大きなかぶ農園だより

北海道マオイの丘にある大きなかぶ農園からのお便り・・
※写真はsatosi  

コーヒー屋さんの玄米エキス!

2011-10-28 | 食生活
日曜喫茶を止めてからというもの、なかなか美味いコーヒーにめぐり合えずにいた。
一年位前にようやく身体に合う豆を見つけて飲み続けていたが、少し飽きてきて
今は札幌市内の店を畳んだと聞いたH氏の焙煎した深入りコーヒーの味を思い出し
(あのコーヒーが飲みたい。。。H氏どうしているんだろう・・・)ケイタイに残っている
電話番号を確認しては、かけてみようかどうしようかと思いながら2-3日過ぎた頃
突然H氏から電話が来た。「ひやーーーー!なんで分かったの??」
「俺今ね、玄米を焙煎して抽出したエキス開発中なんだ。これから食べるもの無くなる
かもしれないし、エネルギーの高い玄米のエキスなら人の役に立ちそうだし」「へー!」
「それで、ひわさん自然農法で米つくっている人知らないかな、と思って電話したんだ」
「・・え・・・・・それ、うちだよ。ちょうど稲刈り終わって新米出たとこ・・・・」  「!!今すぐ行く」
H氏が札幌の端っこからすっ飛んできた。抜かりなくこの時とばかりに頼んだ彼焙煎のコーヒーを3種類持って。
開発中だというペットボトルに入った玄米エキスを飲ませてもらったが原液はまろやかな玄米のコーヒーだった。
「俺、今コーヒー飲んでない。あんなに好きだったコーヒーの香りも気持ち悪くて窓開けて焙煎してる」
持ってきてくれたコーヒーを早速淹れているそばでそんな事言うので、(味落ちたのか?)と不安がよぎる。
しかし、味は満足のいくものだった。H氏も久しぶりに自分の焙煎したコーヒーを飲んで「あ、まだ俺大丈夫」と言った。
お互いに離れていた数年間をががががーーーーー!!と報告しあう。「うんうん!!」と頷きあう。
起こる現象はちがっていても、それが何を意味するのかを瞬時に感じ合って互いの「今」を読み解く。
「捨てるもの捨てたら本当に必要なものだけ残った。これから先に必要なモノもヒトもすべて用意されていたんだ。」
「ホントにそうだね」   山崎さんが50年かかって護りぬいてくれた田圃は、お金では決して買えないもの。
そこに貫かれている愛と勇気と強い意志の現れとして、生命力を湛えた米や野菜が存在する。
     わたしたちはその米や野菜を食べて、未来に愛と勇気と強い意志をつなぐ。

ネズミとわたし

2011-10-24 | 日記
ここ1年ウソのようにおとなしかったネズミが、また倉庫の中でガサゴソ動き始めた。
ひとが起きている時間には決して姿を現さないが、朝起きると犬用の米びつの
蓋が開けられている。今朝は特に米びつの周りの床にまで米粒が散乱していて、
そして、その米が道を作って一直線に続いている。(どこまで持っていった~~?)
トコトコと道をたどればストーブ横の、いつも私が座って編み物をしている椅子の後ろの
床に小さな穴が開いている。(はは~~~~・・ここか・・・こどもが産まれたのかな。。)
土間のあちこちに、いつの間に掘ったのかと思うほど大きな穴が開いていたりするのだが
この穴はとても小さいから、毎年見かけるあの小さな種類のねずみだろう。
自分が腹を満たすだけなら米びつの中で思い切り食べたらよさそうだが、運んでいる。
なんとなく胸がキュンとする。あんな小さな子供のようなネズミが、お父さんになったのか、、、
深さが50センチもあるステンレスの米びつの中はほとんど空の状態だったから、小さな身体でどうやって蓋を開け
どうやって米びつの底から上り下りしてあんなに沢山の米を巣に運んだのだろう。。。妻子を思う一心か。。
大きな種類のネズミと鉢合わせはしないのか?今夜は俺たち、明日はお前たちと協定が結ばれていたりするのか・・・
それとも、大きなネズミが、新米父さんに肩入れし運びやすく段取りしてくれたのか・・・・
床の下に展開されているネズミ族の暮らしを想像する。ジブリ映画、「借り暮らしのアリエッテイ」の世界に重なる。
せめてもの気持ちで、道になって残された米粒をほうきで掃いて小さな穴に落とした。出産祝いだ。
騒げば(うるさい)と思い、毎朝ひっくり返っている米びつの蓋をみれば(もーーー!!)と思い、
ネズミ捕りにかかれば、(しめしめ)とも思いながら、あの小さなネズミの家族の生活を勝手に妄想しただけで
愛おしさが込み上げても来る。なんて自分勝手なんだ と思うと、そんな自分も悲しいくらい愛おしい。
世の中のことって、さまざまに絡み合って縺れ合って、複雑だけど単純でみんなこの繰り返しなんだろうな。
一瞬一瞬ちょこっと角度を変えるだけで、悪魔にも天使にもなれる。どっちやるにしても、大真面目にやると楽しい。

いよいよはさに掛けた稲を下ろす


コンバインで脱穀よ


見て!こんなによく垂れてるよ


脱穀した籾が袋に溜まるのさ いくら溜まるかナア


脱穀した稲藁にまだ籾がついてるよ!!


いや~ 参ったね 稲藁が燃えてしまったよ!!


待ち待った 昼ごはん トラックの上は見晴らしがいいぞ


うまそゥ!
いろんなおにぎりがあるぞ。


デザートは 小松菜入りのケーキ


花はわたし

2011-10-06 | 日記
稲刈りが終わる。もっと大変なことのように思っていたが、あっけなく終わった。
春に、1町歩の田圃を夫婦でやる、と決めたときには、大袈裟にも覚悟をした。
これだけの面積の田圃を二人でやるからには、まず、健康第一。夫婦円満。
夜好き族から早寝早起き族に転換するのも結構な覚悟。
作業に疲れて編み物もできなくなるかもしれないが、それでも良しと覚悟。
田圃に集中するためには、生活を支える経営母体大きなかぶが、縮小または休止
に追い込まれ、レギュラービンボーから、ウルトラビンボーに格上げとなる覚悟。
ささいな項目から、命取りになりかねない項目まで、じぶんなりに腹をくくった。
 しかし、くくった割にはいいかげんにやった。
田植えも、草取りも、稲刈りも、日常の作業も、土日には小樽から水田さんが必ず来てくれた。
慣れない農作業はこの半年で水田さんの体重を著しく奪ったが  もしかしてそれが真目的だったか・・・・・
よねちゃんがちょうど酷暑の時期に来て、カラカラの野菜に水やりしてくれたおかげで白菜は生き延びた。
じょうろで何度も何度も水場と畝を往復してくれた。 予想通り、よねちゃんの体重もそれなりに奪われた。
そして、田植えも稲刈りも、なんとなく人が集まって思い思いに楽しんでいるうちに終わった。
なんといってもその影には、山崎さんと大型機械の功績がある。
「大型機械は土壌を台無しにする。。」と、拒絶する自分がいたが、その稼動力や畏るべし。ありがとう の一言に尽きる。
ことしは今年の体力の分だけ思い切り手作業を楽しませてもらった。
そして、来年はもう少し知恵を出し、ことしの倍の手作業を目指す。
なぜならば、手足が田や稲に接触すると身体がうひゃうひゃ喜ぶからだ。
もっともっと喜ばせたら、どんな世界に行くんだろう・・・・稲や草や虫のナイショ話が聞こえて来るか・・・・

「好きな花を一本だけ選んで活けて下さい」 イベント会場の華道のコーナーで声を掛けられた。
大きな花瓶に入った色とりどりの花の中から、赤い百日草を選んだ。
「ひわさんらしいね、大きな真っ赤な百日草」と、野菊を選んだよねちゃんに言われたが ちょっとちがう。
花瓶の中で、堂々と咲き誇る他の花の陰で、腰を深く曲げてうつむいていた赤い百日草。
大勢の人の中にいると、落ち着かずどうしていいのか分からない自分と重なり、その一本に釘付け。
花瓶に入れても下を向いている。「顔上げて!こっち向いて!」と夫の死に際に叫ぶ妻の心持ちで呼びかけた。
すると、なんとなく首をもたげてこちらを向いた。「!!!!」近くにいた一同顔を見合す。
家に持ち帰ってまた声をかける。「きれいだね、素敵だね、顔を上げて生きてね」じぶんにも言い聞かせているようだ。
時間の経過と共に「つ」の字だった茎がくねくね変化しながら翌朝には一直線になり、今、花は真上を向いている。
あまりの変化に、ひとしきり騒ぎまくったが、(さいしょ水が足りなかっただけかも。。)と思うようになってきた。



さア 稲刈りだよ~!!

2011-10-06 | 日記
九月も最後の週となる。家の周りは赤マンマが咲き乱れピンクの海だ。
道の両端に咲き始めた紫の野菊が秋を告げている。本当に秋に切り替わった。
あれだけ毎日絞って飲んでいたトマトジュースを、からだはピタリと欲しなくなった。
だから、トマトが余る。冷凍庫にももう入らない。
ちょうどテレビで、イタリアの主婦が一年分のトマト120kgを瓶詰に仕込むというのを見た。
水洗いした大量のトマトを熱湯でさっと茹で、冷水に取ると皮がむける。それを瓶に詰め
蓋をして大なべで煮沸し常温保存するという。夫も子供も一家総出の大仕事。これだ!!
しかし、あいにくトマト用にちょうど良い瓶がない。ジャム用の小さな小瓶が沢山あるので
やはり、山のようにあるトウキビを大鍋に削ぎ落とし塩茹でした。それを小瓶に詰めて
大なべで10分煮沸し完成。冷凍庫に依存せず、常温保存の安心感と、一人で一気にやり遂げた満足感に浸る。
早速翌日ためしに一瓶開封。 ありゃりゃ!!なんだこれ! どろどろぬるぬる、酸味がある。失敗だ。ガックリ・・・・
大小あわせて20や30もあるから落胆。。。。。蓋をもう少しゆるめて煮沸したほうがよかったのか。。。。
なんとなく原因は分かったが全部の瓶を開けて始末する力が湧いてこない。毎日少しずつ確認しながらやろう・・・・
今年はなんだか食品加工がいまひとつだ。きゅうりの塩漬けも溶けた。なんでもかんでも欲張るとこうなる。
(しなくていいってことか)と切り替え、瓶詰をもう一つ開けてみたらそれは正常だった。やっぱり蓋のゆるめ加減だな。。
気落ちした分編み物に精を出す。もう毛糸にさわりたい季節となる。

土曜日はいよいよ稲刈り。なかなか乾き切らない田圃は、ぐちゃぐちゃとぬかるみ、田植えのような状態だ。
山崎さんが、藁で稲の束をクルクルクル~と束ねる実演をしてくれた。簡単そうに見えるが難しい。
鎌で刈ってゆく人。束ねて藁で縛る人。はざにかける前に地面に立てて切り口を乾かす人。各々の自由意志で
ちょうどよく廻っていく。 夫は、どこからいつの間に調達したのか小さな稲刈り機を得意そうに操っている。
参加する人は弁当持ちと聞いていたので、大鍋に野菜汁をタップリ用意した。
抜かりなし。と思いきや・・自分たちのご飯炊くのを忘れた。失敗失敗。成功マートのおにぎりでいいね、ってことにする。
水田さんが気を利かせてくれて、ホットモット弁当を買いに走ってくれた。ありがたや、便利な世の中だ。
あとは、かぼちゃと売れ残りトウキビを茹でてごまかす。畑で食べれば何でも美味い。
弁当食べてる横で、可憐なにらの花が咲いている。「夜の宴会は餃子にしよう!!!」と女達で盛り上がる。
しかし、夕陽が沈むまで目一杯働いたらへとへとになり、餃子の話は自動的に立ち消えとなる。
長沼ラッキーで夜の半額セールに乗り込んですぐに食べれる宴会料理を賄った。ホントにありがたい世の中だ。
81歳の山崎さんも宴会に参加してくれて夫は心底嬉しそうだ。駄洒落を連発して皆に呆れられても上機嫌。
そして、自分の身体と心が、すでに来年に向けて準備を始めていることに気付く・・・・・




ななつぼし、黒米(下)もこの通り


今年の収獲は量が多く、腰が大丈夫かな?


お父さん 生まれて初めての稲刈り どうですか?


まずは 稲を立てて 茎の乾燥


お昼だよ 身体を動かした後のお昼は美味い


一個丸々 南瓜を煮て大胆な料理!!


春は田植えをして 秋は稲刈り 生まれてはじめての体験 どうでしたか?



就学旅行生も 初めての体験


今日は 稲をはさ掛けして


4反の田圃を機械は2時間で収獲終えてしまう
この速さと、これを難なくこなす山崎さん(80歳)に感嘆!!


稲刈り2日目 夕暮れの中 作業終了 明日に続く・・・・