Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

合衆国発、虎の子落とし

2011-01-26 | マスメディア批評
元々中国から来たスパゲティーにびっくり水をかけるぐらいで驚いていてはいけない。なるほど安いものは世界中中国製と決っているが、原料はともかく製造も中国だろうか?

今年最大の世界のベストセラーは、寅年生まれの五黄の寅ではない1962年生まれの中華系米国人二世のおばさんが書いた本「Battle Hymn of the Tiger Mother」であろう。昨年出版されて、全米で大反響を呼んだ。それゆえか近々ドイツ語版も出版されるというのでFAZがこの話題を取り挙げている。その母親である名門イェール大学の法科教授アミー・チュアと、ユダヤ人教授の間に生まれた女の子らとの格闘の物語である。

その内容は、通常の家庭内教育とその反抗の物語などではなく、常軌を逸した母親のスパルタ教育と当然の事ながら、娘たちまでを犠牲にして自らをおぞましく売り込む話である。米国のマスコミで彼女の所にインタヴューを申し込んでいないものは皆無と言われる。以下のエピソードだけでも挙げておけば、売り上げに態々協力する必要もないのである。

娘には学校の試験で最高の点を獲得しなければお仕置をする。強制的にピアノを習わせ、八時間の練習を課し、三度目に音楽的に演奏できなければ、屑とけなし、飲み食いをさせないどころかトイレにも行かさないというのである。そのお蔭が、既に娘はカーネギーホールで演奏を披露していると言う。しかし、「私はシナ人だから遊ぶ時間が無いの」とクラスメートに言わせていた娘に、「私はシナ人などじゃない。アメリカ人」と宣言させるに至った。それどころか中国の算術さえ身につけることを拒ませた。

なるほど母親の兄弟は、パラオリンピックで活躍したダウン症の末っ子まで全てアイヴィーリーガーの大学に通っている。こうした家庭をみると、個人的にはどうしてももう四世か五世に至る遠縁の家系を思う。決して大統領も、高名な人物も輩出していないが、知る限りこうした恥たらしはいない。品格とかなんとかのたまう大衆作家の息子ではないが、必ずしもその全てが十二分に裕福とは思えないこうした遠縁に殆ど誇りに近い気持ちを持つのである。

米国移民の話は多種多様であるが、一般的に語られる話は三人ぐらい人を殺めない限り頂点には至らないというものである。どの社会も成り上がりの構図というのは同じようなものであろうが、全てが金銭で片付いてしまうのも合衆国の社会に違いない。犠牲になった娘たちも、短期間ながら印税による厖大な資産の増加の恩恵を受ける。それでも、それゆえにか、これだけオープンにシナ人の実像を曝け出したと歓迎する向きもある。



参照:Wie die Tiegermutter ihre Kinder zum Siegen drillt, Sandra Kegfel, FAZ vom 22.1.2011
コメント (2)
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