大きなかぶ農園だより

北海道マオイの丘にある大きなかぶ農園からのお便り・・
※写真はsatosi  

春が来た!

2010-02-28 | 日記
来た。春が来た。気温が上がり、家の前はグジャグジャに弛みヌカルんだ。
夫はオフロードレーサー気取りの巧みなハンドル操作を見せ付けるように、
傾斜20度はあるかと思う入り口の坂を一気に登りきって札幌に出かけた。
見送ってすぐ、入り口に赤い荷造りテープを大縄跳びのように渡して
車が下まで降りて来ないようにし、ダレモキマセンヨウニ とマジナイ師のように唱える。
数年前なら、降りてハマッタ車を押し上げるのがこの時期楽しみの一つだった。
(若さってムボウだ・・・) 一人茶をすすりながら遠い目をして振り返る・・・
夜冷えて雪が固まらない限り妻には車を出せない。だから家に篭る。
郵便局に支払に行く用事も、そのついでにパタパタと羽根を伸ばすか、との企ても
全て反古にし家に篭る。 新しい季節の到来はやはり、胸躍る。先週泣いていたのに・・・
部屋の隅々を見渡す。  飾りっぱなしのお雛さまにつもった埃を払う。梅の花びらの埃を払う。
(遠くから見ても近くで見ても本物に引けをとらないな・・)と充分満足している100円ショップで買った梅の枝。
一本を二つに分けて雛の両脇に飾って意識を向けていたが、日が経つに連れ、狎れてほったらかしだった。
ごめんごめん、もうすぐ三月三日。雛祭り。
『日本の年中行事は、人々の心の願いから生まれ、質素に意味深く形をととのえました。五目寿司、貝のぬた、
清汁・・お菓子は雛あられ、桜餅、そして白酒・・・かたちから入ってこころを取り戻す方法もあるのです・・・・
女の子の幸せを願って・・・・自分によきことを願う大人たちの心を子供が感じとらぬはずがあるでしょうか・・・』
毎年お雛さまと共に思い出す、料理家辰己芳子さんのことば。幼子に戻って先人の愛を身体中に吸い込む。
   3週間目の”サトルス”

仔山羊の名前は?

2010-02-21 | 日記
二月もすでに最終週となり、冬もあとひと月か・・と思うとなぜか悲しい。
いつの頃からか、冬が終わることが心底寂しく「ずっとこのままでいたい」と嘆く。
春から、我が儘が許された家を離れて幼稚園に行く内弁慶の心境だ。
別れてしまえば泣くことも無く、夢中で春と遊ぶのに。。。
 生まれて2週間経つ仔山羊はオスだった。夫は少しがっかり。
産まれたときには手放しで無条件によろこんだはずなのに、
オスは、仔を産まない(乳が出ない)事と、夏場の草刈隊としての働きは高く評価
しつつも、冬場の餌の消費量を考えると、ちょっとね・・・とシビアなヒト族。
オスは 皆 繁殖用として知り合いにもらわれて行くウンメイなので、今まで名前を
つけた事は無かった。歴代のメスやぎは「みかん」「きんかん」そして「れもん」
今度の仔がメスなら(ゆず)か(ポンカン)か・・・と柑橘類を再チェックしていたが、オスだった・・・・・・
「ねえ、名前考えたんだけど”さとる”ってどう?」とかずちゃんが来た。「サトル~?悟るッテカイ??」
「サトシさんの留守に産まれたから”さとる”!!」「おお!!斬新だね」今までの常識が覆された。
そういえば45年も前、田舎の小学校で一人だけみんなと違う紺のダブルの制服着てたあのこ「さとる君」だった。
さとるくん、中学校では野球部のキャプテンでキャッチャーで勉強も良くできて
先生方の信頼、一身に集めているような遠い遠い存在だった。
そんな訳だから話した記憶が無い。しかも笑った顔を一場面も思い出せない。
で、結局仔山羊の名は「諭留守」とする。
だが、それだと妻の不貞の証のようにも聞こえて落ち着かず、
それならばとギリシャ神話の神っぽく「サトルス」と気高く発音して一同納得。
  サトルス「どうでもいいよ」と乳を飲む。
生まれて来た事を喜んでか 飛び跳ね回る「サトルス」
今年初めて 卵を産んでくれた!
犬の「キミ」と「タチ」を鶏小屋で育てた”トット母さん”

天気が良く暖かい日 ”日光浴”する「タチ」左 と「キミ」右!!
目をつぶり 気持ち良く 立ったままで眠っているのです!?

自然なる”いのち”

2010-02-15 | 日記
「山羊の母さんお腹おおきいな」 去年の夏の終わりごろ夫に言われたが、
同じ女でありながら、メス山羊のレモンの妊娠に全く気付かない自分が恥ずかしい。
雪の降る前頃には、鈍感な妻にも認識できるほどレモンのお腹はせり出し、
毎月の満月を今日か今日か、と待てども待てども気配はまるで無く・・・
「いったい、山羊ってお腹の中に何ヶ月いるんだっけ~~~~?」
家族として道端の草刈の任務を一人前に果たす彼らの生態をまるで知らず。。。
ヒト族が知ろうが知るまいが、山羊族のリズムにしたがって歴代のメス山羊たちは
毎年、妊娠出産を自然の理に任せ委ね、あっぱれと全うしてきた。
ヒトは、周りをうろうろそわそわして『その時』を待つが、いつもある朝小屋に行くと
産まれている。時に、産まれた仔があまりにも小さく、じきに死んでしまっても、母山羊は平常心だ。
いつもと同じように草をモリモリ食べて、バケツの水をヂュルヂュルと吸い、自力で乳を飲みに来る仔だけに乳を与える。自力で乳に辿りつけない仔には無情なほどきっぱりとしている。
乳は生きてゆく仔の乳なのだ。
ヒト族はここまで覚悟する必要が無いほどに、文明の恩恵を与えられ、自然から離れても生きられるかの様な錯覚に、いつの間にか落ちた。  落ちたことにも気付かぬ程深く。
満月を九日も過ぎた2月8日の朝、水バケツを提げて小屋に行くと、小さな白い塊りが敷き草の上に横たわりそれよりひと回り大きな仔山羊が、レモン母さんのお腹の下にもぐってツンツンと乳を飲んでいる。
横たわった小さな塊りに手を置くと「ミャー」と大きく鳴いた。「お前生きてたの!」透きとおった細い体の体温が伝わってくる。冷たい手足を撫でて温める。何度も立とうとするが母の乳にたどり着く事はできず・・・・


 大きなかぶの家族が増えました!

産まれたて まだ毛が濡れています。

お母さんのオッパイを吸いに行く仔山羊
  

レモン母さんのオッパイは2つ 身体も小さくオッパイも小さい!

自分が好きになる

2010-02-07 | 日記
今日の日曜喫茶は猛吹雪のため中止となった。
2003年から今まで、毎月一度も休まず続いてきた日曜喫茶。記録は止まる。
朝一番の除雪車が来た後猛吹雪となり、大かぶにつながる2箇所の入り口、
国道274からの南ゲート、松村農場側の西ゲートは吹き溜まりで封鎖された。
何があってもこの日だけは長沼に居るはずの、上野マスターの侵入も許されない。
南ゲートアタックを試みた宅配便のお兄さんが強行突破を断念し、「歩いていきます」
と電話をくれた。わたしもホッカムリしてソリを引き、途中まで迎えにいく。
お兄さんが両手で大きな荷物を抱いて歩いてくる姿をみて胸が熱くなる。
毎月送られてくるJAFの冊子に登場する、JAFマンを山の中で待っていた人などの
体験談にいつも目頭を押えていたが、きょうは自分が主人公みたいで胸はなお熱い。
朝から水も止まった。もしやと思い夕べ幾つかの鍋に溜め置きした自分を褒める。よくやった。
臨月で秒読み状態の山羊のレモンに飲ませる水を、熱湯を少しだけ入れたバケツで雪を溶かして与える。
吹雪の中で果敢に一夜を過ごした犬たちに炊き立ての暖かいご飯を与える。
いつもは考え無しに、のらくらゆらゆらだらだら生きている自分の中にも、いざとなればこんな力が潜んでいる。
夫の留守に、一人、りりしく生きる自分に酔いしれて体中に会館、、いや快感が走る。
   (育つ環境には足りなさがいる。。ってことだ。どこかで誰かが言っていた言葉がよぎる)
もっともっと自分に信頼される自分になって自分のことを大好きになりたい。
いつも、のらくらゆらゆらだらだらしてるからって、そんな自分も大好きでいたい。
家の中は薪ストーブが赤々と燃え暖かい!

家族の一員 犬の”タマ”は木を枕にして 暖かい家の中でうたた寝!