いくつかの日程を定めた。一つは冬タイヤへの交換、一つは歯医者の予約、一つは月初めの試飲会の予約である。まだまだいくつも決めなければいけないことが残っているのであるが、懐具合との関係でなかなか日時が決めにくい。
試飲会に先立って、古いグローセスゲヴェックスを開けて試してみた。熟成の難しい年2005年産のビュルーガーガルテンである。当時試飲して三本持ち帰った最後の一本である。
今まで一度も満足出来なかったのが、2005年の若干過熟成のような重さが軽くなって、綺麗に熟成しだしていると感じた。特徴あるバラの香りが楽しめるようになるといささか重さのあるこの土壌もマンデルガルテンなどと比べてそれほど悪いとは思わない。漸くこのレヴェルのグランクリュでは熟成が纏まってきたようであるから、さらに強いリースリングはまだこれから二三年は待たなければいけないに違いない。
そのような結果、当時のグローセスゲヴェックスでそれなりの成果を確認できたのであるから、木樽の使用へと動いて二三年経った今、今後が期待できるリースリングを造っているのではないかと、どうしても確かめてみる必要が出来たのである。
もう一つの嬉しい誤算は、2008年度産のアプツベルクのアルテレーベンである。これも試飲して三本購入したが、試飲時を含めて今回まで満足できるだけの出来とはなっていなかった。先ず何よりも酵母臭が消えてしまっていて、硫化物などの影響も消え失せてしまっていることで、誰にでも薦めることが出来る品質に漸く達している。
さて、既に飲み干してしまっている2007年産カビネットに比較すると、なるほど果実の熟成度も糖比重も違い、その糖と2008年度産の特徴ある酸がさらに強く拮抗している。その反面、どうしてもルーヴァー地方の葡萄の熟成の限界もありアルコール11度は如何にも弱く、水臭いリースリングにしていることは否めない - 収穫量を落とさなければいけないのだ。これはさらに強いスペリオールでは改善されるかもしれないが、残糖が増える分繊細さが薄れてそのバランスの崩れ方が心配である。
2007年カビネットの土壌からくる鉱山の地下の現場のような苦味の清冽さや清涼感は、この2008年アルテレーベにはあまり感じられなくて、若干鈍い感じで甘さの影に隠れて分離している。しかし、総じてザールルーヴァーのリースリングに求められる青白いような淡い味覚が楽しめて、鱒の蒸し料理などにはこれがよさそうである。日本の食事では鮎の肝を噛み締めながら一杯引っ掛けるとこの苦味がとても良いかもしれない。
先のビュルガーガールテンは枯れるまでにはまだ時間があるが、このアプツベルクは既に枯れに入っているためバランスは今が最高ではなかろうか。なるほど熟成香は出ていなくとも拮抗するだけの酸の量感もあまり無いので、今後ますます水っぽくなるのは間違いない。その証拠に開栓しての二日目は既に酸はさらに丸くなって若干の糖の分離が感じられ、薄荷の要素などが消え失せて苦味すら感じられなかった。もう一本あるのでさらに半年ほど寝かしてみようと思うが、瓶詰め二年目が最初のピークで三年目までワインらしさが維持できるかどうかである ― 要するに栽培だけではなく醸造で酵母臭を抜く抜くか発売時期を一年ほど遅らすかしていないのがいけないのである。しかしコルクなどの状態は完璧で、とても嬉しい誤算であった。
参照:
歳月を重ねて熟成するとは 2009-12-07 | ワイン
真直ぐに焼け焦げた軌道 2009-09-29 | 試飲百景
厳寒の忘年会での散財 2010-12-04 | 暦
オープンに対応出来るとは 2009-11-09 | 試飲百景
水で割る経済格差の味覚 2008-07-02 | 試飲百景
試飲会に先立って、古いグローセスゲヴェックスを開けて試してみた。熟成の難しい年2005年産のビュルーガーガルテンである。当時試飲して三本持ち帰った最後の一本である。
今まで一度も満足出来なかったのが、2005年の若干過熟成のような重さが軽くなって、綺麗に熟成しだしていると感じた。特徴あるバラの香りが楽しめるようになるといささか重さのあるこの土壌もマンデルガルテンなどと比べてそれほど悪いとは思わない。漸くこのレヴェルのグランクリュでは熟成が纏まってきたようであるから、さらに強いリースリングはまだこれから二三年は待たなければいけないに違いない。
そのような結果、当時のグローセスゲヴェックスでそれなりの成果を確認できたのであるから、木樽の使用へと動いて二三年経った今、今後が期待できるリースリングを造っているのではないかと、どうしても確かめてみる必要が出来たのである。
もう一つの嬉しい誤算は、2008年度産のアプツベルクのアルテレーベンである。これも試飲して三本購入したが、試飲時を含めて今回まで満足できるだけの出来とはなっていなかった。先ず何よりも酵母臭が消えてしまっていて、硫化物などの影響も消え失せてしまっていることで、誰にでも薦めることが出来る品質に漸く達している。
さて、既に飲み干してしまっている2007年産カビネットに比較すると、なるほど果実の熟成度も糖比重も違い、その糖と2008年度産の特徴ある酸がさらに強く拮抗している。その反面、どうしてもルーヴァー地方の葡萄の熟成の限界もありアルコール11度は如何にも弱く、水臭いリースリングにしていることは否めない - 収穫量を落とさなければいけないのだ。これはさらに強いスペリオールでは改善されるかもしれないが、残糖が増える分繊細さが薄れてそのバランスの崩れ方が心配である。
2007年カビネットの土壌からくる鉱山の地下の現場のような苦味の清冽さや清涼感は、この2008年アルテレーベにはあまり感じられなくて、若干鈍い感じで甘さの影に隠れて分離している。しかし、総じてザールルーヴァーのリースリングに求められる青白いような淡い味覚が楽しめて、鱒の蒸し料理などにはこれがよさそうである。日本の食事では鮎の肝を噛み締めながら一杯引っ掛けるとこの苦味がとても良いかもしれない。
先のビュルガーガールテンは枯れるまでにはまだ時間があるが、このアプツベルクは既に枯れに入っているためバランスは今が最高ではなかろうか。なるほど熟成香は出ていなくとも拮抗するだけの酸の量感もあまり無いので、今後ますます水っぽくなるのは間違いない。その証拠に開栓しての二日目は既に酸はさらに丸くなって若干の糖の分離が感じられ、薄荷の要素などが消え失せて苦味すら感じられなかった。もう一本あるのでさらに半年ほど寝かしてみようと思うが、瓶詰め二年目が最初のピークで三年目までワインらしさが維持できるかどうかである ― 要するに栽培だけではなく醸造で酵母臭を抜く抜くか発売時期を一年ほど遅らすかしていないのがいけないのである。しかしコルクなどの状態は完璧で、とても嬉しい誤算であった。
参照:
歳月を重ねて熟成するとは 2009-12-07 | ワイン
真直ぐに焼け焦げた軌道 2009-09-29 | 試飲百景
厳寒の忘年会での散財 2010-12-04 | 暦
オープンに対応出来るとは 2009-11-09 | 試飲百景
水で割る経済格差の味覚 2008-07-02 | 試飲百景