大きなかぶ農園だより

北海道マオイの丘にある大きなかぶ農園からのお便り・・
※写真はsatosi  

毛艶の深層

2019-04-21 | 日記
風はまだ冷たいが、ぽかぽか陽気のこの頃。
家から200m離れた小屋で暮らすヤギの母さんが、トコトコやってくる。
毎朝、家の周りの草や木の芽や外に置いた野菜くずの入ったコンテナを
手当たり次第に物色する。ブルーベリーの新芽を食べられないように追う。
タッタカ逃げるが、またすぐに来る。毎年、今の時期になるとこの繰り返し。
冬の間は一切来ることなどないのに、春先、新芽が出る頃になると必ず
朝一番にやって来て、しばらくウロウロして、勝手に小屋に帰っていく。
昔、羊の一家や父さんに子山羊もいて大所帯の頃は皆で連れ立ってきた。
去年、アライグマと戦って傷ついた羊のシュンが死んで、母さんヤギは小屋に一人で住んでいる。
「淋しいかなあ、ひとりなら・・・」と夫に言うと「否、母さん毛艶よくなってきた。
シュンと居るときはストレスで 毛がパサパサだったからな」
 (あ、そうなんだ。。。鋭い観察)そういえば母さんいつも笑ってる。
気が合わない者同士が暮らせば、毛艶にまではっきり出るのか。。
ふと、自分の髪に触ってみる。ぱさぱさ。。。妻の毛艶には少しも気付いてないようだ。。。。。

すろーなじじ、、

2019-04-15 | 日記
田畑の雪はすっかり消えた。
今年は、田んぼを引き継いだ斎藤圭太(28)が育苗ハウスのビニール掛け、
籾の消毒等を一人で淡々と進めている。
夫は心配な気持ちや、自分もまだまだやりたい気持ちで一杯だろうが、
自分たちに田圃を任せてくれた山崎さんが、辛抱強く見ていてくれたように
今度は自分たちが、圭太を見守っていく立場に徹する番が来た。
年々、地域に溶け込み成長していく姿は頼もしい。
就農初年度の去年は天候等で米も大豆の収量もガタ落ちだったが、
地域の人に、もっと厳しかった年も有ったと聞かされ、励まされた。
腐らず、発酵の道を選択して進めと祈る。

「お前ホントに早いな!俺が一切れ食ってるあいだに4切れも食って。。。」夫が心底驚き呆れ顔で言う。
無茶々園から次々と新しい柑橘が到着するので、各種切って皿にのせてまずは味見してみようとなるが。。
ほんとだ、ジイサンなんでそんなにモタモタしてるか。。夫と妻のリズム、テンポは正反対。
たとえば長沼温泉に行く、車を降りて妻サッサカ歩き温泉の受付で待てども、毎回夫なかなか来ず。
ある日こっそり観察したら財布に入れてあるらしい温泉のスタンプカードを、車の中でずーっと探している。
ようやく受付に来てスタンプ押してもらいながら「今日2倍じゃないのかい?」などと真面目な冗談言って
お姉さんを困惑させる。たまに気の利いたこと言って相手になってくれるタイプもいて、そこでまた長話になる。
毎回の事なので妻無表情で(ははは)と愛想笑いしながら、さっさか温泉めざす。
うしろを振り返るとずーっと後ろから夫が壁の広告やらなにやらを見ながら、ゆっっくりと歩いてくる。(。。。)
入浴時間も妻は15分後にはすでに大広間にいるが、それから30分以上待って夫がゆっくりやってくる。

グチャグチャと話せば。。

2019-04-07 | 日記
時々ふらりと遊びに来るKちゃんが、めずらしく泣きながら電話をしてきた。
小さなときから喘息持ちで体が弱く、体調を調整することが日常の大仕事。
高校の先生をしているが、そういう事情で担任は持たず、週の「この日」だけは
無条件に休めるように学校側にも理解してもらい、20年ずっと働いてきた。
週に「この日」があるだけで本当に気持ちが楽になるのだという。
新学期を前に時間割をつくる担当の先生がKちゃんの「この日」に
Kちゃんの授業を割り当て、それに抗議したKちゃんともめたのだった。
「自分が身体の事でどれほどつらいか、少しも分かってもらえてない」
悔しがるKちゃんの話の内容を聴きながら目の前に映像が次々に浮かんできた。
Kちゃんは自分の身体のことで頭がいっぱいだが、相手の先生も初めての時間割担当で頭がいっぱい。
校長先生にも聞いてもらったがラチがあかないようで、「全くもう先生同士のココロがバラバラなの」と泣く。
心バラバラは悲しいね。。(校長せんせ、水虫痒いか、家庭内のもめごとでいっぱいいっぱいか?)と妄想。
「こんな体の弱い自分なら先生やめた方がいいんだ。教えるのは自分じゃなくてもいくらでもいる」とオイオイ泣く。
「やめたらだめだよ。勉強はひとりでも出来るけど、わざわざ授業料払って高校に来ているからには
身体の弱い先生が自分の身体と向き合い、その自分を活かし、心バラバラな周囲と調和して生きようとする
姿が授業に顕れる。今のKちゃんにしか出来ない。」。。ひとのことは冷静に見えるもんだ。。。。
先生同士弱音吐き合えればいいのにね。「そうなの、そういう学校にしたいの!」 涙が止まり、心が前を向いた。
何もかもに失望し、憤り、泣きたくなるようなこと、誰かにグチャグチャと話せば自分の耳が心が聴いている。
少し周りも見えてくる。そして身体の中で答えが出番を待っている。人生その連続。それを面白がる。
自分だけが大変な事背負っていると勘違いしているから優しくなれない。お互いに。。。