中国大同市での環境教育と都市緑化事業について、先頃紹介しましたが、
JICAの「エコ通信」にも掲載されました。
現地に行かれました 大牟田市都市整備部都市計画・公園課課長
喜田 裕康(きだ ひろやす)さんのレポートです。
どうしたいきさつでこうした活動がされるようになったのか、
中国版「緑の教室」の実態、今後の課題等が判ります。
以下のホームページで見ることができます。
http://www.jica.go.jp/kyushu/eco/2013/201306.html
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九州エコ通信2013年6月号
中国大同市で緑の教室 -第2弾-
大牟田市都市整備部都市計画・公園課課長 喜田 裕康(きだ ひろやす)
2012年6月に紹介した中国大同市で進めている環境教育活動「緑の教室」の継続事業として、今年度の取り組みをご紹介します。
<昨年大牟田市が行った「緑の教室」の様子>
大牟田市は、JICA草の根技術協力事業を活用し、一昨年度より、友好都市である中国山西省大同市で、資源循環型環境教育のひとつとして、小学生を対象に緑の効果やすばらしさを学んでもらう「緑の教室」の普及促進に努めています。
「緑の教室」とは、大牟田市が都市緑化推進施策として独自に取り組んでいるもので、学校の先生ではなく、都市緑化に携わるプロの職員が公園などの身近な緑の中で授業を行ない、直接植物に触れながら、ゲーム感覚で植物の知識を深めることで緑への興味を持たせ、緑の大切さ、公園の役割、利用モラルなどを教えていくものです。
昨年は、大牟田市で行っている内容を改良し、大同市の小学生に中国版「緑の教室」を実践したところ、新聞社のみならずテレビ局までが取材を行うなど、大きな反響を得たことで、この取組みに確かな手ごたえを感じたところです。
今回は、5月9日から17日まで9日間の日程で大同市での活動を行ってきました。
(写真略)
<順調に育っているサクラの苗木>
今回の活動は、昨年私たちが行った「緑の教室」を手本として、大同市の都市緑化を進めている園林管理局の技術職員による「緑の教室」を開催することです。おそらく中国初の技術職員による「緑の教室」です。
開催に先立ち事前に行った担当職員との打ち合わせでは、参加する子供達はとても緊張しているはずなので、授業のはじめに緊張を解きほぐすギャグなども必要である旨の話をしたところ、着ぐるみを着て授業を行ったらどうか?など、普段はシャイな技術屋たちがこれほどまじめに取り組んでくれることにびっくり! ほんとに感謝、感謝です。
打ち合わせの結果、授業内容は昨年度行った「葉っぱ探しゲーム」や「フィールドビンゴ」を絡めながら、着ぐるみを着て授業を行うことや子供達に授業終了後にアンケートを行うことを決め、当日に臨むこととなりました。
開催当日は晴天に恵まれ、大同市第十八小学校の三年生児童73名を迎えて園林管理局主催の「緑の教室」が開催されました。
打ち合わせどおり、ドナルドダックの着ぐるみを着た職員が冒頭から登場し子供達の笑いを誘うなど、楽しい雰囲気の中授業が進み「葉っぱ探しゲーム」では授業を見ていた私たちまで答え合わせに借り出されるなど、終始子供達の歓声が聞こえる楽しい「緑の教室」となりました。
終わりに子供達に行ったアンケートでは、とても楽しかったとの意見が8割を超えたことからも今回の「緑の教室」がすばらしかったことが伺えます。
ここでJICA事業のほかに、大同市での都市緑化に関する活動について簡単に紹介します。
大牟田市は、平成18年度から自治体国際化協会(CLAIR)が主催する自治体国際協力促進事業(モデル事業)の採択を受け、大同市においてサクラの実生栽培やエコロジー緑化の技術指導を行っています。
今回もこの春に公園に移植したサクラの生育状況の確認と育成管理について指導を行ってきました。
この事業は、大同市の要請を受け、雨が少なく、非常に寒いこの地域に順応できるサクラを種から育てることで大同市に適したサクラを誕生させる取組みです。
平成18年度から取り組んできたこの事業もようやく軌道に乗りはじめ、サクラの苗も順調に育っており、来年こそは花をつけてくれることを願っています。
<おわりに>
現在日本で話題になっているPM2.5の問題など、中国を取り巻く環境悪化への対応は待ったなしの状態となっています。
これら環境問題の根っこには人の営みと組織の考え方が大きな課題であると思います。
今回のような環境教育を進めるためには環境、教育、緑化などの関係組織が連携して取り組むことが重要です。
しかしながら中国では組織内での横の連携が希薄であり、自分の属する組織の利益を優先し日本のように目的達成のために共同で取り組むことにかなり抵抗があり、特に地方都市では中々思うような成果が出ないことが多いと聞いています。
大同市においては、大牟田市と友好都市として32年にわたり培った信頼関係をベースに環境教育に携わった人達の心が強く繋がっていることで、組織の壁を越えた成果を上げることができたものと強く感じています。
「緑の教室」はようやく普及に向け、スタートラインに立ったところです。
今回の「緑の教室」には、他校である大同市第十七小学校の校長先生も見学に見え、ぜひ本校でも開催したいとの強い要望が寄せられるなど、普及促進に向けた下地が整ってきており、今後も大牟田・大同両市の連携を深め、大同市の環境改善に向け環境教育の取組みを広げていきたいと考えています。
JICAの「エコ通信」にも掲載されました。
現地に行かれました 大牟田市都市整備部都市計画・公園課課長
喜田 裕康(きだ ひろやす)さんのレポートです。
どうしたいきさつでこうした活動がされるようになったのか、
中国版「緑の教室」の実態、今後の課題等が判ります。
以下のホームページで見ることができます。
http://www.jica.go.jp/kyushu/eco/2013/201306.html
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九州エコ通信2013年6月号
中国大同市で緑の教室 -第2弾-
大牟田市都市整備部都市計画・公園課課長 喜田 裕康(きだ ひろやす)
2012年6月に紹介した中国大同市で進めている環境教育活動「緑の教室」の継続事業として、今年度の取り組みをご紹介します。
<昨年大牟田市が行った「緑の教室」の様子>
大牟田市は、JICA草の根技術協力事業を活用し、一昨年度より、友好都市である中国山西省大同市で、資源循環型環境教育のひとつとして、小学生を対象に緑の効果やすばらしさを学んでもらう「緑の教室」の普及促進に努めています。
「緑の教室」とは、大牟田市が都市緑化推進施策として独自に取り組んでいるもので、学校の先生ではなく、都市緑化に携わるプロの職員が公園などの身近な緑の中で授業を行ない、直接植物に触れながら、ゲーム感覚で植物の知識を深めることで緑への興味を持たせ、緑の大切さ、公園の役割、利用モラルなどを教えていくものです。
昨年は、大牟田市で行っている内容を改良し、大同市の小学生に中国版「緑の教室」を実践したところ、新聞社のみならずテレビ局までが取材を行うなど、大きな反響を得たことで、この取組みに確かな手ごたえを感じたところです。
今回は、5月9日から17日まで9日間の日程で大同市での活動を行ってきました。
(写真略)
<順調に育っているサクラの苗木>
今回の活動は、昨年私たちが行った「緑の教室」を手本として、大同市の都市緑化を進めている園林管理局の技術職員による「緑の教室」を開催することです。おそらく中国初の技術職員による「緑の教室」です。
開催に先立ち事前に行った担当職員との打ち合わせでは、参加する子供達はとても緊張しているはずなので、授業のはじめに緊張を解きほぐすギャグなども必要である旨の話をしたところ、着ぐるみを着て授業を行ったらどうか?など、普段はシャイな技術屋たちがこれほどまじめに取り組んでくれることにびっくり! ほんとに感謝、感謝です。
打ち合わせの結果、授業内容は昨年度行った「葉っぱ探しゲーム」や「フィールドビンゴ」を絡めながら、着ぐるみを着て授業を行うことや子供達に授業終了後にアンケートを行うことを決め、当日に臨むこととなりました。
開催当日は晴天に恵まれ、大同市第十八小学校の三年生児童73名を迎えて園林管理局主催の「緑の教室」が開催されました。
打ち合わせどおり、ドナルドダックの着ぐるみを着た職員が冒頭から登場し子供達の笑いを誘うなど、楽しい雰囲気の中授業が進み「葉っぱ探しゲーム」では授業を見ていた私たちまで答え合わせに借り出されるなど、終始子供達の歓声が聞こえる楽しい「緑の教室」となりました。
終わりに子供達に行ったアンケートでは、とても楽しかったとの意見が8割を超えたことからも今回の「緑の教室」がすばらしかったことが伺えます。
ここでJICA事業のほかに、大同市での都市緑化に関する活動について簡単に紹介します。
大牟田市は、平成18年度から自治体国際化協会(CLAIR)が主催する自治体国際協力促進事業(モデル事業)の採択を受け、大同市においてサクラの実生栽培やエコロジー緑化の技術指導を行っています。
今回もこの春に公園に移植したサクラの生育状況の確認と育成管理について指導を行ってきました。
この事業は、大同市の要請を受け、雨が少なく、非常に寒いこの地域に順応できるサクラを種から育てることで大同市に適したサクラを誕生させる取組みです。
平成18年度から取り組んできたこの事業もようやく軌道に乗りはじめ、サクラの苗も順調に育っており、来年こそは花をつけてくれることを願っています。
<おわりに>
現在日本で話題になっているPM2.5の問題など、中国を取り巻く環境悪化への対応は待ったなしの状態となっています。
これら環境問題の根っこには人の営みと組織の考え方が大きな課題であると思います。
今回のような環境教育を進めるためには環境、教育、緑化などの関係組織が連携して取り組むことが重要です。
しかしながら中国では組織内での横の連携が希薄であり、自分の属する組織の利益を優先し日本のように目的達成のために共同で取り組むことにかなり抵抗があり、特に地方都市では中々思うような成果が出ないことが多いと聞いています。
大同市においては、大牟田市と友好都市として32年にわたり培った信頼関係をベースに環境教育に携わった人達の心が強く繋がっていることで、組織の壁を越えた成果を上げることができたものと強く感じています。
「緑の教室」はようやく普及に向け、スタートラインに立ったところです。
今回の「緑の教室」には、他校である大同市第十七小学校の校長先生も見学に見え、ぜひ本校でも開催したいとの強い要望が寄せられるなど、普及促進に向けた下地が整ってきており、今後も大牟田・大同両市の連携を深め、大同市の環境改善に向け環境教育の取組みを広げていきたいと考えています。