七色の煙をイメージさせる高炉台公園のシンボル 「 高炉モニュメント 」
官営八幡製鉄所・東田第一高炉跡
昔、 『 木下恵介アワー 』 という自らの名前を冠名にしたドラマがあった。
「 この天の虹 」 は、昭和30年代初頭の八幡市 ( 現・北九州市八幡東区・西区 ) を舞台に、
東洋最大を誇った八幡製鐵所 ( 現・新日本製鐵 ) と、
そこで働く人々の生活、恋と友情。
そして人間愛を描いた映画である。
昭和33年 ( 1958年 ) 松竹作品で木下恵介がオリジナル脚本を書き、監督を務めた。
映画は空から見た北九州市と製鉄所の工場全景が映し出され、
また、工場内を紹介するなど、劇映画の中に記録映画の手法が持ち込まれた。
八幡の歴史は 「 製鉄所の歴史 」 そのものと言えるくらい共存共栄の関係である。
明治時代まで静かな農漁村は、明治34年 ( 1901年 ) に、
官営八幡製鐵所の操業開始により、鉄鋼の街として急成長して行き、
日本を代表する鉄鋼業の工業地帯として、我が国の成長期を支えた。
この映画の題名の 「 虹 」 とは、煙突から空へ昇る煙のことで、
昭和27年 ( 1952年 ) から製鐵を効率的に行う酸素製鉄法が確立され、
酸素を大量に吹き込むため、粉塵が燃焼して赤い煙が出て、
黒煙や白煙と相まって 「 七色の煙 」 と言われ、高度成長を誇った。
しかし、現在の北九州市は、住民、企業、自治体が一体となって公害を克服し、
平成4年 ( 1992年 ) には国連環境開発会議から 「 国連自治体表彰 」 を受けている。
この高炉台公園は、昭和32年 ( 1957年 ) 北九州市制40週年を記念して造られたものである。