腸内細菌バランス大切に (2014年3月16日 日本経済新聞)
<記事>
「抗生物質で腸内細菌のバランスが崩れると、ぜんそくが悪化する仕組みを動物実験で明らかにできた」
筑波大学医学医療系の渋谷彰教授はこう話す。
マウスに抗生物質を与えると乳酸菌などが減る一方でカビの一種であるカンジダ菌が異常に増殖。
通常は無害なカンジダ菌が作り出す物質が血液を通じて大量に肺に達し、ぜんそくがひどくなった。
抗生物質の種類によって異なるが、最も多い場合は2週間で腸内のカンジダ菌が通常の100万倍に増えた。
刺激で育つ免役
腸は口から入る食物などを介して直接、体外に通じていて、病原菌の攻撃にもさらされやすい。「人間を病気から
守る免疫細胞の7割は腸に集まっている」(渋谷教授)
腸内細菌が腸に住み着くことが刺激になって免疫力を育てるとともに、免疫の働きを助けていると考えられている。
腸内細菌のバランスを崩す原因は、抗生物質の投薬など医療行為だけではない。食習慣やストレスなど生活習慣
からの影響も大きい。
「乳幼児期にどれだけ多くの細菌に接しているかも大切と分かってきた」
腸内細菌は母親の胎内にいる間は存在せず、生まれた後に口にする食べ物などを通じて体内に入り、腸に定着する。
出生直後の乳児は20~30種類の腸内細菌しかないが、離乳食を食べ始める2歳ごろになると急速に増えて大人に
近くなり、その後は15~20歳ごろまでなだらかに種類が増える。急増する時期に清潔すぎる環境に置くと腸内細菌の
種類が十分に増えず、大人になってからもバランスが悪いままになる危険性がある。
乳幼児期に屋外で土を触って遊んだり、おもちゃをしゃぶったりする経験は大切だ。
>悪玉菌にも役割
遺伝子解析技術の向上で、これまで一部しかわかっていなかった腸内細菌の種類や働きの解明も進展した。
善玉菌や悪玉菌の役割についても、これまでの常識にとどまらない発見がされている。
例えばこれまで悪玉菌とされてきたクロストリジウム属菌は、免疫が働きすぎないようにするT細胞を制御する
大切な役割をしている。しかも単一の腸内細菌ではなく17種類の細菌が協力してはじめて力を発揮する。
理化学研究所と共同でこの働きを見つけた東京大学オーミクス情報センター長の服部正平教授は「腸内細菌
が個別の働きではなく集団になることで役割を果たしている」と説明する。
善玉菌の代表とされるビフィズス菌のついても不思議なことが分かってきた。理由は未解明だが、日本人の
腸にいるビフィズス菌は欧米や中国など海外に比べておよそ10倍と突出して多いのだ。
喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー、糖尿病といった生活習慣病など腸内細菌のバランスの乱れが
影響していると考えられる病気は少なくない。
安部首相が最初の在任時に退く原因となった潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患もそうだ。
病気によって腸内細菌の構成パターンに特徴があることも分かってきた。
例えば糖尿病患者の腸内細菌の構成は、健康な人のそれとは異なる共通の特徴を持っている。
腸とは無縁に見える自閉症などにもパターンが見つかるという。
「我々が思っている以上に様々な病気に関係している可能性がある」と服部教授は指摘する.。
こうした研究が進めば、将来、腸内細菌ののパターンを調べることで病気になる危険性を診断できる可能性も
ある。病気治療に腸内細菌のの力をいかそうという研究も始まっており、健康増進にとどまらない活用が
期待できる。
《総評》 磯貝昌寛
抗生物質と細菌
細菌の実態が明らかになれば成る程、病気の本当の原因は細菌でないということが実証されつつある。
細菌は病原菌から発生しているだけであって、その細菌を殺せは症状は治まっても、他の症状があらたに
現れ、「いのち」そのものはむしろ蝕まれていく。
細菌だけではない、病気をウイルスが原因だとすることも同様である。
症状を悪ととらえ、打ち消そう、焼き殺そうとすることそのものが間違っていることを腸内細菌の研究から明らかになってきた。
桜沢如一先生は「ばい菌の国探検」(正食出版)で見事に病気と細菌の本質を言い当てている。
細菌は撲滅すべき人類の敵ではなく、むしろ恩人ともいえる。
細菌やウイルスは、病を癒そうとして病巣で働いているだけなのである。
細菌やウイルスが働かなければそれこそ『いのち』は存在しない。
「宇宙の秩序・宇宙法則」を踏み外した生き方・食べ方の修正を細菌とウイルスが担っていると言ってよい。
腸が悲鳴をあげている
現代社会は腸内細菌をいじめるようなモノで溢れている。抗生物質はクスリからだけではない。
家畜に使用される抗生物質は、肉卵乳製品魚介類にいたる動物性食品全般から検出される。市域に
よっては水道水からも検出される。水道水に使用される塩素も殺菌剤である。野菜や果物に使用
される農薬、抗菌グッツ、シャンプーや石鹸、洗剤にいたる日用品に細菌を攻撃しないものを
見つけることの方が難しい。
現代人の腸は悲鳴をあげている。免疫力が落ち、さまざまな病気が発生している。
口にするもの、身につけるものは特に、腸内細菌が喜ぶよな自然なものではくてはならない。
現代社会が「いのち」をおざなりにし、一時的なカネ儲けに走ったことは視野狭窄と言わざるを
えない。今こそ、腸からの悲鳴を耳をすませて聴き、腸内細菌が喜ぶような社会を築いていかなく
てはならない。
ムダなものはない
悪玉菌と呼ばれる腸内細菌であってもしっかりした役割があった。この世に存在するものに
絶対悪というものはない。どんなものであっても必ず意味があり、働きがある。一見すると
悪いものであっても、大きく広く見れば何らかの意味がある。
正しい食生活を続けていると腸内では善玉菌がしっかりと働くが、悪玉菌がゼロになるわけ
ではない。悪玉菌は老廃物や体に親和性の無い食物を処理する役割がしっかりとある。
腸内が悪玉菌優性になること、老廃物の生まれやすい、人間にとって親和性のない食べ物を
たべているからなのだ。悪玉菌といわれる細菌が排毒をしてくれている。悪玉菌優性は食べ物、
食べ方の間違いの警笛だろう。
抗生物質や抗ガン剤は細菌やウイルスを撲滅するものだが、人間にとって必要なもの一時的に
奪い、健康を失ってはじめて健康の本当の有難さを教えてくれた。
翻って、私たちの社会で起こる様ざまな問題も、食べ物の間違いと生き方の間違いの警笛である
わたしたちは今の社会を乗り越えていかなくてはならない。
日本人の腸
日本人の腸が豊かであるということは、土や環境が豊かであるという証しである。日本酒や味噌、
醤油を醸し出す麹菌は日本固有であると言うことからもわかるように、日本の風土には「いのち」を
育む細菌が豊富に存在する。
日本人の腸にビフィズス菌などの善玉菌が特別多いということは、日本の食・和食が発酵食で
支えられてきたからだろう。発酵食は風土の豊かさ、穀物の豊かさがあってはじめて成り立つ。
人間の腸は、とりもなおさず、環境の土をあらわす。風土そのものが人間の腸と言ってもいい。
土を荒らした文明は、いずれ滅亡する。世界各地で一時的享楽的な経済思想によって多くの人間の
腸が疲弊している。
腸を治すことは食を正すこと。
よく動いて働くこと。
深い呼吸をすること。
まず何より大事なことだ。
2014・8/1発行 宇宙研通信より抜粋
<記事>
「抗生物質で腸内細菌のバランスが崩れると、ぜんそくが悪化する仕組みを動物実験で明らかにできた」
筑波大学医学医療系の渋谷彰教授はこう話す。
マウスに抗生物質を与えると乳酸菌などが減る一方でカビの一種であるカンジダ菌が異常に増殖。
通常は無害なカンジダ菌が作り出す物質が血液を通じて大量に肺に達し、ぜんそくがひどくなった。
抗生物質の種類によって異なるが、最も多い場合は2週間で腸内のカンジダ菌が通常の100万倍に増えた。
刺激で育つ免役
腸は口から入る食物などを介して直接、体外に通じていて、病原菌の攻撃にもさらされやすい。「人間を病気から
守る免疫細胞の7割は腸に集まっている」(渋谷教授)
腸内細菌が腸に住み着くことが刺激になって免疫力を育てるとともに、免疫の働きを助けていると考えられている。
腸内細菌のバランスを崩す原因は、抗生物質の投薬など医療行為だけではない。食習慣やストレスなど生活習慣
からの影響も大きい。
「乳幼児期にどれだけ多くの細菌に接しているかも大切と分かってきた」
腸内細菌は母親の胎内にいる間は存在せず、生まれた後に口にする食べ物などを通じて体内に入り、腸に定着する。
出生直後の乳児は20~30種類の腸内細菌しかないが、離乳食を食べ始める2歳ごろになると急速に増えて大人に
近くなり、その後は15~20歳ごろまでなだらかに種類が増える。急増する時期に清潔すぎる環境に置くと腸内細菌の
種類が十分に増えず、大人になってからもバランスが悪いままになる危険性がある。
乳幼児期に屋外で土を触って遊んだり、おもちゃをしゃぶったりする経験は大切だ。
>悪玉菌にも役割
遺伝子解析技術の向上で、これまで一部しかわかっていなかった腸内細菌の種類や働きの解明も進展した。
善玉菌や悪玉菌の役割についても、これまでの常識にとどまらない発見がされている。
例えばこれまで悪玉菌とされてきたクロストリジウム属菌は、免疫が働きすぎないようにするT細胞を制御する
大切な役割をしている。しかも単一の腸内細菌ではなく17種類の細菌が協力してはじめて力を発揮する。
理化学研究所と共同でこの働きを見つけた東京大学オーミクス情報センター長の服部正平教授は「腸内細菌
が個別の働きではなく集団になることで役割を果たしている」と説明する。
善玉菌の代表とされるビフィズス菌のついても不思議なことが分かってきた。理由は未解明だが、日本人の
腸にいるビフィズス菌は欧米や中国など海外に比べておよそ10倍と突出して多いのだ。
喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー、糖尿病といった生活習慣病など腸内細菌のバランスの乱れが
影響していると考えられる病気は少なくない。
安部首相が最初の在任時に退く原因となった潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患もそうだ。
病気によって腸内細菌の構成パターンに特徴があることも分かってきた。
例えば糖尿病患者の腸内細菌の構成は、健康な人のそれとは異なる共通の特徴を持っている。
腸とは無縁に見える自閉症などにもパターンが見つかるという。
「我々が思っている以上に様々な病気に関係している可能性がある」と服部教授は指摘する.。
こうした研究が進めば、将来、腸内細菌ののパターンを調べることで病気になる危険性を診断できる可能性も
ある。病気治療に腸内細菌のの力をいかそうという研究も始まっており、健康増進にとどまらない活用が
期待できる。
《総評》 磯貝昌寛
抗生物質と細菌
細菌の実態が明らかになれば成る程、病気の本当の原因は細菌でないということが実証されつつある。
細菌は病原菌から発生しているだけであって、その細菌を殺せは症状は治まっても、他の症状があらたに
現れ、「いのち」そのものはむしろ蝕まれていく。
細菌だけではない、病気をウイルスが原因だとすることも同様である。
症状を悪ととらえ、打ち消そう、焼き殺そうとすることそのものが間違っていることを腸内細菌の研究から明らかになってきた。
桜沢如一先生は「ばい菌の国探検」(正食出版)で見事に病気と細菌の本質を言い当てている。
細菌は撲滅すべき人類の敵ではなく、むしろ恩人ともいえる。
細菌やウイルスは、病を癒そうとして病巣で働いているだけなのである。
細菌やウイルスが働かなければそれこそ『いのち』は存在しない。
「宇宙の秩序・宇宙法則」を踏み外した生き方・食べ方の修正を細菌とウイルスが担っていると言ってよい。
腸が悲鳴をあげている
現代社会は腸内細菌をいじめるようなモノで溢れている。抗生物質はクスリからだけではない。
家畜に使用される抗生物質は、肉卵乳製品魚介類にいたる動物性食品全般から検出される。市域に
よっては水道水からも検出される。水道水に使用される塩素も殺菌剤である。野菜や果物に使用
される農薬、抗菌グッツ、シャンプーや石鹸、洗剤にいたる日用品に細菌を攻撃しないものを
見つけることの方が難しい。
現代人の腸は悲鳴をあげている。免疫力が落ち、さまざまな病気が発生している。
口にするもの、身につけるものは特に、腸内細菌が喜ぶよな自然なものではくてはならない。
現代社会が「いのち」をおざなりにし、一時的なカネ儲けに走ったことは視野狭窄と言わざるを
えない。今こそ、腸からの悲鳴を耳をすませて聴き、腸内細菌が喜ぶような社会を築いていかなく
てはならない。
ムダなものはない
悪玉菌と呼ばれる腸内細菌であってもしっかりした役割があった。この世に存在するものに
絶対悪というものはない。どんなものであっても必ず意味があり、働きがある。一見すると
悪いものであっても、大きく広く見れば何らかの意味がある。
正しい食生活を続けていると腸内では善玉菌がしっかりと働くが、悪玉菌がゼロになるわけ
ではない。悪玉菌は老廃物や体に親和性の無い食物を処理する役割がしっかりとある。
腸内が悪玉菌優性になること、老廃物の生まれやすい、人間にとって親和性のない食べ物を
たべているからなのだ。悪玉菌といわれる細菌が排毒をしてくれている。悪玉菌優性は食べ物、
食べ方の間違いの警笛だろう。
抗生物質や抗ガン剤は細菌やウイルスを撲滅するものだが、人間にとって必要なもの一時的に
奪い、健康を失ってはじめて健康の本当の有難さを教えてくれた。
翻って、私たちの社会で起こる様ざまな問題も、食べ物の間違いと生き方の間違いの警笛である
わたしたちは今の社会を乗り越えていかなくてはならない。
日本人の腸
日本人の腸が豊かであるということは、土や環境が豊かであるという証しである。日本酒や味噌、
醤油を醸し出す麹菌は日本固有であると言うことからもわかるように、日本の風土には「いのち」を
育む細菌が豊富に存在する。
日本人の腸にビフィズス菌などの善玉菌が特別多いということは、日本の食・和食が発酵食で
支えられてきたからだろう。発酵食は風土の豊かさ、穀物の豊かさがあってはじめて成り立つ。
人間の腸は、とりもなおさず、環境の土をあらわす。風土そのものが人間の腸と言ってもいい。
土を荒らした文明は、いずれ滅亡する。世界各地で一時的享楽的な経済思想によって多くの人間の
腸が疲弊している。
腸を治すことは食を正すこと。
よく動いて働くこと。
深い呼吸をすること。
まず何より大事なことだ。
2014・8/1発行 宇宙研通信より抜粋