大きなかぶ農園だより

北海道マオイの丘にある大きなかぶ農園からのお便り・・
※写真はsatosi  

遠くの息子と近くのむすこ!!

2009-10-27 | 日記
ビニールハウスの中で夏の日除け用に重宝してくれた葡萄の葉がある朝突然
真っ赤に色付き、その早業に目を丸くする。
そして、私が毎朝それを見て充分満足しているのを見届けると安心したように
見ている目の前で「ぱきり」と音をたてて枝を離れるのが更にいとおしい。
(明日は息子の誕生日だ、たまには会いたいなー)と珍しく衝動がきて
「母ちゃんとご飯食べない?」と東京の息子に電話したらやんわり断わられた。
来たついでに何日も居座られたら困ると警戒したのに違いない。見破られたか。
息子にふられたその日は草原の結婚式のあと会っていなかった勇平の誕生日で、
外でピザを焼くと聞き、あの真っ赤な葡萄の葉の皿と箸を持って押しかける。
小雨の中小さなテントを張り、勇平が炭を熾した上でダッチオーブンを温めながら
ピザ生地をこねる。新妻のまゆみちゃんは料理本を片手にシチューの鍋をかきまわす。
結婚式はざんざん降りだったから、こんな小雨は雨とも思わないほど気にならず
近所のタップさんひとみさん夫妻も参加して時間はゆっくり色に流れていく。
新婚の二人の邪魔はしないでプレゼント(納豆と生パスタ)を置いて一口ピザをご馳走になったらすぐに帰ろう、
と思って来たはずが、話を勝手に弾ませシャンパンを飲み、ピザもシチューもおかわりして
さいご、料理上手なひとみさんのデザートのババロアとタップさんが淹れてくれたコーヒーで締めくくる。
ジブンの息子には相手されなくてもヒトの息子にかまってもらって、人生バランスとれてるんだなーー

母と娘

2009-10-12 | 日記
めったに電話などよこさない新潟の弟から早朝ケイタイに電話が来たので、
(もしやハハキトクか。。。)と気持ちを正して出てみたら
「ばあちゃんが北海道の台風が心配で何度家に電話しても繋がらないって
言ってる」ということだったので「なあんだ、、、、」と緊張が解けた。
三年前30年ぶりに里帰りした際、結果的に母親と大喧嘩し、それ以来
一度も自分から直接母に電話をしておらず、母からかかってくる事も無かった。
ときどき母宛として荷物を送るが、弟の嫁さんにメールで送ったよと連絡するだけ。
「ばあちゃんがありがとうって言ってるよ」と間接的会話で繋いできた。
以前は必ず母から「荷物着いたよ」と直接電話が来たが「あのそ(さ)●▲×・・・」と
日々のグチをチラチラこぼすのを聞きたくなくてさっさと受話器を置いた。
母親に対して(こういう人であってほしい、こういう人であってほしくない)と自分の理想を強く押し付けている
自分に気付きながらも、母のそのままを素直に受け入れられずにいる自分に雪解けの時かと思った里帰りが
未だ超能天気な娘に失望した母の「そんな甘い考えは世の中に通用しない」という一言に傷つき、
私も、プライド高く正義と道徳で自分は正しいと信じ込むことで保たれている母の生き方に対し、腹の底から
「その生き方は幸せではない」と生まれて初めて正面から指摘した。母は「自分は幸福だ」と言い切った。
一瞬絶望に包まれたが同時に(あ、そうなのか・・)と からだとこころがふわりと軽くなったような気がした。
《ひとの幸福はその人が決めること》 母の生き方は母にしか出来ない生き方と吹っ切れ、翌日実家を後にした。
自分も母も、相手の幸福をただただ願っての強い思いの押し付け合いだったのだ・・・母は知っているのか・・・

山羊事件

2009-10-02 | 日記
ひわさん、私のとうもろこしを山羊が食べてるの!」とお隣のツリーハウスの
住人みえさんからケイタイに電話が入った。出先から夫に連絡するとちょうど
家にいて、山羊は連れ戻されたが、みえさんのとうもろこしは山羊となってしまった。
夫が少しの間放牧していて山羊は隣の来客の車につられてトコトコ移動したところ
みえさんが生まれて初めて植えたとうきびがあったのだ・・・・・・
「ごめんねーーー!」とメールをしたが返事は来ず、翌朝「昨日はホントに
ごめんね」と来年用の種とうきびを持って謝りに行くと、みえさん大真面目に
すごい剣幕で昨日の事の成り行きをまくし立て、へらへらしている私の態度が
怒りの火に油を注ぐ事態となっていく。「今後絶対に放さないって約束して!!
と言われ、人間同士が約束しても山羊は時々すごい力で杭を抜いて脱走することがあり、それを考えると
約束はできないわ」とつい言ってしまいそれがさらに火に油。みえさんの怒りの波が私の身体に移動して
ガタガタと震えがきた。スタコラとシッポを巻いて逃げ帰って「とーちゃーーん!!!」と一部始終を吐き出す。
昨日まであんなに友好的関係だったのに・・と体中が悲しみに包まれたそのとき、相手の怒りを精算するべく
自分の心が(そこまで言うなら、こっちも言わせて貰うけど)と今まで愛に変換されていたはずの諸々を
突然パチパチとそろばん勘定しはじめた。それがもっともっとショック。悲しみの二重奏が鳴り響く。
ちょうど遊びに来たチカちゃんに、わあーんと泣いて悲しみの二重奏を訴える。チカちゃんも一緒に泣く。
チカちゃんが帰るとかずちゃんに電話で訴える。ひっくひっくとしゃくりあげながら訴える。かずちゃんも泣く。
夕方「宅急便おねがいしまーす」と何事もなかったようにみえさんが荷物を出しにきた。(一人相撲か・・?)