Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

政治課題としての環境認識

2011-01-07 | マスメディア批評
菅首相のネット番組への出演を観た。同番組前回のものだろうか宮台氏が金と政治に関してマキャベリズムに既に言及しており、その点をどのように展開するかに興味があった。要するにロビー活動のあり方が問われているのか、不透明性が問われているかの問題であり、宮台氏などは「欧州がロビー活動自体に否定的」としていたが、その見解が必ずしもアクチュアルではないことはここで何度も扱っており周知の事象である ― さもなければブリュッセルに世界中からガイドライン情報を求めるためだけに人が集まるまい。問われているのは当然のこと透明性である訳で、なにも菅首相に踏み絵させなくても良いもので、まさにそれは小沢氏にこそ質問して貰きたいものなのである。まさに立法者による法の網を抜けるような不透明性と不明瞭な決算のアンフェアーな行いこそが有権者の不信感を煽っているのであろうから。しかしそれ故に十分考慮された番組構成のようで、司会の神保氏と共に宮台氏が、官房長官更迭後の心許ない首相の一人立ちに心強い手を差し伸べるように、本人に肝心な点を言明させる見事なインタヴューとなっていて殆ど前回から伏線が張ってあったかのようですらある。そもそも仙石なんて代議士を知らない。まるで日本の人文学者のような可也古臭い理念を燻らす政治家 ― 道上洋三の番組のネット配信でインタヴューを聞いただけで、まともな日本社会党の代議士でもなかったそうだ。それでは社民連の菅の方が素性が分かっている。 

番組中マックス・ヴェーバーの引用や古典への言及が多いのは社会学者としては当然であろうが、それゆえか偶々リンクを見つけて番組を無料視聴するときには、ここでの話題が氏の発言主旨としばしば重なることを経験している。今回もここ暫くその百年前の社会学者の近くで眠っている指揮者のハイデルベルクの墓地を遥か遠くに眺めつつ、フルトヴェングラーにおける社会学的な見地からのその美学や美学史を考察していたので、番組でビスマルク統治下のドイツ市民の民意の問題とその教育、つまり古典教育に言及されると、まさに私の関心ごとがそのまま重なるのである。

先ずはキーワードだけでも書き留めておくと、トーマス・マンなどがアンチ教養小説として描いた市民の教養と、そのギリシャ哲学へと遡らなければいけない教養こそが、否更に仏教までへの回帰がドイツ国家社会労働党を導いたのであり、それがまさに教養主義の、自由主義の徒花として開花した証であった。同時にそれは、その教養の大衆化であり、その指揮者が1936年に定義つけている「形の定まらない、意思の無い聴衆(民族)とそこに含まれる批評(ジャーナリズム)」である十九世紀の大衆が、芸術家(芸術)によって対話を交わすことによってはじめて「価値」をそこに見出すことが出来たとしている指摘に、この指揮者の発言当時の社会への的確な環境認識を重ね合わせられる。

もう一点上の番組で興味深かったのは、自由経済圏への参加問題であり、それは今や主義主張や鳩山前首相が押し出したような理念と言ったものでは全くなくて、そのもの環境なのであるから、工業大学で自然科学を学んだ菅首相が語るようにそれを現象として、それ以上の代案がない限りは、政策運営を勧めていくしかない問題なのである。農政の問題も、耕地面積は少なくともあれだけの十分な国土があり世界有数の原生林を有し、北海道を含めて恵まれた気候の農地を保持している日本が、競争力の無いドイツや輸出国フランスのそれ以上に解放に問題がある訳が無い。そもそも経済的に帳尻の合わない水稲農政からの脱皮と、その他のより健康な穀物や野菜などへの転換を図れば良いだけである。

菅総理が、とても取り組む余裕の無い個人的関心の強い政治課題として環境問題を漏らしたが、まさに耕地や森や海に囲まれての日常生活こそが現代における高い生活水準そのものであり、将来の社会の指針であるに違いない。



参照:
菅首相生出演!総理の言葉はネットに響くか (マル激トーク・オン・ディマンド/ビデオニュース・ドットコム)
Wilhelm Furtwängler und sein Buch "Gespräche über Musik"
ビデオニュース・ドット・コムの映像&アリストテレスについての簡易メモ (たるブログ)
大粒の食べ応えがある茨城の納豆です。 (saarweineのワインなどに関してあれこれ)
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