大きなかぶ農園だより

北海道マオイの丘にある大きなかぶ農園からのお便り・・
※写真はsatosi  

ひと粒の種から

2011-08-31 | 日記
盆を過ぎたら一足飛びに秋模様。
あれほど若々しく伸びるに任せていた川の淵のイタドリもよもぎもゴワゴワと貫禄を増した。
ささげも実を成らせるだけ成らせ盛りを過ぎたが、まだまだ白い花を咲かせ続ける。
家の周りの草も1-2度は刈るがあとは花を咲かせ種をつけるまで見届ける。
よそのきれいに整えられた畑や庭を見て、一瞬刺激を受けて草取りに励むが
いかにせ取りきれない。植えたものが息ができる程度の取り方でよしとする。
名前も知らない草花に家の周囲を埋め尽くされた緑の海をみると、それはそれで美しい。
この草にこんな花が咲くのか!こんな種が実るのか!!いちいち驚く。
そして、自分が吸い込む酸素の分は家の周りの草木で一生賄えそうだと安心する。

恵庭のエコリン村の中にある「とまとハウス」をたまに見に行く。
一本のトマトが伸びるがままに伸び、実を1万個も稔らせるという。映画「ガイアシンフォニー一番」にも登場した。
水耕栽培によって、あらゆるストレス(土さえも)を取り除くとこのように育つらしいのだ。
種は普通に売られている種だという。しかも、一番しっかりしてそうなのはダメだったらしい。
どこまでも「ふつー」の「ひと粒の種」が、環境を与えられて発揮する力を目の当りにすると勇気百倍。
自分の中にもこの力が潜んでいる。。。と確信させてくれる。それを感じたくてトマトに会いに行く。
いっぺんでいいからこんな一生を体験してみたら自分のチノウ・サイノウ・ビボウはどう開花するのか。。。。
あらゆる角度から妄想してみたら、意外にすぐ飽きた。ストレスのない人生は退屈だな。
あんまりキレイだったり賢かったりするとなかなか嫁にも行かないらしいが、2度も嫁入りしたし。。。。
これ以上ビボウが増したら、今なら必要ないビボウ維持にありったけの予算を費やすのかもしれず。。。。。
やだやだ、、、やっぱり、いつもの、あの、ストレスまみれのじぶんがちょうどいい。
窮屈な土の中で、こちらにしか行けない、という進路をやっと見つけて根を伸ばす。虫につつかれ豪雨、日照りに
ヒーヒー言いながら、なんとかかんとか生き延びて、(自分ってなかなか図太いな・・)とにんまり笑う。






黒米(もち米)とうるち米


再生 五右衛門風呂


目は臆病 手は鬼!!

2011-08-19 | 日記
田圃の一面からヒエの穂が一斉に伸びて稲を見下ろしはじめた。
「いきなりだねーーーー!」「みごとだなーーー」  関心している場合じゃない。

田の水は深くしておけば草を生やさない効果もあるが、その年の気温等で水の温度や
様々な要素の側面がある中、今年の「今」「今」「今」をどう判断してどう手を打つか。。。。
「百姓は毎年一年生」とベテランの農業者ほど謙虚にそう言うのをよく聞くが、
ほんとうに一年生なんだもの、ひとつひとつ体感して学んでいくしかない。
しかし、雑穀にアワもヒエもあるのだからそのまま稔らせてヒエ入り米でもよさそうなのに
と、主婦的には思うが、米農家の誇りにかけてそれはまだ許されない。
いつか、知り合いが犬用にくれた米にヒエが入っていたが、その粒は美しかったな。
今でこそ、ピーマンの種もなすのヘタも、根菜の皮も根っ子も、ネギのひげも食べるのが当たり前になっているが、
田圃のヒエも必要不可欠な食材になる日がすぐそこまで来ているのかも知れない・・・・・未来予想図頭をよぎる。
「とおちゃん、ヒエ入り米の方が需要あるんじゃないの?」と大真面目に夫に提案すれば、
(ヒエ抜きまぬがれようと、屁理屈こねだしたな・・・)「ふふん」と鼻先で夫せせら笑い。
(そうやって男社会の残像を好きなだけ引きずっていればいいさ・・・) 「ひひひ」 心の奥で妻薄ら笑い。 

最近心に留まったことば 「目は臆病 手は鬼」
《山のように溜まった洗い物や、果てしなく広い田圃の草などを目にした時、一瞬呆然としてしまう。
しかし、ひとたび手が動き出せば、確実に、手は事を推し進め、やり遂げてゆく》というようなことだった。
なあるほど~~~ ほんとにその通りだ。
便利な道具がコレでもかと並ぶ店で「おっ」と思わず買っても1、2回で必ず使わなくなる。
手に優るものなし。 毎日、片時も休もうとしないで動く自分の両手を、思わずじっと観る・・・・・・
鬼って悪者のイメージだったけれど、「強い意志の力」「やり遂げる実践力」の象徴でもあるのかな。
そういえば不動明王ってそういう人なのかな。(いつも怒ってる)って思ったりして悪かったな。



なずな 百姓塾で なずなの田圃研修






里芋畑 




きゅうり畑で
これに キュウリが沢山ぶら下がるのです
何と 閑散とした 葉っぱでしょうか?


蓮畑 蓮根が食べられるかな



堆肥場


JR九州 大分から博多までの特急電車 ソニックの内部
素敵でしょう 斬新な車両ですよ
 


夫の居ぬ間に・・・・

2011-08-15 | 日記
「もしかして、山の田圃にほたる来てるかもな」 夫が思い立ち、暗い夜道を車で向かった。
5-6枚段々になった棚田の一番上を借りている。
ヘッドライトを消して真っ暗闇の田圃の水口辺りにじっと目を凝らす。5つほど光った。
「いたー!!」「あれ!いたいた!」「おーー!」夫とよねちゃんと私で歓声を上げる。
他も見に行くが見当たらない。「やっぱりうちの田んぼが一番いいんだな」と夫。
『あ、今夜は一番上の人が俺たちのこと見に来たぜ・・はやく位置につこう。』って、
蛍さん言ってますけど。私がちゃかして蛍語を通訳する。
「そうかもな」と反論せずに、ただただニヤニヤ嬉しそうだ。蛙は大合唱でひやかす。
なんだか少しずつ昔の環境が戻ってきているよう思うのは気のせいなのか。。。

木曜日、夫を空港に送り、留守の間の『本日のやること』を、さっさと段取りよくやって
さてさてなにして遊ぶかな・・・・・と思うまもなくメールがぴろぴろ鳴る。
〔やぎ、つなぎ変えろよー〕   わかってる、わざわざメールよこさないでいいから。
〔たんぼの水落としてあるから、山崎さんにやり方聞いて入れておけ〕 はいはい了解。
〔今空港ついた、九州暑い・・〕〔今どこどこだ・・・〕 報告いいから黙って目的地目指せ。
・・・・土曜日、ようやく静かになって、6月から畑を手伝ってくれているよねちゃんと
女時間、女天国、おんなの楽園はじまりはじまり~~~~
畑仕事を朝夕の涼しい時間に集中して2時間ずつもやれば快適にぐんとはかどる。
夕方畑から帰って温泉に行く。まだ明るい長沼温泉の露天風呂の岩の上にトドと野良猫コンビ毎日出没。
さっさか家に戻り、冷凍庫でキンキンに冷したグラスにサッポロクラシックをトクトクトクーッ・カチンと乾杯して
ぐびぐび~~~~~っとやって「ひゅう~~~!きょうもおわった~~」
ご飯も女だけだと何故か気楽に、具沢山麺とか、具沢山煮物とかで一品集中栄養メニュウ。
合宿所とする母屋の2階の板の間で、枕並べて9時過ぎにはバタンと寝る。
朝6時前、パチリ目が覚め、外の景色眺めごろごろしながら 「お腹すいたね」「チーズバーガーにするか」
コーヒーのお湯を沸かしながら、売れ残って山のように冷してあるトマトをジューサーにかける。
メノビレッジのライ麦パンにチーズをはさんでトースターに入れる。
よねちゃんが出来上がったものからハウスのテーブルにひょいひょい運ぶ。
はるか農園の卵が4パック余って珍しくゆで卵をいっぱい作る。1個ずつ食べてあとは醤油浸けにする。
いつも必ずあるのは山盛りのサラダ。きょうは大根、水菜、キュウリ、ブロッコリー。塩コショウとオリーブオイルと酢。
外の景色眺めながらゆったり食べる。よねちゃんと夫は同い年で喧嘩仲間。まるで夫の双子の姉って存在だ。



家出の連鎖?

2011-08-02 | 食生活
あっという間に7月も終わる。転がるように一年の折り返しを過ぎた。
稲の花が咲いた。「咲いたね咲いたねーー!!」と手をたたいて讃えると、揺れて応えた。
ビニールハウスに植えたオクラに葉ダニがびっしりついてなかなか成長しなかった。
毎日葉の裏を観察しては、手の平で擦って潰すが、力が入りすぎて葉もボロボロ。
刈った草を敷き詰めて暑さ寒さから土を保護し、毎日話しかけながら1ヶ月過ぎた。
毎日観ているのに、ある日突然急に大きくなって花を咲かせ実を成らせた。
ボロボロに穴の開いた葉がボロボロのままグングン大きくなるのが感動ものだ。
(こんなにボロボロの葉は取ってしまおう)と思うこともあったが取らずにここまで来た。
そして、取らなくて良かった、とつくづく思った。
ボロボロでも、自分のできる分だけ、精一杯光合成して全体を支えている。

「ひわさんわたしも家出してきた」とあーちゃんがやってきた。
五月の連休に10日間の家出を決行した折、鹿追で偶然知り合った、息子と同い年のあーちゃん。
「夫の今回のこれだけは絶対に許せない!」と一大決心で別海町から慣れない長距離運転でやってきた。
途中、野中温泉に立ち寄った際、偶然知り合いの男性と鉢合わせ。
彼は「女房に出て行けと言われて家を出た。福島第一原発に行って働く」と自暴自棄の人だった。
お互い、思い切り胸のつかえを吐き出したら、彼は家に戻る気持ちになったという。これも必然の縁か。。。
そのあとあーちゃんは、生まれて初めて大都市札幌の街の中を、運転して友達に会いに行った。自信となる。
運転の緊張と、旅の疲れで、長沼にたどり着いた時にはヘトヘトだった。
家を出たときからずっと咳が出ていて、とうとう肺が痛くなって病院にいかなくちゃ・・・と胸を押さえ込んでいる。
食事もできない、と言っていたが昼に納豆パスタをペロリと食べた。キャベツの葉を肺に当てると気持ち良いと言った。
枇杷の葉エキスをキッチンペーパーに含ませて胸に当て痛み止めとしてみる。
とても暑い日だったので、冷凍にしてあった苺をミキサーにかけてシャーベットにしたらそれも食べれた。
一眠りして夜になり、少し元気になって「タカダワタル」のDVDを観ながら暖かい野菜スープを飲む。
なんだかグングン元気になって、カラオケで山口百恵の「プレイバック・・・」を”ばっかにしないっでよー!”と
思い切り歌い上げた。「ルージュの伝言」を”ウワキナコイヲハヤクアキラメナイカギリウチニハカエラナイー!!♪”
と、長い黒髪と落ち着いた物腰のみかけからは想像もできない大胆な歌唱力で熱唱した。
そうして、私も夫もあーちゃんもゲラゲラ笑いながら夜の夜中まで歌い続け、疲れてぐっすり眠った。
翌朝、あーちゃんは 富良野のハスカップ摘み放題に間に合うように、って 元気に長沼を発った。
その数日後「これから家に戻ります」と笑顔の写真を添えたメールが送られてきた。


稲穂が出たよ


美味しいキュウリですよ


ズッキーニの葉の中に ちゃっかりアオガエル


落花生の花