来た。春が来た。気温が上がり、家の前はグジャグジャに弛みヌカルんだ。
夫はオフロードレーサー気取りの巧みなハンドル操作を見せ付けるように、
傾斜20度はあるかと思う入り口の坂を一気に登りきって札幌に出かけた。
見送ってすぐ、入り口に赤い荷造りテープを大縄跳びのように渡して
車が下まで降りて来ないようにし、ダレモキマセンヨウニ とマジナイ師のように唱える。
数年前なら、降りてハマッタ車を押し上げるのがこの時期楽しみの一つだった。
(若さってムボウだ・・・) 一人茶をすすりながら遠い目をして振り返る・・・
夜冷えて雪が固まらない限り妻には車を出せない。だから家に篭る。
郵便局に支払に行く用事も、そのついでにパタパタと羽根を伸ばすか、との企ても
全て反古にし家に篭る。 新しい季節の到来はやはり、胸躍る。先週泣いていたのに・・・
部屋の隅々を見渡す。 飾りっぱなしのお雛さまにつもった埃を払う。梅の花びらの埃を払う。
(遠くから見ても近くで見ても本物に引けをとらないな・・)と充分満足している100円ショップで買った梅の枝。
一本を二つに分けて雛の両脇に飾って意識を向けていたが、日が経つに連れ、狎れてほったらかしだった。
ごめんごめん、もうすぐ三月三日。雛祭り。
『日本の年中行事は、人々の心の願いから生まれ、質素に意味深く形をととのえました。五目寿司、貝のぬた、
清汁・・お菓子は雛あられ、桜餅、そして白酒・・・かたちから入ってこころを取り戻す方法もあるのです・・・・
女の子の幸せを願って・・・・自分によきことを願う大人たちの心を子供が感じとらぬはずがあるでしょうか・・・』
毎年お雛さまと共に思い出す、料理家辰己芳子さんのことば。幼子に戻って先人の愛を身体中に吸い込む。
3週間目の”サトルス”
夫はオフロードレーサー気取りの巧みなハンドル操作を見せ付けるように、
傾斜20度はあるかと思う入り口の坂を一気に登りきって札幌に出かけた。
見送ってすぐ、入り口に赤い荷造りテープを大縄跳びのように渡して
車が下まで降りて来ないようにし、ダレモキマセンヨウニ とマジナイ師のように唱える。
数年前なら、降りてハマッタ車を押し上げるのがこの時期楽しみの一つだった。
(若さってムボウだ・・・) 一人茶をすすりながら遠い目をして振り返る・・・
夜冷えて雪が固まらない限り妻には車を出せない。だから家に篭る。
郵便局に支払に行く用事も、そのついでにパタパタと羽根を伸ばすか、との企ても
全て反古にし家に篭る。 新しい季節の到来はやはり、胸躍る。先週泣いていたのに・・・
部屋の隅々を見渡す。 飾りっぱなしのお雛さまにつもった埃を払う。梅の花びらの埃を払う。
(遠くから見ても近くで見ても本物に引けをとらないな・・)と充分満足している100円ショップで買った梅の枝。
一本を二つに分けて雛の両脇に飾って意識を向けていたが、日が経つに連れ、狎れてほったらかしだった。
ごめんごめん、もうすぐ三月三日。雛祭り。
『日本の年中行事は、人々の心の願いから生まれ、質素に意味深く形をととのえました。五目寿司、貝のぬた、
清汁・・お菓子は雛あられ、桜餅、そして白酒・・・かたちから入ってこころを取り戻す方法もあるのです・・・・
女の子の幸せを願って・・・・自分によきことを願う大人たちの心を子供が感じとらぬはずがあるでしょうか・・・』
毎年お雛さまと共に思い出す、料理家辰己芳子さんのことば。幼子に戻って先人の愛を身体中に吸い込む。
3週間目の”サトルス”