで生きてしまいそうだ、、、、、アブナイ

やれるもんだな。。

2016-10-10 | 日記
晴れ間をぬって夫は稲刈り。機械で刈り取った稲は倉庫の天井まである大きなタンクに投入。
程よい水分になるまで乾燥させた後、ガラス質の籾を剥がす籾摺りをしたものが玄米。
玄米を精米機にかけてさらに皮をむいて3、5、7ぶ搗き等、、、、すっかり剥いたら白米。
 新米は今年の天からの贈り物。
あっちの機械が動かない、こっちの装置が突然止まった。大雨だ大風だ。日照りだ。
今日は夫が米を積んで走っていた2トントラックのマフラーが突然落ちた。
渡辺さんが居てくれて、サッサか針金で抑え、雨の前に米は倉庫に納まった。天の助け!
毎日毎日何かしらのすったもんだを乗り越えて迎えるこの時期。感慨も深い。
今朝、阿蘇山が噴火。南も北も天の計らいに翻弄され続けながらの今年の秋だ。
天と女房がへそを曲げたらにっちもさっちもゆかぬが。。。機械など可愛い方だろう。
修理代の請求書なんか、恐いけど恐れるものか! と思いたい、、思うことにするぞ。。思う・・思った。
ここ数年は誰かしら若い子が居て力仕事を任せていたが 今年はおおむね夫婦二人で遣り繰りした。
夫をできるだけ農作業に従事させるため、妻、重い腰を上げて発注、事務仕事、配達、街で野菜売り。
その合間に、農作業。 いままで編み物ばかりしてたのに、やる気になればやれるもんだな。
今年のハイライトは、30kの米袋を20袋、積んで降ろしてまた積んで、、4-5工程を3時間半の一人仕事。
ふたりでやる時には決して出なかった力が、一人でやると決まったら、出た。米農家の母さんなら普通だろうが。
30kを持ち上げる瞬間、「ハッ!!」と声を腹から出して、下っ腹(丹田)に力を入れると、ひゅっと持ち上がる。
最後まで疲れずにやり切った。 その後、まだ残っていた力でジャガイモも掘った。 ふふふ 
スポーツ選手が、サーブなどのここ一番で腹から声を出すが、(これだ)と納得した。丹田は無限の力を持っている。
あんまり嬉しくて「とおちゃん聞いてよ!。。」といえば、(ふん)と鼻で返事する。いつものことだ、、ま、いいか、、、
肉体の自分と魂の自分と、二人きりで思う存分喜びを分かち合った。(自分にしか分からないよねー)って。
夫は、50数キロあった体重が日に日に減少しつつも、自分より大きな機械の力を存分に借りて一年を遊び呆ける。
「あれ、もう古いから、これ、新しくした」 と、あの機械、この装置がいつの間にか仲間入り。どうりでご機嫌なはずだ。
とおちゃん、あんたはいつだって、少しも請求書を恐れた事がないよね。水面下で水を掻く者がいることさえ知らず。
67の夫、60の妻、各々の限界を振り切ってあすはどこへ。。。。。

ゴッホの呼び出し

2016-10-03 | 日記
今年は周りの農家とさほど変わらないペースで稲刈りが始まった。
台風で水が切れた時があったり、草に覆いつくされたり、今年も波乱に満ちていた。
毎年、思っていることの1~2割しか世話ができていない様な自分たちだが
稲は、だからこそ、と言わんばかりに自力で育ち、刈入れを迎えられたことは本当に感謝だ。

半月ほど前、『4年前神谷バーで知り合ったヒグマです』と電話がかかって来た。
札幌に仕事でくるのでその合間に寄りたいと言うのだ。
毎年11月、浅草酉の市に行った際、雷門の並びの神谷バーに時々立ち寄る。
神谷バーは地元の人達と国内・海外の旅行者が入り混じって熱気溢れる交流の場なのだ。
入れ代わり立ち代わり様々な人たちと話すので、電話で名前を告げられても全く見当がつかなかった。
レンタカーでやって来たのは、26歳の青年だった。 「あー!君か!!ニューヨークで出会った女の子と来ていた!」
「そうです、ゆみちゃんと一緒にいた。覚えていてくれましたね」 その時夫が渡した名刺を大事に持っていた。
彼が作業療法士として働いていると知り、4年前の2月にスケボーで転んで前頭葉が全滅した息子の話しになった。
息子の入院生活3ケ月、リハビリには毎日作業療法士さんの世話になっていた。
泣き笑い3ケ月の看病話を真剣に聞いてくれて、自分がこの仕事をしていて、今感じていることは
家族があきらめない人が治っていくように思う、と言った。
その言葉を聞き、はっとする。 息子の左の頬の感覚がまだ戻っていないこと、そして嗅覚が戻っていないこと。
主治医から前頭葉が全滅ということの説明を受けた時、それは昨日までの息子が息子で無くなる事を意味していた。
今も息子の前頭葉は全滅状態だが、無理だと言われていた仕事に就くことや車の運転なども普通にしている。
ここまで回復したのだから、、と安心し、あきらめたつもりはなかったが本人の自己管理に任せていた。
(彼はこのことを知らせに来てくれたのか)と納得し、週末すぐに息子の住む岡山を訪ねた。
突然の訪問に駅に迎えに来たけいこさん(嫁)が何があったかとびっくりしたが、これこれしかじかと話すと納得した。
「実は、私もふと同じような事思ってたとこやねん」そうなのか!以心伝心。
翌日は、看護師のけいこさんが仕事に出た後、休みの息子と海岸線をドライブしたり、家で映画を観ながら
持って行ったオルゴンリングで手足や背中・首・頭などを念入りにこすった。
今年の5月に息子夫婦と友達のどくさんが遊びに来た時は、親の家とはいってもひとの家なので非日常だが
ここは息子の家だ。日常の息子が浮き彫りになる場所で、母はアンテナをピコピコ立てて息子を感じる。
運転中の言動や、思い立って台所で何か作ってくれたりすること、などなどがより息子に戻っているように思う。
息子にも母が来た訳を話す。違和感なく「そうか」と受け止め今の自分の心境などを漏らした。 ふむふむ・・
絵を描くことに集中したくて東京から岡山に来たが、なかなか思うようにはいかないこと。そりゃそうだ・・・
母にしてみれば、こうして普通に暮らしているだけで充分。今更ゴッホやピカソになってくれなくていいのだ。
しかし、夢はいくらでかくても良い。3人でもう一度、頬の感覚と嗅覚を取り戻すために何をするかと確認し合う。

 ふっと、ある日突然、風のようにやって来た青年が、自分の中の衝動を促し、行動させる。
それは、じつは息子の内なるゴッホからの緊急呼び出しかもしれず、、、、ゴッホの母まだまだやることありそう。 ハハハ