「 旧古河鉱業若松ビル 」
海岸側の玄関
若戸大橋の下にある若松度場発着場から若松駅に向かって若松南海岸通りを行くと、
右手にひと際目立つ 「 旧古河鉱業若松ビル 」 が見える。
その旧古河鉱業若松ビルは、大正8年の建築といわれ、
煉瓦造二階健の建物は、前・横の全面道路の交差角度に合わせて隅が鋭角で、
そのコーナーに殆ど円形に近い三階部分までスラリと伸びた、
縦線を強調した塔が配置された造りは、堂々とした風格が感じられる。
建物の平面は変形の四角型で、
海岸通り側ともう一方の道路側の各立面の中央部に玄関を持っている。
デザインは、煉瓦の柱型とその間の三連の窓を抱き込む石の部分が垂直線を強調し、
全体の形を作っている。
大正建築の意匠的特質を細部にまで残した建築物であり、
その特質としては、玄関の庇部、塔屋の入口上部にはこの傾向が強いが、
その他の装飾は単純な幾何学模様を基調としている。
また、ワンポイント的に扱った塔屋の明かり取り窓もこの建物の特徴である。
現在若松に残された近代建築の中でも最も華やかな外観をもち、
当時の勇姿をうかがうことができる。