Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

民主主義の品格の欠乏

2014-11-18 | 歴史・時事
アベノミクスの頓挫のニュースが世界を駆け巡っている。結果は時間の問題であったが、増税からの回復を待たずにこの結果に至ったのは想定外なのかもしれない。二次引き上げなどは不可能だと告知したようなものか。先日の「最後の金融緩和政策」で予想されていたことではあるが、折からの欧州などの成長の伸びを考えると明らかにこれで万事休すである。

沖縄知事選の結果のニュースも政治的に大きな意味があるのは断るまでもない。翁長氏の当確における発言も保守政治家として光り輝くものであった。東京政府に対して「民主主義国家としての品位」を正す以上に適切な現在の日本の政治家の発言があるだろうか?

日本の経済や沖縄基地問題などは、それが世界に影響を与えるという重要さだけでなく、現在の世界共通の問題でもあり、世界の関心が集まる。それにしても、円安誘導で輸出産業を伸ばそうとしたとても古臭い感覚は、余程年寄りの取り巻きのアイデアとしか思われない。「イデオロギーよりもアイデンティティー」など翁長陣営の気の利いた言葉を使う取り巻きとは雲泥の差である。

日本からのニュースで興味深かったのは、先週伝えられていた前兵庫県知事の死亡事故に関して、後続タクシーからの車載搭載映像である。とても興味深い事故現場映像だったのでDLしてから、拡大、コマ送りなどでじっくり観察した。

最も驚いたのは、前知事を乗せた車も後続のタクシーも法定速度が時速40KMのところを70KMまでの交差点でほとんど30KM近く超過で走行していることである。現在のドイツの交通法規ならば四週間の免停である。ドイツは決して高速走行を即悪と見做すことはないが、理のある交通秩序を犯すことは万人が認める悪である。上の場合も、交差点で十分な注意を払わなければいけない市街地であり速度管理はとても重要なのである。

そして、左方向から車が飛び出してきて、前知事の車の左後部に衝突する。その後の信号の表示等を見ると、どうも前知事の車は黄色から赤に変わるところを突き切った様子である。それは、衝突後の他の車の通行状況でも確認できるのだ。恐らく衝突した車は青に変わったところを突き切ってきたのでスピードが出ていたに違いない。

その衝突の状況は所謂横からの衝突実験の典型でサイドのエアーバックがつけられる原因になっている衝突形態である。今回の映像ではよく分からないが、車の破損以上に横からのGで首の骨を折ったのではなかろうか ― 後部座席で安全ベルトをしていれば頭を強打することは避けられる。パリでのSクラスの後部座席でのダイアナ死亡事故を思い起こさせる。今回の事故車はトヨタか日産の大き目の車だったのだろうが、時速60KM以上で走行している車に左後方から時速50KMほどで衝突されるという大変厳しい状況であれば、死亡事故は避けれないのは当然かもしれない。

実は日本滞在中に同じような道路で信号無視をしたことがあるのだが、信号が目につきにくく、市街地の三車線四車線の日本の道路事情の悪さを経験している。自動車先進国ドイツでは、神戸の埋め立て地のような危険な道路はあまりない。だから、事故現場では時速制限が40KMになっているのだろう。見通しを良くして制限速度を上げるためには十分な信号など交通秩序構築の技術が必要なのだ。

しかし、日本では合理的な情報や判断が共有されることはなくて、道路事情などは警察の天下り組織の安全協会などに牛耳られることで、既得権益は守られても社会秩序が守られないような社会構造になっているのである。

「民主主義の品格」とは、理のある制度構築と遵法精神であり、少なくとも真のエリートの存在しない既得権益拡大に躍起となる日本の為政者や行政組織の知的低下の夥しい社会構造では存在しないものなのである。ここに至って改めてプロテスタンティズム精神の有無を考えずにはいられないのである。



参照:
安倍が解散に打って出る話 2014-11-15 | マスメディア批評
本音と建前の二枚舌 2013-05-29 | 歴史・時事
コメント (4)
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