大きなかぶ農園だより

北海道マオイの丘にある大きなかぶ農園からのお便り・・
※写真はsatosi  

Tさんのことを思うと

2016-09-20 | 日記
周りの農家の大豆畑が黄色になってきたと思っていたら、早く播いたところはすでに葉が落ちた。
一ケ月遅れの大かぶ大豆はちょうど枝豆となる。

10数年前に発症した乳がんを克服し、心臓に何か入れているらしいが、ものともせず
いつも 東西南北、登山、奉仕作業、バカンス、麻雀、、、、地球の裏まで一人旅。
自分よりも3っつか4っつ歳上だが、おしゃれで、気立て良く、気前も良く、憧れのTさん。
几帳面で生真面目で、正義感は人一倍。好奇心旺盛、思ったらすぐ行動する。
3人の娘をりっぱに育て上げた。心の離れてしまった夫と丁度良い距離感で同居生活。
特定の宗教は持たないが、すべての存在の幸福を願い、感謝業を実践している。
いつも前を向き、全力で生きようとする生きざまに長年刺激され続けてきた。
彼女に無いものといえば、(恋をした経験)くらいか?と思う。
「私、私の中の神様が恋人だから、、、男はもういいの」とゲラゲラ笑っていた。

ある朝、目が覚めてすぐ彼女に会いたい衝動が来た。会って何か言わなくちゃ!と強い衝動だった。
「もう、起きてるよ」というので早朝6時、自宅に押し掛ける。こんなことは今迄一度もない。
だが 「あれ?何言うんだっけな・・・・思いつかない・・・」 
「あはははーー!!もしかしたら私が聞いてほしいことがあるのかも!!」
そういいながら、携帯電話の着信メールを開いて見せてくれた。
ずっと前からの登山仲間で、山の経験豊富な70歳の男性からのメールだった。
本州から友人の葬儀で札幌に来て、昨日彼女に会った折、思わずお互いにハグをして、再会を喜んだ。
その感動が、奥さんを先に亡くし、ひとり暮らしの中に差し込んだ清々しい光のように表現された文面だった。
実は、彼女も一緒に山に登る度に尊敬が深まり、その人といると肩の力が抜けるのだと言った。
それを、聞いたとたん、涙がどどどーーーーーーーっと溢れてきた。
「ジンセイ、何が起こるか分からないね・・」 彼女は静かにほほ笑んだ。
そのあと2~3日、Tさんのことを思うと自動的に涙が出るのには参った。運転中は路肩に寄る。

すずめばちその後

2016-09-12 | 日記
土曜の朝、国道沿いの川の水位が思いがけない高さになっている。
それほどの雨でもなかったのに、、、、
ハウスのきゅうりの勢いが下り坂。こんなに穫れてどうしよう!と思ったのはほんの一時だ。

スズメバチ騒動のあと、巣は何処にあるのだろう。。。と注意していたら
なんと玄関横の電気メーターのそばの軒下にぶら下がっていた。直径30㎝位だ。
観察していると、蜂たちはその巣穴から一直線に川の横のポンプ小屋を目指して行く。
夜、蜂が活動しない時間にそっと袋をかぶせて捕ろうよ、と夫に言うと 「やめとけ」
毎年彼らとは共存してきたが、さすがに玄関横だと気になる。
自分たちはともかく、宅急便の人やご近所さんや友人知人も玄関に来る訳だから気が気ではない。
2~3日過ぎた時、「ひわさん、ポンプ小屋にスズメ蜂がいるから気をつけて」とヤっちゃんが電話をくれた。
「もう刺された」と言うと、「俺も頭刺された」とやっちゃん。「えーーー!ごめんごめん!!大丈夫~~~?」
「何ともない。役場に駆除を頼めば来てくれるよ。俺んちも今まで2回捕ってもらった」
ヤっちゃんは山で何バチかに刺されて、今回は2度目だという。特に気になる症状も無く、自然治癒だという。
すぐに役場に電話を掛けると、今日は3件目です。と言って1時間後に二人の駆除隊が来てくれる。
1人の人が白い防護服と頭を首まですっぽり覆うヘルメットを被って、スプレーを巣穴にシャーーー!とかけ
ビニール袋をサッとかぶせた。ポンプ小屋の中を見てもらったら軒下の倍の大きさの巣があった。
「こっちが大元で、軒下に分蜂したんだね」ということだった。春先から飛んでいただろうに少しも気づかなかった!!
出かけていた働き蜂が巣の無いことに気づきあちこちウロウロするから2~3日は気を付けてと言われる。
確かに、働いて帰ると巣のないことに気づいた蜂が「えっ!?え!?・・・」  っと浦島太郎状態だ。ごめん・・
あちこちで今回の顛末をペラペラ喋りまくっていたら、ご近所のミチコさんも2回刺されていた。
数年前、小樽の海水浴場で数カ所刺され、とっさに海に浸かると痛みが消えた。しかし上がるとまた痛むので
一日中海に浸かっていた。家に帰って腫れたところを冷やし続けたら二日くらいで元に戻ったという。
その後、家で刺された時には2度目に備えて持っていた抗ヒスタミン剤を飲んだそうだ。で、何事にも至らず。
今回のことで『思い残すことが何一つ無い』ということを確認したことは、その瞬間に一つの節目を超えた気がした。
平凡な日々を、時間に追われ、あくせく、ひーひーと営み続けている ふつーーーーーーの人生だ。
その人生に十分満足している自分を確認できたのだ。 これは雀蜂からの最高の贈り物だ。
それなのに、スプレーかけて巣を破壊した。自分を守るためにその手段しか思いつかなかった。
蜂たちも、テリトリーにずかずかと踏み込んできた存在から自分の巣を守ろうとした。
生きていくって、お互い命がけだな。 いつかあの世で会うのかな?ばったりハチ合わせ。。。なんちゃって

スズメバチと梅干し

2016-09-06 | からだ
これほど雨に降られれば、ジャガイモはダメかも・・・・
草だらけの芋畑にスコップを入れた。  あら、大丈夫・・・・・
もしかして、一面を覆っているこの草たちが余計な水分を吸い取ってくれたということか?・・
人間目線では、クサダラケは美しくない。ひとに必要なものだけ受け取ろうとする。
しかし、たぶん、きっと、、、そこに在るものはすべて、完璧な調和の世界を顕わしている。

月曜の朝8時過ぎ、川のそばのポンプ小屋の前に集まっていたスズメ蜂に刺された。
(え~~~!今年はこんなところに巣をつくったのか?)と思いながら、家に逃げ帰り
常備しているビワの葉エキスを刺された手の甲・足・お尻、背中にばしゃばしゃかけた。
痛みが和らぎ、茶碗を洗っていると だんだん毒が回ってくるのを感じる。
心臓がドキドキして、顔の辺りがもわ~んとなってきた。「それ、危ないな。病院行くか」夫が言う。
「病院はやだ、赤峰さんと、磯貝さんに電話して」と 自分の口が言った。
(ははあ~ スズメ蜂でしぬひと、こんな感じなのか?もわあ~んと意識遠のいて、、痛くもかゆくも無いのがいいな・・)
茶碗洗いも途中だし、洗濯も溜まっている。稲刈りもこれからだ。。。。やり残したことは限りない。
しかし、、、、、思い残すことが何一つない。  そうか、ほんとにもういいんだ。。楽しかったな。。。
新潟の叔父の葬式を終えて昨日の夜戻った。おじちゃん、退屈しのぎにひわに来いってか。。。ふふ、、
 と、うっかり後ろの棚の壺の中の梅干しを一つ口に入れた。
その瞬間、ピタリ、もわもわが止まった。 もわもわが下に下にと下がってゆく。意識がクリアになる。
この有事に際し、からだの全細胞が、梅干しを一瞬で理解し受け入れた、と感じた。
もしかすると自分に梅干しの壺を開けさせたのも、細胞達の意志かもしれない。
「どくだみの汁を」と赤峰さんから。 「うめしょう番茶に生姜を入れずに」と磯貝さんがマクロビオティック見地から。
(まだ、死ねないんだ・・) そうと決まれば、夫が庭から刈ってきたどくだみで真っ赤に腫れ上がった全身をこすった。
 そうだ、毒(陰)には塩(陽)だ。 ボールに塩水を作り、足を浸けながら熱々のうめしょう番茶をすする。アア・ウマ・・・
余裕が出て来て、オルゴンリングの大分のあゆみさんにポイントを確認。
「手足の指の側面の静脈を指先に向かって流して」 そうか、ここに静脈が通っていたのか。。。。
指の側面をオルゴンリングでこすり始めたとたん、腕に鳥肌が立ち、ジュワジュワと何かが移動し始めた。
ふと思い立ち二階に上がり窓から降り注いでいる太陽に身体を当てたら気持ちいい。 (そうか。。。)
ボールの塩水を持って二階に行く。全身に塩水をぴしゃぴしゃ塗りながら窓辺で日光浴。
全身の真っ赤な地図がどんどん消えていく。(子供もジジババも年に一度は海水浴だな・・・) 全治ちょうど3時間。 
そこへ、死なないと判断したら、さっさとトラクターで畑に行った夫が一仕事終え「迎えに来い」という。
ホイホイと車で畑に向かう。途中、ふと又思い立ち、足もみのさゆりさんに予約の電話をする。
「あら、今日は定休日よ。今、用事で札幌に向かっているけど、ちょうど右折すれば長沼だから、すぐに行くわ」
さゆりさんの足もみの40分は、スズメ蜂の針よりも、毒よりも壮絶な痛みだった。これも、細胞の選択なのか。。。。。
 蜂の毒の脅威も目の当たりにしたが、梅干し、どくだみ、うめしょう番茶、塩、太陽光線、、、、
いつも、すぐそこに、当たり前に在るものの底力をこれでもかと実感した。