この本を本屋で見つけて,パッと目次を見ると「生物多様性」について語られているので買ってみた。
僕と同じだった。いや,バス釣りする人のほとんどと同じ意見だった。
要は「無理やり人間の都合で改変したら逆の影響もある」例を,あの「池の水全部抜く」で有名になった井の頭公園を例に「事実」を書いている。おそらく筆者は普段から相当井の頭公園を見ていた様子も伺える。
公園の池はそもそも「公園の」池。そこに「在来」「外来」は定義できず,わかりやすく言えば「持ち主の主観」で決めてよいのが公園の池なりの生態系だろう。
キンギョがいっぱいの池。コイがいっぱいの池。ザリガニだらけの池。いろいろな池があってよいのだ。
だがしかし,こうした簡単な「理屈」が理解されないのが日本である。
古くは第二次大戦である。合理的判断によれば絶対に勝ち目のない戦争をやった。バブル経済崩壊対策もそう。異次元金融緩和もそう。
一見合理的のように見えて「実は異なる」ことを,本書は「大学生向け講義」をわかりやすく記した,とある。
だが,僕自身も,太陽光発電のインチキ加減(とくにメガソーラー)などについては理解できるものの,他になるとあまりにも基礎学力がない。そう,基礎学力がないので理解が難しいのだ。
そうならないように,一生懸命高校化学での「構造式」などを用いているが,そもそも一般の人に「構造式」で説明したところで拒絶される。
本書の題名は『知っておきたい 現代科学のいま』とか『騙されない! 科学の基礎』などとした方がよかったのではとさえ思う。
そう,書籍はタイトルが命。タイトルからして読まれない。
あとは価格である。税込み2000円チョイでは普及しない。やはり新書判で,内容は圧縮して1000円程度にしないと
書きたいことを書けば売れるわけではないし,正しいことを説明しても売れない。正しいことを説明して売れるのなら,数学の参考書>>歴史の参考書となるはずだが,そうではない。いくらでも反証事例がある。
もう一つ提案。わかりやすく書く・見やすく書くのであれば,文字の大きさ・書体が非常に重要だ。
さらに,本当に自分の訴えたいことはゴシックにしないとね
よい本なのに,おそらく編集部がそれほど気合を入れていないと思われる。
自分が担当編集なら,もっと刺激的な書名にするのにねえ。まあ,朝日新聞関連から出ただけ奇跡かな。