Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

シュタイナーのエコ農業

2007-05-22 | アウトドーア・環境
バイオ・ダイナミック栽培について、ラインヘッセンのヴィットマン醸造所と共にこれを導入したクリストマン醸造所で話を伺った。詳しい者は、あのシュタイナー学園のルドルフ・シュタイナーが生み出した農法であることに直ぐに気がつくかも知れない。またその翌日、それを謳ってはいなようだが、経験からその実践を活かしているゲオルグ・モスバッハー醸造所でもワイン地所見学をした。また、大手名門ブリュックリン・ヴォルフ醸造所も、ダイナミック栽培を推進している。

こうしたエコ農業のコンセプトには、賛否両論あり、ドイツのワイン農業でも、従来の高級ワイン業界に抗したバイオワイン農業団体との間でも、主導権争いがあるようだ。また、ダイナミック栽培の言う具体的な方法は、エコ栽培においても既に承知されている方法であるとするライプホルツ醸造所のような立場もある。

ダイナミック栽培の考え方は、端的に言えば、エコ栽培で出来うる限りの人工的な企てを排除したところから、積極的に手をかけて最も自然の恵みを受け易い形へと栽培を改善・改良して行く方法となる。水栽培などとも比べられる要素もある。

人工的な肥料の代わりに有機的な牛の角などの肥料を撒き、ラボーで準備された水を撒いて、土壌を力強くする豆や茶などを積極的に農閑期に植えていくのである。また、植物の成長が、星座や月の影響を受けるとして月陰暦に従う作業を行っていく。

多様な微生物から、土地はいつも潤い且つ、単一化しないように配慮される。こうすることで、自然の循環を活かして、土地を何時までも活き活きと保持することが出来るようである。その結果、豊作の年と寡作の年の量的平均化が得られると理論は語るが、実際にはどうであろうか?

肥料にて豊作を演出して、市場にて過供給を生み、その成果の放棄を余儀なくされることほど、誰が考えても理不尽なことはない。中庸なバランスを取ったダイナミズムが、経済にも働くとしたら、それは本当の自由経済市場の成就ではないのだろうか?しかし、我々は地球環境さえも、急激に変動させて、そうした神の手さえも我々は完全に失ってしまった。

嘗てはBASFがワイン農家をその合成肥料の大得意さんとしていた状況は、見る影も無くなっている。恐らくそのような土壌の一つであるライターパッドの一部なども、葡萄を植えずに20年ほど休耕させて、自然の力で土地洗浄が進行していることをみると、こうした行いは半世紀単位で計画されていることが判る。

こうした方法を大上段に構えて実施する醸造所のオーナーの顔を思い浮かべると、かえってプロテスタンティズムのイデオロギーが垣間見える。実際、ナチ時代禁止されていたと言うシュタイナーのアントロポゾフィーの志向は、菜食主義者ヒムラーなどの国土改革運動にも現れているようだ。それらは一様に、グノーシス主義の影響が思想に強く現れている場合と見做される。

それはさて置き、こうした方法は今や農業の常識のようで、折衷的実際家モスバッハー醸造所のフロインデンシュトックの地所でのお婿さんの説明にも、その実践が多く言及されていた。それはここでも既に、断わったようにバイオ農業自体が、市場でのその独自性と付加価値示すものと存在していて、実践の良い方法は直ぐに、さらに効率化されてどこでも採用されると言うことでもある。

一例は、写真に見るような、昆虫などの生物生態観測が共同でされていることで、こうしたダイナミック栽培の実行の一部が観察できるのである。また、畝の間にある下草の種類や手入れが、その実践となっている。特に雨量が限られるこの地域は、日差しを当てると共に地面を乾かさないで、自然なミネラル成分の調整を行うために、下草で覆われることも多くなってきている。そして、春になるとディスクで根こそぎトラクターで切られて、ふんわりとそこに乗ることになり湿り気を齎すのである。それは、生物や微生物が生息しやすい環境を作り、それと同時にフェロモンによって害虫駆除をするのは20年以上の歴史となる。

医学におけるホメオパティーと同じ効果をここではダイナミックスと呼んではいるが、これは広義には東洋の思考や陰陽の東洋医学でも同じであり、実証性の問題として存在するものや、論理的に辻褄が合わないものなどもありえる。だから、そうしたものも含めて、科学的に考察して取捨選択して行く価値は十分にあるのではないか。


参照:現代オカルトのビオ思想 [ 文学・思想 ] / 2007-05-24
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