ビニールハウスの中で夏の日除け用に重宝してくれた葡萄の葉がある朝突然
真っ赤に色付き、その早業に目を丸くする。
そして、私が毎朝それを見て充分満足しているのを見届けると安心したように
見ている目の前で「ぱきり」と音をたてて枝を離れるのが更にいとおしい。
(明日は息子の誕生日だ、たまには会いたいなー)と珍しく衝動がきて
「母ちゃんとご飯食べない?」と東京の息子に電話したらやんわり断わられた。
来たついでに何日も居座られたら困ると警戒したのに違いない。見破られたか。
息子にふられたその日は草原の結婚式のあと会っていなかった勇平の誕生日で、
外でピザを焼くと聞き、あの真っ赤な葡萄の葉の皿と箸を持って押しかける。
小雨の中小さなテントを張り、勇平が炭を熾した上でダッチオーブンを温めながら
ピザ生地をこねる。新妻のまゆみちゃんは料理本を片手にシチューの鍋をかきまわす。
結婚式はざんざん降りだったから、こんな小雨は雨とも思わないほど気にならず
近所のタップさんひとみさん夫妻も参加して時間はゆっくり色に流れていく。
新婚の二人の邪魔はしないでプレゼント(納豆と生パスタ)を置いて一口ピザをご馳走になったらすぐに帰ろう、
と思って来たはずが、話を勝手に弾ませシャンパンを飲み、ピザもシチューもおかわりして
さいご、料理上手なひとみさんのデザートのババロアとタップさんが淹れてくれたコーヒーで締めくくる。
ジブンの息子には相手されなくてもヒトの息子にかまってもらって、人生バランスとれてるんだなーー
真っ赤に色付き、その早業に目を丸くする。
そして、私が毎朝それを見て充分満足しているのを見届けると安心したように
見ている目の前で「ぱきり」と音をたてて枝を離れるのが更にいとおしい。
(明日は息子の誕生日だ、たまには会いたいなー)と珍しく衝動がきて
「母ちゃんとご飯食べない?」と東京の息子に電話したらやんわり断わられた。
来たついでに何日も居座られたら困ると警戒したのに違いない。見破られたか。
息子にふられたその日は草原の結婚式のあと会っていなかった勇平の誕生日で、
外でピザを焼くと聞き、あの真っ赤な葡萄の葉の皿と箸を持って押しかける。
小雨の中小さなテントを張り、勇平が炭を熾した上でダッチオーブンを温めながら
ピザ生地をこねる。新妻のまゆみちゃんは料理本を片手にシチューの鍋をかきまわす。
結婚式はざんざん降りだったから、こんな小雨は雨とも思わないほど気にならず
近所のタップさんひとみさん夫妻も参加して時間はゆっくり色に流れていく。
新婚の二人の邪魔はしないでプレゼント(納豆と生パスタ)を置いて一口ピザをご馳走になったらすぐに帰ろう、
と思って来たはずが、話を勝手に弾ませシャンパンを飲み、ピザもシチューもおかわりして
さいご、料理上手なひとみさんのデザートのババロアとタップさんが淹れてくれたコーヒーで締めくくる。
ジブンの息子には相手されなくてもヒトの息子にかまってもらって、人生バランスとれてるんだなーー