シュタイクアイゼンが届いた。先ずは靴に合うのかどうかが気がかりだったので、装着を試してみる。使えそうだと分った。それだけも、長年の疑念が晴れたようでとても気持ちよかった。その閉め具のドイツ語で言うへーベルビンディングシステムは昔からあったのだが、私が知っているのはその初期で「欧州では使っているらしい」との情報が流れていた時代で、「靴との相性で外れる危険があって、外れたら流れ紐がついていない分落ちてしまって、大きな岩壁では使えない」ぐらいにしか評価されていなかった。
そのため従来の占め具を改造したリベットを自分で打ち込んでの自家製占め具を作って「岩登り」をしていたのだが、流石にそうしたシステムは上から靴を締め付けるために凍傷になりやすいということで危険なシステムとなってきていた。そして昨今のゴアテックス製の靴などには全く使い物にならない。
それでも新しいシステムは、古い靴との相性などが難しそうで、使ったことの無い者にとっては面倒なことであったのだ。そして実際に装着してみるとそれほど複雑ではなく、購入したそのアイゼンは工具も無しにアジャスト出来るようになっていて、更に驚かされた。
調整可能箇所は靴先の閉め具の針金をつける場所の箇所を替える一件と、同様に後ろのかかとの金具の二箇所の架け替えの一件、そして全体の二部分に分かれている土踏まずの場所の長さを替える一件の合わせて三箇所である。
靴の大きさは、34から44に対応しているがそれ以上に大きい靴には別売りの連結金具があるようだ。その大きさは問題なかったが、使いたいガリビエールのルネ・デメゾン「スーパーガイド」は細身でそもそもアイス用にはあまり考えられていないと思ったから、心配だったのである。昨シーズンに初めてアイスで使ってみて中々使えることが分ったものだから、約三十五年ぶりで復活登場となったのだ、そして今回ドライツーリングにもそして氷柱にもってこいの一本爪のアイゼンに使うとなると、遠に亡くなったアドヴァイザーのデメゾン氏も思いもよらなかったリヴァイヴァルではないだろうか。
なるほど重量の片足1250Gは現在の900G台の靴からすれば重いのだが、底に鉄板が入っている分必要な硬性は十分あるように思われる。少なくとも760Gのゴアテックスや1350Gもあるライケルの登山靴では全くこうした本格的なアイスクライミング用のシュタイクアインゼンは使えない。足の寒さに関しても咋シーズンの摂氏零下十五度の雪道でも問題なかったので靴下などの改良が大きい。
そしてなによりもそのシュタイクアインゼンの素晴らしさはこうして室内で装着してみて眺めているだけでも最高のパフォーマンスを約束してくれている。実は一本爪を購入するということを若い仲間に話すと、彼は同じメーカーのLINXという商品を勧めたのであった。一本爪と二本爪を入れ替えることが出来て、万能に使える商品で価格も少々高いだけなのである。なるほど二足買うよりは安い。
そこでその商品を詳しくネットの写真等で調べると、なるほど重量差は200Gであったが、その十四本爪はとても使い難そうだと思った。なによりも谷の柱状の水氷と四千メートル級の壁を一緒に登ることなどないと悟ると、その重さだけでなく要らぬもののを足に付けていって一体何の得があるのかと思った。ミックスのゲレンデを考えると益々そのアイゼンでは登り難いことも想像でき、なるほど今の若い人は本格的に「シュタイクアイゼンで岩登り」をしていないことを伺わせた。先ずは、氷柱を二本爪で登ってみて苦労してみるのが良いだろう。
この場を借りて、シャルレ・ダートを推奨頂いた、プロガイドの舟橋氏に心より謝意を表したい。実際に使ってみなければ成果とはならないが、少なくともその推薦の正当性には、当時ザイル無しで氷の垂壁を颯爽と登っていた氏の姿が目に焼きついている者には、疑いなど毛頭無い。
追記:写真を写してから更にもう一つ短くして、踵部の留め金がゴムに食い込むようにファインチューニングした。なぜか左右の嵌り方が若干異なっていて、左足では同じ金具位置「外短八」で踵のゴムが噛んでしまうのである ― 靴の踵が細いことで極力アイゼン側を短くするため。硬いねじ回しのようなものを携帯するか、ゴムをバインダーにかけるか工夫しないと冷寒地では硬過ぎるかも知れない。しかし完璧な装着である。
参照:
高めるべきは経験値 2012-02-14 | アウトドーア・環境
凍りも滴るいいおとこ 2012-02-06 | アウトドーア・環境
そのため従来の占め具を改造したリベットを自分で打ち込んでの自家製占め具を作って「岩登り」をしていたのだが、流石にそうしたシステムは上から靴を締め付けるために凍傷になりやすいということで危険なシステムとなってきていた。そして昨今のゴアテックス製の靴などには全く使い物にならない。
それでも新しいシステムは、古い靴との相性などが難しそうで、使ったことの無い者にとっては面倒なことであったのだ。そして実際に装着してみるとそれほど複雑ではなく、購入したそのアイゼンは工具も無しにアジャスト出来るようになっていて、更に驚かされた。
調整可能箇所は靴先の閉め具の針金をつける場所の箇所を替える一件と、同様に後ろのかかとの金具の二箇所の架け替えの一件、そして全体の二部分に分かれている土踏まずの場所の長さを替える一件の合わせて三箇所である。
靴の大きさは、34から44に対応しているがそれ以上に大きい靴には別売りの連結金具があるようだ。その大きさは問題なかったが、使いたいガリビエールのルネ・デメゾン「スーパーガイド」は細身でそもそもアイス用にはあまり考えられていないと思ったから、心配だったのである。昨シーズンに初めてアイスで使ってみて中々使えることが分ったものだから、約三十五年ぶりで復活登場となったのだ、そして今回ドライツーリングにもそして氷柱にもってこいの一本爪のアイゼンに使うとなると、遠に亡くなったアドヴァイザーのデメゾン氏も思いもよらなかったリヴァイヴァルではないだろうか。
なるほど重量の片足1250Gは現在の900G台の靴からすれば重いのだが、底に鉄板が入っている分必要な硬性は十分あるように思われる。少なくとも760Gのゴアテックスや1350Gもあるライケルの登山靴では全くこうした本格的なアイスクライミング用のシュタイクアインゼンは使えない。足の寒さに関しても咋シーズンの摂氏零下十五度の雪道でも問題なかったので靴下などの改良が大きい。
そしてなによりもそのシュタイクアインゼンの素晴らしさはこうして室内で装着してみて眺めているだけでも最高のパフォーマンスを約束してくれている。実は一本爪を購入するということを若い仲間に話すと、彼は同じメーカーのLINXという商品を勧めたのであった。一本爪と二本爪を入れ替えることが出来て、万能に使える商品で価格も少々高いだけなのである。なるほど二足買うよりは安い。
そこでその商品を詳しくネットの写真等で調べると、なるほど重量差は200Gであったが、その十四本爪はとても使い難そうだと思った。なによりも谷の柱状の水氷と四千メートル級の壁を一緒に登ることなどないと悟ると、その重さだけでなく要らぬもののを足に付けていって一体何の得があるのかと思った。ミックスのゲレンデを考えると益々そのアイゼンでは登り難いことも想像でき、なるほど今の若い人は本格的に「シュタイクアイゼンで岩登り」をしていないことを伺わせた。先ずは、氷柱を二本爪で登ってみて苦労してみるのが良いだろう。
この場を借りて、シャルレ・ダートを推奨頂いた、プロガイドの舟橋氏に心より謝意を表したい。実際に使ってみなければ成果とはならないが、少なくともその推薦の正当性には、当時ザイル無しで氷の垂壁を颯爽と登っていた氏の姿が目に焼きついている者には、疑いなど毛頭無い。
追記:写真を写してから更にもう一つ短くして、踵部の留め金がゴムに食い込むようにファインチューニングした。なぜか左右の嵌り方が若干異なっていて、左足では同じ金具位置「外短八」で踵のゴムが噛んでしまうのである ― 靴の踵が細いことで極力アイゼン側を短くするため。硬いねじ回しのようなものを携帯するか、ゴムをバインダーにかけるか工夫しないと冷寒地では硬過ぎるかも知れない。しかし完璧な装着である。
参照:
高めるべきは経験値 2012-02-14 | アウトドーア・環境
凍りも滴るいいおとこ 2012-02-06 | アウトドーア・環境